ワールドトライアスロンシリーズ横浜2022 Race Report

5/14(土)神奈川県横浜市で「ワールドトライアスロンシリーズ横浜2022」(ワールドトライアスロン世界トライアスロンシリーズ横浜大会組織委員会主催)が開催された。

関東では皮切りとなる横浜大会で、土曜日のエリートレース観戦、日曜日のエイジレース参戦と、楽しみ方が2倍となる国内屈指の人気大会だ。まずは関東であること、横浜、山下公園とその周辺を舞台に開催されることなどから、人気は高く、デビュー戦として出場する選手も少なくない。

昨年はコロナ禍ピークの中での開催となったが、観戦自粛への協力体制が高く、無事開催となった。もちろん選手もバブル方式を取り、徹底した感染予防がなされた。今年は、収束方向に向かう中でも、慎重さを期して、理想的な運営が行われていた。

毎年、気になるのが天候だが、やはり横浜は雨だった。昨年は晴れたが、今年は雨予報、取材活動にも支障は出るが、一番はレース中の落車が気になる。過去の事例から勘案し、滑りやすい赤れんが倉庫内をコースから外すなどの対策をとっている。実際は、女子のバイク序盤で雨は上がったが、路面はウェット状態が続き、雨が原因かは不明だが、2件の落車を確認している。

今年も横浜大会が開催された。オリンピックディスタンスの国内最高峰の大会であることは間違いない。世界選手権としてのレベルの高さ、エイジ選手の参加数、関東有数の観光地の真ん中で開催するというロケーションなど、国内では極めてポイントの高い大会と言えるだろう。

いずれにしても、観戦から参戦まで、横浜の5月の定番イベントを楽しんだのではないだろうか。

≪WTS横浜≫

WTS横浜大会は、今年で12回目となるシリーズ最多開催大会だ。国内でトライアスロン大会が始まって40余年。その中でもこの上ないロケーションとなる横浜大会だ。マラソンで言えば東京マラソンだろうか。地方からの参加者も多い、国内屈指の人気大会だ。

≪Race Topix≫

男女ともにイギリス勢が優勝となった。

女子は、イギリスのジョージア・テイラーブラウンが悲願の初優勝となった。常に上位で走って来た選手だったが、優勝には絡んでいなかった。スイムを上位で上がり、ダフィらのパックでバイクを終えると、ランで勝負に出た。やはり、昨年のTOKYO2020ゴールドメダリストでもあるダフィが本命ではあったが、見事にその予想を覆した。表情をあまり変えないテイラーブラウンだが、その力強い走りが印象的だった。

男子は、同じくイギリスのアレックス・イーがやはり悲願の初優勝となっている。スイムでは出遅れ、バイクスタートも第2集団からのスタートだったが、徐々に順位を上げ、得意のラン勝負に持ち込んだ。最後はニュージランドのヘイデン・ワイルドと一騎打ち、サイドバイサイドの走りを最後の花道で決着させた。また、ランの最終ラップでは、ボトルが取れなかったワイルドに手渡しするなど清々しいシーンもファンが増えたのではないだろうか。いずれにしても最後まで目が離せない「名勝負」だったと言えるだろう。

そして、日本勢も健闘を見せてくれた。小田倉真は、スイム、バイクでポジションをキープし、サバイバルとなったランで、粘り強く走り、9位で終えている。

≪Watching the race≫

トライアスロンは「Do Sports」と考えている人が圧倒的に多い。そんなトライアスロンを「観て楽しむ」ということを教えてくれたのがこの大会だ。ショートという短い時間にまとめられ、バイクの集団走行などの迫力あるシーン、そして、一般レースとは全く異なる「スピード感」が最高の醍醐味となっている。簡単に言えば毎年横浜でオリンピックが開催されているようなものなのだ。それを沿道から目の前で観戦ができる絶好の機会と言える。もちろん、「観戦」としての演出を考えて行われている大会であるということだ。

≪YOKOHAMA≫

横浜は、異国情緒の溢れる都市で、歴史的建造物などが多数あり、一つの博物館のようなロケーションとそこを交えたコースとなっているのが特長だ。国際大会として外国人選手に走ってもらう、最高の「おもてなし」コースとも言える。厳密にはエリートとエイジレースではコースは異なるが、スタート、ゴールは同一のため、迫力のエリートレース観戦、翌日の参戦で大いに楽しむことができるだろう。

≪Bike Count≫

2015年、この横浜が初めてGERONIMO COUNTを行った大会でもあるが、その後、毎年カウントしてきた。1週間前に開催されたIRONMAN WORLD CHAMPIONDHIPでは、3000台を超えるエイジ選手を含めたカウントをしているが、ここでは100名前後となるエリートのバイクをチェックしている。

アイアンマンで傾向のあった「ワンバイ」なども、この横浜で昨年確認、そして、今年は更に増えていたり、DHバーの形状やセッティングにこだわる選手も目立っている。そんなトップエリートの傾向やその前段階となる「兆し」などが発見できれば面白いと思っている。

横浜でエリートの使用するバイクは「ロードバイク」だが、ロングの宮古島などでもトライアスロンバイクは50%超える程度となっている。つまり、一般選手が使用するロードバイクとして、参考になる点も多くあり、傾向を活用してもらうことができるということなのだ。

今年はどんな結果となるのか、後日発表したい。

≪Race Report≫

今年も良いレースを見せてもらった。最近感じることは、中々連覇はできないということだ。若手の台頭もひしめく中で、このスピードレースを制することは簡単ではない。経験と衰えないスピードを持つ選手ことが勝てる厳しい世界だ。彼らはエリートであり、多くがプロでもある。最高の走りを見せることは当然かもしれないが、目の当たりにする姿には感動をもらい、そこで頑張る全選手に拍手を送りたい。

以下、レースレポートとなる。

■コース

【Swim】750m × 2周

ポンツーンから一斉スタートで、「氷川丸」が目標物となる。一見フラットだが、チョッピーな海面となることが多い。全景が確認でき、観戦もし易い。

【Bike】4.45km × 9周

今回、雨天予想のため、急遽バイクコースが変更となり、赤れんが倉庫の中にははいらず、前を通過となっている。その分、海岸通りを「横浜人形の家」方面に延長されている。フラットながら、カーブ、コーナーが多いテクニカルコース。スピードの加減速も著しく、スキルやバイク特性も大きく関係するコースとなっている。また、歴史的建造物の間を走る横浜を象徴するロケーション

【Run】2.5km × 4周

ランコースもバイクコース変更に伴い、象の鼻パークまで行かず、神奈川県庁を回ってくるコースとなり、バイクコース同様、「横浜人形の家」で折り返すコースとなった。フラットで、4周回のため、ペースを掴みやすいが、日陰はほとんどない。普段は圧倒的に応援、観戦者の多いコースとなる。

 

■エリート女子

【Swim】

10:16:03 女子のレースが小雨の降る中スタートした。「On Your Mark!」の後、間髪入れずにホーンが鳴り、一斉に飛び込んだ。透かさずトップに躍り出たのはフランスのボーグラン。続いて、キングマ、リンデマン、そして、本命ダフィらが続いている。その後もボーグラン、キングマら積極的に先行している。

スイムは一度ポンツーンに上がって2周回をする。1周目のラップは、ダフィをトップに、ボーグラン、キングマ、リンデマン、クーボーデンらがトップグループとなっているが、僅差で次から次へと選手が2周目に入って行く。テイラーブラウンは8位、昨年優勝のニブは9位だった。多少順位は変わるものの大方の顔ぶれは決まり、氷川丸前の最終ターンをしている。

結果は、ボーグランがトップでスイムフィニッシュ、続いて、キングマ、ロンバルディ、ダフィ、クーボーデンがフィニッシュ。ニブは6位、テイラーブラウンは8位でスイムを終えた。日本人は、高橋がトップから18秒差の21位で続いている。そして、バイクはボーグラン、キングマ、ダフィ、ロンバルディの4名でスタートしている。

【Bike】

ボーグランら4名で先行するもテイラーブラウン、スパイビーらの後続はすぐ迫っている。テイラーブラウンは単独で前を追いかけ、3分後には先頭集団に入り5名体制となったが、後続の勢いがあり、赤れんが前ではリンデマン、スパイビー、ニブを含む14名の集団となっていた。ただ、ニブは最後尾で明らかに調子は上がっていない。18秒差で11名の第2グループが迫っている。この中には日本の高橋が入っている。その後、カップヌードルミュージアム付近で動きがあったが、先頭集団は14名で安定している。スタート後26分が経過し、1Lap終了、第2集団11名との差は18秒、高橋も20位19秒差で健闘している。1周目はダフィが積極的に引き、集団の中の存在感が圧倒的に大きくなっている。まだまだこれから。

2周目に入った。第1集団はダフィが引きつつ、積極的にローテーションを促している。ペースアップで篩にかかる。3名が落ち11名に、ここで今日初めて昨年覇者ニブが先頭を引いている。落車!2周目終盤直線で後方2名離脱。なんとリンデマンとボーグランだった。リンデマンの前に入った選手と接触か。リンデマンは再開するがトップから30秒以上の遅れとなった。先頭集団は9名で3周目に入った。

3周目、後続集団は40秒のビハインドで、高橋も18位で追っている。そして、3周目で動きがあった。ダフィ、キングマ、テイラーブラウン、ニブらでペースを上げ、引き離しにかかるが失敗、再び9名に。ただ、ニブが積極性を見せている。昨年覇者の存在感をアピールできるのか。テイラーブラウンとスパイビーは笑顔で会話をしている。余裕の走りか。

4周目に入ってもニブが引き、続いてカスパーとなるアメリカ勢が前に出ている。後続も4周目に入り、高橋も前方で元気な姿を見せている。ただ、先頭集団との差は1分を超え開いている。これ以上開くと厳しくなってしまう。

先頭グループは5周目に入った。ダフィとテイラーブラウンが会話をしている。この後動きがあるのだろうか。ニブの反応が悪くなっているように感じるが。。。後続も5周目に入ったが、先頭を走るのは高橋だ。ビハインドは1分16秒と更に広がっている。再びニブが先頭を引き始めた。

6周目に入る前には、また、キングマが引いている。バイクの強さが際立っている。先頭を引く時間も長く、ダフィらと共にこの集団でも貢献度は高い。また、ニブが引いている。時間は短いがペースを上げている。前6名後3名、間が空き始めている。後続集団も6周目に入ったが、1分43秒のビハインドとなり、更に広がっているため、かなり厳しい状況となった。後続は15名、協調が上手く行けば追いかけられるのだが。またしてもニブは最後尾を走っているが、一気に先頭に出るなど、負担の大きい走りをしているのが気になる。

バイクも終盤となる7周目に入った。先頭はニブが引いている。この中から優勝者が出る可能性が高い。バイクの強い選手は更に引き離したいところだ。ニブが下がり、ダフィが先頭でペースを上げている。その後、キングマ、テイラーブラウンへリレーするように先頭を後退し、ペースをキープしている。後続は更に離され2分4秒のビハインドとなる。先頭集団でニブが前に出てでペースを上げている。終盤になると一気に前に出て上げる、そんなパターンが続いている。カスパーがトップで7周目を終えると、またキングマが引き始めた。

8周目となった、キングマのペースアップも集団も付いていく。まずはドリンクタイムとなり、各選手補給をしている。その後、後続とすれ違い、あらためてその差を感じることで、先頭集団でのバトルにスイッチが入った。後続との差は2分20秒となっていた。その後続は高橋が引っ張っている。8周目後半の先頭ではキングマが出たが、透かさずニブ、カスパーのアメリカ勢が前に出るなど動きが激しい。最後はダフィが出て8周目を終えている。すでにランのイメージが始まっていた。

いよいよファイナルラップに入った。今日初めてか、ペリオーが先頭に出る。後半に入るとペースが落ち、安定したペースで走っている。神奈川県庁過ぎたあたりからシューズを脱ぎ、トランジットの準備に入っていた。最後は、キングマがトップでバイクフィニッシュしている。

そして、トランジットをいち早く抜け出したのは、クノル、キングマ、テイラーブラウンだった。

【Run】

9名でランスタートとなった。昨年優勝のニブは、トップから5秒遅れの最後尾でスタートしている。クノル、キングマ、テイラーブラウンらがトップを走っているが、これから動きが出るだろう。

すぐ動きはあった。スタートして1分30秒、横浜人形の家前をターンした後、テイラーブラウンがペースアップ、透かさずキングマは反応したが、クノルは付いていけない。そして、ニブは最後尾のまま明かに遅れている。テイラーブラウンのペースが上がっている。キングマも遅れ始め、そこにダフィが上がって来ている。テイラーブラウンの独走状態となったが、このまま行ってしまうのだろか。ただ、後ろを気にしている。余裕はないのかもしれない。キングマがペースを上げている。そのあとをダフィ、ペリオー、ロンバルディが追いかけている。ダフィもペースアップ、4名のチェイサーが猛追している。1周目を終え、その差は7秒。ニブは21秒遅れだ。これ以上は離されたくない。

2周目に入った。ニューグランド前では差が4秒に縮まっている。ダフィのペースが上がっている。その後、更に縮まり、県庁の手前で捕まった。さあ、テイラーブラウンはどうするのか。5名の先頭集団となり、様子を見ている。間も無く、2周目が終わるが、5名のままキープされている。

5名のまま3周目に入った。あと2周、どこで仕掛けるのか。ニブは先頭集団のあと6番手で走っているが19秒の遅れとなっている。先頭はテイラーブラウン、追いつかれたが、先頭集団を積極的に引っ張っている。しばらくするとダフィが前に出て、力強い走りを見せている。県庁までペリオーが前に出るが、テイラーブラウンがすぐ反応している。キングマが少し遅れ始めたが何とか付いている。終盤、テイラーブラウンが先頭に出ている。余裕を感じさせる走りを見せている。

いよいよ勝負が決まる。

フィナルラップに入った。テイラーブラウンとペリオーが先頭をキープする中、ダフィらは反応できていない。先頭の二人も感じているはずだ。テイラーブラウンがペースを上げている。ペリオーは付いていけるのか。更にペースアップ、ペリオーを6秒突き放している。このまま行けるかテイラーブラウン。後ろを振り返る、余裕はない。ただペリオーとの差はキープしている。県庁前に入った。逃げ切れるか。また、後ろを振り返るテイラーブラウン。ペリオーも上げてきた。逃げ切れるか。

テイラーブラウンは花道に入った。最後まで振り返りながら、見事優勝を飾った。2位ペリオーとは6秒、3位ダフィとは11秒、スリリングなラストを勝ち切ったテイラーブラウンのゴール後の安堵を感じる笑顔が印象的だった。

■エリート男子

【Swim】

13:06:00 男子のレースがホーンとともに一斉にスタートした。女子は小雨のスタートとなったが、雨は降っていない。曇り空だが明るく、雨の心配もなくなった。ただ、その分気温も上がっている。水温も上がり、ノーウェットのスイムとなった。

男子のスイムは、例年通り拮抗し、横一直線に並んで泳いでいる。第1コーナーに向け、動きがあるだろう。まずはノルウェーのグンデルセンが体二つ前に出て、アウトからフランスのモルレックも上がっているが、第1コーナーでは団子状態となっている。第2コーナーもグンデルセンをトップに大集団となっている。19年覇者フランスのルイ、グンデルセン、そして、古谷が良い位置をキープしている。程なくしてルイがトップに出る予想通りの展開だろう。その後、ルイは体一つ前に出て、グンデルセンと古谷が続いている。1周目はルイがトップ、そして、古谷が2秒差の2位につけている。

大事な2周目に入った。ルイがトップをキープするのか、古谷もこのまま行けるのか。小田倉8秒差、北條10秒差、日本勢も好位置に付けている。イギリスのイーは20秒遅れの31位通過だ。ルイを頂点に長い隊列となっているが、やはりルイのスイムは別格だ。体二つ前に出ている。そのあとを同じフランスのコナン、古谷が追っている。第1コーナーはルイとコナンが先行し、追う大集団は、古谷が先頭となっている。第2コーナーではルイ、コナンが通過、グンデルセンら数名が上がり、古谷はその後に付いている。いづれにしても好位置は変わらない。残すは、フィニッシュまでのストレートだ。トップは変わらずルイ、続いてコナンで、3位とは体4つ程度は開いているだろうか。ルイは余裕すら感じさせる泳ぎをしている。間もなくスイムフィニッシュとなる。

スイムトップはフランスのルイで、予想通りの泳ぎを見せた。続いて1秒差でコナン、3位はモルレックとなり、フランスの1、2、3となっている。日本人は北条が10秒遅れ、古谷が11秒遅れでフィニッシュしている。

トランジットでは、大集団となり、バイクは一斉スタートの模様。

【Bike】

バイクは、スイム3位のモルレックがスタート切った。続くは日本の北条だ。ルイ、コナンも続いている。先頭は32名の大集団、バイクから仕掛けていくのだろうか。北西側カップヌードルミュージアムで折り返してから、集団の最後尾を走っていたルイが遅れ始めた。その後、後続のイーらのパックで走っている。先頭集団は、ルコーを頭に1周目を終えている。イーは14秒遅れ、ワイルドは24秒遅れとなっている。

2周目に入ったが、先頭集団が長いため、イーら5名の第2集団は、間もなく最後尾に追いつくところまで来ている。ルイも復活できるだろうか。集団はまた36名に膨らんだ。ルイとイーが最後を走っているのが気になるが。実はこの後に先頭集団をたった2名で追いかけている。一人はニュージランドのワイルドだ。追いつくのか。ノルウェーのトーンを先頭に2周目を終えている。古谷、ニナー、北条、小田倉、安松ら日本勢も元気に走っている。ワイルドの13秒遅れは縮まり、先頭の最後尾についた。

3周目はドイツのショームブルクを先頭に動きなく終わっている。4周目で38名となり、パイエ、ウィリアンが少し前を引いているが、やはり動きはない。パイエををトップに4周目終了。5周目に入った。北西側の折り返しでは、古谷が先頭を引き、積極的な走りを見せている。ここでも動きはなく、38名のまま、マクダウェルがトップで5周目を終えている。6周目も38名のまま、ワイルドがトップで終了。あと3周。7周目に入り、動きが出た。ペースが上がっている。ワイルド、ライダー、ベルジェール、そして古谷らが積極的に引き始めた。しかし、再び吸収、ワイルドがトップで終わった。8周目も何事もなく38名、プリースターがトップで終わった。

いよいよファイナルラップに入ったが、結局、動きはないまま、38名のバイクフィニッシュとなった。ショームブルクがランもトップスタートとなり、ベルジェール、ルコー、そして、北条が続いている。さあ、ここからが勝負だ。

【Run】

男子のランが38名でスタートした。概ね「ランレース」状態で、ランパフォーマンの高い選手が抜け出して来る。最後に勝負を決めるのは誰だ。

程なくして、ワイルドが先頭に出ている。続いて、ショームブルク、ルコー、ベルジェール、そして、北条もすぐ後に付いている。今回も厳しいサバイバルレースとなった。今はランの走力と集中力のみが試される。最後に残るのは誰だ。イーが県庁前で上がって来た。そして、先頭ワイルドは変わらず、ルコー、イー、ベルジェールのスイッチが入った。1周目終盤、イーが2位に上がっている。この4名で決まるのだろうか。ワイルドがトップで1周目を終えた。12秒遅れで、北条9位、ニナー11位が健闘している。小田倉は18秒遅れの15位。ここでルイが止まってしまった。

2周目に入ったが、やはりワイルドとイーの勢いがある。3位ベルジェール、4位ルコーとの差が開き始めた。県庁前あたりでは、ワイルドとイーの一騎打ちに入った。ルコーは遅れ始めている。前を走るワイルドか、しっかりと付いて走るイーか、最高の勝負が展開している。そして、そのままの体制で2周目を終えている。北条9位をキープ、ニナー10位に上がった。

あと2周、どこで勝負を決めるのか。先頭ワイルド、ピタッと背後に付くイー、同じ状態が続いている。時折後ろを気にするワイルド。イーはワイルドに合わせているように見える。余裕なのか。イーは前に出ない、並びもしない。ただ、その間隔はキチッと一定で走っている。間もなく3周目が終わってしまう。動きはない。3周が終わった。トランジットエリアではワイルドが左右に降りながら、後続のイーを振り払うかのように走っている。イーの状態を確認したのか。いよいよ決戦のファイナルラップに入った。

やはり、イーの走りには余裕を感じる。いつでもスパートをかけられる、と言った感じだ。横浜人形の家の前をターンした後、イーは斜め後ろに付く。ワイルドが何度も気にしながら走っている。そして、ニューグランド前でついに初めて並んだ。最後の勝負の合図だろうか。

その時だった。歩道寄りを走っていたイーは水のボトルをゲットした後、僅かに口に含み、その後、取れなかったワイルドにまるでバトンのように渡した。そして、ワイルドはイーの右肩に軽く触れた。最後の勝負の前の清々しいワンシーンだった。

この後、初めてイーが前に出たが、すぐさま、ワイルドがまた前に出る。透かさず後に付くイー。そして、再びサイドバイサイドとなった。県庁までイーが前に出る。ワイルドが抜かす。まるで苦しさを隠すかのように。ワイルド先頭、イーも付く。三度並ぶ。見事な勝負を見せてくれている。あと僅か、どちらが勝つのだろうか。イー先行、ワイルドが付く。ワイルドが前に出た。これはスパートだと思われるが、イーを離すことが出来ない。最後の左折、海が見えた。花道に入る。イーが前に出る。ゴールスプリント勝負の様相となった。前はイー、後はワイルド、ピタッとついたまま、最後のストレートに現れた。スプリント勝負だ。

イーが一瞬、右を見た。次の瞬間ラストスパートをかけたのだった。ワイルドは付いて行けず減速。そのままイーが逃げ切った。ゴール後、イーは一礼。その後、ワイルドとハグし、健闘を讃えあっていた。

素晴らしく、爽やかな勝負を見せてもらった。優勝のイーと素晴らしい勝負を見せてくれたワイルドに拍手を送りたい。

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【Result】

■開催地

神奈川県横浜市山下埠頭周辺

■気象

  • 女子:天候 曇り / 気温 21.5℃ / 水温 19.7℃ / 風速 4.0m 南西
  • 男子:天候 曇り / 気温 21.9℃ / 水温 20.4℃ / 風速 2.0m 南東

■参加数

完走/スタート数:女子33/42名、男子45/50名

■公式記録(抜粋)

女子優勝:ジョージア テイラー ブラウン選手( イギリス) 1:51:44

Rank No.  Name Country Time
1 3 ジョージア テイラー ブラウン  イギリス  1:51:44
2 29 レオニー ペリオー フランス 1:51:50
3 2 フローラ ダフィ バミューダ 1:51:55
4 40 エマ ロンバルディ フランス 1:52:03
5 28 マーヤ キングマ オランダ 1:52:12

男子優勝:アレックス イー選手( イギリス )1:43:30

Rank No. Name Country Time
1 29 アレックス イー イギリス 1:43:30
2 14 ヘイデン ワイルド ニュージーランド 1:43:40
3 3 レオ ベルジェール フランス 1:43:59
4 34 マシュー ハウザー オーストラリア 1:44:09
5 7 ピエール ル コー フランス 1:44:17

全公式記録:http://yokohamatriathlon.jp/wts/pdf/2022result_elite.pdf

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その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=39373

 

 

 

「名勝負だった!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

ワールドトライアスロンシリーズ横浜2022 Result

WTCS横浜大会エリートが開催された。

昨年に続き開催された横浜大会は、12回目を迎えた。世界最高峰のスピードが見れるワールドトライアスロンシリーズは、ショーアップされ「見るトライアスロン」の面白さを伝えた。結果は男女ともにイギリス勢が優勝となり「強いイギリス」復活のアピールとなった。

女子優勝は、トップグループ5選手からランで抜け出したジョージア テイラー ブラウン選手( イギリス)で、19年の5位から大きくジャンプアップとなった。スイムはトップから6秒遅れのトップグループでバイクに移り、その後、9名の選手でバイクを回していた。バイクでは、ダフィー、キングマ、ニブが積極的に引っ張り、ペースを上げていた。そのまま、9名でバイクフィニッシュとなったが、ランでペースが上がった。残ったのは5名で、最終段階に入った。ここで快走を見せたのが、テイラーブラウンだった。ただ、集団を抜け出しトップに出ていたが、追走するのはダフィーらだけに、最後まで気の抜けない走りとなったが、ランラップ1位でゴールした。ゴール後、ダフィーと讃えあい安堵の笑顔を見せていた。日本人トップは、昨年と同じく高橋侑子選手で20位だった。(19年同大会4位)

男子優勝は、アレックス イー選手( イギリス )で、前回21年4位、前々回19年5位で、念願の優勝を掴んだのだった。スイムはトップから30秒以上遅れていたが、バイク集団は大きく、中盤でポジションをキープし、最終的にはラップ5位で終えて、ランに入った。やはり、ここで魅せた。常に優勝争いの選手だったが、これまでは、4位5位に甘んじていた。ただ今回は違った。過去の悔しさを晴らすかのように、ワイルドにしっかりと付いて渾身の走りを見せていた。結果は、ランは28:50でカバーし、見事優勝となった。激しい走りとは対照的な優しい笑顔の選手だ。男子の日本人トップも、昨年と同じく小田倉真選手(Tokyo2020日本代表)で、9位の大健闘を見せてくれた。

ウィナーズバイクは女子がスペシャライズド、男子がトレックとなっている。(GERONIMO COUNTは後日発表)

Winner’s Bike SPECIALIZED TARMAC
13:06 男子エリートスタート

Winner’s Bike TREK EMONDA

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公式記録(抜粋)

開催地:神奈川県横浜市山下埠頭周辺

水温:19.7℃  気温:21.5℃  天候:曇り 風速4m 南西

女子優勝:ジョージア テイラー ブラウン選手( イギリス) 1:51:44

Rank No.  Name Country Time
1 3 ジョージア テイラー ブラウン  イギリス  1:51:44
2 29 レオニー ペリオー フランス 1:51:50
3 2 フローラ ダフィ バミューダ 1:51:55
4 40 エマ ロンバルディ フランス 1:52:03
5 28 マーヤ キングマ オランダ 1:52:12

(完走:33/42名)

男子優勝:アレックス イー選手( イギリス )1:43:30

Rank No. Name Country Time
1 29 アレックス イー イギリス 1:43:30
2 14 ヘイデン ワイルド ニュージーランド 1:43:40
3 3 レオ ベルジェール フランス 1:43:59
4 34 マシュー ハウザー オーストラリア 1:44:09
5 7 ピエール ル コー フランス 1:44:17

(完走:45/50名)

全公式記録:http://yokohamatriathlon.jp/wts/pdf/2022result_elite.pdf

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その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=39373

2021年レポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=34696

2019年レポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=30102

 

 

「強いイギリスが帰ってきた!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【取材予定】2022彩の国トライアスロンin加須大会 SPECIALIZED RACE DAY

老舗の彩の国トライアスロンは、今年も開催される。

関東圏では、交通アクセスの良さから人気のある彩の国トライアスロン。会場は渡良瀬遊水地で、基本的にフラットなスイムコース、バイクは、ほぼDHポジションとなるフラット高速コース、ランも一部を除きフラット。そして、ミドル、ショート、スプリントの3カテゴリーを開催。幅広い選手層からの参加が見込まれている。

やはり、バイクコースがフォーカスされることが多いが、コースの明確な特性上、「トライアスロンバイク」が向いている。昨年のGERONIMO COUNTでは、44.7%がトライアスロンバイクで、宮古島でも50%強のため、比率は高い。ただ、DHポジション装着率は80%近いため「DHポジション走行」となる選手が多いと考えられる。もちろんビギナーの選手は不慣れなDHポジションは取らないほうが賢明だろう。ふらつきによる接触など大きな事故も想定しなければいけない。

昨年、コロナ禍で「練習不足」が懸念されたが、今年は十分できているのではないだろうか。22年は二極化しているように感じる。練習したから出る、していないから出ない、そんな流れを。やはり、トライアスロンは、簡単なものでもなければ、危険も伴うスポーツだ。良くも悪くもコロナ前に戻るのは23年かもしれない。そのためにもこの22年が大切になるのではないだろうか。十分な練習の先に感動も待っている。

いずれにしても持てる力を出し切って、出るからには大いに楽しんでもらいたい。

■開催日 2022/6/5(日)

■競技

種目 距離 制限時間 定員 
彩の国A S2.25km-B72km-R15km 89.25 km 5時間30分(スイム1時間20分) 230
彩の国B S1.5 km-B43km-R10 km  54.5 km 3時間40分(スイム1時間) 140
彩の国C S0.75 km-B21.6km-R5km 27.35 km 2時間(スイム40分) 60

*スイム1周約750m、バイク1周約7.2km、ラン1周約2.5㎞予定

※詳しくは、https://www.sainokunitri.com

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昨年のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=35151

その他のレポート(予定):http://triathlon-geronimo.com/?p=40294

「昨年に続き2回目の取材となる。今年は何が見えるのか!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

石垣島トライアスロン2022 GERONIMO Count

石垣島トライアスロンにおけるバイクトレンドを分析してみた。

昨年21年に続き、開催された石垣島大会。シーズンの初めであり、美しい沖縄リゾートでの開催ということもあり人気大会で、選手は全国から集まっている。選手は全ての大会に出場するわけではないので、開催否か、前後日程などから、あくまでもこの大会における結果ではあるが、傾向は確認できる。

前提として、まず選手層の広いオリンピックディスタンスであること、また、各メーカーのリリース及び、デリバリーの遅れなども考慮しておく必要がある。そして、40~59歳までの4カテゴリーの選手で695名で、63.8%を占めていることや、1都7県で572名が52.5%を占めているということも押さえておかなければいけないだろう。

【GERONIMO Countについて】

2015年からスタートし、8年目に入る。元々KONAで30年以上行われていた「バイクカウント」で、ブランド別の使用率は、毎年話題となり、各メーカーがトライアスロンバイクの開発ターゲットと位置付ける大会として、重要な意味があった。Triathlon GERONIMOでは、そのKONAをメインとし、国内外の主要大会のカウントからバイクトレンドを分析している。

頂点でもある前回2019年のKONAでは、約2400台のバイクを7時間近くをかけてカウントしているが、単にブランド別使用台数などは面白くない。重要となるのは、その先であり、トライアスロンバイクとロードバイクの比率やDHバー装着率、新型使用の目安となるディスクブレーキ比率などから見えて来るものがある。以前は、「Di2使用率」であったり、ホイールの「リムハイト」など、大会の特徴に合わせ、チェック項目も変えながら、分析している。

そして、日本国内では、選手層、練習環境、レースのコース、ディスタンスなどから、必ずしもそのままのトレンドではない。国内ではそこに「年齢層」も大きく関係してくるのだ。逆に、世界と国内の違いが面白い。前提や条件を確認した上で捉える一つの指標である。

 

Island-ISHIGAKI Bike Top10

第1位 SPECIALIZED 139台
第2位 cervelo 120台
第3位 TREK 108台
第4位 ceepo 71台
第5位 GIANT/Liv 68台
第6位 FELT 53台
第7位 cannondale 38台
第8位 PINARELLO 32台
第9位 BIANCHI 25台
同率第9位 ANCHOR/BS 25台

 

石垣島トライアスロン2022 バイク使用台数

順位 ブランド 台数 使用率
1 SPECIALIZED 139 13.6%
2 Cervelo 120 11.8%
3 TREK 108 10.6%
4 ceepo 71 7.0%
5 GIANT/Liv 68 6.7%
6 FELT 53 5.2%
7 cannondale 38 3.7%
8 PINARELLO 32 3.1%
9 Bianchi 25 2.5%
9 ANCHOR/BS 25 2.5%
その他 262 25.7%
不明 72 7.1%
未確認 7 0.7%
76 合計 1020 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

昨年に続き、スペシャライズドが1位だった。ただ、2位サーヴェロ、3位トレックも100台を超え、「トップ3」の様相だった。やはり、アメリカ系ブランドが強かった。(サーヴェロはカナダ)

スペシャライズドは、やはり「SHIV」での圧倒的な存在感を放っている。遠くから見ても一目瞭然の形状は台数以上に多く感じる。フィッティング、軽量性、フューエルなど、完成度の高いバイクだ。サーヴェロは、世界ではNo.1使用率のKINGだ。トライアスロンの代名詞とも言えるサーヴェロだが、新型リリースのタイミングなどから国内ではトップを逃しているのだろう。ただ、グレード設定など「選択肢」もあり、その人気は不動と言えるだろう。そして、トレックは、ついに新型Speedconceptが投入された。2ndゼネレーションから8年が経ち、3代目がリリースさされた。トレックはロードの人気も高く、Madoneも多く目立っていた。

ブランド 使用台数 使用率
TOP10 678 66.5%

そして、この TOP10ブランドによるシェアを定点観測しているが、石垣島の推移で見ると下がっていた。つまり、多くのブランドが使用されていたということになる。近年、「トライアスロン」に強いブランドか、否かでの選択肢となることが多いのだが、より多くのブランドがトライアスロンに注力してくれているのであれば「朗報」とも言える。一大会で語るのは性急かもしれないが。

デリバリー間もない新型トレックSpeedconceptも2台確認

昨シーズンから注目していたのが、「ディスクブレーキ比率」、それによる新型モデル比率だ。早いメーカーでは、2016年モデルから「ディスクブレーキ化」が始まっているが、概ね2020年モデルがスタートラインと考えている。したがって、コロナ禍もあり、今一つ、読みづらい動きとなったが、昨年からの推移は参考値と言えるだろう。

ディスクブレーキは、ホイールとともに始まった「安全対策」だ。ホイールの強度が上がっていることは周知の通りだろう。そして、最終的には「止まる」ということが基本の性能となる。特にトライアスロンバイクの場合、今も残るエアロダイナミクス優先で造られた効きの悪いブレーキからの脱却でもあるのだ。

使用台数 Disc 使用率 Rim 使用率
1010 240 23.8% 770 76.2%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、昨年の18.1%に対し「5%以上」の伸びを示していて、これは大きな伸びと言っても良いと考えている。2022年今シーズンに対しての「期待」と言い換えることもできるだろう。

最後に、石垣島大会におけるトライアスロンとロード比率を確認している。これによって何が見えてくるのだろうか。

大会 年度 台数 Triathlon 使用率 Road 使用率
石垣島 2022 1011 335 33.1% 676 66.9%
石垣島 2021 824 254 30.8% 570 69.2%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

トライアスロンバイクの導入は、以前はロングを目指した時から、近年ではミドルを目指す頃から使用されている。つまり、ミドルになるとトライアスロンバイクは一気に増えるということなのだ。石垣島はODであり、初心者からロング中心のベテランまで幅広い選手層となるわけだが、ここでの増加もやはりこれからのトライアスロンへの期待と言える。そして、トライアスロンバイクが増えることは、盛り上がりの証としていた。ODは3ヶ月の練習で完走できると思うが、ミドルは更に必要だろう。しっかりとした練習が必要になり、より本格的にトライアスロンへ取り組んでいるということになる。

ただ、トライアスロンバイクが増えることが、果たして良いのか、気になっている。トライアスロンバイクは、「ピンポイント」のポジション出しが必要な難しいバイクだ。もちろん、しっかりと馴染めば最高の相棒となってくれる。馴染んだ状態とは坂も「DHポジション」で走りたくなっているかどうかが一つの目安だ。

高齢化する国内でのトライアスロンにおいては、ポジション幅の広くなる「ロードバイク」の有効性も大きいと考えている。インドア練習時に1時間以上ノンストップでDHポジションが取れているか、その間、頭を上げて前を見て走ることができているか、是非セルフチェックをした上で、車種の選択をしてほしい。

いずれにしてもフィッティングを繰り返し、答えが出ると言っても良い。面倒と感じる選手は少なくないが、3種目以外にもいくつかある大切なことだ。

 

 

 

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=38850

「今年は、ニューバイクでレースに出る!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

石垣島トライアスロン2022 “ Smile ” Report

4/17(日)沖縄県石垣市で「石垣島トライアスロン大会2022 / 第8回八重山郡トライアスロン大会」(石垣島トライアスロン大会2022実行委員会主催)が開催された。

■気象(10:00時点):天候曇り/ 気温 22.9℃ / 湿度 65% / 風速 4.9m 北東 ※石垣島地方気象台による

■スタート数:963名(エイジ)57組(リレー)

昨年に続き、無事開催となった石垣島トライアスロン。国内のシーズン最初に開催されるトライアスロンは、人気が高く、1000人規模にも関わらず、募集開始1時間で定員となってしまっている。また、昨年は開催されなかったリレーも復活していることなども人気の理由となる。

当日の天候は極めて良好なコンディションとなり、走り易かっただろう。地元の人の話では、「このところ天気が変わりやすい」とのことで、前日は強風が吹いていた。そのレベルは、タイムにも関わるだけではなく、安全性も気になった。そんな前日に対し、曇り空となり、南国の青空を望めなかったことは残念だったが、その分、陽射しが遮られ、風は収まり、気温、湿度も昨年より低いという絶好のコンディションが整った。昨年は暑く、トップ選手でも体調を崩していた。シーズンインは季節の変わり目、暑さへの慣れなど安全面から見ても恵まれた大会だった。

石垣島トライアスロンの魅力は、シーズンいち早く開催し、ロケーションも南国ということが最大と言える。また、オリンピックディスタンスということで、幅広い選手層が一緒に走れるということも大きい。リレーも復活し、さらに参加しやすくなったことだろう。そして、昨今の事情から、久しぶりの「トライアスロン旅」となる選手も少なくなかったのではないだろうか。

石垣島は、伝統の老舗大会で、「石垣島ファミリートライアスロン」として始まったのは1987年。ロングの宮古島に対し、誰でも挑戦できるショートの南国トライアスロンとして誕生している。1996年にはワールドカップを招致し、石垣島トライアスロンはメジャーとなり、2013年まで連続18回開催された。歴史の長い石垣島だが、途中ではコース等見直しや、2018年の悪天候、2020年のコロナ禍により4度中止となっている。今年の開催で32回目を迎えたのだった。また、JTUエイジグループランキング対象大会でもある。

石垣島は、宮古島と並ぶ国内屈指のリゾートで、八重山列島の政治・経済の中心となる。台湾とは270kmしか離れておらず、本州よりも近く位置している南の島だ。年間の一日の平均気温は23.8℃で、最も低い1月、2月でも18℃以上となる、トライアスリート天国でもある。

【Swim】プールのような安心コース。

石垣港南側にある人工島「南ぬ浜町」の人工ビーチで行われる。反時計回りに750mを2周回するコースで、一度上陸する設定となっている。岸壁に囲われているため、見るからに安心感のあるコースで、人工ではあるが、白砂の綺麗なビーチとなっている。スタートはシード35名のみが一斉となり、その後は、10名づつ10秒間隔でのローリングスタートとなっている。昨今大会によっては、コロナ前から行われているスタート方式だが、石垣島では、コロナ対策の一環として導入している。

今回は、海のコンディションも良かった。ベタナギのプール状態で、透明度も高く、気持ちよく泳げたようだ。実は、人工の岸壁に囲われ、当然のように思われがちだが、昨年は、波も立ち、流れもあり、特に沖からビーチへ戻る一辺はイメージ以上に泳ぎづらかった。その点では、最初から幸先良いスタートだったのだ。尚トップタイムは、19分39秒で3選手が上がっているが、昨年より7秒遅いタイムだった。一般選手においては自己ベストなどの声も聞いているので、泳ぎやすかったのは確かだろう。

制限時間:60分

8:00 シード選手35名スタート
8:01 10名づつ10秒間隔でスタート

間もなくスイムアップ

サザンゲートブリッジをトップ通過したのは山本淳一選手

【Bike】フラットからアップダウンまで楽しめるコース

石垣島トライアスロンのリピーターが多い理由の一つと言えるバイクコースだ。上図のように大きく周るワンループのコースでDHのフラットからテクニカルなアップダウンまで、ロングのバイクを凝縮したようなコースで、バイク好きには最高に楽しめるだろう。まず、10km前後で最初の篩となるフラットも含みながらの上り基調だ。その後、20km地点で最大勾配、そこをクリアすれば、しばらく下り基調となる。そして、35km地点では新たな局面として、上りに入る。20km地点ほどではないが、終盤の上りとして、明暗を分ける最後の篩となる。このコースは、「DHポジション」でいかにペースをキープして走しることができるかが、重要なポイントと言えるだろう。路面も極めて良好、DHでも安心して飛ばせるコースで、トップ選手のDHポジション比率は90%程度となっている。一般選手でも70%以上と感じている選手が多かった。

バイクの明暗を分ける風はなかった。10時時点だけ観測上 5m近いが、その他は3m台で、シード選手の走行時間帯は、更に風が収まっていた。序盤のフラットでは、バイクを得意とする選手にはスピードコースとなる。大きくアドバンテージを稼げるのか、重要なポイントとなっている。中盤の上りでは、差がつかず、大きな集団も散見される。そして、下りが走りを分けている。下りで漕ぎ続ける選手と脚を止めてしまう選手がいる。経験の浅いビギナーも少なくなかったようで、まずは「安全走行」で良しとすべきだが、差は付きやすくなってしまっていた。そして、終盤ではアップダウンを含むが、フラットではDHでペースアップしていた。尚、コース距離は「42km超」の結果となる選手が多く、少し長がったようだ。

制限時間:スタート後、3時間15分

女子トップ通過は、蔵本葵選手

20kmコース最高点前

【Run】オールフラットの周回コース。

オールフラットを5km2周回するコースで、常に往路、復路で選手がすれ違うようになっている。上位選手は距離差などが明確に分かり、一般選手は、お互いの頑張る姿に刺激されながら走れるコースだ。また、仲間と参加している選手は、より一層楽しみながら走ることができる。2019年までは、市内の目抜き通りを往復するコースで市民からの応援なども盛り上がりを見せていたが、やはりコロナ対策として、人工島内でのコースを選択している。エイドステーションは2箇所設置している。

今回の天候は、ランでのメリットが大きかった。日陰も全くない単調なコースで、フラットはとても走りやすいが、灼熱の太陽が出ると大変なことになる。昨年、その暑さに苦しめられた選手が多かった。トライアスロンにおいて大敵となるのが、風と暑さだ。特に暑さは、ランでペースに大きく影響するが、今回は軒並み良いタイムとなった選手も少なくなかった。天候ばかりはどうしようもないが、ビギナーも少なくないこの大会では無事終了に大きく繋がっていることだろう。

ゴールシーンでは、様々な表情、ポーズ、笑顔で選手たちが続々ゴールしてくる。デビュー戦、3年ぶり、昨年のタイムを更新する、など目的はそれぞれだが、ゴールでの達成感は、みな同じように味わったのだろう。

制限時間:スタート後、4時間45分

 

Withコロナで2回目となった石垣島トライアスロン。

昨年も開催しているだけに、今年も「開催するでしょ」「やるよね?」と期待は大きかったと思う。昨年開催から1年経ち、その関わり方、価値観の個人差も大きくなり、簡単ではない次のフェーズに入った。運営側も選手側もより一層の気を引き締めていかなければ行けない。

ただ、元気な笑顔をたくさん見ることができた。開催しなければ見ることはできなかった。前向きに「石橋は叩きながら」進んで行きたい。続けるために。

レース当日は、ほぼ曇りとなっていた。青空を見ることはできなかったが、海は本当に綺麗だ。会場は港付近で、船も多く、人工的な施設に囲まれるが、海の色はご覧の通りだ。

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【Result】(エイジ)

総エントリー数 / スタート数 1089名 / 963名

完走者数 / 率 912名 / 94.7%

■石垣島大会総合男子
1.菊池 朋明
2.山本 真二
3.深浦 祐哉

■石垣島大会総合女子
1.蔵本 葵
2.加来 奈津子
3.安田 明日香

■八重山郡大会男子
1.梅田 裕也
2.富崎 義明
3.阿部 知史

■八重山郡大会女子
1.江村 彩
2.富崎 麻未
3.近澤 佐恵子

※全てのデータ:https://ishigaki-triathlon.jp/石垣島トライアスロン大会2022リザルト/

 

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その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=38850

「2022年初戦、無事終了!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

石垣島トライアスロン2022 Result

2022年国内トライアスロンが始まった。

南国石垣島で皮切りとなったトライアスロンは、1000名を超える選手で盛り上がりを見せた。昨年も開催されているが、昨今の状況から予定が立てづらかった。今年こそはと、12月のエントリー時から即定員になるなど、2022年への期待は大きかった。

石垣島の特長は、南国の海をいち早く泳げること、そして、何と言ってもワンループのコースをフラットからアップダウンまでスピードとテクニカルのコースが選手を飽きさせないことではないだろうか。また、デビュー戦からベテランまで幅広い選手層が「みんなで」楽しめる大会でもある。

当日の天候は恵まれたと言って良いだろう。曇りがちで、スッキリとした青空とはならなかったのだが、それが功を奏した。前日の強風も収まり、厳しい直射日光もない。この上ないコンディションとなり、「自己ベスト」などの声も上がっていた。男子優勝タイムも短縮となっていた。

また、選手の笑顔をたくさん見ることができた。バイクコースの中間地点の上りでは、各選手それぞれの頑張りを見せていた。もちろん、きついポイントだが、笑顔や手を振ってくれる選手も多かった。理屈抜きに、頑張り、楽しむ選手に羨ましさと感動を感じることができた。

そして、石垣島はレースだけではないことに魅力を感じている選手も多いのだろう。レース翌日には島をサイクリングする選手を多く見かける。また、レースではなく、海を泳いだり、石垣牛からスイーツに舌鼓、レースプラスαの醍醐味に、更に高まる「旅」の楽しさを一足先に堪能したのではないだろうか。

Swim 1.5km

Bike 40km

Run 10km

国内において、この石垣島トライアスロンの役割は大きい。沖縄であるゆえ、4月開催が可能と言えるが、30回以上開催され、国内でも数少ない1000名を超える屈指の大会のため、多くのトライアスリートの「意識」の中にその存在は大きい。多くの選手が参加し、無事開催されていることは、間違いなく励みになっているのではないだろうか。また、デビュー戦として選んでいる選手も少なくなかった。デビューは南の島の綺麗な海で泳ぎ、感動のゴールがしたい、そんな想いこそが原点だったのではないだろうか。

【レース結果】

出場数 エイジ:957人 リレー:56組 完走率:98.3%

■石垣島大会総合男子
1.菊池 朋明
2.山本 真二
3.深浦 祐哉

■石垣島大会総合女子
1.蔵本 葵
2.加来 奈津子
3.安田 明日香

■八重山郡大会男子
1.梅田 裕也
2.富崎 義明
3.阿部 知史

■八重山郡大会女子
1.江村 彩
2.富崎 麻未
3.近澤 佐恵子

※全てのデータ:https://ishigaki-triathlon.jp/石垣島トライアスロン大会2022リザルト/

 

 

 

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=38850

「2022年最初のレースは、高い完走率だった。」

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【取材予定】 ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜 2022(エリート)

国内で最も注目度の高いオリンピックディスタンスが開催予定となっている。

ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ(WTCS)とは、オリンピックディスタンスをメインに年間チャンピオンを決める全7戦(2022年)のシリーズ戦で競われる世界最高峰の大会となっている。

WTCS今シーズンの初戦となる横浜大会は、今年で12回目を迎える開催回数の多い注目大会でもある。大会はエリートとエイジのカテゴリーで開催され、初日は、世界のトップエリート選手のスピードとパワフルな走りが見応えとなり、2日目はエイジ選手が同会場でコースは異なるが、出場することができる人気大会となっている。

今回のエリート選手は、男子55名、女子55名の合計110名の選手が出場予定となっていて、一段とレベルの高い展開が予想される。

男子はランキングトップ10の選手が揃い、ハイレベルなレース展開が予想される。Vincent Luis(19年覇者)をはじめとするフランス勢の復活なるか、ベルギー勢のバイクは?、Alex Yee(GBR)やJonas Schomburg(GER)も狙って行きたい。唯一、昨年の覇者であり、東京2020ゴールドメダリストのKristian Blummenfelt(NOR)が欠場となることが極めて残念となる。前週5/7のIRONMAN WORLD CHAMPIONSHIP 2021に出場のためだ。日本人選手は7名出場となる。昨年の東京2020日本代表のニナー賢治選手、小田倉真選手を始め、現在、日本人ランキングトップ(12位)の北條巧選手など、活躍を期待したい。

一方、女子はランキング3位のSophie Coldwell(GBR)と6位Katie Zaferes(USA / 2019覇者)が欠場となるが、アメリカ勢を中心にやはり高いレベルが予想される。東京2020ゴールドメダリストであり、18年覇者のFlora Duffy(BER)、昨年の覇者Taylor Knibb(USA)の一騎打ちも見ものとなるだろう。日本人選手は8名出場となる。昨年の東京2020日本代表の高橋侑子選手、岸本新菜選手も出場し、上位入賞に期待したい。

会場となる「YOKOHAMA」は、歴史情緒のある観光スポットとしても人気の高い場所だ。国際大会の開催場所としては最も相応しい理想的なロケーションとなる。一方で、そのような会場での開催のハードルは極めて高いと言えるが、見事に人気大会となり、継続されていることは素晴らしい。

そして、今年も「ニューノーマル」で理想的な運営で開催されることだろう。テレビもNHK-BS1で生中継予定(14日10:00~15:15)となっている。

■開催日 2022/5/14(土)~15(日)

■競技

14日(土):エリートパラトライアスロン/エリート女子・男子

15日(日):エイジトライアスロン(スタンダードディスタンス・スプリントディスタンス)/リレー/エイジパラトライアスロン

※詳しくは、http://yokohamatriathlon.jp/wts/index.html

 

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2021年のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=34696

「まさにエキサイティングそのもの、スピードとパワーに魅了される大会だ!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【取材予定】石垣島トライアスロン2022

いよいよ、シーズンイン。

日本で一番に開催される最南端のトライアスロン、石垣島大会が間もなく開催される。

国内屈指となった石垣島トライアスロン、石垣島ファミリートライアスロンから始まり、ワールドカップまで開催された老舗大会だ。透明度の高い綺麗な海で泳ぎ、ダイナミックなワンループのバイクコースは、バイク好きには最高に楽しめる。路面のコンディションも良く、DHポジションも取りやすい高速コースと、テクニカルなアップダウンをあわせ持つコース。そして、ランはペースの掴みやすい周回となる。原点とも言える南国の最高のロケーションは否応なしに盛り上がる。

昨年もコロナ禍で無事開催された石垣島大会への期待は大きかった。12月の大会募集は1時間で定員となり、申し込みができなかった選手は少なくない。もともと人気大会だが、今年こそはとはやる気持ちを感じる。早くトライアスロンに出たい、楽しみたい。待ちに待ったそんな大会からトライアスロンを通して「元気」を伝えたい。

南の島で泳いで、漕いで、走る、理想的なトライアスロンが今年も開催される。

■開催日 2022/4/17(日)

■競技

スイム1.5km、バイク40km、ラン10km

※詳しくは、https://ishigaki-triathlon.jp

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昨年のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=34064

 

 

「今年は楽しみたい!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka