MIYAKO Race Recap

37回目の宮古島大会が終わった。

国内トライアスロン皮切りのビッグレース、宮古島大会が4年ぶりに開催された。当日は、最高の天候に恵まれ、1200名の選手がレースを楽しんだ。

今回は、総距離が約46km短い、スイム3km、バイク123km、ラン30kmという距離と定員を500名減の1200名でのコロナ禍仕様となった。距離は短くなったが、開催の難しいロングで、しかも国内の代表格でもある宮古島が帰って来て、2023年はやっと戻れたという感覚ではないだろうか。前述の通り、距離など、まだ条件付きとはなるが、来年に向けたステップとして大きく動き出した。

昨年は佐渡や皆生も復活していたので、待ち望まれていた宮古島だった。今回は恐らく開催するだろうという期待をして、トレーニングもしっかりとやって来たという選手も多かったように感じる。待ちに待った「大人の大運動会」のために新調したバイクやウエアが目立ち、この3年間のストレスの発散と、再び宮古島を走れる喜びを噛み締めていた。

宮古島大会に限らずだが、ロングの開催はハードルが高く、多い。宮古島もしかりで、地元の応援はあるが、仕事や生活との融合とその理解を絶えず求めながらの根気と努力の賜物とも言える開催なのだ。よく言われる言い方となるが、大会は、選手のみならず、地元の人々、ボランティア、スタッフ、関係者など多くの人々によって開催が可能となる。

宮古島は唯一無二。その雰囲気は何度行っても良い。

 

■Race

【スイム 3km】※変更なし

透明度は高く、南国宮古島ならではの最高のロケーションとなる。コースは、2018年からの一周1.5kmを一度上陸し、2周回の3kmとなる。スタートは従来は一斉スタートだが、今回は300名づつの4ウェーブとなった。スタート間隔は各2分とし、7:00スタート、最終ウェーブは7:06のスタートとなっている。

ビーチからはさほど影響のない波のように見えていたが、選手からは口々に波があり、泳ぎづらかったという声が聞こえて来た。また、ブイが見えずらかったとも聞いている。そして、ウェーブスタートではあったが、終始バトル状態だった選手も少なくないようだ。スイムの苦手な選手にとってはハードルが高かったのではないだろうか。

レースは、ウェーブスタートのため、見かけと順位がずれてしまうが、優勝の寺澤選手が、スイムでトップタイムを出している。実際のバイクスタートは、第1ウェーブのロンドンオリンピック元日本代表の細田選手が2位となる7秒遅れの好タイムで先行スタート、2分遅れの第2ウェーブの寺澤選手が追いかけるカタチとなった。その後は集団となり、前回優勝の戸原選手を含むトップ選手たちが続いてバイクに移った。一方、一般選手は、泳ぎ易そうに見えていたが、潮流、バトル、視界などから3200~3300m程度の距離になり、楽ではなかったようだ。

今回、初のスキップ制度が導入されたことは朗報だった。すでに周知のルールとして、珍しいわけではない。競技的な記録は残らないが、スイムで無理をさせない安全性を考慮したものだ。そして、バイクとランもできるということの意味が大きい。スイムで終われば、朝の9時に全てが終わってしまう。宮古島は特別な大会、それまでに色々なものかけ、犠牲も払ってきた。ここで終わるわけには行かない。バイクができれば、ランができれば、どこまで行けるのか、次に繋げるためにも走っておきたい。

今回、スイムスキップした選手は8名。その選手たちも、きっと宮古島を楽しめたはず。

【バイク 123km】※157kmから短縮

コースは宮古島一周のトレースで、ほぼ従来と変わっていないが、来間島、伊良部島がカットされたようなコースとなっている。今回は強い風が吹かなかったことが功を奏していた。特に東側の池間島から東平安名崎までは強い向かい風に苦しめられることがある。今回は「気持ち良く走れた」などの声が聞こえて来た。

東平安名崎では、参加者数が500名少ないためか、団子状態はあまりなく、結果ドラフティングは抑えられているように見えた。ただ、東側のコースでは、ドラフティング状態があったように聞いている。ドラフティングはルール違反、また集団落車に繋がる可能性も高くなるため、避けたい。

レースは、スイムからトップに立った細田選手が先頭を走っていたが、東平安名崎(70km弱地点)手前で、車との接触事故が発生した。細田選手は幸いにもレースに復帰することができ、無事完走している。その後は寺澤選手が圧倒的な強さを見せ、2位を引き離し、独走状態となった。

そのまま、寺澤選手が、キープしトップでバイクを終えている。

【ラン 30km】※42.195kmから短縮及びコース変更

ランコースは一部以前のコースを走るものの、ほぼ変更となった。1周15kmを2周する。ランが30kmということで、アイアンマンやその他のロングと比較し「ロングではない」というイメージがあったが、暑さに慣れていない4月に27℃を記録、距離以上にハードなアップダウンなど、十分な「ロング感」はあった。ちなみに以前のITUロング世界選手権の距離規定でもバイク120km以上、ランは30km以上となっていたこともあり、明らかにミドルとは違うと感じたのではないだろうか。

レースは、バイクをトップで終えた寺澤選手が11分差でスタート。この時点で、寺澤選手曰く、優勝を意識したとのこと。最後までトップをキープし、初優勝となっている。また、ゴールとなる宮古島陸上競技場の400mトラックに入ってからゴールスプリントが繰り広げられた。5位だった星選手を6位の山岸選手が第3コーナーから一気にスパートをかけ、逆転ゴールとなった。(昨年4月のオーシャンサイドで見せたサンダースばりの追い上げは見事だった。)

上位選手は続々と入ってくるが、まだまだ1周目で戦っている選手の方が多い。レース前の記者会見で太田選手が言っていたが、ランの時間帯が通常のロングよりも早い時間となり「熱中症」が懸念されると。まさに、慣れない時期に一気に夏の様相の中でのランは選手たちを苦しめた。

 

■Result

男子優勝は、初出場の寺澤光介選手で、2位に16分以上の大差をつけ優勝となっている。スイムとバイクラップはトップタイムでカバーし、ランで逃げ切っている。ただ、逃げ切ると言っても、ランスタート時にはすでに11分差をつけていたため、スイムとバイクで勝負を決めたと言って良いだろう。

「2019年に応援に来たことがあり、良い大会だと思っていたので、出られただけでもと思っていましたが、優勝できて嬉しいです。レース展開としては、バイクでいろいろな選手に追いつかれるかと思っていたのですが、後ろを確認したら追いつかれると思い、絶対に見ないように漕ぎました。そして、ランに入ってからは、後続選手と差が11分あったので、最後まで気持ち良く走れ、今後に繋がる良いレースができました。来年はディフェンディングチャンピオンとして頑張って行きたいです。ただ、今回の距離設定はスイムが得意な選手に有利だったので、私は良かったのですが、本来の距離でまた優勝をしたいと思います。」

男子総合
順位 No. 氏名 年齢 居住地 記録
1 406 寺澤 光介 29 東京都 6:04:47
2 261 大畑 亮介 41 東京都 6:21:13
3 696 土田 洋平 43 岐阜県 6:22:09
4 1 戸原 開人 34 茨城県 6:23:06
5 189 山岸 穂高 25 千葉県 6:23:26
6 182 星 大樹 34 千葉県 6:23:31
7 239 梅田 祐輝 38 東京都 6:25:36
8 603 篠崎 友 39 神奈川県 6:30:58
9 954 井辺 弘貴 28 和歌山県 6:33:14
10 380 高橋 豪一 47 東京都 6:33:48

女子優勝は、戸原明子選手で2位に4分差をつけ、初優勝となっている。スイム、バイク、ランのバランスの良い安定した走りが優勝に繋がっている。ラン後半の気迫溢れる走りが、その存在感を大きくしていた。

「最後まで諦めずに走り切ることができたのは、島のみなさんの応援のおかげでした。宮古島の方々、選手の方々に感謝しています。目標は3位以内でしたので、トップに立つまでは、優勝は意識していませんでした。トップになり、残り7.5kmになっても太田選手に抜けれるのではないかと思いつつ、優勝を意識し頑張りました。宮古島は大好きな島なので、また来年も来れたら良いなと思っています。」

女子総合
順位 No. 氏名 年齢 居住地 記録
1 8 戸原 明子 29 茨城県 7:08:21
2 9 太田 麻衣子 38 東京都 7:12:43
3 91 巖淵 知乃 33 埼玉県 7:15:41
4 828 宇治 公子 41 大阪府 7:31:19
5 769 前田 乙乃 25 愛知県 7:38:25
6 547 若月 由里佳 29 東京都 7:40:10
7 652 孫崎 虹奈 28 神奈川県 7:55:35
8 571 太田 成美 36 神奈川県 7:59:57
9 217 市川 典子 39 東京都 8:08:13
10 379 高橋 明実 48 東京都 8:09:02
翌日の上位入賞者記者会見

 

■Weather

最高レベルの天候だった。

前日のバイクチェックインでは、時折、本降りとなる雨となり、2019年の土砂降りを思い出させられた。雨が降れば、バイクでの危険性は高まり、速度低下、パンクなどメカトラブル、体調不良など、悪いことしか思いつかない。そんな中ではあったが、当日は、見事に快晴となった。もちろん、暑さも気になったが、雨と比べることでもなく、気分は否応なしに盛り上がる青空が広がっていた。

気象データ
時刻 7時 12時 17時
天候 晴れ 晴れ 晴れ
気温 20.0℃ 26.0℃ 25.3℃
水温 22℃
風向 北東 南南東
風速 2.4m/s 2.7m/s 3.4m/s

 

■Finisher rate

2011年以来の90%台を僅かながらだが超えることができた。

これも気になるデータとしていた。近年完走率が低迷し、2012年から90%を超えることができなかったからだ。今回は距離設定が短いため、完走率が上がることは予想していた。ただ、距離以上の過酷なレースとなっていた。完走率を左右するランは、アップダウンが多く、車ではフラットに感じるようなコースでも緩やかな上りが長く続いていたり、コースの最後には11%超える「壁」のような坂があった。それを2周回することは「30km」というイメージを超えていたのではないだろうか。

スタート スイム棄権 バイク棄権 ラン棄権 失格 完走者数 完走率
男子 952 20 34 35 0 863 90.7%
女子 155 6 6 6 0 137 88.4%
合計 1107 26 40 41 0 1000 90.3%

いずれにせよ、完走率が高まることは「真剣度」と「安全度」の高まりと言い換えることができるのではないかと思う。高齢化の前提の中でも、より質の高いトレーニングができていること、同時に各選手の安全性も高まる。

エイジのボリュームと推移は以下の通りだった。

5年前、2018年では、40~54までの3カテゴリーがトップ3の人数となっていて、そのシェアは58.4%だった。この時も「高齢化」のリアルなデータとして、現状を受け止めていたが、やはり、そのまま上がっている結果となった。5歳上り、45~59でトップ3その合計は、1.2ポイント増え、60%目前となっていた。

エイジが上がったことが危険ということではない。逆に、慎重にケアしながら楽しんでいる人が多いと感じる。今回、50歳以降の3カテゴリーは、完走率90%を切っている。前向きに捉えれば、「無理をしない」ということの表れかもしれない。

ここで言いたいことは、トレーニング強度及び頻度などの方法、トレーニング機材、特にバイク車種とそのフィッティングなど、より安全に、快適に、効率よく、年齢に合ったコトやモノが必要になり、考えるべきではないかということだ。

2018 2023
40-44 278 118
45-49 340 187 187
50-54 352 239 239
55-59 234
合計 970 544 660
比率 58.4% 49.1% 59.6%

そして、トレーニングからレースまで、トライアスロンを楽しむ中にも常に危険性はあり、慎重さを欠くことはできない。もちろん選手側だけではない、大会の安全設定など、両者で考え続けなければいけない。

 

 

 

「南の島で開催する唯一のロングの大会。守っていかなければいけない。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka