7/17(日)鳥取県米子市他で「第40回全日本トライアスロン皆生大会」(皆生トライアスロン協会主催、スポーツ振興くじ助成事業)が開催された。
★Recap 大会トピックス http://triathlon-geronimo.com/?p=41656
国内トライアスロン発祥の大会皆生。3年ぶりの開催となった。昨年も8月に順延し、開催に挑んだが、叶わなかった。今年こそはと期待が高まっていた。そんな中で無事開催となった皆生大会は、「ロングの再開」でもあった。2020年4月の宮古島が中止となり、それ以降、長崎、佐渡も含め、国内ロング四大会は止まっていた。
ロングとなれば時間がかかる。ボランティアや医療班の体制を整えるのことが極めて大きな負担となってくる。国内トライアスロンにおいてロング再開は希望の光でもあった。2022年こそ復活の年と期待していたが、中止や定員割れなど少なくない。そんな情報が入って来る中で、皆生大会は変わらずの人気を誇っていた。
「発祥」と言うだけで長く続けることはできない。やはり、鳥取の宝として、地元の人に守られ続けて来た大会だった。KONAのアイアンマンは2018年に40周年とっているが、皆生もさほど変わらない歴史を持っている元祖「日本の鉄人レース」なのだ。
■KAIKE Triathlon
≪皆生の歴史は、日本の歴史≫
再開の皆生大会は節目となる40回目の開催だった。第1回は1981年、ホノルルで開催されたアイアンマンのマニュアルを取り寄せ、国内初のトライアスロンが53名の勇者によって開催されたのだった。当時の距離は短く、スイム2.5km、バイク63.2km、ラン36.5kmで開催されている。現在では、ミドルに近いものではあったが、当時は、3種目連続で行うだけでも鉄人だったのだ。現在に近い距離となったのは、1986年第6回大会以降となる。40回目の夏を迎えたのだった。
≪地元に支えられた大会≫
ボランティアに支えられた大会で、その数は4000名を超えていることも皆生の特長であり、名物でもある。私設エイドもあり、「休んでいけ、食べていけ」と皆生流のおもてなしをしてくれる。ただ、今年は叶わなかった。選手はもちろん残念だが、地元の人々も選手との交流を楽しみにしている。発祥の誇りと優しさで、全国から集まる「鉄人」たちを迎えてくれる。そんな地元のボランティアもいつも通りとは行かない中だったが、最善のサポートと応援をしてくれていた。
■Course
【Bike】115km
アップダウンの難コース。序盤はフラットもあるが、中盤からのアップダウンのイメージが強く、終わってみれば、そのイメージしか残らない。そんなタフなコースとなっている。例年であれば大山を含めた140kmとなっているため、今年は少し楽となるはずなのだが、やはりそのハードなコースはベテランも唸らせる。
【1st Run】6.9km
本来はスイム3kmだが、高波のため、ファーストランとして開催された。目的はバイクスタートでバラけさせることだ。スイムスタート地点から東側に移動したところから一斉スタートとなる。最後のランと同様に海沿いを走り、折り返し戻って来る。折り返し地点は、選手の走り易い設定で往復し6.9kmとなった。
【Run】32km
今回注目となるのが、新コースだ。弓ヶ浜サイクリングコースを利用し海沿いを走る。以前のコースは、信号でのストップ&ゴーがあり、ペースが掴みにくいとされていた。またロードコンディションは極めて良くなり、段差や傾斜がなくなり、走り易くなっている。そのため、地元選手は、スピードレースの想定をしていた。
■Good Morning
長い一日が始まる。
笑顔の中にも緊張感を感じる。
当然だろう。
皆生のためにトレーニングを積んで来た。だからこそ、良い緊張感を感じる。
積み上げたものを出し切って欲しい。
■Race
【1st Run】
≪フラットで距離も短い1stランコース≫
やはり想定外だった1stラン。当日は、天候も良く、風もない。ベストなコンディションが予想されたからだ。朝5:00スイムを中止、1stランになったことがアナウンスされた。会場で初めて知る選手も少なくなく、一様の落胆となった。やはり、得意、不得意は別にして、「トライアスロン」としての開催を望まない選手はいないだろう。
スイムを得意とする選手にとっては明暗を分けることとなったが、こればかりは仕方がない。3時間半後のスタートまで会場で待機となった。芝生などに座って静かに待つ選手たち。口々に「嫌な時間ですね。」と。拍子抜けと言ったところだろうか。
8:30 ついにスタートなった。ショートのデュアスロン並に、猛ダッシュとなる選手からマイペースでゆっくりと後方からスタートする選手など、トップの23分台から1時間以上の選手までとなった。いきなり、スプリントとなった選手たちは、「上げ過ぎた、きつかった」など、変則的なスタートに惑わされた。
【Bike】
≪皆生の象徴、変わらずのタフなバイクコース≫
皆生だけではないが、皆生と言えば、バイクコースが話題となるだろう。鳥取県の象徴の一つでもある大山の上り、その後もテクニカルなアップダウンが続くタフなコースだ。バイクもロードバイクが良いか、トライアスロンバイクが良いか、なども良く聞こえて来る。
今回は、バイクも25km短縮され、115kmとなった。象徴の大山は上らないが十分過ぎるアップダウンが待っている。コースは極めて複雑となっているが、案内はしっかりとしているため、迷うことはない。ここにも多くのボランティアが活躍している。
序盤はフラットコースもあるが、中盤からはアップダウンが続く、また道幅は広いとは言えない箇所も多く、慎重な走りが求められる。上りはきついが、下りも気が抜けない。スピードを活かしたいところだが、安全にも配慮したいところだ。言い方を変えれば、コースを知っていると強い。テクニカルのアップダウンはパワーだけでは走れない。下りをどこまで活かせるか、重要なテクニックとなることは言うまでもないだろう。
【Run】
≪待望のシーサイド、ノンストップランコース≫
今回から大きく変更となったのがランコースだ。ランコースのエリアとしてはほぼ同じなのだが、以前は、狭い歩道であったり、すぐ渡れてしまいそうな交差点も信号が赤であれば交通規制がないため止まらなければいけなかった。歩道は段差もあり、傾斜もあり、走りづらく、ロングのラストとなるランではきつい。信号が変わりそうになればペースダウンや歩き始める選手。今までは思ったようにマイペースで走れなかったのだが今回は違う。
やはり、シーサイドランはトライアスロンらしさを感じさせるシーンだ。一部防砂林内側を走る部分もあったり、終盤は街中を走るため全てではないが、大部分がシーサイドコースとなる。路面のコンディションは新設のため極めて良好で走り易い。
一方で、選手によっては感じ方も様々なようだった。ノンストップにより単調さが強調されるのか、精神的な辛さも感じていたようだ。レベルにもよるが、信号で止まることもかえって良しとしていた選手もいる。折り返しの夢みなと公園が遠くにずっと見えていることも、良し悪しあったようだ。比較すると個人個人の意見があると思うが、コースとしては、間違いなく「改善」となっている。
【Finish Line】
これも皆生らしさが溢れたシーンとなる。
皆生ならではということはいくつもあるが、特にゴールシーンは清々しいものを感じさせてくれる。選手同士、仲間、そして、家族との同伴ゴール。トライアスロンの原点とも言える光景が広がっている。
今回は、コロナ禍ということもあり、同伴の人数制限とゴールテープは無しとなっているが、いつもと変わらない空気感に包まれたゴールエリアだった。まずは頑張った選手に拍手を送りたい。今回距離は短くなっているが、「灼熱皆生」は変わっていない。その中で走り切った選手たちは最高の達成感と安堵感でゴールしている。
そして、この感動は選手だけではなし得ない。大会スタッフ、ボランティア、多くの人々に支えられてみんなで作り上げた最高の瞬間なのだろう。
Congratulations !
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■Data
《参加選手》※個人の部
総エントリー数 / 最終出走者数 940/925名
完走者数 / 率 835名 / 90.3%
《総合男子》
1位 井邊 弘貴 No.005 6:05:34(R23:47/B3:18:12/R2:23:35)※連覇
2位 久山 司 No511 6:16:45(R24:09/B3:20:30/R2:32:06)
3位 森 信弥 No.912 6:22:13(R27:00/B3:19:29/R2:35:44)
《総合女子》
1位 髙橋 真紀 No.007 7:20:11(R28:01/B3:54:21/R2:57:49)※連覇
2位 宇治 公子 No.008 7:22:46(R30:07/B4:00:58/R2:51:41)
3位 寺木 佐和子 No.012 7:27:52(R29:54/B4:01:36/R2:56:22)
全ての記録:http://www.kaike-triathlon.com/record/record40.htm
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その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=41470
「皆生は、2023年に向けスタートしている!」