
今年の最速アイアンWOマンが決定した。優勝したのはノルウェーのSolveig Løvsethだった。
Solveig Løvsethは元々スイム出身、ランが速かったためトライアスロンに転向、バイクも速く、ノルウェー選手らしいバランスの取れた26歳だ。結果は残していないが、パリ五輪のオリンピアンでもある。アイアンマン70.3でも3度の優勝経験を持ち、今年のアイアンマンハンブルグでフルデビューし、8時間12分28秒という驚異的なタイムで3位に入っている、このタイムはアイアンマンデビューとしては史上最速記録でもあった。その後、アイアンマンレイクプラシッドでは初優勝を飾っていた。もちろん、注目されていたが、今回は運も味方し、見事優勝となった。
レース展開は波乱、混戦のKONAとなった。
スイムでは、周知の女王Lucy Charles-Barclayがトップに立ち、中盤では23分46秒という驚異的なタイムで先行していたが、復路ではうねりが強くなりペースダウンしたものの、前回のKONA(2023年)同様にトップタイムとなる49分29秒でフィニッシュしている。セカンドパックはTaylor Knibb、Chelsea Sodaro、Holly Lawrenceら7名、サードパックにバイクの強い選手含むLaura Philipp、Kat Matthews、Marjolaine Pierré、そして、優勝のSolveig Løvsethが入っていた。
バイクでは、Lucy Charles-Barclayがトップをキープしているが、2023年の時のように逃げ切れるのか。Knibb、Marta Sanchez、Lawrenceら、バイクの強い選手が猛追していた。その後、Philipp, Løvseth, Sodaro, Hannah Berry、Lisa Pertererらがチェイスパックを形成していた。2022年チャンピオンSodaroは、70kmで体調不良のため離脱している。
Knibbの猛追は続き、折り返しのハヴィを過ぎ10km地点でついにCharles-Barclayを捕らえトップに立った。その後、Charles-Barclayのダメージは続いた。意図しないゴミ捨てにより、イエローカードをもらい、1分間のペナルティとなってしまった。その間、cは、1分半のリードとなって、トップ争いが展開されていたが、「3番手」のLøvsethが迫っていた。その後、ランの速いPhilippとMatthews含む8名の選手が追いかけていたが、14分以上離れていた。そのままKnibbが逃げ切り、4時間31分トップでバイクフィニッシュしている。

ランが激戦となった。Knibbがトップスタートとはなったが、2位Charles-Barclayのビハインドはたったの1分半。前半15kmで徐々に差を詰め、クイーンKに入り、トップが入れ替わった。リードは僅か、目が離せない展開となった。12マイル付近では再びKnibbがトップに立った。Charles-Barclayは付いて行けず、Knibbがリードを広げて行った。この二人が勝負を決めると思われたが、Charles-Barclayは暑さのダメージにより、27kmでリタイアとなった。
Knibbの独走かと思われたが、2位走るLøvsethは勢いがあった。ラスト6kmでビハインドを2分に縮めプレッシャーをかけている。それでも逃げ切れると思われたが、残り3km強で、悲運の大ブレーキとなった。水分を補給したが、時既に遅し、歩き始め、停止、動けなくなった。悲痛な瞬間だった。
そして、Løvsethに大チャンスが舞い込んで来た。そのまま、トップでゴールとなった。ただ、この時、ランで猛追していたのはMatthewsで、2時間47分というランラップ1位のタイムでランをカバーしていたのだ。Løvsethはバイクのアドバンテージが優勝に繋がっていた。タイム差は僅か35秒、最後の最後まで劇的な展開となった。
男子に続き、ノルウェーが制した女子のアイアンマン。「ノルウェー」というキーワードが注目され、すでに久しいが、今年のアイアンマンでの活躍には驚かされた。
そして、最後の女子アイアンマン世界選手権、迷走していたアイアンマンは、来年4年ぶりに聖地KONAで男女同時開催の本来の姿に戻る。

Top five professional women’s results:
Place | Name (Country) | Swim | Bike | Run | Total Time |
1st | Solveig Løvseth (NOR) | 55:40 | 4:31:53 | 2:55:47 | 8:28:27 |
2nd | Kat Matthews (GBR) | 55:43 | 4:40:08 | 2:47:23 | 8:29:02 |
3rd | Laura Philipp (DEU) | 55:50 | 4:40:26 | 2:55:53 | 8:37:28 |
4th | Hannah Berry (NZL) | 52:02 | 4:44:37 | 3:04:32 | 8:46:25 |
5th | Lisa Perterer (AUT) | 55:41 | 4:40:50 | 3:06:03 | 8:48:08 |
エイジグループがあってのKONAだ。
13のエイジカテゴリー、78の国と地域から1600名以上の選手が走った。総合エイジチャンピオンとなったのはアラスカ州のSamantha Skold(W30-34)で9時間34分59秒という驚異的なタイムでフィニッシュしている。アメリカはその他、W50-54、W75-79でもタイトルを獲得し、3エイジカテゴリーで最多の世界チャンピオンとなった。
最年少世界チャンピオンは、オーストリアのHannah Rossler(W18-24)で9時間56分04秒を出している。一方、ニュージャージー州のNatalie Grabowは、W80-84カテゴリーで16時間45分26秒という驚異的なタイムだった。80歳でアイアンマン世界選手権を完走した最年長となり、2025年のアイアンマン殿堂入りを果たしたCherie Gruenfeldのこれまでの記録である78歳を破った。
Division | First Name | City, State, Country | Country Representing | Time |
W18-24 | Hannah Rossler | Vienna, Austria | Austria | 9:56:04 |
W25-29 | Lou Prigent | Versailles, France | France | 9:43:16 |
W30-34 | Samantha Skold | Anchorage, Alaska, USA | USA | 9:34:59 |
W35-39 | Joanna Soltysiak-Vrebac | Koło, Poland | Poland | 9:45:57 |
W40-44 | Christina Paulus | Hamelin, Germany | Germany | 9:57:09 |
W45-49 | Jana Richtrova | Spring, Texas, USA | Czech Republic | 10:03:31 |
W50-54 | Sharon Schmidt-Mongrain | Lafayette Hill, Penn., USA | USA | 10:06:55 |
W55-59 | Brigitte McMahon | Baar, Switzerland, USA | Switzerland | 10:40:21 |
W60-64 | Caroline Anderson | Claremont, Australia | Australia | 11:36:12 |
W65-69 | Sharon McDowell-Larsen | Grand Junction, Colo., USA | Canada | 12:30:37 |
W70-74 | Michele Allison | Wellington, New Zealand | New Zealand | 13:24:27 |
W75-79 | Sunny McKee | San Fransico, Calif., USA | USA | 15:51:50 |
W80-84 | Natalie Grabow | Mountain Lakes, N.J., USA | USA | 16:45:26 |
「男子に続き、ノルウェーの制覇となった」

Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka