9/4(日)2022佐渡国際トライアスロン大会が開催された。(主催:佐渡国際トライアスロン実行委員会・公益社団法人日本トライアスロン連合)
国内最長トライアスロンの佐渡大会が3年ぶりに開催となった。国内で開催されるロング4大会の最終戦となる。また今年に限っては、4月宮古島、6月長崎はコロナ禍の影響により、開催されていないため、7月皆生に続く開催となった。ただ、皆生は距離短縮開催のため、完全なロングというカタチでは唯一の大会が無事に開催された。
佐渡は、更に国内最長となる大会であり、その完走は簡単ではない厳しいレースだ。選手は、一年に近い準備を経て、臨むチャレンジングなレースとなる。今年で34回目を迎え、国内トライアスリート待望のロング復活となった。
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以下、リキャップとなる。今年も忘れられない大会となった。Photoレポートは後日あらためて。
■34回目の夏
夏のメインイベントとも言える国内最長のトライアスロンは34回目の開催となった。実際の開催は、一昨年、昨年、コロナ禍で中止となっているため、今回で32回となる。
前回開催は2019年となり、3年ぶりの開催となるわけだが、それは佐渡に限ったことではなく、他の大会も同様だろう。ただ、佐渡はロングであり、その調整は困難を極める。特にボランティア、医療班の確保など、難しい運営となる。そして、参加する選手も1ヶ月前に決めるわけにはいかない。もちろんエントリー期限があるため、半年前には「心の準備」もする必要があり、初ロングや初Aタイプとなれば、9~12ヶ月は準備が必要だろう。
つまり、一年前から「やるのか、やらないのか」という状況の中で、トレーニングという準備を進め続けることは簡単ではなかったと思う。直近の8月上旬では、コロナ禍最高となる第7波もピークとなり、ギリギリまでヤキモキしたことだろう。そんな揺れる気持ちの中で、出場に漕ぎ着けた34回目の夏だった。
■Race Operation
まず、開催は例年通りの距離が確保された。やはりコース短縮なども想定されたが、「ロング」であり、国内最長のトライアスロンとして開催された。
スイム距離は、変更なしの4kmだったが、少し場所が移動となった。19年までは沖を見た場合、桟橋の左側で開催していたが、今年は右側に変更された。気づいた選手もいたかもしれないが、ビーチが侵食され、なくなってしまっていたのだ。それは、徐々に進んでいたようだが、ついに今回は移動を余儀なくされた。同様のことが以前宮古島でも起き、大量の砂が運び込まれていたが、今後の会場確保も心配であり、気になるところだ。
そして、1000名の一斉スタートだった。トライアスロンの本来のカタチであり、象徴的な壮観なシーンが広がる。コロナ禍も終息したわけではないが、以前に戻りつつあることを嬉しく思った選手も多かったはずだ。
バイクの佐渡島一周のダイナミックなコースは守られた。過酷ながらも佐渡大会を象徴し、島をトレースするような外周コースは、やはり、醍醐味であり、選手の期待に応えてくれたものだった。ただ、この3年でトンネルが増え、テールランプなどの保安部品の装備が徹底された。
■Course
コースは、前述の通り、スイムとバイクの変更はなかったが、ランは「新コース」となった。やはり、ボランティアや救護などが必要となる最も暑い時間帯に行われる「灼熱ラン」は変更となった。7kmを6周回する設定で、一部メイン会場付近を除き、写真のように選手がコースを埋め尽くすように行き来し走っている。
これも「今」できるカタチではあるが、感じ方は様々であり、必ずしも否定的ではなかった。つまり、このコースも「アリ」ではないかと感じている。
周回走のためペースが掴みやすく、フラットで走りやすい。以前のコースはイメージ以上にきつく感じるアップダウンがあっため、そのメリットを感じていたようだ。また、絶えずすれ違う仲間に対し、エールを送り合う光景も多く見られ、本当の意味で励まし合っている姿を見ることができた。そして、沿道の応援は、片道約3.5km程度に集中するため、圧倒的に多く、盛り上がる。
ショートではもう長く、このような周回コースで、「観戦者」とコミュニーケーションが取れる設定も多くなっているが、ロングこそ必要かもしれない。コロナ禍で生まれたものは必ずしも悪いとは限らない。
今回の変更点として、「関門」が少なくなっていた。選手にはそれぞれのペースや体調もあり、以前のような細かい関門は厳しい選手も少なくなかったからだ。今回助けられた選手もいただろう。
■Weater
台風が近づき、心配されたが、始まって見ればいつもの佐渡だった。朝3時僅かに雨が降っていたが、間もなく止み、その後、朝陽が徐々に眩しくなり、青空が広がって行った。当初の雨や風などの心配をすっかり忘れ、「暑さ」と対峙する覚悟を決めていた。
過去には、雨や低温だったり、スイム中止のこともあったが、概ね、晴れる佐渡だ。午前中降られても、ランの頃には「ピーカン」となる。過酷な距離に加えて、暑さが襲いかかるまさに「サバイバル」の様相となるレースでもあり、より一層完走を阻む厳しい天候なのだ。
当日11時の気象データは、気温27.5℃、南南東の風2.9m/s、湿度80%と大会発表があった。スイムスタートの6時では、気温22.3℃で、水温は25℃予報が28℃となっていた。波は1m予報だったが、ほぼ鏡面の「超ベタナギ」となった。2019年の荒れたコンディションでは、多くの選手がタイムロスをし、体力消耗など、危険性も感じるほどだったため、選手は安堵感を感じたことだろう。その後、バイクスタート時の7時頃にはかなりな暑さを感じた。気温は上昇し続け、いつもの暑い佐渡となったのだった。
■トライアスリート「松田丈志」
今回の話題の一つとなっていたのは松田丈志さんの参戦だった。
ご存知オリンピアンスイマーの松田選手。2008年北京から2016年リオまでの3大会で4個のメダルを獲るなど輝かしい実績を持つスイマーだ。この佐渡大会も2018年、2019年の2回Bタイプに出場している。
2018年時6時間45分だったが、2019年では30分短縮し、6時間14分で走っている。感覚論とはなるが、佐渡Bは6~7時間を目標とする選手が多いのではないだろうか。やはりAタイプ完走にはBタイプ7時間以内が条件と言っても良いだろう。すでに2019年大きく力を付けていた松田選手は、レース後「Aタイプ参戦」を宣言していたが、2020年は大会が開催されなかった。
この時のことを「夏休みの宿題」と例えていた松田選手。やはり、多忙な中でのトレーニングとモチベーションキープは他の選手と同じだったようだ。やらなければいけない宿題をしっかりとこなしていた。
スイムは流石の1位だ。スタート直後にトップに出てそのまま最後までキープした。2周回だが、1周目を25分という驚異的なタイムで、最終53分で終えている。バイクは7時間11分、そして、ランは5時間46分、合計13時間56分1秒でゴールしている。佐渡の制限時間は15時間30分で、アイアンマンの17時間制より遥かに厳しい。完走自体険しいが、1時間30分以上残してのゴールは、松田選手の身体能力の高さとも言えるだろう。指導はご存知河原隼人コーチが付いていた。
佐渡の景色が好きだと言っていた松田選手。楽しむことはできたのだろうか。
■Race Result
《参加選手》※ジュニア除く
総エントリー数 / 最終出走者数 2186/1787名
完走者数 / 率 1468名 / 82.1%
《Aタイプ男子》
1位 荒瀬 壮兵 No.1071 10:04:31(R1:11:01/B5:29:02/R3:21:55)
2位 久保埜 一輝 No.1002 10:12:40(R0:55:52/B5:29:11/R3:45:40)
3位 梅田 航平 No.1023 10:21:21(R1:04:54/B6:01:55/R3:11:54)
《Aタイプ女子》
1位 平柳 美月 No.3008 11:39:26(R1:12:32/B6:34:52/R3:48:45)
2位 山下 千春 No.3011 12:02:22(R1:07:00/B6:38:55/R4:11:33)
3位 鈴木 まさみ No.3033 12:04:05(R1:18:12/B6:44:47/R3:57:27)
《Bタイプ男子》
1位 星 大樹 No.4001 4:48:44(R0:32:14/B2:47:22/R1:27:44)
2位 伊藤 駿 No.4048 5:16:58(R0:39:06/B2:56:28/R1:39:01)
3位 雨宮 大地 No.4068 5:21:07(R0:36:21/B3:02:21/R1:39:45)
《Bタイプ女子》
1位 久保埜 南 No.5006 5:34:10(R0:28:02/B3:19:24/R1:44:53)
2位 林本 花枝 No.5002 5:48:10(R0:30:51/B3:18:46/R1:56:21)
3位 安田 明日香 No.5012 5:57:11(R0:32:11/B3:36:10/R1:47:27)
《Championship男子》
1位 小田倉 真 No.2 4:32:12(R0:26:07/B2:45:24/R1:19:47)
2位 寺澤 光介 No.8 4:45:45(R0:26:08/B2:52:11/R1:26:09)
3位 榊原 佑基 No.5 4:51:37(R0:29:20/B2:52:45/R1:28:24)
《Championship女子》
1位 山内 麻代 No.23 5:25:56(R0:29:20/B3:21:32/R1:34:00)
2位 太田 麻衣子 No.22 5:32:30(R0:31:32/B3:16:53/R1:42:38)
3位 石田 凪帆 No.21 5:37:49(R0:29:19/B3:23:30/R1:44:04)
《AタイプElite》
1位 中西 篤志 No.53 10:52:14(R1:04:59/B5:51:12/R3:53:43)
2位 石橋 健志 No.54 11:27:18(R58:58/B6:41:52/R3:45:08)
3位 宮村 和宏 No.55 11:56:05(R1:07:14/B6:24:56/R4:21:47)
全ての記録:http://www.scsf.jp/triathlon/2022result.html
その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=42444
Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka