ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜2023 “ GERONIMO ANALYSIS ”

WTCS横浜2023におけるバイク分析データとなる。

2015年からの定点観測となる横浜のバイクカウントは9年目となった。トライアスロンバイクではないので、劇的な変化はないのだが、「Sign / Trend / Standard」の3段階では動いている。また、ここでは、「エリート」のカウントとなるため、エイジグループのような「人気ランキング」ではなく、プロ及びプロに準ずる選手、そして、メーカーの動きと言えるだろう。

トライアスロンへ注力するメーカーはどこなのか、もちろんバイクメーカーだけではない。各パーツメーカーも特徴が出ている。国内でトライアスロンが始まって43年、オリンピックでの正式種目となって6回、今や自転車系競技としてのメーカー注目度も高く、安定していて、開発にも繋がっている。そんな「メーカー色」はどのように表れていたのだろうか。

いずれにしても限られた「120名」の選手のバイクからの分析であることを前提にしつつも、オリンピックに次ぐWT(ワールドトライアスロン)最高峰のシリーズ戦としての結果でもある。

まずは、ウィナーズバイクをチェック。エリート男子はキャニオン、エリート女子は今年もスペシャライズドで5連覇となった。

 

エリート男子のウィナーズバイクは、ヘイデン・ワイルド選手が使用したキャニオンAEROAD CF SLXだった。現在、トライアスロン界においても注目の急上昇株となるキャニオンだ。ワイルドのバイク仕様は、メインコンポーネントにスラムRed etap、今やスラム代名詞フロントシングルのワンバイ、ブレーキレバーは極端に倒し込みフレアなポジションとしている。ホイールはジップ454の53/58mm高、サドルはエルゴンSR Comp Men、パワーメーターはクウォークとなっていた。

エリート女子のウィナーズバイクは、ソフィー・コールドウェル選手が使用したスペシャライズドS-WORKS TARMAC SL7だった。スペシャライズドはWTCS 横浜エリート「御用達」であり、女子5連覇のスーパーバイクだ。コールドウェルのバイク仕様は、メインコンポーネントにスラムRed etap、ブレーキレバーは倒し込まず、フレアにはしていない。ホイールはロバールをフロント50mm、リア60mmの組合せ、サドルはスペシャライズドS-WORKS WITH MIRROR、パワーメータはクウォークとなっていた。

 

【ブランド別使用率】

ワールドトライアスロンチャンピオンシップシリーズ横浜 2023 “ GERONIMO COUNT ”

【詳細分析】

各ポイントについて分析している。つまり「仕様」となるわけだが、言い方を変えれば各選手の「好み」ということも言える。まずは、「トライアスロン」で使用するバイクの主な特性について、その動きを見てみた。

下記の3点は、「エアロダイナミクス」に関わるファクターとなるが、ドラフティングレースとなるWTS横浜では、「ロードレース」に近いため、必ずしも絶対条件ではない。ただ昨今「バイクの重要性」に注目が集まる中で、単なるロードレース化ではないため、選手の対応が機材面のバイクという形となって表れている。

  • ①エアロロード
  • ②ホイールリムハイト
  • ③フレアポジション

下記の3点は、トレンドからスタンダードへ移行している。電動変速システムは、完全普及となったのだろうか。また、ディスクブレーキは、バイク本体の新型化との関係性が大きいため増えていることが予想される。そして、パワーメーターは、一般的には高価なイメージがあるが、今や「絶対アイテム」だけに、その使用は必須だろう。

  • ④メインコンポーネント
  • ⑤ディスクブレーキとモデル別使用率
  • ⑥パワーメーター

下記の2点は、流行りも含めスペシャルパーツの動きとなる。ビッグプーリーも話題としては久しいが、現在どうなっているのか。そして、18年からスラムのワンバイをきっかけとして、コナでは確実に伸びを見せているフロントシングルは、昨年確認され、今年は増えているのだろうか。

  • ⑦ビッグプーリー
  • ⑧ワンバイ

前提として、WTCS横浜2023の120選手の結果であり、全てを計るものではないが、概ね、方向性について大いに参考になると考えている。

 

#40ブルンメンフェルトのジャイアントPROPEL ADVANCED SL

【エアロロード】

このカテゴライズが難しくなって来ている。ここで前提を確認する必要がある。「エアロロード」と定義されるのは、軽量オールラウンドバイクを設定している場合に絞っている。十分なエアロダイナミクスを持ちながらも基本を「1タイプ」としているピナレロやVENGEがなくなったスペシャライズドは含まれていない。キャニオン、ジャイアント、サーヴェロなどタイプ分けをしているメーカーの中のエアロロードのカウントとなる。

フレーム 男子 女子 合計 使用率
エアロ 27 15 42 35.0%
非エアロ 33 45 78 65.0%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は35.0%だった。2018年の50.0%をピークに昨年は43.5%、今回は40%を大きく割った。繰り返しになるが、前述の通り「カテゴリー分け」をしない傾向が伸びれば、更に減っていくことになる。

ここで言えることは2つ。1つは、より軽くて、エアロダイナミクスの高い、スーパーオールラウンドバイクの完成度が高まること。そして、もう一つは、明確に「エアロロード」として、エアロダイナミクスを追求するバイクが出来ることだ。ロードバイクの中に「トライアスロン適正」の高いモデルとして期待も出来るかもしれない。

ここで言うGERONIMO的トライアスロン適正とは以下の3つ。

  1. エアロダイナミクス
  2. ジオメトリー
  3. 快適性

3つ揃えば最高だが現実的には難しい。ショートなら1つ以上、ミドル、ロングなら2つクリアすれば理想だろう。特にエアロダイナミクスはごく当たり前に話題となるが、AVスピードの高くない選手が使用した場合、効果の見込みは低いばかりでなく、剛性の高さから快適性を落としてしまっている可能性がある。

トライアスロンにおけるバイクパートはランへの繋ぎであり「ランにダメージを残さない」と言う大命題からバイクを選ばなければならない。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 CANYON AEROAD CF SLX 4 1 5 11.9%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 4 1 5 11.9%
cervelo S5 4 1 5 11.9%
4 SCOTT FOIL 1 2 3 7.1%
5 TREK MADONE SLR 6th 2 0 2 4.8%
cannondale SystemSix 2 0 2 4.8%
BMC Time Machine Road 01 2 0 2 4.8%
TREK MADONE SLR 7th 1 1 2 4.8%
9 BH AEROLIGHT 1 0 1 2.4%
STEVENS ARCALIS 1 0 1 2.4%
Bianchi OLTRE XR4 1 0 1 2.4%
GIANT PROPEL ADVANCED PRO 1 0 1 2.4%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 2022 1 0 1 2.4%
SPECIALIZED S-WORKS VENGE 1 0 1 2.4%
LAPIERRE AIRCODE DRS 1 0 1 2.4%
LOSA AERO 21D 0 1 1 2.4%
FELT AR 0 1 1 2.4%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 0 1 1 2.4%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 2022 0 1 1 2.4%
Wilier FILANTE SLR 0 1 1 2.4%
SCOTT FOIL 2022 0 1 1 2.4%
KOGA KINSEI 0 1 1 2.4%
PARDUS SPARK EVO 0 1 1 2.4%
BMC Time Machine Road 01 0 1 1 2.4%
合計 27 15 42 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

トップエアロロードはキャニオン、ジャイアント、サーヴェロの三つ巴となった。

キャニオンは今回のウィナーズバイクでもあるが、現在、トライアスロン界の大注目株として今後も上位が期待される。ジャイアントは、ノルウェー勢のブルンメンフェルト、イデン両選手が使用するバイクとして注目度が高い。ジャイアントはTCRが存在するが、PROPELはシート周りが細身となり、どちらかと言えばオールラウンド傾向が強まった「Tarmac化」と言えるだろう。そして、元祖エアロロード、サーヴェロは、2010年のスペシャライズドVENGEの「エアロロード」カテゴリー以前から注力しトライアスロンにおける絶対的な地位を築いている。

エアロロードの代名詞とも言えるトレックのMADONEは旧型も含まれるため、順位を落としているが、来年は復活だろう。

 

【ホイールリムハイト】

トライアスロンを象徴するリムハイトの高いホイールは、WTCS横浜大会においてもGERONIMO COUNT当初より、多少動きはあるものの、より一層のDeep化が進み、ここ数年で、一定のところまで来たと言うイメージだ。

ホイールは、前後により目的が異なる。大きくはエアロダイナミクスと高速巡航性だ。フロントは、エアロダイナミクスと、横風などの影響からハンドリングを考慮したチョイスとなる。概ね50mmを超えてくると、ハンドルを切った時に重さ(空気抵抗)を感じるくらいとなるが、各社1~3mm程度のハイト差でシビアなコントロールをしている。また、リアは、エアロダイナミクスとともに更に重要となるのは、「高速巡航性」となる。これはホイールの縦剛性と大きく関係してくる。レースコンディションにもよるが、リアにディスクホイールを使用するのはそのためだ。ただ、その反面として、剛性が高過ぎれば、脚への負担も大きくなる。その辺りのバランスを見ながら、選手たちはホイールを決定する。

このハイトだけで述べるのはやや乱暴ではあるが、概ね傾向は出ている。本来ならば、メーカー間の「重量剛性比」など更に掘り下げる中で、カウントの精度は高まるのだろう。また、一般選手において、エアロダイナミクスはある程度走る力が必要だが、剛性による高速巡航性は誰でも体感できる。一定の速度で走り続け易くなるということだ。そんな極めて重要な武器がホイールだ。

男子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 20 33.3% 37 61.7%
50~54mm 26 43.3% 12 20.0%
40~49mm 11 18.3% 10 16.7%
30~39mm 3 5.0% 1 1.7%
29mm以下 0 0.0% 0 0.0%
合計 60 100.0% 60 100.0%
女子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 10 16.7% 22 36.7%
50~54mm 26 43.3% 17 28.3%
40~49mm 15 25.0% 14 23.3%
30~39mm 8 13.3% 6 10.0%
29mm以下 0 0.0% 0 0.0%
不明 1 1.7% 1 1.7%
合計 60 100.0% 60 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は男女ともに同様の傾向となった。昨年の男子は前後ともに55mm以上がトップだったが、フロントが少し低いホイールが選ばれている。女子もフロントに動きが出て、55mm以上と40~49mmが多かったが、男子と同じハイトに集約された。また、40mm未満は圧倒的に少なくなり、重量と剛性のメリットとデメリットを考慮する中でも強い傾向が出ている。リアの55mm以上はほぼ60mmやそれ以上なるのだが、この結果からはロバールのようなフロント50mm、リア60mm程度の組合せが見えてくる。スペシャライズドが多いが、他のホイールメーカーも含め、傾向は明からかとなっている。

そして、ホイールメーカーの使用率は、下記の通りの結果だった。

順位 ブランド 男子 女子 合計 使用率
1 ROVAL 14 11 25 20.8%
2 DT 9 11 20 16.7%
3 CADEX 6 6 12 10.0%
4 ZIPP 5 3 8 6.7%
5 BONTRAGER 3 4.5 7.5 6.3%
6 PRINCETON 5 1 6 5.0%
MAVIC 4 2 6 5.0%
8 ENVE 3 2 5 4.2%
HUNT 2 3 5 4.2%
10 SHIMANO 3 1 4 3.3%
11 CAMPAGNOLO 0 3 3 2.5%
12 HOLLOWGRAM 2 0 2 1.7%
FFWD 1 1 2 1.7%
FULCRUM 0 2 2 1.7%
15 Reserve 1 0.5 1.5 1.3%
16 CYP 1 0 1 0.8%
GIANT 1 0 1 0.8%
Dedaelementi 0 1 1 0.8%
EASTON 0 1 1 0.8%
Lightweight 0 1 1 0.8%
Lun 0 1 1 0.8%
SCOPE 0 1 1 0.8%
session 0 1 1 0.8%
SWISS SIDE 0 1 1 0.8%
tune 0 1 1 0.8%
不明 0 1 1 0.8%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

予想通りのロバールが1位となった。スペシャライズドのバイク本体が多いため、予想された結果でもあるが、ホイールは走りに大きく影響するため、その実績の裏付けとも言えるだろう。また、昨年、初めてトップとなったDTスイスは少し減ってしまったが、2019年以降の伸びで変わらずトップクラスであることは間違いない。そして、気になるのがカデックスだ。昨年は6台に使用されていたが、今年は倍増となった。カデックスは、ブルンメンフェルト、イデン両選手を通し、トライアスロンへの注力も高くなっているだけに今後も注目となるだろう。

 

【フレアポジション】

昨年までショートにおいてもカスタムや新世代のDHバーなど見られ、新たな方向性への「兆し」が出ていたが、使用できなくなり、その装着率はノーカウントとなった。ただ、その必要性を感じる選手は、ブレーキレバーを内側に傾けたセッティングをしていた。2021年にリリースされたシマノDURA-ACEでもそこへの対応を考慮したものとしている。

バイク正面から見ると「八の字」にセットされたブレーキレバーはフレアと言える状態だ。元々ドロップハンドルではなく、ランドナーバーのように上が狭く、下ハンが広がったような形状のハンドルを使い、自然に内向きになるようにセットして使われていた。横浜で使用されたハンドルは通常のドロップに対し、ブレーキレバーを内側に倒して固定されているものだが、その数も多さからチェック対象となった。

男子 女子 合計 使用率
設定 29 18 47 39.2%
未設定 31 42 73 60.8%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は高かったと見ている。この39.2%は、明らかに分かる大きく曲げたもののみのカウントであり、僅かに曲げている選手も含めると68.3%にものぼる。ただ本来の「DHポジション効果」を得るためには身体の幅を狭くしたいため、よりブレーキレバーを倒し込む必要があるが、ダンシングでは使用できなくなることや取付そのものの安全性もあり限界はある。

「より良く」と言うことだろうし、可能な範囲でセットすることになるのだが、今後の期待も高まる。とにかくブレーキは確実にかけることができる「安全性の高いエアロポジション」と言うことができるからだ。DHバーと同じ効果とはいかないが、更なる進化により、必要十分なエアロダイナミクスが期待できるようなものが開発されることは極めて望ましい。

 

【メインコンポーネント】

2012年普及モデルのシマノULTEGRA Di2のリリースから12年目となるが、電動変速は完全定着している。その扱い易さは一度使えば、戻すことはないだろう。昨年の装着率は94.6%だったので、もう少しと言った感じだったが、今回は120台中119台の使用となる99.2%だった。もうカウントの必要はない。

ここでは、電動変速だけではなく、メインコンポーネントとして、どのモデルの使用率が高いのか見ているが、やはり「スラム」の勢いが気になる。シマノより早かった12スピード化、完全ワイヤレス電動変速、軽量性、ワンバイなど、スラムは独自の「面白さ」を追求している。

結果は以下の通りだった。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 シマノ DADi2 25 21 46 38.3%
2 シマノ ULT Di2 14 16 30 25.0%
3 スラム Red etap 13 12 25 20.8%
4 スラム Force etap 7 8 15 12.5%
5 スラム Rivaletap 1 2 3 2.5%
6 シマノ DA 0 1 1 0.8%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

予想するまでもなくシマノが多いのだが、スラムは確実に伸ばしている。一昨年26.0%、昨年29.3%、そして、今年は35.8%まで伸びていた。今後の勢いとともに「スラムらしい」製品開発に期待したい。

 

【ディスクブレーキとモデル別使用率】

電動変速同様に普及が期待されているが、Di2と比較すると短期間での完全普及となった。ディスクブレーキは、スペシャライズドが早く、2017年モデルから出始めているが、トレックは2020年モデルからのスタートだったため、概ね2020年がディスクブレーキ元年と言えるだろう。その後4年でディスクブレーキ化が整った。昨年の普及率は88.0%だったが今年は99.2%(1台のみ非ディスクモデル)となり、ディスクブレーキへの移行は完了した。

ディスクブレーキ普及の背景には、安全性が挙げられる。ディスクブレーキありきではなく、ワイド化されたホイール、チューブレスタイヤなど、足回りが強化され、同時に制動力向上も進められた来た。ある意味、安全面においては、電動変速やその他のパーツなどと比べられないくらいの重要性があった。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 SPECIALIZED S-WORKS TARMAC SL7 8 15 23 19.3%
2 SCOTT ADDICT RC 2 5 7 5.9%
3 VENTUM NS1 2 4 6 5.0%
4 LAPIERRE XELIUS 3 2 5 4.2%
CANYON AEROAD CF SLX 4 1 5 4.2%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 4 1 5 4.2%
cervelo S5 4 1 5 4.2%
8 BMC Team Machine SLR01 2 2 4 3.4%
9 BMC Time Machine Road 01 2 1 3 2.5%
SCOTT FOIL 1 2 3 2.5%
TREK EMONDA 0 3 3 2.5%
12 FOCUS IZALCO MAX 2 0 2 1.7%
TREK MADONE SLR 6th 2 0 2 1.7%
cannondale SystemSix 2 0 2 1.7%
TREK MADONE SLR 1 1 2 1.7%
cannondale supersix evo 1 1 2 1.7%
SPECIALIZED TARMAC SL6 1 1 2 1.7%
ROSE XLITE 0 2 2 1.7%
SWIFT RACEVOX 0 2 2 1.7%
20 LAPIERRE AIRCODE DRS 1 0 1 0.8%
BH AEROLIGHT 1 0 1 0.8%
STEVENS ARCALIS 1 0 1 0.8%
PINARELLO DOGMA F 1 0 1 0.8%
PINARELLO DOGMA F12 1 0 1 0.8%
TREK EMONDA SL7 1 0 1 0.8%
Bianchi OLTRE XR4 1 0 1 0.8%
FACTOR OSTRO VAM 1 0 1 0.8%
GIANT PROPEL ADVANCED PRO 1 0 1 0.8%
GIANT PROPEL ADVANCED SL 2022 1 0 1 0.8%
PROCYCLE Rennrad 1 0 1 0.8%
SPECIALIZED S-WORKS VENGE 1 0 1 0.8%
THOEMUS SLIKER PRO 1 0 1 0.8%
ARGON18 SUM PRO 1 0 1 0.8%
GIANT TCR 1 0 1 0.8%
BH ULTRALIGHT 1 0 1 0.8%
COLNAGO V3Rs 1 0 1 0.8%
Wilier Zero SL 1 0 1 0.8%
STEVENS XENON DISC 0 1 1 0.8%
COLNAGO V4Rs 0 1 1 0.8%
CANYON ULTIMATE CF SLX 0 1 1 0.8%
3T STRADA 0 1 1 0.8%
PARDUS SPARK EVO 0 1 1 0.8%
PROCYCLE Rennrad 0 1 1 0.8%
KOGA KINSEI 0 1 1 0.8%
SCOTT FOIL 2022 0 1 1 0.8%
Wilier FILANTE SLR 0 1 1 0.8%
PINARELLO F12 0 1 1 0.8%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 2022 0 1 1 0.8%
Liv ENVILIV ADVANCED PRO 0 1 1 0.8%
TREK EMONDA SLR 0 1 1 0.8%
FELT AR 0 1 1 0.8%
SPECIALIZED AETHOS 0 1 1 0.8%
LOSA AERO 21D 0 1 1 0.8%
合計 59 60 119 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

ここではディスクブレーキ仕様の普及率を見ていたが、ほぼディスクブレーキ化が整ったため、実質のモデル別の使用率となっている。台数の多いスペシャライズドが1位となっているのだが、具体的にはTARMAC SL7が驚異の23台使用されている。スペシャライズドのトライアスロンへの注力と2016年からいち早く、ディスクブレーキ化を進めていたことなどから結果に繋がっている。

スペシャライズドは、やはりMTBも含めた総合メーカーであることがディスクブレーキにも強く、シビアなカーボンコントロールが必要なロードバイクのディスクブレーキ化にもフィードバックが活かされている。

今や安全性向上は当然だが、エアロダイナミクスとの融合を期待しているメーカーも少なくない。もちろん、難しい開発とはなるが、ディスクブレーキありきではなく、総合的に進化させて来ている。

 

【パワーメーター】

ノンドラフティングのトライアスロンの場合、レースでは、ほぼ「一定」のマイペースを刻んで走る。一定にすることが最も効率が良い走りとなるからだ。では、その一定とは「何」を一定にするのだろうか。もちろん、速度ではない。ハートレートが一般的だったが、リアルタイムでペースを一定にできるのが、パワーメーターなのだ。ロードレースでは、タイプによるが、速度の加減速もあり、駆け引きというタイミングもある。それに対し、トライアスロンでは、練習からレースまでフル活用が可能となるだろう。もちろん、距離、コースにも影響はされるが、概ね「コンスタント」な走りがベストパフォーマンスに繋がる。電動変速システムDi2もトライアスロンでの使用は、大きなメリットがあったが、同様にパワーメーターもトライアスリートにこそ、必要なアイテムと言えるだろう。

男子 女子 合計 使用率
使用 50 52 102 85.0%
未確認 10 8 18 15.0%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

まずは使用率だが、これは恐らく100%と考えている。「未確認」としているのは装着の確認ができなかった台数だが、普段のトレーニング時に使用していないことは考えられないからだ。少なくともスマートトレーナーで確認はしているはずだ。また、WTCSのレースの特性上、ペースが一定でないため、当日必要ないということも言えだるだろう。クランク型の場合はそのままとなるが、ペダルの場合は簡単に交換ができる。

そして、確認できたパワーメーターは以下の通りとなる。

順位 ブランド タイプ 男子 女子 台数 使用率
1 QUARQ クランク 17 16 33 27.5%
2 SHIMANO クランク 12 7 19 15.8%
3 Favero ペダル 6 8 14 11.7%
4 GARMIN ペダル 4 6 10 8.3%
5 4iiii クランク 3 4 7 5.8%
6 ROTOR クランク 1 5 6 5.0%
7 POWER2MAX クランク 0 4 4 3.3%
8 SRM クランク 2 1 3 2.5%
9 wahoo ペダル 2 0 2 1.7%
PIONEER クランク 1 1 2 1.7%
11 SPECIALIZED クランク 1 0 1 0.8%
STAGES クランク 1 0 1 0.8%
13 未確認 10 8 18 15.0%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

クウォークの伸長率が凄かった。2018年では16.7%、昨年は21.7%からの27.5%は明かな勢いを感じる。スラムのコンポーネントが伸びていることとも大きく関係しているが、この数字には驚かされる。また、シマノも確実に伸ばし、昨年の12台から19台となっている。そして、3位と4位にペダル型が入っている。エイジ選手に人気のあるペダル型として、この2ブランドは、比較されることが多いと思うが、いずれにしてもペダル型となるケースも多いだろう。「ペダルグループと見た場合、合わせて24台となるため、タイプ別での使用率も要チェックとなるだろう。

 

【ビッグプーリー】

ビッグプーリーもトレンドと言われ久しいが、その後、動きはあったのだろうか。効果の大きさは、「体感」できる数少ないパーツでもある。回転時の抵抗が大きく軽減されることで、ペダリング効率を向上させている「アイデアパーツ」だ。ビッグプーリーは、チェーン、プーリーのベアリングの摩耗を抑え、最大の体感は、アウターローでの状態で確認できる。各社鎬を削りリリースしているが、プーリーケージ(本体)の剛性が大きなポイントとなるだろう。

男子 女子 合計 使用率
使用 6 9 15 12.5%
不使用 54 51 105 87.5%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

使用台数は、昨年と同じ15台ではあったが、選手数から見ると4ポイント近く落ちている。ただサンプル数が少ないため、何とも言えない結果でもある。今後も大きく流行ることはないかもしれない。リアディレーラーの改造パーツでもあるため、コンポーネントメーカーとの契約なども関係しているだろう。また、専属メカニックなどが帯同する場合は良いが、調整がシビアであったり、輸送に気を使うなどから敬遠されている可能性もある。ただ、使用率が少ないから悪いということではない。むしろ画期的なパーツと考えている。

順位 ブランド 男子 女子 使用台数 使用率
1 ceramicspeed 4 6 10 66.7%
2 NOVA RIDE 1 2 3 20.0%
3 KOGEL 1 0 1 6.7%
CyclingCeramic 0 1 1 6.7%
合計 6 9 15 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

少ない中での比較であるが、セラミックスピードが昨年より伸ばし、シェアを獲っていた。昨年から登場となっているノバライドも健闘、そして、超軽量となるサイクリングセラミックなどマニアックなパーツを使用する選手もいる。

 

【ワンバイ】

スラムの専売特許とも言える「ワンバイ」は2018年のコナで19台確認、翌年2019年では、63台に増えていた。その63台のうち20台はプロ選手の使用となる。このパーツが普及の兆しを見せているのは、スムースで単純な変速動作とそのデメリットが少ないことが挙げられる。ワンバイは単純にフロントをシングルにして、ディレーラーを外しただけではない。それをすればすぐにチェーンが脱落してしまう。スラムだからこそできているシステムとなる。チェーンとチェーンリングの噛み合いをX-syncという構造で極めてマッチングの高い造りとなっている。写真と同じ状態で使用する選手も多いが脱落防止パーツを取り付けることもできる。

現在、アイアンマンの世界ではこのシンプルな構造と見た目が新しいトライアスロンバイクの姿として注目を集めている。

男子 女子 合計 使用率
使用 3 1 4 3.3%
不使用 57 59 116 96.7%
合計 60 60 120 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、昨年から1台減っての4台だったが、男子の1台は優勝のワイルド選手のバイクだ。実は昨年も優勝のイー選手も使用するなど、結果としての勝率は高い仕様と言える。KONAでは増加傾向にあるが、一昨年初めて確認し驚いた。まだビッグプーリー同様、大きく伸びることはないがこれもスラムらしさであり、一般選手には大いに推奨できるシステムだ。明かにストレスフリーとなる変速動作が最大のメリットだ。

 

最後に。

ショートの世界最高峰シリーズが手軽に横浜で見られることに興奮する。身体とともに研ぎ澄まされた無駄のないバイクのセッティングは面白い。選手の考えもあるだろう。メーカーの意向もあるだろう。いずれにしてもグローバルの動きを感じることができるWTCS横浜は面白い。

 

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=45211

 

 

「トライアスロンにおけるスペシャライズドの勢いは止まらない。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka