アイアンマンバイクの新しいトレンドが網羅されたバイクが、このPLASMA5だ。
スコットは、何と言っても「DHバー」を生み出したメーカーであったことだろう。現在は、オリジナルの生産はしていないが、「トライアスロンカラー」の強いブランドでもあった。2008年には、2004、2006年優勝のNormannStadlerがPLASMA2を使用し、その後、バイクの強い選手をサポートし、そのイメージを築いた。そして、昨年ついにウィナーズバイクとなったのがこのPLASMA5だ。この仕様にあたるのが、カタログ上では、PLASMA PREMIUMやTEAM ISSUEというモデル名となるが、フレームの仕様から呼ばれる名称として、5代目ということで、PLASMA5となっている。PLASMA1はやや丸みを帯びたデザイン、2で現在に繋がる、シャープなデザインとなり、3で完成した。3では、シマノ、東レ、プロファイルが開発に関わっている。4は、現行の5の下位モデルとなるので、3が5の流れを汲んでいることになる。3の専用ステムはプロファイル製だった。
PLASMA5は、ヘッド周りが特徴的となっている。初期型のSHIVやTRINITYに似たようなデザインだ。ただ、決定的な違いは、単なるフェアリングではなく、樹脂で出来たドリンクシステムそのものとなっている。これは、プロファイルと共同開発したものだ。SHIVの内蔵型フューエルシステムに対し、フレーム一体化システムと言える。基本的なところになるが、フレームは、もちろんHMXのハイモジュラス仕様。そして、フレームの各部位によって断面形状を変化させている。これは、人間の動きを含め、気流の特徴を加味し、エアロダイナミクスを高めるコンセプトなのだ。また、プラズマ2からの設計でもある、ホイールにフレームを沿わせる範囲を高めていることなどもエアロダイナミクに繋がっている。その他、ブレーキの納まりなども絶妙、トレンドとなるトップチューブのストレージなど、完成度が高い。特にステムハイトが2種類で、トライアスロン用とタイムトライアル用を用意するあたりは、プラズマ3から大きく進化した。タイムトライアルのコンセプトで始まる設計だが、実際の用途は、「トライアスロン」が大きくなっているからだろう。
そして、この仕様が、各社に影響を与えている、新たなトレンドが生まれようとしているのだ。フロントのフェアリングは、ドリンクシステムも兼ねた設計となっているが、今年のウィナーズバイクのキャニオンSPEEDMAX CF SLXやジャイアントの新型TRINITYなどに採用されている。また、細身のダウンチューブと直線的なデザインは、キューブC:68など、「コピー」に見える。低めのシートステーとボリュームのあるヘッド周りなどは、各社で多用されている。今後、逆行するフェルトIAやスペシャライズドSHIVはどのように対抗してくるのだろうか。
PLASMA5は、今のトライアスロンバイクの「代表格」と言える。
DHバー、ドリンクシステムはプロファイル製となっている。
迫力のあるヘッド周りだ。
ドリンクシステムもトータル設計、ホイールとのクリアランスも絶妙。
このシート周りのデザインも多くなっている。