【KONA2015】 CANYON SPEED MAX CF SLX “ FRODENO ”

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このバイクは、優勝したJanFrodenoが使用していたプロトタイプ。

キャニオンは、1996年創業のドイツブランド。UCIワールドチームのカチューシャやモビスターというビッグチームをサポートするブランドでもある。通販のみの販売方法をとるなど異色のブランドでもある。商品検査は、CTスキャナで、厳しく行っているなど、独自のスタイルが特徴。ハワイアイアンマンの使用率でも、昨年の24台から、今年は、51台(12位)と一気に伸ばしてきている。そして、2015年は、フロデノにより、ウィナーズバイクとなったことは、最大のトピックスとなる。

そして、今回のモデルは、フルモデルチェンジとなった新型だ。今や当たり前となった、フューエル&ストレージは、初代トレンドのSHIV、2代目トレンドとなるPLASAM5、そしてこのSPEEDMAXは、「プラズマ5型」となる。プラズマ同様、プロファイルとのコラボとなるエアロドリンクシステムを搭載している。DHバーのパッドやハンドルグリップもERGON製など、各社とのコラボが目立つバイクだ。

このプロトタイプは、フロントブレーキが構造が異なっている。市販のブレーキは、カバーで覆われていて全体的に硬くできているが、ブレーキ本体近くは、柔らかくゴムのようになっていて、ブレーキが作動したときに、カバーに当たるのが大前提として、造られていたが、このプロトタイプはカーボンブレード状のカバーが広がるようになっていた。これは、ちょっと微妙な造りだった。ただ、それほど、ヘッド周りの「エアロダイナミクス」を優先させているということなのだ。今や、各社のエアロダイナミクスへのこだわりは徹底したものがある。これは、とても面白い競争であり、今後の開発を楽しみにしたい。

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トリプルトライアングルが美しい形状のフレームだ。

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パッド幅が狭い戦闘的なイメージ。

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DHバー先端のeTAPスイッチとERGONに埋め込んだスイッチ。

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カバーに切れ込みが入っていてコレが動くようになっている。

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ウィナーズバイクが流行るとは限らないが、Frodeno効果は期待大。

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今を象徴するブランドで構成されているFrodeno SPECIAL。

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TRITONEも新型がアッセンブル。

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Jan Frodeno PROTO

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シンプル&シャープなデザインがFrodenoには似合う。

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キャニオンもシートアングルなどから、トライアスロンへの本参入を伺わせる。以前のBMCのような感じだ。ロードレース界での実績を引っさげて、TTの延長から、「トライアスロン専用」へと進化している。新型モデルがJanFrodenoにより、いきなりアイアンマンでNo.1になったことも、大きな追い風となり、質実剛健のドイツブランドとして、今後シェアもトップ10が予想されるブランドである。

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「パーフェクトFRODENOの乗るバイクだ。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 Cannondale SLICE

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人気アメリカンブランド、アメリカの代表格、キャノンデール。

常に独自技術で話題性の高いキャノンデールはもともとアルミフレームを得意とするメーカーで、その軽量性は群を抜いていた。またMTBではリアサスの量産、片持ちフォークのレフティなど、他のメーカーにはない一歩先を行くブランドとして人気となった。また、カラーリングは特にこだわりがあり、「キャノンデールのカラー」そのものが話題となる。特に難しいとされる「グリーン」を絶妙なデザインとともに人気カラーにするなどオピニオンリーダーでもある。

2008年リリースのカーボントライアスロン、スライスもロングセラーの人気バイクだった。2011年にはHI-MODバージョンも追加、アイアンマンでもクリシーやミリンダによってウィナーズバイクともなった名車。そして、2014年でフルモデルチェンジとなった。現在の「競技志向の高過ぎる」トライアスロンバイクに一石を投じるかのような、新しいコンセプトで登場したのが、このNewスライス。「軽量性と快適性」を重視したコンセプトで、「初めてのロング」に適したバイクと言える。

今回のハワイでは、女子4位、5位に入賞したスライスだ。このモデルは、4位になった、MichelleVesterbyのスペシャルバイクだ。

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スライスには、Hi-MODとノーマルが存在する。

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「快適性重視」結果速い>「エアロダイナミクス」か。

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現存するトライアスロンバイクの中で最もスリムなモデルだろう。

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ブレーキなどがノーマルなことも扱い易さの一つ。

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かつては、ハワイアイアンマンのオフィシャルバイクだったこともある。このスライスで完全復活を目指すキャノンデールだ。エイジ選手、女性選手を中心に使用されることになるだろう。

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「スライスはロングセラーを目指す!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

最終回

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Triathlon LUMINA No.51

P81~83 Mare Ingenii Tri BIKE CHRONICLE

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「これから先のトライアスロンバイクについて語ろう。

このクロニクルも最終回となった。後編は、どのような点が、問題であり、開発されていないのか、「声なき声」を考えてみた。

大前提として、トライアスロン人口の増加により、ファントライアスロンとして楽しむ人からアイアンマンを10時間で走り切れるレベルまで、幅広く各層が厚くなって来ていることが挙げられる。そんな中で、何が必要なのだろうか。トライアスロンバイクの歴史は25年程度、ロードバイクにおいては100年以上、もちろん見方によれば、完成しているのだが、より良いモノ造りを期待したい。まず、トライアスロンバイクもロードバイク同様に「各グレード」必要となっているだろう。ロードバイクでは、大きくは3つのグレードが存在している。次に、ジオメトリーではないだろうか。特にトライアスロンバイクは、ポジションの「個人差」が大きく、対応が必要となっているのだ。そして、現実的な課題として、レースコースへの対応として、トライアスロンバイクなのか、エアロロードなのか、はたまた、どちらでもない違うバイクの可能性はあるのか。

各課題を考えてみよう。まず、グレードに関してだが、現在ロードバイクは、ビギナー向けとして、重量は軽くはないが、振動吸収性の高いカーボンを使用し、快適性を高めているモデル。フラッグシップは、快適性よりも、軽量性や加速性などを重視しているモデル。そして、それらの中間的なグレードのモデルなど大きく3つに分けることができる。先述の通り、幅広い競技者層となった現在のトライアスロンにおいて、バイクグレードのバリエーションは、必要不可欠だ。特に、「エイジ向け」のトライアスロンバイクの開発は急務だと思う。現在であれば、キャノンデールのスライスなどが、快適性をアピールしている。過去は、初代アイアンマンバイクだったケストレル500sciなど、実は、過去にも優秀なバイクはあった。ただ、当時とは少し事情も違い、現在、トライアスロンバイクは、エアロロードのきっかけを作り、各メーカーの技術の結晶とした「コンセプト」でもあるのだ。そのため、軽量性や加速性など、競技性でのアピールが強く、所謂「イイモノ」になってしまっている。ただ、振り返りではなく、現在のユーザーへ、対応したバイクの開発をする中で、重要なキーワードは、「快適性」だ。小柄なアジア人女性が使用した時にも極めて乗り心地の良いバイクが生まれてくることを望み、それらはこれから高まるものと予想している。

次に、ジオメトリーだが、海外の大手ブランドが中心であり、人気となっている中で、トライアスロンバイクは、ロードバイクを遥かに凌ぐポジションの「シビアさ」が存在する。これは、「DHポジション」という、言い方を変えれば「ピッタリポジション」であり、少し悪く言えば、「窮屈」なポジションなのだ。胴長短足とその逆であったり、同じ骨格でも心肺機能、筋力、柔軟性により、ポジションは変わる。また、実力が付き、レベルが上がることで、ポジションも変わる。とにかく、ポジションは、「生き物」であり、常に変わる可能性がある。例えば、試乗のときも、ポジションを完全に合わせることはできないが、ほぼマイポジションだった場合は良い。ただ、そうでない場合や小さいサイズなどに乗ってしまった場合、明らかにそのフィーリングは悪い。もっとも重要となる「直進安定性」などを「良く」感じることはできないだろう。トライアスロンの「ポジション出し」とは、サドルとDHバーのパッドの位置関係を決めることにあるが、そのためには、トップ長のバリエーションであったり、ヘッド長の考え方、そして、最終的には、DHバーが合えば良いと考えると、そのDHバー側からの対応もあるだろう。すでに、BMCのTM01は、Mサイズにトップ長が2種類存在する。ただ、その差が40mmはやや大きいため、1サイズに2トップ長、差は、15~20mm程度があると良いだろう。仮にS,M,Lサイズあれば、合計で6サイズのバリエーションとなる。

そして、コースについてだが、これはやっかいな問題である。今年のアイアンマンジャパンではトライアスロンバイクとロードバイクの比率が半々だったが、そのようなコースでは、どちらを選ぶかというよりは、オールラウンドに使用できるバイクがほしい。その答えとして、エアロロードが存在するのだろうか。いや、あくまでもジオメトリーは、ロードバイクであり、エアロダイナミクスにおいては良いが、ベストではない。更に進化して、エアロロードとトライアスロンバイクの中間になるような、トライアスロンバイク寄りのエアロロードが出てくれば良い。両立できない理由は後述にも出てくるが、ハンドル高やシートアングルが全く違うことが、そのバイクの性格を分けてしまっているためだ。したがって、そこが「可変」できるシステムなどが出来れば良いのだ。ハンドルのブルホーンバーは、上方にライズされて、「握り」もドロップ形状。サドル位置は、すでに20年前に存在していた「シフター」を進化させるなど。本格的にその完全オールラウンドトライアスロンバイクの誕生を期待したい。

トライアスロンにおいても大きく関係し、相互に影響を与えることになる「エアロロード」の歴史を振り返ってみた。そもそも今の「エアロロード」というものが、注目され始めたのは、2011年のスペシャライズドVENGE、スコットFOILのデビューが、それに当たるだろう。ただ、その前からロードのエアロダイナミクスに注力していたブランドがあった。ご存知「サーベロ」がそうなのだ。2002年のアルミエアロの「ソロイストチーム」に始まり、2006年カーボンの「ソロイストチームカーボン」、翌2007年にリリースされた「ソロイストチームカーボンSL」で、第1次エアロロードは完成された。そして、2009年から、S3を始めとする「Sシリーズ」に継投されたのだ。「S」とは「SOLOIST」の頭文字から来ている。更にその前、90年後半からアルミトライアスロンの延長として、アルミエアロロードをリリースしているメーカーがあった。98年のGT EDGE AEROや、2000年のキャノンデールR1000AEROなど。そう、実は、キャノンデールも過去には、「エアロ形状」のロードを造っていたのだ。ただ、アルミでの製作は、ホイールも同様だが、エアロは完全に「重量化」となる。そのため、カーボン製となって初めて、スタートラインに立てたのではないだろうか。その意味で、先述の2006~2007年のサーベロのソロイストが、やはり、起源と言えるのではないかと思う。当時サーベロは言っていた、「ソロイストは売れなくてももいいんだ。ただ我々は最高のロードバイクを造れることを証明したい。」と。そんな、サーベロの技術の結晶が、ソロイストだった。

そして、ここで触れておきたいのが、「DHバーとサドル」だ。快適性において、大きなところはバイクであり、フレームだが、実際のフィーリングとして、DHバーとサドルのそれぞれの「合わせ」が極めて重要なのだ。

まず、DHバーだが、快適性を語る中で、DHポジションのことは外せない。DHバーそのものへの工夫、改善点も多くあるのだ。逆に、一昔はもっと考えられていたかもしれない。パッドの下にダンパーが付いているもの、パッドがGEL、パッドにエアが入るものなど、問題に気が付いていたメーカーはあった。エクステンションの形状も様々なものが出ている。「S字型」など単なる流行で存在するモデルもある。S字が大き過ぎて、フィーリングが悪いなどこだわりが見えない。そして、「完全電動時代」となった今、次はその「使い易さ」なのだ。その中で最終重要課題となるのが、スイッチの形状や取付位置となる。限りなく、「手首」を動かさず、「指」だけで変速ボタンを操作したいのだ。手首のブレは、DHバーのブレであり、ホイールのブレ。バイクの直進性を損ない、抵抗を増やす。「真っ直ぐ」走りたいのだ。バイクの「ストリームライン」と言ったところだろうか。

次に、サドルは、その周辺であり、サドルそのものより、シートピラーやフレーム構造にあるかもしれない。そもそもトライアスロンバイクの定義として「シートアングル」が立っていることにある。極端な言い方をすれば、昔ながらのクロモリバイクでもシートアングルが78°になっていればトライアスロンバイク、カーボン製で形状もエアロフレームだが、シートアングルが73°など寝ていれば、トライアスロンバイクではないと考えている。その重要なシートアングルだが、トライアスロンバイクでのフォームを見ると、「前後動」が著しく、そのための対応が必要なのだ。極端な前後動は別だが、サドルは定位置を離れ、前方に座れば、「低く」感じる。逆に、後方にスライドすれば、「高く」感じる。これは、前方に行った時は、DHポジションを取っているのだろうし、後方にずらした時は、登りで踏み込んでいるのだと思う。ただ、その動きに対して、サドル高は変わらない。この「動き」に対応できるパーツがあると最高だということなのだ。

最後に。勝手なことばかりを述べたが、これはすべて「必要」なことであることは間違いないと確信している。ただ、物理面やコスト面などで、簡単ではないこともあると思う。何年後に実現するのか楽しみに待っていたい。

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「是非ご覧下さい。」

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 FELT IA FRD

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2013~2015年と3年連続でアイアンマンウィナーズバイクとなるIA。

フェルトは、当初はアメリカ、現在はドイツブランドとして、アイアンマンでも人気のブランドだ。フェルトの顔である、創設者ジム・フェルトの開発力、そして、熱いマインドで造り上げられている。毎年アイアンマンの現場に精力的に関わっている。きっかけがトライアスロンだったこともあり、90年代前半のポーラニュービーフレジャーの活躍などに大きく貢献し、トライアスロンの定番ブランドとなった。サイズなどにもこだわりを持っていて、あえて650Cホイールを多用するなど、トライアスロン界でも独自のスタイルを持っている。

この「IA」は、ずばり、P5、スピードコンセプト、SHIVを意識されたモデルとなっている。エアロダイナミクスとストレージを「強調」したモンスターマシンだ。エアロダイナミクスを高めるためのフレーム形状、ブレーキ他、各部の収まりなど、究極度の高いバイクが出来上がった。トッチューブ前側には流行りのストレージが付く。このストレージは、中味を2つに分けることができるなど、「後発」の良さを出している。後付ではなくトータルデザインされた完成度は他社を抜く。当初はSHIVのようなフューエルシステムもあったが、途中からなくなってしまったのが残念。先述とは異なるが、このIAに関しては、26インチモデルは存在しない。480mmも700Cとなっている。ただ、設計、造りなどから小柄な選手でも可能性はあるモデルだ。それだけポジション設定の自由度も高い。逆にDHバーの高さは低めのため、ポジション出しは慎重に行う必要がある。2016年のアイアンマンで、「4強入り」出来るのか、期待のかかるマシンでもある。

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ダウンチューブ、シートチューブのボリュームが特徴的。

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ヘッド周りのボリュームは、今や当たり前となった。

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FブレーキやDi2ジャンクションは、フェアリングカバーで覆われている。

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シートチューブは細身の傾向だが、風洞実験の結果として採用している。

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ここまで低いシートステーの位置は、他社にはない。

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今年のアイアンマンでは、Daniela Ryfが使用し優勝となったバイクだ。その前のMirinda Carfraeの2勝もあり、完全にハワイアンバイクとなった。
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「2016年のコナでは、200台オーバーを狙う!」

BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 CUBE AERIUM C:68

一台のみ確認された、AERIUM C:68は、AndreasRaelertとともに存在感を放っていた。

キューブは、ドイツブランドで20年以上の歴史を持っている。90年代後半からトライアスロンへの注力もしてきたブランドだ。そして、今回AndreasRaelertにより、2位入賞(バイクラップ16位)のバイクとなっている。このC:68というネーミングは、キューブのカーボンテクノロジーで、68%のカーボン、より少ないレジン比率のテクノロジーで、造り上げられているところから付いている。

このバイクは、AndreasRaelertのために、キューブとスイスサイドがコラボレーションして完成したバイクなのだ。スイスサイドは、50年のフォーミュラワンの経験を生かし、エアロホイールも造っているスイスのブランドだ。そして、Andreas兄弟をサポートするブランドでもあり、今シーズンから実験を繰り返していた。

開発は、AndreasRaelert自身のパフォーマンスの分析から始まった。風速、横風、DHポジション、ブルホーンポジション、ウエア、ハートレート、パワー、速度、コース、様々な条件での観測し、CFDでAndreasRaelertの身体とバイクの空気抵抗について徹底分析されたのだ。その結果、ヘッド周辺と選手の脚で大きな乱流が確認できている。それを踏まえ「KONA AERO PARTS」と称し、AERIUM HPCをベースに、フレームのヘッド周り、ダウンチューブ、シート周りと選手のウエア、ポジションなどを決め、最終的な風洞実験を行った。その結果空気抵抗は、6%以上抑えることができ、ヨー角15度での抵抗を20%以上、抑えることができた。また、今回の実験で使用されたのは、キャニオンSPEEDMAX CF SLX、スコットPLASMA5、フェルトIAだった。

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AndreasRaelertのために造られたスペシャルバイクだ。

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今後の市販では、マイナーチェンジも予想される造りでもある。

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このシルエットが、今後のトレンドに関わることは間違いないだろう。キューブは残念ながら国内での展開はない。

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「SPEEDMAX CF SLX vs PLASMA5 vs AERIUM C:68」

BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

LUMINA No.51

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ルミナNo.51発売しました。

今月の GERONIMO Otsuka 担当分ご紹介します。

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P21~25 cutting

創刊以来連載担当している商品コーナーです。今回は、DHバー、ヘルメット、HRMレシーバーの3点をご紹介しています。

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P48~55 IRONMAN EXPO +

渾身のジェロニモカウントを交えて、アイアンマンのトレンドを語っています。サーヴェロは本当に強いのか?

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P56~75 KONA COLLECTION 2016

例年展開している、コナのアイテム紹介の取材でお答えしています。今回は10点のご紹介になります。

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P81~83 Mare Ingenii Tri BIKE CHRONICLE

7ヶ月連載していた、トライアスロンバイクの歴史も今回が最終回となりました。

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「是非ご覧下さい。」

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 SCOTT PLASMA 5

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アイアンマンバイクの新しいトレンドが網羅されたバイクが、このPLASMA5だ。

スコットは、何と言っても「DHバー」を生み出したメーカーであったことだろう。現在は、オリジナルの生産はしていないが、「トライアスロンカラー」の強いブランドでもあった。2008年には、2004、2006年優勝のNormannStadlerがPLASMA2を使用し、その後、バイクの強い選手をサポートし、そのイメージを築いた。そして、昨年ついにウィナーズバイクとなったのがこのPLASMA5だ。この仕様にあたるのが、カタログ上では、PLASMA PREMIUMやTEAM ISSUEというモデル名となるが、フレームの仕様から呼ばれる名称として、5代目ということで、PLASMA5となっている。PLASMA1はやや丸みを帯びたデザイン、2で現在に繋がる、シャープなデザインとなり、3で完成した。3では、シマノ、東レ、プロファイルが開発に関わっている。4は、現行の5の下位モデルとなるので、3が5の流れを汲んでいることになる。3の専用ステムはプロファイル製だった。

PLASMA5は、ヘッド周りが特徴的となっている。初期型のSHIVやTRINITYに似たようなデザインだ。ただ、決定的な違いは、単なるフェアリングではなく、樹脂で出来たドリンクシステムそのものとなっている。これは、プロファイルと共同開発したものだ。SHIVの内蔵型フューエルシステムに対し、フレーム一体化システムと言える。基本的なところになるが、フレームは、もちろんHMXのハイモジュラス仕様。そして、フレームの各部位によって断面形状を変化させている。これは、人間の動きを含め、気流の特徴を加味し、エアロダイナミクスを高めるコンセプトなのだ。また、プラズマ2からの設計でもある、ホイールにフレームを沿わせる範囲を高めていることなどもエアロダイナミクに繋がっている。その他、ブレーキの納まりなども絶妙、トレンドとなるトップチューブのストレージなど、完成度が高い。特にステムハイトが2種類で、トライアスロン用とタイムトライアル用を用意するあたりは、プラズマ3から大きく進化した。タイムトライアルのコンセプトで始まる設計だが、実際の用途は、「トライアスロン」が大きくなっているからだろう。

そして、この仕様が、各社に影響を与えている、新たなトレンドが生まれようとしているのだ。フロントのフェアリングは、ドリンクシステムも兼ねた設計となっているが、今年のウィナーズバイクのキャニオンSPEEDMAX CF SLXやジャイアントの新型TRINITYなどに採用されている。また、細身のダウンチューブと直線的なデザインは、キューブC:68など、「コピー」に見える。低めのシートステーとボリュームのあるヘッド周りなどは、各社で多用されている。今後、逆行するフェルトIAやスペシャライズドSHIVはどのように対抗してくるのだろうか。

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PLASMA5は、今のトライアスロンバイクの「代表格」と言える。

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DHバー、ドリンクシステムはプロファイル製となっている。

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迫力のあるヘッド周りだ。

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ドリンクシステムもトータル設計、ホイールとのクリアランスも絶妙。

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このシート周りのデザインも多くなっている。

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「バイクの速い選手が乗る」そんなイメージをアピールしている。「スコット×東レ×シマノ」で出来上がるスコットのバイクもやはり逸品だ。
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「5代目PLASMAはレジェンドになれるか!」

BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 LOOK 796 MONOBLADE

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MarkAllenも乗ったルックは、フルモデルチェンジとなった。

ルックはフランスのブランドで、ビンディングペダルの生みの親であり、カーボンフレームの老舗だ。1984年のビンディングペダルのリリースから30年、競技用バイク専門のブランドであり、サーベロのようにこだわりのアイテムだけをリリースするトップブランドだ。92年のツールでは、MarkAllenも使用した「KG196」がセンセーショナルにデビュー、翌93年から市販モデルがリリースされた。同年、MarkAllenが使用し、ハワイ5連覇となったモデルだ。その後、2000年には、後に2勝を上げたNormannStadlerがKG386を使用し、初ハワイで3位に入賞している。その後、486、496など、トライアスロン向けのバイクをリリース、そして、2009年のKG196以来と言える、モンスターモデルの596がリリースされた。実は、この96系がトライアスロンモデルなのだ。KG196の後、296や396もデビューしているのだが、TT志向だったため、当時は、KG286でやや翼断面のフレームがリリース、その後の386にバトンされて「86系」がトライアスロンとして使用されたいた。その後は、また96系に戻り、2006年の496そして、2009年の596へ、また廉価モデルとして576も造られた。2009年では、596、496、576と3モデルのトライアスロンフレームがラインナップされていた。

そして、今回フルモデルとなった796がハワイでも1台確認することができた。プロカテゴリーのDenisChevrotが使用していた。これも「兆し」を見せるデザインとなっている。直線系のシンプルなデザインながら、ヘッド周りは十分なボリュームがある。低いシートステーは、スタンダードとなった。ハンドル周りも専用となり、ケーブルは完全内蔵となった。ブレーキは、695や795のAEROLIGHTで採用されているフォーク一体型となっている。また、以前のアルゴン18のようにハンドルは、上下反転させてライズを30mm変更できる。アームレストは、140mmの高さ調整が可能となっている。シート周りも前作の596のISPを変更し、サーベロ型になったため扱い易くなった。クランクもオリジナルZED3が標準装備で、トータルエアロダイナミクスを追及している。そして、価格は税抜100万で受注生産のスペシャルモデルだ。

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シートアングル自体は76.5°のためあまり前乗りには見えない。

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MONOBLADEにふさわしいデザイン。

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インテグレーテッドブレーキは絶妙な収まりとなっている。

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クランクのトータルデザインは、いち早く採用しているメーカーの一つ。

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DenisChevrot選手、残念ながら今回はDNF。

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シート周りはシンプルに美しく仕上げている。

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さすがと言えるルックにクウォリティは、逸品中の逸品だ。細部に渡るまで、こだわりの仕上がりとなっている。この後もルックのトライアスロン強化に期待したい。
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「フューエル&ストレージへの注力に期待したい。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 BLUE TRIAD SL

隠れたアイアンマンバイクで、現在の「兆し」を網羅したバイクだった。

このバイクがデビューしたのは、2010年だった。2009年にAndreasRaelertが使用し3位になったブルー。その翌年このモデルがリリースされ、同選手が使用し2位となったモデルだ。このモデルは、ルック型のヘッド周りに、サーベロ型シート周り、TM01より早く、低いシートステー、ハンドルセットとヘッドの収まりは、P5の原型とも言える仕上がりだった。当時は、ポジション出しなどその「調整」がしずらい造りと思われていたが、今では特別とは言えなくなった。それよりも「ステム下」のエアロダイナミクス上、シンプル化を提唱するブランドさえある。随所にその「こだわり」がいち早く具現化されていたのだ。2012年でピークとなり、その後はやや低迷している。ただ、メーカーもしっかりアイアンマンへの注力をしていて、先進性のあるメーカーだけに次のモデルが楽しみでもある。

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よく「似た」バイクのシルエットだが、独自路線の先行デザインだった。

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ルック型ヘッド周りとハンドル&スペーサーの納まりはP5の原型か。

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ハンドルも一体型オリジナルとしては早かった。

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硬そうに見えるが、乗り味の良いフレームでもある。

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5年経ったが、色褪せない設計となっている。

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BMC TM01のような低めのシートステー位置。

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シート周りはサーベロ型となっていた。

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ブルーの5年先を見据えた新たな提案が、どのようなトライアスロンバイクを生み出すのだろうか。ブルーもまた期待が大きいブランドなのだ。
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「ブレーキ処理やフューエルなど課題のクリアに期待したい。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【KONA2015】 DIMOND BIKE

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今回のアイアンマンで注目の一台と言えるトライアスロンバイクだ。

ダイモンドは、90年代に人気となった「ジップ型」のビームバイクだ。2008年から構想がスタートし、昨年が実質のハワイデビューとなっている。構想の基本は、やはり「ZIPP2001」から始まっていて、その「エアロダイナミクス」の高さは、今でも活きると考えていた。そのジップのウィークポントを改善し、出来上がったのが、この「DIMOND BIKE」なのだ。当時のジップはビーム内部にエラストマーを使った「ショクアブソーバー」が装備されていた。これにより高い「快適性」を得ることができらが、そのショック吸収が大き過ぎて、上下動が激しかった。乗っているときよりも、見ていると腰が上下に弾んでしまっていることが確認できる。また、「可動」は、故障の原因になりやすいが、やはり、ビーム内部のショック吸収システムのトラブルも発生していたのだ。以前の「ZIPP2001」「ZIPP3001」や「SOFTRIDE」はダイレクトにビームが動いたが、このバイクはそのダイレクト性は狙っていない。乗車フィーリングとしては、「硬め」と答える人もいるくらいだ。良いか、悪いかは分からない。その硬さが調整できると今求めている「快適性」に繋がるのだろう。

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一見してわかる「ビーム」バイク。

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ハンドルセットはP5の「3T」がセットされていた。

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流麗なデザインでエアロダイナミクスを高めている。

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フロントブレーキのカバーはマグネットで固定される。

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ZIPPホイールとのマッチングが良い。

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シートチューブレス構造の復活となるのか。

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シートピラーの固定はスタンダード。

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今後、エアロダイナミクスと快適性を期待できるバイクだ。

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ダイモンドは、まさに「温故知新」のバイクだ。このような特異形状のバイクをリリースすることは、ヴェンタム同様に簡単ではないが、「エアロダイナミクス×快適性」を追求する中で、極めて注目の一台なのだ。来年のハワイで最も注目すべき「キワモノ」バイクと言えるのだ。

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「現行トライアスロンでは11位だった。来年はトップ10入りも期待できる!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka