ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜2023 “ GERONIMO ANALYSIS ”

WTCS横浜2023におけるバイク分析データとなる。

2015年からの定点観測となる横浜のバイクカウントは9年目となった。トライアスロンバイクではないので、劇的な変化はないのだが、「Sign / Trend / Standard」の3段階では動いている。また、ここでは、「エリート」のカウントとなるため、エイジグループのような「人気ランキング」ではなく、プロ及びプロに準ずる選手、そして、メーカーの動きと言えるだろう。

トライアスロンへ注力するメーカーはどこなのか、もちろんバイクメーカーだけではない。各パーツメーカーも特徴が出ている。国内でトライアスロンが始まって43年、オリンピックでの正式種目となって6回、今や自転車系競技としてのメーカー注目度も高く、安定していて、開発にも繋がっている。そんな「メーカー色」はどのように表れていたのだろうか。

いずれにしても限られた「120名」の選手のバイクからの分析であることを前提にしつつも、オリンピックに次ぐWT(ワールドトライアスロン)最高峰のシリーズ戦としての結果でもある。

まずは、ウィナーズバイクをチェック。エリート男子はキャニオン、エリート女子は今年もスペシャライズドで5連覇となった。

 

エリート男子のウィナーズバイクは、ヘイデン・ワイルド選手が使用したキャニオンAEROAD CF SLXだった。現在、トライアスロン界においても注目の急上昇株となるキャニオンだ。ワイルドのバイク仕様は、メインコンポーネントにスラムRed etap、今やスラム代名詞フロントシングルのワンバイ、ブレーキレバーは極端に倒し込みフレアなポジションとしている。ホイールはジップ454の53/58mm高、サドルはエルゴンSR Comp Men、パワーメーターはクウォークとなっていた。

エリート女子のウィナーズバイクは、ソフィー・コールドウェル選手が使用したスペシャライズドS-WORKS TARMAC SL7だった。スペシャライズドはWTCS 横浜エリート「御用達」であり、女子5連覇のスーパーバイクだ。コールドウェルのバイク仕様は、メインコンポーネントにスラムRed etap、ブレーキレバーは倒し込まず、フレアにはしていない。ホイールはロバールをフロント50mm、リア60mmの組合せ、サドルはスペシャライズドS-WORKS WITH MIRROR、パワーメータはクウォークとなっていた。

 

【ブランド別使用率】

ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜 2023 “ GERONIMO COUNT ”

【詳細分析】

各ポイントについて分析している。つまり「仕様」となるわけだが、言い方を変えれば各選手の「好み」ということも言える。まずは、「トライアスロン」で使用するバイクの主な特性について、その動きを見てみた。

下記の3点は、「エアロダイナミクス」に関わるファクターとなるが、ドラフティングレースとなるWTS横浜では、「ロードレース」に近いため、必ずしも絶対条件ではない。ただ昨今「バイクの重要性」に注目が集まる中で、単なるロードレース化ではないため、選手の対応が機材面のバイクという形となって表れている。

  • ①エアロロード
  • ②ホイールリムハイト
  • ③フレアポジション

下記の3点は、トレンドからスタンダードへ移行している。電動変速システムは、完全普及となったのだろうか。また、ディスクブレーキは、バイク本体の新型化との関係性が大きいため増えていることが予想される。そして、パワーメーターは、一般的には高価なイメージがあるが、今や「絶対アイテム」だけに、その使用は必須だろう。

  • ④メインコンポーネント
  • ⑤ディスクブレーキとモデル別使用率
  • ⑥パワーメーター

下記の2点は、流行りも含めスペシャルパーツの動きとなる。ビッグプーリーも話題としては久しいが、現在どうなっているのか。そして、18年からスラムのワンバイをきっかけとして、コナでは確実に伸びを見せているフロントシングルは、昨年確認され、今年は増えているのだろうか。

  • ⑦ビッグプーリー
  • ⑧ワンバイ

前提として、WTCS横浜2023の120選手の結果であり、全てを計るものではないが、概ね、方向性について大いに参考になると考えている。

 

#40ブルンメンフェルトのジャイアントPROPEL ADVANCED SL

【エアロロード】

このカテゴライズが難しくなって来ている。ここで前提を確認する必要がある。「エアロロード」と定義されるのは、軽量オールラウンドバイクを設定している場合に絞っている。十分なエアロダイナミクスを持ちながらも基本を「1タイプ」としているピナレロやVENGEがなくなったスペシャライズドは含まれていない。キャニオン、ジャイアント、サーヴェロなどタイプ分けをしているメーカーの中のエアロロードのカウントとなる。

フレーム 男子 女子 合計 使用率
エアロ 27 15 42 35.0%
非エアロ 33 45 78 65.0%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は35.0%だった。2018年の50.0%をピークに昨年は43.5%、今回は40%を大きく割った。繰り返しになるが、前述の通り「カテゴリー分け」をしない傾向が伸びれば、更に減っていくことになる。

ここで言えることは2つ。1つは、より軽くて、エアロダイナミクスの高い、スーパーオールラウンドバイクの完成度が高まること。そして、もう一つは、明確に「エアロロード」として、エアロダイナミクスを追求するバイクが出来ることだ。ロードバイクの中に「トライアスロン適正」の高いモデルとして期待も出来るかもしれない。

ここで言うGERONIMO的トライアスロン適正とは以下の3つ。

  1. エアロダイナミクス
  2. ジオメトリー
  3. 快適性

3つ揃えば最高だが現実的には難しい。ショートなら1つ以上、ミドル、ロングなら2つクリアすれば理想だろう。特にエアロダイナミクスはごく当たり前に話題となるが、AVスピードの高くない選手が使用した場合、効果の見込みは低いばかりでなく、剛性の高さから快適性を落としてしまっている可能性がある。

トライアスロンにおけるバイクパートはランへの繋ぎであり「ランにダメージを残さない」と言う大命題からバイクを選ばなければならない。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 CANYON AEROAD CF SLX 4 1 5 11.9%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 4 1 5 11.9%
cervelo S5 4 1 5 11.9%
4 SCOTT FOIL 1 2 3 7.1%
5 TREK MADONE SLR 6th 2 0 2 4.8%
cannondale SystemSix 2 0 2 4.8%
BMC Time Machine Road 01 2 0 2 4.8%
TREK MADONE SLR 7th 1 1 2 4.8%
9 BH AEROLIGHT 1 0 1 2.4%
STEVENS ARCALIS 1 0 1 2.4%
Bianchi OLTRE XR4 1 0 1 2.4%
GIANT PROPEL ADVANCED PRO 1 0 1 2.4%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 2022 1 0 1 2.4%
SPECIALIZED S-WORKS VENGE 1 0 1 2.4%
LAPIERRE AIRCODE DRS 1 0 1 2.4%
LOSA AERO 21D 0 1 1 2.4%
FELT AR 0 1 1 2.4%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 0 1 1 2.4%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 2022 0 1 1 2.4%
Wilier FILANTE SLR 0 1 1 2.4%
SCOTT FOIL 2022 0 1 1 2.4%
KOGA KINSEI 0 1 1 2.4%
PARDUS SPARK EVO 0 1 1 2.4%
BMC Time Machine Road 01 0 1 1 2.4%
合計 27 15 42 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

トップエアロロードはキャニオン、ジャイアント、サーヴェロの三つ巴となった。

キャニオンは今回のウィナーズバイクでもあるが、現在、トライアスロン界の大注目株として今後も上位が期待される。ジャイアントは、ノルウェー勢のブルンメンフェルト、イデン両選手が使用するバイクとして注目度が高い。ジャイアントはTCRが存在するが、PROPELはシート周りが細身となり、どちらかと言えばオールラウンド傾向が強まった「Tarmac化」と言えるだろう。そして、元祖エアロロード、サーヴェロは、2010年のスペシャライズドVENGEの「エアロロード」カテゴリー以前から注力しトライアスロンにおける絶対的な地位を築いている。

エアロロードの代名詞とも言えるトレックのMADONEは旧型も含まれるため、順位を落としているが、来年は復活だろう。

 

【ホイールリムハイト】

トライアスロンを象徴するリムハイトの高いホイールは、WTCS横浜大会においてもGERONIMO COUNT当初より、多少動きはあるものの、より一層のDeep化が進み、ここ数年で、一定のところまで来たと言うイメージだ。

ホイールは、前後により目的が異なる。大きくはエアロダイナミクスと高速巡航性だ。フロントは、エアロダイナミクスと、横風などの影響からハンドリングを考慮したチョイスとなる。概ね50mmを超えてくると、ハンドルを切った時に重さ(空気抵抗)を感じるくらいとなるが、各社1~3mm程度のハイト差でシビアなコントロールをしている。また、リアは、エアロダイナミクスとともに更に重要となるのは、「高速巡航性」となる。これはホイールの縦剛性と大きく関係してくる。レースコンディションにもよるが、リアにディスクホイールを使用するのはそのためだ。ただ、その反面として、剛性が高過ぎれば、脚への負担も大きくなる。その辺りのバランスを見ながら、選手たちはホイールを決定する。

このハイトだけで述べるのはやや乱暴ではあるが、概ね傾向は出ている。本来ならば、メーカー間の「重量剛性比」など更に掘り下げる中で、カウントの精度は高まるのだろう。また、一般選手において、エアロダイナミクスはある程度走る力が必要だが、剛性による高速巡航性は誰でも体感できる。一定の速度で走り続け易くなるということだ。そんな極めて重要な武器がホイールだ。

男子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 20 33.3% 37 61.7%
50~54mm 26 43.3% 12 20.0%
40~49mm 11 18.3% 10 16.7%
30~39mm 3 5.0% 1 1.7%
29mm以下 0 0.0% 0 0.0%
合計 60 100.0% 60 100.0%
女子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 10 16.7% 22 36.7%
50~54mm 26 43.3% 17 28.3%
40~49mm 15 25.0% 14 23.3%
30~39mm 8 13.3% 6 10.0%
29mm以下 0 0.0% 0 0.0%
不明 1 1.7% 1 1.7%
合計 60 100.0% 60 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は男女ともに同様の傾向となった。昨年の男子は前後ともに55mm以上がトップだったが、フロントが少し低いホイールが選ばれている。女子もフロントに動きが出て、55mm以上と40~49mmが多かったが、男子と同じハイトに集約された。また、40mm未満は圧倒的に少なくなり、重量と剛性のメリットとデメリットを考慮する中でも強い傾向が出ている。リアの55mm以上はほぼ60mmやそれ以上なるのだが、この結果からはロバールのようなフロント50mm、リア60mm程度の組合せが見えてくる。スペシャライズドが多いが、他のホイールメーカーも含め、傾向は明からかとなっている。

そして、ホイールメーカーの使用率は、下記の通りの結果だった。

順位 ブランド 男子 女子 合計 使用率
1 ROVAL 14 11 25 20.8%
2 DT 9 11 20 16.7%
3 CADEX 6 6 12 10.0%
4 ZIPP 5 3 8 6.7%
5 BONTRAGER 3 4.5 7.5 6.3%
6 PRINCETON 5 1 6 5.0%
MAVIC 4 2 6 5.0%
8 ENVE 3 2 5 4.2%
HUNT 2 3 5 4.2%
10 SHIMANO 3 1 4 3.3%
11 CAMPAGNOLO 0 3 3 2.5%
12 HOLLOWGRAM 2 0 2 1.7%
FFWD 1 1 2 1.7%
FULCRUM 0 2 2 1.7%
15 Reserve 1 0.5 1.5 1.3%
16 CYP 1 0 1 0.8%
GIANT 1 0 1 0.8%
Dedaelementi 0 1 1 0.8%
EASTON 0 1 1 0.8%
Lightweight 0 1 1 0.8%
Lun 0 1 1 0.8%
SCOPE 0 1 1 0.8%
session 0 1 1 0.8%
SWISS SIDE 0 1 1 0.8%
tune 0 1 1 0.8%
不明 0 1 1 0.8%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

予想通りのロバールが1位となった。スペシャライズドのバイク本体が多いため、予想された結果でもあるが、ホイールは走りに大きく影響するため、その実績の裏付けとも言えるだろう。また、昨年、初めてトップとなったDTスイスは少し減ってしまったが、2019年以降の伸びで変わらずトップクラスであることは間違いない。そして、気になるのがカデックスだ。昨年は6台に使用されていたが、今年は倍増となった。カデックスは、ブルンメンフェルト、イデン両選手を通し、トライアスロンへの注力も高くなっているだけに今後も注目となるだろう。

 

【フレアポジション】

昨年までショートにおいてもカスタムや新世代のDHバーなど見られ、新たな方向性への「兆し」が出ていたが、使用できなくなり、その装着率はノーカウントとなった。ただ、その必要性を感じる選手は、ブレーキレバーを内側に傾けたセッティングをしていた。2021年にリリースされたシマノDURA-ACEでもそこへの対応を考慮したものとしている。

バイク正面から見ると「八の字」にセットされたブレーキレバーはフレアと言える状態だ。元々ドロップハンドルではなく、ランドナーバーのように上が狭く、下ハンが広がったような形状のハンドルを使い、自然に内向きになるようにセットして使われていた。横浜で使用されたハンドルは通常のドロップに対し、ブレーキレバーを内側に倒して固定されているものだが、その数も多さからチェック対象となった。

男子 女子 合計 使用率
設定 29 18 47 39.2%
未設定 31 42 73 60.8%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は高かったと見ている。この39.2%は、明らかに分かる大きく曲げたもののみのカウントであり、僅かに曲げている選手も含めると68.3%にものぼる。ただ本来の「DHポジション効果」を得るためには身体の幅を狭くしたいため、よりブレーキレバーを倒し込む必要があるが、ダンシングでは使用できなくなることや取付そのものの安全性もあり限界はある。

「より良く」と言うことだろうし、可能な範囲でセットすることになるのだが、今後の期待も高まる。とにかくブレーキは確実にかけることができる「安全性の高いエアロポジション」と言うことができるからだ。DHバーと同じ効果とはいかないが、更なる進化により、必要十分なエアロダイナミクスが期待できるようなものが開発されることは極めて望ましい。

 

【メインコンポーネント】

2012年普及モデルのシマノULTEGRA Di2のリリースから12年目となるが、電動変速は完全定着している。その扱い易さは一度使えば、戻すことはないだろう。昨年の装着率は94.6%だったので、もう少しと言った感じだったが、今回は120台中119台の使用となる99.2%だった。もうカウントの必要はない。

ここでは、電動変速だけではなく、メインコンポーネントとして、どのモデルの使用率が高いのか見ているが、やはり「スラム」の勢いが気になる。シマノより早かった12スピード化、完全ワイヤレス電動変速、軽量性、ワンバイなど、スラムは独自の「面白さ」を追求している。

結果は以下の通りだった。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 シマノ DADi2 25 21 46 38.3%
2 シマノ ULT Di2 14 16 30 25.0%
3 スラム Red etap 13 12 25 20.8%
4 スラム Force etap 7 8 15 12.5%
5 スラム Rivaletap 1 2 3 2.5%
6 シマノ DA 0 1 1 0.8%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

予想するまでもなくシマノが多いのだが、スラムは確実に伸ばしている。一昨年26.0%、昨年29.3%、そして、今年は35.8%まで伸びていた。今後の勢いとともに「スラムらしい」製品開発に期待したい。

 

【ディスクブレーキとモデル別使用率】

電動変速同様に普及が期待されているが、Di2と比較すると短期間での完全普及となった。ディスクブレーキは、スペシャライズドが早く、2017年モデルから出始めているが、トレックは2020年モデルからのスタートだったため、概ね2020年がディスクブレーキ元年と言えるだろう。その後4年でディスクブレーキ化が整った。昨年の普及率は88.0%だったが今年は99.2%(1台のみ非ディスクモデル)となり、ディスクブレーキへの移行は完了した。

ディスクブレーキ普及の背景には、安全性が挙げられる。ディスクブレーキありきではなく、ワイド化されたホイール、チューブレスタイヤなど、足回りが強化され、同時に制動力向上も進められた来た。ある意味、安全面においては、電動変速やその他のパーツなどと比べられないくらいの重要性があった。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 SPECIALIZED S-WORKS TARMAC SL7 8 15 23 19.3%
2 SCOTT ADDICT RC 2 5 7 5.9%
3 VENTUM NS1 2 4 6 5.0%
4 LAPIERRE XELIUS 3 2 5 4.2%
CANYON AEROAD CF SLX 4 1 5 4.2%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 4 1 5 4.2%
cervelo S5 4 1 5 4.2%
8 BMC Team Machine SLR01 2 2 4 3.4%
9 BMC Time Machine Road 01 2 1 3 2.5%
SCOTT FOIL 1 2 3 2.5%
TREK EMONDA 0 3 3 2.5%
12 FOCUS IZALCO MAX 2 0 2 1.7%
TREK MADONE SLR 6th 2 0 2 1.7%
cannondale SystemSix 2 0 2 1.7%
TREK MADONE SLR 1 1 2 1.7%
cannondale supersix evo 1 1 2 1.7%
SPECIALIZED TARMAC SL6 1 1 2 1.7%
ROSE XLITE 0 2 2 1.7%
SWIFT RACEVOX 0 2 2 1.7%
20 LAPIERRE AIRCODE DRS 1 0 1 0.8%
BH AEROLIGHT 1 0 1 0.8%
STEVENS ARCALIS 1 0 1 0.8%
PINARELLO DOGMA F 1 0 1 0.8%
PINARELLO DOGMA F12 1 0 1 0.8%
TREK EMONDA SL7 1 0 1 0.8%
Bianchi OLTRE XR4 1 0 1 0.8%
FACTOR OSTRO VAM 1 0 1 0.8%
GIANT PROPEL ADVANCED PRO 1 0 1 0.8%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 2022 1 0 1 0.8%
PROCYCLE Rennrad 1 0 1 0.8%
SPECIALIZED S-WORKS VENGE 1 0 1 0.8%
THOEMUS SLIKER PRO 1 0 1 0.8%
ARGON18 SUM PRO 1 0 1 0.8%
GIANT TCR 1 0 1 0.8%
BH ULTRALIGHT 1 0 1 0.8%
COLNAGO V3Rs 1 0 1 0.8%
Wilier Zero SL 1 0 1 0.8%
STEVENS XENON DISC 0 1 1 0.8%
COLNAGO V4Rs 0 1 1 0.8%
CANYON ULTIMATE CF SLX 0 1 1 0.8%
3T STRADA 0 1 1 0.8%
PARDUS SPARK EVO 0 1 1 0.8%
PROCYCLE Rennrad 0 1 1 0.8%
KOGA KINSEI 0 1 1 0.8%
SCOTT FOIL 2022 0 1 1 0.8%
Wilier FILANTE SLR 0 1 1 0.8%
PINARELLO F12 0 1 1 0.8%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 2022 0 1 1 0.8%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 0 1 1 0.8%
TREK EMONDA SLR 0 1 1 0.8%
FELT AR 0 1 1 0.8%
SPECIALIZED AETHOS 0 1 1 0.8%
LOSA AERO 21D 0 1 1 0.8%
合計 59 60 119 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

ここではディスクブレーキ仕様の普及率を見ていたが、ほぼディスクブレーキ化が整ったため、実質のモデル別の使用率となっている。台数の多いスペシャライズドが1位となっているのだが、具体的にはTARMAC SL7が驚異の23台使用されている。スペシャライズドのトライアスロンへの注力と2016年からいち早く、ディスクブレーキ化を進めていたことなどから結果に繋がっている。

スペシャライズドは、やはりMTBも含めた総合メーカーであることがディスクブレーキにも強く、シビアなカーボンコントロールが必要なロードバイクのディスクブレーキ化にもフィードバックが活かされている。

今や安全性向上は当然だが、エアロダイナミクスとの融合を期待しているメーカーも少なくない。もちろん、難しい開発とはなるが、ディスクブレーキありきではなく、総合的に進化させて来ている。

 

【パワーメーター】

ノンドラフティングのトライアスロンの場合、レースでは、ほぼ「一定」のマイペースを刻んで走る。一定にすることが最も効率が良い走りとなるからだ。では、その一定とは「何」を一定にするのだろうか。もちろん、速度ではない。ハートレートが一般的だったが、リアルタイムでペースを一定にできるのが、パワーメーターなのだ。ロードレースでは、タイプによるが、速度の加減速もあり、駆け引きというタイミングもある。それに対し、トライアスロンでは、練習からレースまでフル活用が可能となるだろう。もちろん、距離、コースにも影響はされるが、概ね「コンスタント」な走りがベストパフォーマンスに繋がる。電動変速システムDi2もトライアスロンでの使用は、大きなメリットがあったが、同様にパワーメーターもトライアスリートにこそ、必要なアイテムと言えるだろう。

男子 女子 合計 使用率
使用 50 52 102 85.0%
未確認 10 8 18 15.0%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

まずは使用率だが、これは恐らく100%と考えている。「未確認」としているのは装着の確認ができなかった台数だが、普段のトレーニング時に使用していないことは考えられないからだ。少なくともスマートトレーナーで確認はしているはずだ。また、WTCSのレースの特性上、ペースが一定でないため、当日必要ないということも言えだるだろう。クランク型の場合はそのままとなるが、ペダルの場合は簡単に交換ができる。

そして、確認できたパワーメーターは以下の通りとなる。

順位 ブランド タイプ 男子 女子 台数 使用率
1 QUARQ クランク 17 16 33 27.5%
2 SHIMANO クランク 12 7 19 15.8%
3 Favero ペダル 6 8 14 11.7%
4 GARMIN ペダル 4 6 10 8.3%
5 4iiii クランク 3 4 7 5.8%
6 ROTOR クランク 1 5 6 5.0%
7 POWER2MAX クランク 0 4 4 3.3%
8 SRM クランク 2 1 3 2.5%
9 wahoo ペダル 2 0 2 1.7%
PIONEER クランク 1 1 2 1.7%
11 SPECIALIZED クランク 1 0 1 0.8%
STAGES クランク 1 0 1 0.8%
13 未確認 10 8 18 15.0%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

クウォークの伸長率が凄かった。2018年では16.7%、昨年は21.7%からの27.5%は明かな勢いを感じる。スラムのコンポーネントが伸びていることとも大きく関係しているが、この数字には驚かされる。また、シマノも確実に伸ばし、昨年の12台から19台となっている。そして、3位と4位にペダル型が入っている。エイジ選手に人気のあるペダル型として、この2ブランドは、比較されることが多いと思うが、いずれにしてもペダル型となるケースも多いだろう。「ペダルグループと見た場合、合わせて24台となるため、タイプ別での使用率も要チェックとなるだろう。

 

【ビッグプーリー】

ビッグプーリーもトレンドと言われ久しいが、その後、動きはあったのだろうか。効果の大きさは、「体感」できる数少ないパーツでもある。回転時の抵抗が大きく軽減されることで、ペダリング効率を向上させている「アイデアパーツ」だ。ビッグプーリーは、チェーン、プーリーのベアリングの摩耗を抑え、最大の体感は、アウターローでの状態で確認できる。各社鎬を削りリリースしているが、プーリーケージ(本体)の剛性が大きなポイントとなるだろう。

男子 女子 合計 使用率
使用 6 9 15 12.5%
不使用 54 51 105 87.5%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

使用台数は、昨年と同じ15台ではあったが、選手数から見ると4ポイント近く落ちている。ただサンプル数が少ないため、何とも言えない結果でもある。今後も大きく流行ることはないかもしれない。リアディレーラーの改造パーツでもあるため、コンポーネントメーカーとの契約なども関係しているだろう。また、専属メカニックなどが帯同する場合は良いが、調整がシビアであったり、輸送に気を使うなどから敬遠されている可能性もある。ただ、使用率が少ないから悪いということではない。むしろ画期的なパーツと考えている。

順位 ブランド 男子 女子 使用台数 使用率
1 ceramicspeed 4 6 10 66.7%
2 NOVA RIDE 1 2 3 20.0%
3 KOGEL 1 0 1 6.7%
CyclingCeramic 0 1 1 6.7%
合計 6 9 15 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

少ない中での比較であるが、セラミックスピードが昨年より伸ばし、シェアを獲っていた。昨年から登場となっているノバライドも健闘、そして、超軽量となるサイクリングセラミックなどマニアックなパーツを使用する選手もいる。

 

【ワンバイ】

スラムの専売特許とも言える「ワンバイ」は2018年のコナで19台確認、翌年2019年では、63台に増えていた。その63台のうち20台はプロ選手の使用となる。このパーツが普及の兆しを見せているのは、スムースで単純な変速動作とそのデメリットが少ないことが挙げられる。ワンバイは単純にフロントをシングルにして、ディレーラーを外しただけではない。それをすればすぐにチェーンが脱落してしまう。スラムだからこそできているシステムとなる。チェーンとチェーンリングの噛み合いをX-syncという構造で極めてマッチングの高い造りとなっている。写真と同じ状態で使用する選手も多いが脱落防止パーツを取り付けることもできる。

現在、アイアンマンの世界ではこのシンプルな構造と見た目が新しいトライアスロンバイクの姿として注目を集めている。

男子 女子 合計 使用率
使用 3 1 4 3.3%
不使用 57 59 116 96.7%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、昨年から1台減っての4台だったが、男子の1台は優勝のワイルド選手のバイクだ。実は昨年も優勝のイー選手も使用するなど、結果としての勝率は高い仕様と言える。KONAでは増加傾向にあるが、一昨年初めて確認し驚いた。まだビッグプーリー同様、大きく伸びることはないがこれもスラムらしさであり、一般選手には大いに推奨できるシステムだ。明かにストレスフリーとなる変速動作が最大のメリットだ。

 

最後に。

ショートの世界最高峰シリーズが手軽に横浜で見られることに興奮する。身体とともに研ぎ澄まされた無駄のないバイクのセッティングは面白い。選手の考えもあるだろう。メーカーの意向もあるだろう。いずれにしてもグローバルの動きを感じることができるWTCS横浜は面白い。

 

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=45211

 

 

「トライアスロンにおけるスペシャライズドの勢いは止まらない。

BOSS1small

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜2023 “ GERONIMO COUNT ”

#1 Sophie Coldwell選手のウィナーズバイク、スペシャライズドS-WORKS TARMAC SL7

 

WTCS横浜2023において使用されたバイクの使用率は以下の通りの結果となった。

例年、スペシャライズドが群を抜き1位という勢力図は変わらないのだが、今年も凄かった。2021年に次ぐ、圧倒的なシェアを取り、2位以下を寄せつけない強さを見せた。特に女子の使用率が極めて高いことに驚かされる。そして、台数だけではなく、女子は、2018年からの5連覇の快挙となっている。

スペシャライズドは、今やWTCSの顔となり、不動の地位とも言える状態となった。その「ダントツ感」は、アイアンマンにおけるサーヴェロのような感じだ。もちろん、コナとは台数、選手など違いはあるが、世界のトップが使用するバイクは気になるところだ。スピードとパワーのトライアスロンで使用されるバイクは、一般レースにも影響を与えると予想している。

順位 ブランド 男子 女子 合計 使用率
1 SPECIALIZED 10 17 27 22.5%
2 SCOTT 3 8 11 9.2%
3 TREK 4 5 9 7.5%
4 GIANT 7 1 8 6.7%
5 BMC 4 3 7 5.8%
6 CANYON 4 2 6 5.0%
LAPIERRE 4 2 6 5.0%
VENTUM 2 4 6 5.0%
9 cervelo 4 1 5 4.2%
10 cannondale 3 1 4 3.3%
11 PINARELLO 2 1 3 2.5%
12 ARGON18 2 2 1.7%
BH 2 2 1.7%
FOCUS 2 2 1.7%
COLNAGO 1 1 2 1.7%
PROCYCLE 1 1 2 1.7%
STEVENS 1 1 2 1.7%
Wilier 1 1 2 1.7%
SWIFT 2 2 1.7%
ROSE 2 2 1.7%
Liv 2 2 1.7%
22 Bianchi 1 1 0.8%
FACTOR 1 1 0.8%
THOEMUS 1 1 0.8%
PARDUS 1 1 0.8%
LOSA 1 1 0.8%
KOGA 1 1 0.8%
FELT 1 1 0.8%
3T 1 1 0.8%
29 合計 60 60 120 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

 

【GERONIMO ANALYSIS】

WTCS横浜で使用されるエリートバイクについてはより詳細を確認したい。一般レースとは異なるレギュレーションでありながらも「トライアスロン」としての特徴はあるのだろうか。DHバーも使用できなくなり、より「ロードレース化」となるエリートのバイクはどのようになっているのだろうか。

  1. エアロロード使用率
  2. メインコンポーネント使用率
  3. ディスクブレーキ使用率
  4. ホイールリムハイト傾向
  5. パワーメーター使用率
  6. ビッグプーリー使用率
  7. フレアポジション率

などが挙げられる。

追って、お知らせしたい。

 

 

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka

YOKOHAMA Race Result

WTCS横浜大会エリートが開催された。

13回目となった横浜大会は、やはり見応えのあるもので、「世界のスピード」を感じることのできる素晴らしい大会だった。もはや横浜のイメージとも言える「雨」のレースとなり、時折豪雨となることもあった。気温が低かったが、選手にとっては良かっただろう。バイクは落車防止のため、例年の「雨天コース」で開催されている。

女子優勝は、ソフィー・コールドウェル選手( イギリス)。第1戦アブダビ2位に続き、好調をアピールした。スイムを上位で終え、バイクの先頭集団で逃げることが功を奏している。そのまま7名でのランスタートとなったが、明かなスピードの違いを見せ、最後は追い上げられるも、勝負を制し見事優勝を飾った。涙のゴールとなり、ライバル、チームメイトからの祝福が印象的だった。日本人トップは佐藤優香選手で29位、得意のスイムで上位につき、ランのスタートポジションが良かった。

男子優勝は、ヘイデン・ワイルド選手( ニュージーランド )。昨年は2位、アレックス・イーとのラン勝負に惜しくも敗れたが、今年はその雪辱を果たした。大集団からの一斉スタートとなったランを2周目から徐々にスパートをかけ、見事に逃げ切りに成功した。陽気なイケメンのニュージーランダーは存在感の大きい選手だ。男子の日本人トップは、ニナー賢治選手で11位と健闘した。事前の記者会見でも自信を見せていたが、昨年27位から大きくジャンプアップ、WTCSランキングも日本人最上位の10位となっている。

ウィナーズバイクは女子がスペシャライズド、男子がキャニオンとなっている。(GERONIMO COUNTは後日発表)

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公式記録(抜粋)

開催地:神奈川県横浜市山下埠頭周辺

水温:19.7℃  気温:18.7℃  天候:雨 風速2m 南

女子優勝:ソフィー・コールドウェル選手( イギリス) 1:53:32

Rank No.  Name Country Time
1 1 ソフィー・コールドウェル  イギリス  1:53:32
2 12 ロサマリア・タピアビダル メキシコ 1:53:49
3 38 テイラー・ニブ アメリカ 1:54:02
4 2 テイラー・スパイビー アメリカ 1:54:14
5 26 ケイト・ウォー イギリス 1:54:20

(完走:52/60名)

男子優勝:ヘイデン・ワイルド選手( ニュージーランド )1:42:13

Rank No. Name Country Time
1 35 ヘイデン・ワイルド ニュージーランド 1:42:13
2 14 マシュー・ハウザー オーストラリア 1:42:17
3 1 バスコ・ビラサ ポルトガル 1:42:18
4 2 ドリアン・コナン フランス 1:42:22
5 3 レオ・ベルジェール フランス 1:42:26

(完走:49/60名)

全公式記録:https://www.yokohamatriathlon.jp/wts/pdf/2023result_elite.pdf

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その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=45211

昨年のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=39373

 

 

 

「ワイルドついに制覇!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

YOKOHAMA Press conference

WTCS横浜大会エリートのプレスカンファレンスが行われた。

女子はジョージア・テイラーブラウン選手と高橋侑子選手、男子はレオ・ベルジェール選手とニナー賢治選手の4名が登壇となった。

代表質問は主に2つ。

①ショートorスタンダード / 横浜について

WTCSの2戦目横浜となり、前戦アブダビと違いスタンダードディスタンスで行われるが、ショートとスタンダードはどちらが好きなのか。戦い方の違いなどあるのか。また、横浜でもてなしを受け、この大会の中でどんなことが期待できるか。

②パリオリンピックに向けて

今年は8月パリオリンピックテストイベント、そして、来年のパリオリンピックと言う二つの大きなイベントに向けて、展望などどのように考えているのか。

【ジョージア・テイラーブラウン選手】

東京オリンピック銀メダリスト
東京オリンピックMIXリレー金メダル
昨年本大会優勝
.
「みなさん、こんにちは、お久しぶりです。久しぶりに帰って来れて、とても嬉しいです。」
.
①ショートorスタンダード / 横浜について「もちろん、横浜に来ることは毎回楽しみにしていますし、特に去年の良いイメージがあるので、それがすごい楽しみです。今年は学校訪問をさせて頂いたり、もちろん食べ物も最高ですし、そして、レースをしている時の周りの人たちの応援だったり、空気感だったり、すごくコースも速いのでそれもすごい見どころだし楽しいところがたくさんあります。そして、スプリントとスタンダードディスタンスのどちらが好きかと言えば、断然オリンピックディスタンスになります。もう少し頑張らなければいけない点がありますが。」
.
②パリオリンピックに向けて「まずは、来年のオリンピックに向けてポイントを取って行くと言うところが大切になって行くわけですが、先ほどの質問にも答えたようにオリンピックディスタンスに注力して、一つ一つ積み上げて行く、そして、レベルを上げて行くと言うことが、とても大切になっています。どこが自分は弱いのか、どこが自分は強いのか、どこをマークしていけば良いのか、と言うことを今週も含めて見て行きます。8月のテストイベントのコースも見ることができるので、どういうレース展開ができるのか、と言うところに向けても、しっかりと今週末のレースをしたい。」
.

【高橋侑子選手】

WTCSアブダビ大会15位
東京オリンピック日本代表
.
「自国開催のレースは本当にいつも楽しみで、また横浜に戻って来れたことをすごく嬉しく思います。今週は自国の選手として頑張りたいと思います。」
.

①ショートorスタンダード / 横浜について「どちらのディスタンスが好きかと言われると、私には難しいのですが。どちらも好き、と言ってしまうと答えになるかわかりませんが、どちらにも良い点があって、スプリントはすごく展開が早く、どちらかと言うと私はスピードがないので、きっとオリンピックディスタンスの方が向いているのではないかと思います。オリンピックディスタンスの方は後半の展開が重要となって来るので、そう言ったところが難しいところでもあり、面白いところでもあると思います。」

「横浜のコースについては、先ほどジョージア選手が言ったように、すごくスピードが出るコースなので、そう言ったところを上手く使いながらレースをしたいと思っています。あとは自国ということで、日本の方々がたくさん来て下さるので、日本語で名前を呼んで下さったり、応援して下さると言うのは、すごくパワーになります。そう言ったところは日本人選手の良いアドバンテージになるのではないかと思っています。その力をもらって、自分の力に変えて、レースをしたいと思っています。」
.
②パリオリンピックに向けて「似たようなことになってしまいますが、いよいよ来年が本番ということで、本当に一つ一つのレースが現実になってくるシーズンになります。今年はテストイベントがあって、実際のコースを走ることができるので、それはすごく大切なことだと思っていて、掴めることがたくさんあります。そして、レースをしてみて、掴んだことを来年に繋げて行きたいと思っています。」
.

【レオ・ベルジェール選手】

WTCSアブダビ大会1位
昨年本大会3位
.
「この週末の横浜もとても楽しみにしています。」
.

①ショートorスタンダード / 横浜について「横浜の街に来てもほんと短い期間だけなので、ホテルとレース会場だけだったり、あまり知ることが出来ないのですが、ホテルに帰ってくると、みなさんのホスピタリティ、暖かさだったり、食事だったり、雰囲気もとても素敵なので、いつかまた時間が出来た時に、たっぷりと日本の良さをもっともっと知る機会を作りに来たいと思います。日本の文化がとても好きなので。」

「ディスタンスですが、オリンピックディスタンスに向けてまだまだやることがたくさんあります。ただレベルは上がって来ています。なのでワークするところはたくさんあるのですが、今どこにいるのか、これからどこに向かって行くのか、どのようになるのか、まずは土曜日のレースを見て頂きたいと思います。」
.
②パリオリンピックに向けて「すべてがあと1年あるということですが、同時にあと1年しかないと。そして、この大切な1年間ではすべての選手がポイントを取りに行きますし、どんな機会を使っても、みなさん一つでもポイントと順位を上げて行くというところに、頭の中は一緒なので、僕もそれは同じです。なのでいろんなやり方を使って上手いところを強化して行く、それはどんなことをやればそこが強くなるのか、違いを一つ一つ試して練習を積み重ねて、レースを積み重ねて行くことで来年のオリンピックに繋がって来るので、今はそこに注力しています。」
.

【ニナー賢治選手】

2022年WTCSハンブルグ大会12位
東京オリンピック日本代表
NTT東日本、NTT西日本所属
.
(英語の後、日本語で)
「みなさん、こんにちは。去年のシーズンはまあまあ良かったと思いますが、今年のシーズンは更に全力で頑張ります。横浜応援よろしくお願いします。」
.

①ショートorスタンダード / 横浜について「普段はショートディスタンスが好きです。ノルウェー選手と一緒に標高2320mで高地練習して来ました。毎日苦しかったですが、頑張りました。今回の横浜でのパフォーマンスは、調子が良いので自信があります。日本のみなさん、応援いっぱいよろしくお願いします。」

②パリオリンピックに向けて「去年は世界の15位でしたが、それには満足していません。今年の目標は、どこまで世界のトップレベルと戦えるのか、どこが私の弱点なのか、横浜と他のレースで考えながら少しづつ強くなりたいです。練習に関してはどこが弱点なのか、次の練習はどうするのか、その練習は良いのか考え続けています。」
,

 

 

 

「選手たちの熱い気持ちが伝わって来た」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【取材予定】 ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜 2023(エリート)

国内で頂点とも言える最高峰のオリンピックディスタンスが開催予定となっている。

ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ(WTCS)とは、オリンピックディスタンスをメインに年間チャンピオンを決める全7戦(2023年)のシリーズ戦で競われる世界最高峰の大会となっている。

WTCS今シーズンの第2戦となる横浜大会は、今年で13回目を迎える開催回数の多い注目大会でもある。大会はエリートとエイジのカテゴリーで開催され、初日は、世界のトップエリート選手のスピードとパワフルな走りが見応えとなり、2日目はエイジ選手が同会場でコースは異なるが、出場することができる人気大会となっている。

今回のエリート選手は、男子60名、女子60名の合計120名の選手が出場予定となり、来年パリ五輪に繋がるレベルの高い展開が予想される。

男子はWTCSランキング2位、第1戦のアブダビ2位、昨年7位のバスコ・ビラサ(POR)をゼッケン1に迎えている。昨年のWTCS年間ランキング1位、昨年3位のレオ・ベルジェール(FRA)などフランス勢の活躍も注目となる。また、昨年はロングのアイアンマンで大活躍となったノルウェーの二人、クリスティアン・ブルンメンフェルトとグスタブ・イデンがどのような展開を見せるのか、ロングからショートへの調整は上手く行ったのか、特にブルンメンフェルトは、一昨年の覇者でもあり、それ以下の結果は望まない。一方、昨年覇者のアレックス・イー(GBR)は、アブダビも優勝し、WTCSランキングも1位だが、今回は欠場となっていることが残念。日本人選手は7名出場となる。WTCSランキング日本人最高位の19位(昨年年間ランキング15位)のニナー賢治選手を初め、26位佐藤錬選手、28位小田倉真選手など、男子勢の活躍を期待したい。

女子はWTCSランキング2位、第1戦のアブダビ2位、21年6位のソフィー・コールドウェル(GBR)がゼッケン1。本命は昨年覇者のジョージア・テイラーブラウン(GBR)だろうか。昨年のWTCSランキングは2位だ。そして、一昨年覇者のテイラー・ニブ(USA)との一騎打ちも予想される。いずれにしてもイギリス、アメリカ勢の動きに目が離せない。常にペースをコントロールしていたフローラ・ダフィのいないレース展開はどのようになるのだろうか。日本人選手は6名出場となる。昨年のWTCS年間ランキング26位の高橋侑子選手は、2019年総合4位という快挙を果たしているだけに、粘りと気迫の走りで、上位入賞に期待したい。

会場となる「YOKOHAMA」は、歴史情緒のある観光スポットとしても人気の高い場所だ。国際大会の開催場所としては最も相応しい理想的なロケーションとなる。一方で、そのような会場での開催のハードルは極めて高いと言えるが、見事に人気大会となり、継続されていることは素晴らしい。

なぜか、横浜大会は雨ばかり。選手は落車の可能性も高まる。無事なレースを祈念したい。

そして、今年もNHK-BS1で生中継予定となっている。

■開催日 2023/5/13(土)~14(日)

■競技

13日(土):エリートパラトライアスロン/エリート女子・男子

14日(日):エイジトライアスロン(スタンダードディスタンス・スプリントディスタンス)/リレー/エイジパラトライアスロン

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ワールドトライアスロンシリーズ横浜大会情報サイト

#WTCSYokohama #WTPSYokohama #ハマトラFES

【NHK BS1エリート男女競技の生中継予定】5月13日(土)エリート女子10:05~/エリート男子13:00~放送

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2022年のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=39373

「エリートのスピードは迫力そのもの。世界大会が手軽に観戦できることが最高」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

MIYAKO 2023

■Contents

GERONIMO COUNT
Race “Photo 131” Report(Hot,Hot Run ~ STRONGMAN)
MIYAKO Race “Photo 335” Report(Good Morning ~ Island Bike)
MIYAKO Race Recap
MIYAKO Saturday
MIYAKO Friday
【取材予定】第37回全日本トライアスロン宮古島大会

MIYAKO GERONIMO COUNT

宮古島が終わった。

Triathlon GERONIMOとして、最後であり、メインのコンテンツがこのカウントとなっている。下記の通り、スペシャライズド、サーヴェロ、シーポのトップ3となった。これは2016年から変わらぬ「三つ巴戦」で、2016年から3年はサーヴェロがトップ、2019はシーポ、そして、今年はスペシャライズドが初めて1位となった。

また、今回も4位までが100台オーバーとなり、トレックまでが国内4大ブランドということが言える。そして、昨年コナで大躍進の注目株となったキャニオンは6位となり、初のトップ10入りとなった。意外なイメージとなるが、すでに海外では、トップ10常連ブランドとなっていたためだ。来年はトップ5として食い込んで来ることが予想される。

この使用台数のデータは、KONAでも出している単なる「生データ」に過ぎない。より詳細の分析が必要となるが、そこは次号のルミナでご紹介したい。

STORONGMAN Miyakojima _ 2023(Lumina #89)(6/2追記)

  • トライアスロンバイク使用率
  • ディスクブレーキ使用率
  • トップ使用バイク
  • 女子人気バイク
  • 年代別使用率
  • etc

この先に「今」の選手像が見えてくる。

順位 バイクブランド 使用台数 使用率
1 スペシャライズド 174 15.66%
2 サーヴェロ 172 15.48%
3 シーポ 128 11.52%
4 トレック 123 11.07%
5 フェルト 55 4.95%
6 キャニオン 45 4.05%
7 キャノンデール 43 3.87%
8 ジャイアント 30 2.70%
9 ピナレロ 29 2.61%
10 BMC 26 2.34%
11 クウォータ 24 2.16%
12 スコット 22 1.98%
13 BS 20 1.80%
14 ビアンキ 17 1.53%
15 デローザ 14 1.26%
16 アルゴン18 13 1.17%
17 オルベア 10 0.90%
ボーマ 10 0.90%
19 コルナゴ 9 0.81%
ルック 9 0.81%
21 QR 8 0.72%
22 メリダ 7 0.63%
23 ウィリエール 6 0.54%
ストーク 6 0.54%
ダイアモンド 6 0.54%
BH 5 0.45%
ケストレル 5 0.45%
チネリ 5 0.45%
ニールプライド 5 0.45%
30 タイム 4 0.36%
フォーカス 4 0.36%
ライトスピード 4 0.36%
リブ 4 0.36%
34 アタック 3 0.27%
インターマックス 3 0.27%
ヴェンタム 3 0.27%
キャファ 3 0.27%
フジ 3 0.27%
ラピエール 3 0.27%
リドレー 3 0.27%
41 カレラ 2 0.18%
コーダブルーム 2 0.18%
コラテック 2 0.18%
ジオス 2 0.18%
チャプター2 2 0.18%
ボードマン 2 0.18%
47 KHS 1 0.09%
アズーリ 1 0.09%
アバンティ 1 0.09%
アマンダ 1 0.09%
ウィアウィス 1 0.09%
エディメルクス 1 0.09%
エラン 1 0.09%
クイーンK 1 0.09%
クラークケント 1 0.09%
クライン 1 0.09%
シロモト 1 0.09%
スイフト 1 0.09%
デダチャイ 1 0.09%
ハープ 1 0.09%
バイクフライデー 1 0.09%
バッソ 1 0.09%
パナソニック 1 0.09%
ビクトリー 1 0.09%
ファクター 1 0.09%
フォンドリエスト 1 0.09%
ボテッキア 1 0.09%
マッキサイクルズ 1 0.09%
ミヤタ 1 0.09%
ラレー 1 0.09%
レオパード 1 0.09%
不明 9 0.81%
未確認 2 0.18%
71 合計(未出走56台除く) 1111 100.00%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

 

【GERONIMO Countについて】

2015年からスタートし、9年目に入る。元々KONAで30年以上行われていた「バイクカウント」で、ブランド別の使用率は、毎年話題となり、各メーカーがトライアスロンバイクの開発ターゲットと位置付ける大会として、重要な意味があった。Triathlon GERONIMOでは、そのKONAをメインとし、国内外の主要大会のカウントからバイクトレンドを分析している。

頂点でもある前回2022年のKONAでは、約5000台のバイクを14時間(2日間)近くをかけてカウントしているが、単にブランド別使用台数などは面白くない。重要となるのは、その先であり、トライアスロンバイクとロードバイクの比率やDHバー装着率、新型使用の目安となるディスクブレーキ比率などから見えて来るものがある。以前は、「Di2使用率」であったり、ホイールの「リムハイト」など、大会の特徴に合わせ、チェック項目も変えながら、分析している。

そして、日本国内では、選手層、練習環境、レースのコース、ディスタンスなどから、必ずしもそのままのトレンドではない。国内ではそこに「年齢層」も大きく関係してくるのだ。逆に、世界と国内の違いが面白い。前提や条件を確認した上で捉える一つの指標である。

 

 

 

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka

MIYAKO Race Recap

37回目の宮古島大会が終わった。

国内トライアスロン皮切りのビッグレース、宮古島大会が4年ぶりに開催された。当日は、最高の天候に恵まれ、1200名の選手がレースを楽しんだ。

今回は、総距離が約46km短い、スイム3km、バイク123km、ラン30kmという距離と定員を500名減の1200名でのコロナ禍仕様となった。距離は短くなったが、開催の難しいロングで、しかも国内の代表格でもある宮古島が帰って来て、2023年はやっと戻れたという感覚ではないだろうか。前述の通り、距離など、まだ条件付きとはなるが、来年に向けたステップとして大きく動き出した。

昨年は佐渡や皆生も復活していたので、待ち望まれていた宮古島だった。今回は恐らく開催するだろうという期待をして、トレーニングもしっかりとやって来たという選手も多かったように感じる。待ちに待った「大人の大運動会」のために新調したバイクやウエアが目立ち、この3年間のストレスの発散と、再び宮古島を走れる喜びを噛み締めていた。

宮古島大会に限らずだが、ロングの開催はハードルが高く、多い。宮古島もしかりで、地元の応援はあるが、仕事や生活との融合とその理解を絶えず求めながらの根気と努力の賜物とも言える開催なのだ。よく言われる言い方となるが、大会は、選手のみならず、地元の人々、ボランティア、スタッフ、関係者など多くの人々によって開催が可能となる。

宮古島は唯一無二。その雰囲気は何度行っても良い。

 

■Race

【スイム 3km】※変更なし

透明度は高く、南国宮古島ならではの最高のロケーションとなる。コースは、2018年からの一周1.5kmを一度上陸し、2周回の3kmとなる。スタートは従来は一斉スタートだが、今回は300名づつの4ウェーブとなった。スタート間隔は各2分とし、7:00スタート、最終ウェーブは7:06のスタートとなっている。

ビーチからはさほど影響のない波のように見えていたが、選手からは口々に波があり、泳ぎづらかったという声が聞こえて来た。また、ブイが見えずらかったとも聞いている。そして、ウェーブスタートではあったが、終始バトル状態だった選手も少なくないようだ。スイムの苦手な選手にとってはハードルが高かったのではないだろうか。

レースは、ウェーブスタートのため、見かけと順位がずれてしまうが、優勝の寺澤選手が、スイムでトップタイムを出している。実際のバイクスタートは、第1ウェーブのロンドンオリンピック元日本代表の細田選手が2位となる7秒遅れの好タイムで先行スタート、2分遅れの第2ウェーブの寺澤選手が追いかけるカタチとなった。その後は集団となり、前回優勝の戸原選手を含むトップ選手たちが続いてバイクに移った。一方、一般選手は、泳ぎ易そうに見えていたが、潮流、バトル、視界などから3200~3300m程度の距離になり、楽ではなかったようだ。

今回、初のスキップ制度が導入されたことは朗報だった。すでに周知のルールとして、珍しいわけではない。競技的な記録は残らないが、スイムで無理をさせない安全性を考慮したものだ。そして、バイクとランもできるということの意味が大きい。スイムで終われば、朝の9時に全てが終わってしまう。宮古島は特別な大会、それまでに色々なものかけ、犠牲も払ってきた。ここで終わるわけには行かない。バイクができれば、ランができれば、どこまで行けるのか、次に繋げるためにも走っておきたい。

今回、スイムスキップした選手は8名。その選手たちも、きっと宮古島を楽しめたはず。

【バイク 123km】※157kmから短縮

コースは宮古島一周のトレースで、ほぼ従来と変わっていないが、来間島、伊良部島がカットされたようなコースとなっている。今回は強い風が吹かなかったことが功を奏していた。特に東側の池間島から東平安名崎までは強い向かい風に苦しめられることがある。今回は「気持ち良く走れた」などの声が聞こえて来た。

東平安名崎では、参加者数が500名少ないためか、団子状態はあまりなく、結果ドラフティングは抑えられているように見えた。ただ、東側のコースでは、ドラフティング状態があったように聞いている。ドラフティングはルール違反、また集団落車に繋がる可能性も高くなるため、避けたい。

レースは、スイムからトップに立った細田選手が先頭を走っていたが、東平安名崎(70km弱地点)手前で、車との接触事故が発生した。細田選手は幸いにもレースに復帰することができ、無事完走している。その後は寺澤選手が圧倒的な強さを見せ、2位を引き離し、独走状態となった。

そのまま、寺澤選手が、キープしトップでバイクを終えている。

【ラン 30km】※42.195kmから短縮及びコース変更

ランコースは一部以前のコースを走るものの、ほぼ変更となった。1周15kmを2周する。ランが30kmということで、アイアンマンやその他のロングと比較し「ロングではない」というイメージがあったが、暑さに慣れていない4月に27℃を記録、距離以上にハードなアップダウンなど、十分な「ロング感」はあった。ちなみに以前のITUロング世界選手権の距離規定でもバイク120km以上、ランは30km以上となっていたこともあり、明らかにミドルとは違うと感じたのではないだろうか。

レースは、バイクをトップで終えた寺澤選手が11分差でスタート。この時点で、寺澤選手曰く、優勝を意識したとのこと。最後までトップをキープし、初優勝となっている。また、ゴールとなる宮古島陸上競技場の400mトラックに入ってからゴールスプリントが繰り広げられた。5位だった星選手を6位の山岸選手が第3コーナーから一気にスパートをかけ、逆転ゴールとなった。(昨年4月のオーシャンサイドで見せたサンダースばりの追い上げは見事だった。)

上位選手は続々と入ってくるが、まだまだ1周目で戦っている選手の方が多い。レース前の記者会見で太田選手が言っていたが、ランの時間帯が通常のロングよりも早い時間となり「熱中症」が懸念されると。まさに、慣れない時期に一気に夏の様相の中でのランは選手たちを苦しめた。

 

■Result

男子優勝は、初出場の寺澤光介選手で、2位に16分以上の大差をつけ優勝となっている。スイムとバイクラップはトップタイムでカバーし、ランで逃げ切っている。ただ、逃げ切ると言っても、ランスタート時にはすでに11分差をつけていたため、スイムとバイクで勝負を決めたと言って良いだろう。

「2019年に応援に来たことがあり、良い大会だと思っていたので、出られただけでもと思っていましたが、優勝できて嬉しいです。レース展開としては、バイクでいろいろな選手に追いつかれるかと思っていたのですが、後ろを確認したら追いつかれると思い、絶対に見ないように漕ぎました。そして、ランに入ってからは、後続選手と差が11分あったので、最後まで気持ち良く走れ、今後に繋がる良いレースができました。来年はディフェンディングチャンピオンとして頑張って行きたいです。ただ、今回の距離設定はスイムが得意な選手に有利だったので、私は良かったのですが、本来の距離でまた優勝をしたいと思います。」

男子総合
順位 No. 氏名 年齢 居住地 記録
1 406 寺澤 光介 29 東京都 6:04:47
2 261 大畑 亮介 41 東京都 6:21:13
3 696 土田 洋平 43 岐阜県 6:22:09
4 1 戸原 開人 34 茨城県 6:23:06
5 189 山岸 穂高 25 千葉県 6:23:26
6 182 星 大樹 34 千葉県 6:23:31
7 239 梅田 祐輝 38 東京都 6:25:36
8 603 篠崎 友 39 神奈川県 6:30:58
9 954 井辺 弘貴 28 和歌山県 6:33:14
10 380 高橋 豪一 47 東京都 6:33:48

女子優勝は、戸原明子選手で2位に4分差をつけ、初優勝となっている。スイム、バイク、ランのバランスの良い安定した走りが優勝に繋がっている。ラン後半の気迫溢れる走りが、その存在感を大きくしていた。

「最後まで諦めずに走り切ることができたのは、島のみなさんの応援のおかげでした。宮古島の方々、選手の方々に感謝しています。目標は3位以内でしたので、トップに立つまでは、優勝は意識していませんでした。トップになり、残り7.5kmになっても太田選手に抜けれるのではないかと思いつつ、優勝を意識し頑張りました。宮古島は大好きな島なので、また来年も来れたら良いなと思っています。」

女子総合
順位 No. 氏名 年齢 居住地 記録
1 8 戸原 明子 29 茨城県 7:08:21
2 9 太田 麻衣子 38 東京都 7:12:43
3 91 巖淵 知乃 33 埼玉県 7:15:41
4 828 宇治 公子 41 大阪府 7:31:19
5 769 前田 乙乃 25 愛知県 7:38:25
6 547 若月 由里佳 29 東京都 7:40:10
7 652 孫崎 虹奈 28 神奈川県 7:55:35
8 571 太田 成美 36 神奈川県 7:59:57
9 217 市川 典子 39 東京都 8:08:13
10 379 高橋 明実 48 東京都 8:09:02
翌日の上位入賞者記者会見

 

■Weather

最高レベルの天候だった。

前日のバイクチェックインでは、時折、本降りとなる雨となり、2019年の土砂降りを思い出させられた。雨が降れば、バイクでの危険性は高まり、速度低下、パンクなどメカトラブル、体調不良など、悪いことしか思いつかない。そんな中ではあったが、当日は、見事に快晴となった。もちろん、暑さも気になったが、雨と比べることでもなく、気分は否応なしに盛り上がる青空が広がっていた。

気象データ
時刻 7時 12時 17時
天候 晴れ 晴れ 晴れ
気温 20.0℃ 26.0℃ 25.3℃
水温 22℃
風向 北東 南南東
風速 2.4m/s 2.7m/s 3.4m/s

 

■Finisher rate

2011年以来の90%台を僅かながらだが超えることができた。

これも気になるデータとしていた。近年完走率が低迷し、2012年から90%を超えることができなかったからだ。今回は距離設定が短いため、完走率が上がることは予想していた。ただ、距離以上の過酷なレースとなっていた。完走率を左右するランは、アップダウンが多く、車ではフラットに感じるようなコースでも緩やかな上りが長く続いていたり、コースの最後には11%超える「壁」のような坂があった。それを2周回することは「30km」というイメージを超えていたのではないだろうか。

スタート スイム棄権 バイク棄権 ラン棄権 失格 完走者数 完走率
男子 952 20 34 35 0 863 90.7%
女子 155 6 6 6 0 137 88.4%
合計 1107 26 40 41 0 1000 90.3%

いずれにせよ、完走率が高まることは「真剣度」と「安全度」の高まりと言い換えることができるのではないかと思う。高齢化の前提の中でも、より質の高いトレーニングができていること、同時に各選手の安全性も高まる。

エイジのボリュームと推移は以下の通りだった。

5年前、2018年では、40~54までの3カテゴリーがトップ3の人数となっていて、そのシェアは58.4%だった。この時も「高齢化」のリアルなデータとして、現状を受け止めていたが、やはり、そのまま上がっている結果となった。5歳上り、45~59でトップ3その合計は、1.2ポイント増え、60%目前となっていた。

エイジが上がったことが危険ということではない。逆に、慎重にケアしながら楽しんでいる人が多いと感じる。今回、50歳以降の3カテゴリーは、完走率90%を切っている。前向きに捉えれば、「無理をしない」ということの表れかもしれない。

ここで言いたいことは、トレーニング強度及び頻度などの方法、トレーニング機材、特にバイク車種とそのフィッティングなど、より安全に、快適に、効率よく、年齢に合ったコトやモノが必要になり、考えるべきではないかということだ。

2018 2023
40-44 278 118
45-49 340 187 187
50-54 352 239 239
55-59 234
合計 970 544 660
比率 58.4% 49.1% 59.6%

そして、トレーニングからレースまで、トライアスロンを楽しむ中にも常に危険性はあり、慎重さを欠くことはできない。もちろん選手側だけではない、大会の安全設定など、両者で考え続けなければいけない。

 

 

 

「南の島で開催する唯一のロングの大会。守っていかなければいけない。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka