第40回全日本トライアスロン皆生大会 Athlete Report(Tokizane)

選手目線でのレポートを書いて頂きました。

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初めてロングのトライアスロンに出場したのは2015年宮古島大会でした。

美しい景色、沿道の応援、そしてゴールの感動、以来すっかりトライアスロンの虜になりました。トライアスロンを通して知り合った友人から「皆生はいいよ」と聞き、2度エントリーするも、いずれも落選。縁がないとあきらめていたところ、2021年大会の出場機会をいただくことができました。念願の出場に向けてトレーニングを積んでいましたが、コロナが収束せず大会の1年延期が決定。その後2022年に入り、職場、家族など公私に大きな変化が続き、十分にトレーニングができない日々が続きました。焦る気持ちとはうらはらに、大会まであと6カ月、3カ月、1カ月と近づき、そして不安な気持ちのまま当日を迎えることとなりました。

今回の目標は「完走」。トレーニング不足でしたが、天気予報は曇りとコンディションはまずまず、距離が短縮されたこともあり、合計9時間30分(スイム1時間、バイク4時間30分、ラン3時間30分+α)を目標にゴールを目指すことにしました。

当日朝、FBグルーブに書き込みがありスイム中止を知る。「こんなにいい天気なのに?」半信半疑のまま旅館を出てスイム会場に向かってみると、納得の高波とうねり。そこからスタートまでの2時間あまりをバイクのセッティングや柔軟をしながら過ごす。待つ間にも太陽はジリジリと照り付け、汗が流れる。すでに臨戦態勢の選手もいるが、私は「安全第一で完走」と自分に言い聞かせながら日陰で横になりスタートまで体を休める。

<1stラン>

 海沿いの細い道に選手の長い列ができる。まだ8時過ぎだというのに気温は上昇。今日は暑い一日になると覚悟を決め、マスクを外してランスタート。私のスタート位置はちょうど列の真ん中、それでも周りのペースは思ったより速い。まだまだ先は長いので無理せず、マイペースを心掛けるも汗が止まらない。汗だくになりながらランフィニッシュ。

<バイク>

バイクのスタート準備をしていると「時實さん!」の声。振り向くとクラブジェロニモの吉田さんだった。ここからゴールまで彼女と抜きつ抜かれつの旅となるとはこの時点では予想もしなかった。

今回のバイクコースは一番きついといわれる大山のコースがカットされ、距離も短縮されている。最初の40キロはフラットで風もなく、順調に先行する選手を抜いていく。道を間違えそうな分岐点には必ずボランティアの方が立っているので、コースに迷うこともない。スタートして感じたことは「今時のバイクが少ない」ということ。昔から出ている常連の選手が多いせいか、古いタイプのバイクが多いという印象。それだけ歴史のある大会なのだと改めて実感。そんなことを考えているとアップダウンの区間に突入。

もう何百回も聞いている「上半身リラックス」「回転数優先」を心掛け、ギアを軽めにして足への負担を減らすが、ここで誤算。日ごろ使っているローラー台のパワーメーターとバイクに取り付けているパワーメーターとでは表示されるワット数がずれるのだ。これまで実走はほとんどせず、インドア中心のバイクトレーニングだったことが裏目に出た。表示されるワット数を頭の中で修正しながら、負荷が一定になるようペダルを回す。

 折り返しを過ぎたところでカメラを構えていた大塚さんから「1分前に吉田さんが通ったよ」と教えてもらう。先行していたつもりがいつの間にか抜かれていた。1分差だったら追いつけるかもしれないと、そこからスピードアップ。なかなか姿が見えてこないが、ターゲットが設定できたおかげで後半の集中力を保つことができました。残り20キロ地点の坂を下ったところでようやく発見。「ランで勝負だね」と声をかけて追い抜くもすぐに抜き返され、あっという間に見えなくなってしまう。ずいぶん調子がよさそうだ。結局再び追いつくことが出来ないまま、バイクフィニッシュ。

<ラン>

 バイクラックにはすでに半分くらいのバイクが戻っていた。ここからランで順位を上げれば、上位3分の1くらいに入れるかもと気合を入れなおす。

トランジットでウエア、ソックスを全て着替え、デオドラントシートで全身を拭く。タイムロスだとは分かっているが、ロングのレースでは必ず行うことにしている。気持ちがいったんリセットされるので、トータルではロスにはなっていないと自分では思っている。

ランスタート後、アンクルサポーターをつけ忘れたことに気づく。足がつりやすい私にとってふくらはぎを適度に圧迫してくれるサポーターはレースの必需品だ。引き返すのも面倒だし、今回は32キロなので何とかなるだろうと考え、そのまま前へ進む。スタートして5キロで再び吉田さんに追いつく。「また後で」と声をかけて再び前へ出る。調子が良さそうなので、また抜き返されるだろう。

折り返し地点のタワーがはるか遠くに見えるが、とにかくあそこまでは今のペースで行きたい。足は意外と軽いが、事前に聞いていた通りコースに日陰がなく、とにかく暑い。しばらくして復路の土屋さん、安藤さん、生井さんとすれ違い。3人とも辛そうだ。つらい時間帯に仲間の顔が見れるのはありがたい。速い選手も遅い選手も条件は同じ、みな頑張っているのだからと自分に言い聞かせる。

 折り返しを過ぎたところで急に両足が固まり、つったような状態となり立ち止まってします。アンクルサポーターを忘れたことを後悔する。往路で抜いた選手が次々に追い抜いていく。時間はまだまだ余裕がある。焦っても仕方ないので、足の回復を待ち、歩いては走り、つりそうになるとまた歩くを繰り返す。残り7キロ地点で「ようやく追いついた」と再び吉田さんに声を掛けられ、しばらく並走する。もっと早く追いつかれると思っていたが、彼女も相当苦戦しているようだ。残り3キロのエイドまで抜いたり、抜かれたりを繰り返す。そしてついに競技場が見えてきた。もう最後は歩かないと決めて前に出る。暑くて長い一日がようやく終わった。

<まとめ>

今回のレースは練習不足もあり、課題が多いレースでした。これだけレース中に歩いたのは初めてで、距離短縮がなければ、完走は難しかったかも知れません。レース前は正直「皆生が終わったら、少しトライアスロンを休憩しようか」とも考えていました。しかし、皆生に出て改めて「トライアスロンが好き」ということを実感しました。

トライアスリートは皆、仕事、家族など様々な個々の事情を抱えながら、トレーニング時間を確保し競技を楽しんでいます。私も生活の一部にトライアスロンを取り入れながら、これからも長く競技を楽しんでいきたいと思います。そしてまた皆生に戻り、今度は納得ができるレースをしたいと思います。

最後になりますが、一緒に出場しレース中も励ましあえたクラブジェロニモの仲間、そして何よりも大変な状況下で開催していただいた大会関係者、ボランティアの皆様に感謝します。ありがとうございました。

<結果>

1stRUN 39:47(591位)、BIKE 4:44:38(434位)、RUN 4:18:55(451位)、Total 9:43:20(444位)

 

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=41470

 

 

「お疲れ様でした。まだまだこれからです!」
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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka