2025 IRONMAN WorldChampionship in KONA Result

KONA-KAILUA, HI – OCTOBER 11: Sollveig Lovseth of Norway wins the 2025 IRONMAN Women’s World Championship on October 10, 2025 at the Kailua-Kona, Hawaii. (Photo by Donald Miralle for IRONMAN)

今年の最速アイアンWOマンが決定した。優勝したのはノルウェーのSolveig Løvsethだった。

Solveig Løvsethは元々スイム出身、ランが速かったためトライアスロンに転向、バイクも速く、ノルウェー選手らしいバランスの取れた26歳だ。結果は残していないが、パリ五輪のオリンピアンでもある。アイアンマン70.3でも3度の優勝経験を持ち、今年のアイアンマンハンブルグでフルデビューし、8時間12分28秒という驚異的なタイムで3位に入っている、このタイムはアイアンマンデビューとしては史上最速記録でもあった。その後、アイアンマンレイクプラシッドでは初優勝を飾っていた。もちろん、注目されていたが、今回は運も味方し、見事優勝となった。

レース展開は波乱、混戦のKONAとなった。

スイムでは、周知の女王Lucy Charles-Barclayがトップに立ち、中盤では23分46秒という驚異的なタイムで先行していたが、復路ではうねりが強くなりペースダウンしたものの、前回のKONA(2023年)同様にトップタイムとなる49分29秒でフィニッシュしている。セカンドパックはTaylor Knibb、Chelsea Sodaro、Holly Lawrenceら7名、サードパックにバイクの強い選手含むLaura Philipp、Kat Matthews、Marjolaine Pierré、そして、優勝のSolveig Løvsethが入っていた。

バイクでは、Lucy Charles-Barclayがトップをキープしているが、2023年の時のように逃げ切れるのか。Knibb、Marta Sanchez、Lawrenceら、バイクの強い選手が猛追していた。その後、Philipp, Løvseth, Sodaro, Hannah Berry、Lisa Pertererらがチェイスパックを形成していた。2022年チャンピオンSodaroは、70km体調不良のため離脱している。

Knibbの猛追は続き、折り返しのハヴィを過ぎ10km地点でついにCharles-Barclayを捕らえトップに立った。その後、Charles-Barclayのダメージは続いた。意図しないゴミ捨てにより、イエローカードをもらい、1分間のペナルティとなってしまった。その間、cは、1分半のリードとなって、トップ争いが展開されていたが、「3番手」のLøvsethが迫っていた。その後、ランの速いPhilippとMatthews含む8名の選手が追いかけていたが、14分以上離れていた。そのままKnibbが逃げ切り、4時間31分トップでバイクフィニッシュしている。

KAILUA KONA, HAWAII – OCTOBER 11: Taylor Knibb #6 of the United States and Lucy Charles-Barclay #5 of England compete in the run portion during the 2025 IRONMAN World Championship Women’s Race on October 11, 2025 in Kailua Kona, Hawaii. (Photo by Ezra Shaw/Getty Images for IRONMAN)

ランが激戦となった。Knibbがトップスタートとはなったが、2位Charles-Barclayのビハインドはたったの1分半。前半15kmで徐々に差を詰め、クイーンKに入り、トップが入れ替わった。リードは僅か、目が離せない展開となった。12マイル付近では再びKnibbがトップに立った。Charles-Barclayは付いて行けず、Knibbがリードを広げて行った。この二人が勝負を決めると思われたが、Charles-Barclayは暑さのダメージにより、27kmでリタイアとなった。

Knibbの独走かと思われたが、2位走るLøvsethは勢いがあった。ラスト6kmでビハインドを2分に縮めプレッシャーをかけている。それでも逃げ切れると思われたが、残り3km強で、悲運の大ブレーキとなった。水分を補給したが、時既に遅し、歩き始め、停止、動けなくなった。悲痛な瞬間だった。

そして、Løvsethに大チャンスが舞い込んで来た。そのまま、トップでゴールとなった。ただ、この時、ランで猛追していたのはMatthewsで、2時間47分というランラップ1位のタイムでランをカバーしていたのだ。Løvsethはバイクのアドバンテージが優勝に繋がっていた。タイム差は僅か35秒、最後の最後まで劇的な展開となった。

男子に続き、ノルウェーが制した女子のアイアンマン。「ノルウェー」というキーワードが注目され、すでに久しいが、今年のアイアンマンでの活躍には驚かされた。 

そして、最後の女子アイアンマン世界選手権、迷走していたアイアンマンは、来年4年ぶりに聖地KONAで男女同時開催の本来の姿に戻る。

KAILUA KONA, HAWAII – OCTOBER 11: (L-R) Kat Matthews #2 of the United Kingdom, Solveig Lovseth #16 of Norway and Laura Philipp #1 of Germany pose for a photograph after the 2025 IRONMAN World Championship Women’s Race on October 11, 2025 in Kailua Kona, Hawaii. (Photo by Sean M. Haffey/Getty Images for IRONMAN)

Top five professional women’s results:

Place Name (Country) Swim Bike Run Total Time
1st Solveig Løvseth (NOR) 55:40 4:31:53 2:55:47 8:28:27
2nd Kat Matthews (GBR) 55:43 4:40:08 2:47:23 8:29:02
3rd Laura Philipp (DEU) 55:50 4:40:26 2:55:53 8:37:28
4th Hannah Berry (NZL) 52:02 4:44:37 3:04:32 8:46:25
5th Lisa Perterer (AUT) 55:41 4:40:50 3:06:03 8:48:08

Samantha Skold

エイジグループがあってのKONAだ。

13のエイジカテゴリー、78の国と地域から1600名以上の選手が走った。総合エイジチャンピオンとなったのはアラスカ州のSamantha Skold(W30-34)で9時間34分59秒という驚異的なタイムでフィニッシュしている。アメリカはその他、W50-54、W75-79でもタイトルを獲得し、3エイジカテゴリーで最多の世界チャンピオンとなった。

最年少世界チャンピオンは、オーストリアのHannah Rossler(W18-24)で9時間56分04秒を出している。一方、ニュージャージー州のNatalie Grabowは、W80-84カテゴリーで16時間45分26秒という驚異的なタイムだった。80歳でアイアンマン世界選手権を完走した最年長となり、2025年のアイアンマン殿堂入りを果たしたCherie Gruenfeldのこれまでの記録である78歳を破った。

Division First Name City, State, Country Country Representing Time
W18-24 Hannah Rossler Vienna, Austria Austria 9:56:04
W25-29 Lou Prigent Versailles, France France 9:43:16
W30-34 Samantha Skold Anchorage, Alaska, USA USA 9:34:59
W35-39 Joanna Soltysiak-Vrebac Koło, Poland Poland 9:45:57
W40-44 Christina Paulus Hamelin, Germany Germany 9:57:09
W45-49 Jana Richtrova Spring, Texas, USA Czech Republic 10:03:31
W50-54 Sharon Schmidt-Mongrain Lafayette Hill, Penn., USA USA 10:06:55
W55-59 Brigitte McMahon Baar, Switzerland, USA Switzerland 10:40:21
W60-64 Caroline Anderson Claremont, Australia Australia 11:36:12
W65-69 Sharon McDowell-Larsen Grand Junction, Colo., USA Canada 12:30:37
W70-74 Michele Allison Wellington, New Zealand New Zealand 13:24:27
W75-79 Sunny McKee San Fransico, Calif., USA USA 15:51:50
W80-84 Natalie Grabow Mountain Lakes, N.J., USA USA 16:45:26

 

 

 

「男子に続き、ノルウェーの制覇となった」

BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

2025 IRONMAN WorldChampionship in Nice Result

NICE, FRANCE – SEPTEMBER 14: Casper Stornes of Norway (1st place) reacts after crossing the finish line during the 2025 IRONMAN World Championship on September 14, 2025 in Nice, France. (Photo by Jan Hetfleisch/Getty Images for IRONMAN)

今年の最速アイアンマンが決定した。

優勝したのはノルウェーのCasper Stornesで、多くの話題となっている。まずはスイムはプロとしてアイアンマンベストタイムとなる45分21秒で泳ぎ、ランはアイアンマンコースベストとなる2時間29分25秒という驚異的な走りを見せた。バイクも申し分なく、この日最速タイムから2分遅れでカバーしている。3種目において極めて高いバランスの取れたCasper StornesはIRONMAN世界選手権へのデビューでいきなり優勝となった。

そして、優勝候補筆頭でもあったGustav IdenとKristian Blummenfeltはぞれぞれ2位、3位に入り、表彰台をノルウェー勢が独占してしまった。過去、2016年にはドイツのJan Frodeno、Sebastian Kienle、Patrick Langeの3選手が独占したこともあったが、ノルウェーの3選手は誰が優勝してもおかしくない本当の「TOP3」と言えるだろう。

今回のレースでは過去のアイアンマンチャンピオンが10位以内に4名入るというエキサイティングな展開を見せてくれた。更にSam Laidlow、Kristian Blummenfelt、Gustav Idenの3選手は5位以内という結果だった。Sam Laidlowのバイクスプリットは前回2年前に出したタイムを2分更新する驚異的な走りでもあった。

最後のニースアイアンマン世界選手権だった。来年は聖地KONAに舞台を移す。

NICE, FRANCE – SEPTEMBER 14: (L-R) Gustav Iden of Norway (2nd place), Casper Stornes of Norway (1st place) and Kristian Blummenfelt of Norway (3rd place) pose for a picture during the flower ceremony of the the 2025 IRONMAN World Championship on September 14, 2025 in Nice, France. (Photo by Jan Hetfleisch/Getty Images for IRONMAN)
Top five professional men’s results: 
SWIM 
BIKE 
RUN 
FINISH 
Casper Stornes 
NOR
45:21
04:31:26
02:29:25
07:51:39
Gustav Iden
NOR
47:14
04:30:17
02:32:15
07:54:13
Kristian Blummenfelt
NOR
46:08
04:31:20
02:34:38
07:56:36
Marten Van Riel
BEL
45:17
04:31:48
02:40:46
08:02:18
Sam Laidlow
FRA
47:11
04:29:29
02:42:23
08:03:55
Quentin Amaral

エイジグループも最高レベルの走りとなった。

86の国と地域から2500名の選手が参加、12のエイジグループで競われた。総合エイジグループ世界チャンピオンの栄冠は、M25-29カテゴリーで、8時間41分20秒という驚異的なタイムでフィニッシュしたフランスのQuentin Amaral選手が獲得した。

また、ドイツ勢は、M35-29、M45-49、M70-74でタイトルを獲得している。また、最年少グループM18-24の世界チャンピオンは、9時間09分42秒のフィニッシュタイムを記録したウクライナのDanyil Odynets選手だった。一方、イタリアのGian Marco Tironi選手は、M75-79の最年長世界チャンピオンで、13時間35分24秒という驚異的なタイムでフィニッシュしている。

Division First Name Last Name City, State, Country Country representing Time
M18-24 Danyil Odynets Linz, Austria (representing Ukraine) UKR (Ukraine) 9:09:42
M25-29 Quentin Amaral Dubai, UAE (representing France) FRA (France) 8:41:20
M30-34 Cory Mayfield Pasadena, Calif., USA USA (United States) 9:01:52
M35-39 Lars Wichert Asendorf, Germany DEU (Germany) 9:02:42
M40-44 Andrew Hall Salt Lake City, Utah, USA USA (United States) 9:03:05
M45-49 Norman Stüwe Baden-Württemberg, Germany DEU (Germany) 9:28:14
M50-54 Olivier Godart Dubai, UAE ARE (United Arab Emirates) 9:25:53
M55-59 Lennie Lange Kristensen Sjælland, Denmark DNK (Denmark) 9:51:22
M60-64 Adrian Santonastaso Frauenfeld, Switzerland CHE (Switzerland) 10:32:24
M65-69 Neil Hunter Great Harwood, Lancashire, England GBR (Great Britain) 11:26:25
M70-74 Johannes Dietrich Ravensburg, Germany DEU (Germany) 12:47:02
M75-79 Gian Marco Tironi Nice, France (representing Italy) ITA (Italy) 13:35:24

 

 

 

「ノルウェーの完全制覇となった」

BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

SADO 2025

■Contents

2025 佐渡国際トライアスロン大会 Recap Report
2025 佐渡国際トライアスロン大会 PhotoReport – 3/3 ~I’ll be your hero “ASTROMAN”~
2025 佐渡国際トライアスロン大会 PhotoReport – 2/3 ~Island Bike~
2025 佐渡国際トライアスロン大会 PhotoReport – 1/3 ~Start~
【取材予定】2025佐渡国際トライアスロン大会

2025 佐渡国際トライアスロン大会 Recap Report

9/7(日)2025 佐渡国際トライアスロン大会(主催:佐渡国際トライアスロン大会実行委員会・公益社団法人トライアスロンジャパン)が開催された。

夏を締めくくる佐渡の鉄人レース。今年で37回目の老舗大会、国内屈指のロングレースであり、国内最長距離と厳しい制限時間は完走だけで価値がある大会だ。バイクは佐渡島をトレースする美しいコースが特長で、会場、時期などからも人気の大会となる。

今年のトピックスは2つ。まずは厳しい気象条件となったことだ。スイムではうねりが強くなり、AB合わせて120名のリタイヤ者が出ていた。バイクでは厳しい向かい風となり、Aタイプだけでも132名がリタイヤとなった。当然バイクのダメージが残るランでも関門や制限時間に阻まれ、Aタイプの完走率は61.4%と近年の最悪となってしまった。

そして、もう一つは、古谷純平選手の圧倒的な強さだ。まさにダントツ、別格の走りだった。2位に46分以上の差を付ける圧勝で大会レコードを大幅に更新したことになる。ショート出身だけにスイムは万全だが、バイクが強い。あの強風の中をサブ5で走っている。目標は世界にあるだけに当然の結果と言えるかもしれないが、しっかりと魅せてくれた。

レース結果は、Aタイプ・ナショナルチャンピオンシップ男子優勝は古谷純平選手、女子優勝は田中美沙樹選手、Bタイプ男子優勝は岩渕努選手、女子は平柳美月選手だった。

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以下、リキャップとなる。あらためて佐渡の難しさを感じる今大会だった。

■Course & Distance

【Swim】

スイムコースは、佐和田海岸を沖に向かって一斉スタートし、縦長の三角コースを2周回する。遠浅でスタート直後や浜に戻る時など、かなり手前から歩いている光景が常となった。もちろんトップ選手はギリギリまで泳いで上がって来る。

今回の佐渡のトピックスの一つと言えるが、大荒れとなったスイムだった。前日の穏やかで輝いていた水面からは想像のつかない変貌ぶりだった。うねりが強くなり、波乱のスタートとなったのだ。5時45分頃、沖から見ていたが、報道船の揺れ方や海面はいつもと変わらないように見えていたが、「これから風が強くなるよ、7mは吹くと思う」と船長が語っていた。その後、徐々に風が強くなり、まさにスタートに合わせるかのようにうねりも大きくなって行ったのだ。特に泳ぎ出しの第1ブイまでの直線は、うねりで前方が確認できないばかりか、方向感覚も無くなってしまった。

Bタイプは距離が短縮された。Bタイプのスタートは7時30分だが、8時には更に高波となる予報が出ていたため、2000mから1350mに変更され、自信のない選手には無理をせず「スキップ」も推奨していた。

泳力によって大きく明暗を分けた。波酔いし、2時間から制限時間の2時間15分をフルに泳いだことで、大きく体力消耗した選手も少なくない。2時間以上かかっている選手は60名を超え、DNFを合わせると100名以上となる。今年の佐渡はスイムから大きな壁が立ちはだかった。

【Bike】

バイクコースは、国内でも最も美しい軌跡となる、佐渡島の海岸線をトレースするダイナミックな190kmとなっている。

佐渡のコース攻略はDHポジションにかかっていると言っても良いだろう。Z坂や小木の坂など、もちろんアップダウンはあるが、72km地点の鷲崎から161km地点の小木までのフラット90kmは、DHポジションが極めて重要となるのだ。フラットと言っても緩やかなアップダウン、両津以降は強い向かい風が吹くが、DHで走れなければ更にペースダウンとなってしまう。佐渡は「向かい風のDHフラット」を徹底してトレーニングすべきだろう。

そして、今回はスイムに続き、バイクも厳しかった。

強い向かい風が吹き、選手を苦しめた。普段から大佐渡から小佐渡にかけての東側では向かい風が吹きやすい。特に両津、水津あたりからが強くなるのだが、今年は更に強かった。両津手前あたりから強くなったとの声も聞いているが、心折れた選手も多く、スイムに続き「サバイバル」のバイクとなった。

いつも元気なBタイプのトップ選手も少し疲れが出ていたように感じる。小木の坂途中の踊り場で見ているが、DHポジションも少ない。Bのトップ通過は10時3分、そこからAタイプも加わり、14時30分まで定点観測をしているが、全体的にも疲弊している様子だった。(14時30分はGERONIMO的Aタイプの関門、これ以上遅いと完走が厳しくなる)

一方、最後の難所、小木を過ぎて真野湾に出てからは、フラットながら向かい風となることが多いのだが、追い風となった。ここだけは助かった。選手を見ていてもブレがなく、安定し、スピードも乗っているように見えた。

【Run】

ランは、メイン会場の佐和田をスタートし、真野湾に沿って往復約8.5km、商店街を約2km、1周約10.5kmを4周回するフラットで単調なコース。日陰はほとんどなく晴れれば灼熱地獄が待っている。メイン会場周辺は応援も多く、周回のため、双方ともに楽しめる設定となっている。

今回、唯一助かったのがランだった。

前述の通り、晴れれば容赦のない陽射しが選手を苦しめるのだが、今回は涼しかった。朝からの強風は変わらずあったのだが、片道が向かい風、反対が追い風となった。その環境に上手く馴染めたかどうかは選手により感じ方は違ったようだが、概ね「灼熱」よりは良い、そんな声が多く聞こえてきた。また、一時的にはかなり強い雨も降ったが、これも暑さよりは増し、との反応だった。

■Weather

今回は「風」に翻弄された。

スイムは強いうねり、バイクは強い向い風、厳しい気象条件となった今年の佐渡だった。

前日の穏やかな天候からは想像のつかない状況となった。6時スイムスタートに合わせるかのように風は強くなり、スタート時は5m程度、その後、一旦落ち着いたが7時30分には更に強くなって来て、7時50分には9mを超えていた。その予報に合わせBタイプのスイム短縮が決定したのだった。

そして、バイクの時に最も強い風が吹いている。9時前に10mを記録しているが、9時30分頃からは更に強くなり、11時には15mを超え、12時30分頃まで強風となった。選手にもよるが、両津から水津あたりが一番キツかったのではないだろうか。ランに入ってからも10m近い風が吹いていたが、15時30分頃から一旦収まってきたが、17時30頃から再び10mを超え、18時前には14mを記録していた。

佐渡は通常の気象環境でも完走の難しいレースだけに、今回のような状況になると明暗を分けてしまうことになる。そこも想定しなければいけないのか。自然相手の厳しさと運というものを考えてしまう。

※気象情報:新潟(相川・両津)地方気象台発表 2025年9月7日10分毎

■変更点

いくつかの変更点があったが、「私設エイド」は炎天下の時期に開催される大会は「考え方」として必要になってくるのではないだろうか。

もちろん、提供内容やルールなどの徹底は必要だと思うが、現在7~9月に開催される大会はギリギリの気象条件で開催されている。選手の安全を考えると一つでも多くのエイドステーション設置などの対策は画期的とも言えるのではないだろうか。

今回、バイクで2件、ランで14件の申込みがあったそうだ。個人的な支援を抑えることなど、選手、審判からも好評だったとのこと。

その他、昨年台風の影響で開催できなかった「またこいっちゃパーティー」が大会翌日の表彰式後に開催され約100名の選手が参加している。また、「クリーンアップ大作戦」として、大会翌日の早朝に会場周辺で、選手やボランティア60名がゴミ拾いを実施している。

そして、今回はAタイプが「ナショナルチャンピオンシップ」となったことだ。チャンピオンシップと一般Aの「差」がなくなって来たことがその理由とのこと。ただ、今回優勝の古谷純平選手のタイムを見ると「ダントツの差」となる別格の走りで終わっている。

■熱中症対策

事前に氷嚢が配られた。

大会側の「熱中症」に対する努力を感じるものだった。事前に配られたことで使い勝手の確認はもちろん、「熱中症対策は大丈夫ですか?」と問いかけられているように感じたのではないだろうか。何もなければ気が付きもしないし、用意もしなかったかもしれない。今回、もしこれを使わなくても、「他のもの」を考えるきっかけとなったはずだ。

私設エイドも含め、「熱中症対策」の重要性は死活問題でもある。今後、更に必要となり、そうしなければその時期の開催される大会の存続は難しくなるかもしれない。異常気象は異常でなくなり、「普通」になってしまった昨今。暑いことが「らしさ」と言っている場合でなくなって来ている。大会、選手それぞれがしっかりと向き合っていかなければいけない。

■島祭りParty

レースの前々日に「島祭りParty」が開催された。

選手からは大満足の高い評価となっていて、参加しないのはもったいないと言っても良いだろう。佐渡の様々な食、迫力の伝統芸能、種類も豊富な地酒など、そのクウォリティーの高さが凄い。過去ここまでやってくれたパーティーはあっただろうか、と考えてしまう。下世話だが費用も相当なものと思われる。

このパーティーは2016年から開催されているもので、まず入口では、地元のしまびと元気応援団、健康推進員、農協女性部のみなさんが整列し拍手で迎えてくれる。演目では太鼓芸能集団「鼓童」によるスペシャルライブで盛り上げてくれる。鼓童は1981年創設、佐渡を拠点とし、国際的な活動を展開するプロの和太鼓集団。また、煮しめ、いごねり、イカ飯などの地元食と多くの地酒のほかスイーツまで充実している。

■伝統

強風に押し戻されるクラッカー、風は最後まで吹いた。
昨年の花火

37回を終えた佐渡大会は、国内屈指の名門レースだ。日本の中心に位置し、全国から選手が集まってくる。アイランドバイク、国内最長距離と短めの制限時間は競技性も高く、ステータスも高いトライアスロン。

そんな佐渡だが、演出も十分。パーティーは前述の通り申し分ない人気だが、レース最後に打ち上げられる花火も必見と言える。21時30分、最後の選手がゴールし、全競技が終了したことを伝える花火だ。朝6時から最長で15時間30分戦ってきた選手に送る伝統のフィナーレとなる。もちろん、迫力も十分な花火がBGMと融合しアストロマンたちを労う最高のリワード。

他の大会でも花火が打ち上げられるが、佐渡は別格だ。(今年は強風のため中止)

■Race Operation

伝統と実績のある大会だけに完成度は高い。前年の意見の反映や、特に約1000名のボランティアの対応が良く、選手の満足度は高い。選手の声を聞いてみた。

【良かった点】

『ボトルが素敵になりました!機能デザイン共にです。蓋も昨年みたいに外れ易くないし、素材が柔らかいのも良かったです。(漏れなくなりました!)』

『島祭りパーティのホスピタリティ(地域の皆様による温かい歓迎、食事、飲み物、アトラクションなど)が素晴らしい思い出となりました。』

『来年参加したら、またこいっちゃパーティも行ってみたい。』

『体育館でのアンクルバンドチェックが昨年より簡略化されたと思いますが、混雑する箇所が減り、当日朝トランジションで時間的に余裕が有って良かったです。』

『事前に送付の氷嚢(首に巻く氷袋)。当日は使わなかったが、炎天下のランだったら役立ったかもしれません。』

『エイドの氷、飲み物など豊富で私のような下位の選手にも十分行き渡った。』

『短い時間でしたが、スイムの時、私のような遅い人に対し、ガードの人がマークしてくれていたのは安心できました。エイドのボランティアの皆さん親切でした。』
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『Bタイプのスイム距離短縮の判断です。あと、スイムのコースロープの設置です。波でブイが見えませんでしたが、コースロープを見ながら泳ぐことができました。』
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【改善してほしい点】
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『最近試行錯誤で熱中症対策の氷嚢、アイデアとしては大変良かったと思いますが、ごわついたり、かさばったりと実際の使い勝手が今一つだった様に感じました。人それぞれ好みもあると思いますで、前のようにTシャツに戻して欲しいです。』

『島祭りのボランティアの皆様の整列によるお出迎えには大変恐縮しました。ただ、本大会は皆で作り上げるものと考えており、過度な礼は廃し、皆様も含めて「仲間」として接して頂く方が、より嬉しく、一体感が高まるのではないかと感じました。』

『島祭りの食事の提供、選ぶ側にも問題ありますが、一皿の量が多い食事がテーブルで食べ切れずに余って残飯となってましたので、テーブル毎にある程度スターターとしてお料理が乗っていれば、最初の大混雑も回避できたかなと。』

『ランのASで本部前など一箇所で良いので、おにぎりやパンなどが欲しいです。バイクではおにぎりがありますが、ランではバナナとスポーツ羊羹しかないので。あと、個人的になりますが、バイクエイドのおにぎりをもう少し小さいと嬉しいです。』

『事前の説明会が動画になったことでマナー悪い選手が感覚的に増えているような気がします。例えば、エイドでの一時停止、バイクの追い抜きなどです。しかし、だからと言って、リアルでの説明会に戻してほしいとは思いません。』

『私設エイドですが、ランコース沿い(商店街付近)で表向きは全選手に提供しているように見せて、実は身内には個別のテーブルに補給食を置かせてました。平等ではないと感じました。昨年のように私設エイド自体を廃止して欲しいです。』

■Race Result

完走者全員が勝者である

夏のビッグレース、佐渡が終わった。

国内屈指の難コース佐渡。厳しいコースと制限時間に加え、今年は厳しい気象条件となってしまった。

完走のために一年頑張って来たが、波に阻まれ、風に阻まれ、間に合わなかった選手も少なくない結果だった。自然環境も含め、その時、その時の佐渡に立ち向かって行かなければいけない。前日のような天候だったら行けたのだろうか。「タラレバ」などを言っている選手もいない。もう前を向き次の佐渡を目指している。佐渡の借りは佐渡で返さなければいけないと思っている。

そして、2025年の佐渡完走者は例年以上に価値のある完走だったのではないだろうか。波にも負けず、風にも負けず、自身と向き合い、自身に勝ったということ。

全ての選手に拍手を送りたい。

【2025 佐渡国際トライアスロン大会】

《日時》2025年9月7日(日)6:00~21:30

《総参加選手》

最終出走者数 / 完走者数 / 率 1619名 /1184名 / 73.1%

《参加選手(Aタイプ)》

最終出走者数 / 完走者数 / 率 913名 / 561名 / 61.4%

Aタイプ・ナショナルチャンピオンシップ男子1位 古谷純平選手

《Aタイプ・ナショナルチャンピオンシップ男子》

1位 古谷 純平  No.1058 9:02:21 (S0:52:59/B4:58:32/R3:08:10)
2位 寺沢 光介  No.1045    9:49:14 (S0:54:42/B5:23:58/R3:27:58)
3位 山岸 穂高  No.1002    10:00:28(S1:08:01/B5:28:34/R3:20:20)

Aタイプ ・ナショナルチャンピオンシップ女子1位 田中美沙樹選手

《Aタイプ ・ナショナルチャンピオンシップ女子》

1位 田中 美沙樹    No.2007    11:33:36(S1:07:20/B6:27:54/R3:53:45)
2位 福島 弥生     No.2019 12:46:13(S1:04:26/B7:20:12/R4:18:05)
3位 宮崎 美菜子    No.2001    12:49:38(S1:23:26/B7:02:51/R4:17:13)

 

《参加選手(Bタイプ)》※Swim1350m

最終出走者数 / 完走者数 / 率 647名 / 567名 / 87.6%

Bタイプ男子1位 岩渕努選手

《Bタイプ男子》

1位 岩渕 努     No.3080     4:52:24(S0:16:49/B3:05:57/R1:26:48)
2位 林 大介     No.3047     4:53:11(S0:16:04/B2:56:47/R1:37:44)
3位 中山 和哉  No.3037     4:56:50(S0:18:08/B3:03:56/R1:31:12)

Bタイプ女子1位 平柳美月選手

《Bタイプ女子》

1位 平柳 美月  No.4001     5:06:34(S0:17:17/B3:11:27/R1:35:15)
2位 油井 あまね No.4002     5:16:24(S0:17:47/B3:21:16/R1:34:22)
3位 青木 智恵子 No.4054     5:59:51(S0:23:19/B3:33:47/R1:57:28)

You are an ASTROMAN

全ての記録:https://www.scsf.jp/triathlon/result.html

 

 

◾️Triathlon GERONIMO

 

 

「自然相手のトライアスロンだが、厳し過ぎた波と風の佐渡だった。」

BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

2025 佐渡国際トライアスロン大会 PhotoReport – 3/3 ~I’ll be your hero “ASTROMAN”~

Photoで振り返る今年の佐渡、その3。

ランは会場周辺及び真野湾沿いを4周回、集中力が問われるコース。他のロングに比べれば応援が多いコースでもあるが、バイク190km後のランはサバイバル。例年灼熱となるが、今年は風雨となった。とにかく風が強く、向かい風と追い風が交互に続き、時折強い雨も降ったが、概ね、走り易かったと聞く。太陽からの攻撃は避けられた今年の佐渡だった。そして、成し遂げた姿には感動しかない。

 

Congratulations 2025

See you next challenge 2026

 

 

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「来年の佐渡Aは始まっている」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

2025 佐渡国際トライアスロン大会 PhotoReport – 2/3 ~Island Bike~

Photoで振り返る今年の佐渡、その2。

佐渡のバイクは、アイアンマンより長く、世界的にも長い、佐渡島をトレースする美しく、厳しいバイクコースだ。そこへ、豪雨と強風が加わった。元々佐渡のバイクコースは鷲崎から小木までの90kmの向かい風対策が重要とはなるが、想定を遥かに超える向かい風に「心折れた」との声が多数。終盤の小木の坂では、疲弊し切っていた。それでも諦めず、前に進んで行く選手たち。

選手を待つバイクたち
ダントツでスイムアップの古谷純平選手

10:03 Bタイプトップ小木の坂通過

11:13 Aタイプトップ小木の坂通過

To be continued

 

 

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

2025 佐渡国際トライアスロン大会 PhotoReport – 1/3 ~Start~

Photoで振り返る今年の佐渡。

今年は2000年以降、過去一ハードな大会となってしまった。時の運が明暗を分けた厳しいレースはまさに波乱の幕開けとなった。スイムは、昨日までの超ベタナギが嘘のように、打って変わっての荒れようとなった。バイクでは強い向かい風が待っていた。そして、脚に余力を残せず苦しんだラン。それでも淡々と最後まで抗い、泳ぎ、走り続ける選手たちの姿に感動をもらった。

無事予定通りの開催は決定したが。。。
ロングの朝、緊張が張り詰める

Bike Check in
10分前
うねりが強くなること、ライフセーバー自身が危険になることへの注意喚起をしている

第1コーナーまでの到着がいつもより遅い

Bタイプも準備に入る

Aタイプ折り返し

To be continued

 

 

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【取材予定】2025佐渡国際トライアスロン大会

今週末9/7(日)国内最長となる佐渡国際トライアスロン大会が夏の締めくくりとして開催される。

佐渡大会の魅力の一つは、島をほぼ一周のトレースするダイナミックなバイクコースだろう。コロナ明けの開催時もそのコースは変更せず、「佐渡」を守って来ている。魅力と言っても現実は、190kmと長く、アップダウン、向かい風もあるため、バイクで「篩」にかかってしまう。ランも灼熱となるため、まさにこの最長の上に、コース、暑さも合わせた「スーパーロング」と言えるだろう。

Aタイプの距離は、スイム4km、バイク190km、ラン42.2kmは、国内最長であり、世界的にも長い。そして、「制限時間」厳しいのだ。アイアンマンなどの制限時間17時間より短く、逆にバイクの距離が10km長い、国内最難関と言える大会だ。完走者全員が勝者であり、敬意を表したい。

そして、レースの行方は、まずスタートラインに立つことから。

昨年は台風に見舞われて大変だった。大会自体は無事に開催されたが、現地入りすることも出来ず、無念のDNSとなった選手もいる。その前の年は、猛暑となり、距離短縮などが検討されていた。事務局には「予定通りやってほしい」などの声が多数寄せられていたが、まずは選手やボランティア、関係者の安全第一を考えなければいけない。結果は無事に予定通りの開催となったが、今年も含め、「真夏の開催」は課題が多くなってきている。

トップ争いにも目が離せない。今年の男子Aタイプは、星大樹選手の三連覇なるか、圧倒的に強さを見せるバイクは更にパワーアップしているのか。国内メジャーレースでの「三連覇」はプレッシャーもかかるが、佐渡に歴史を刻む快挙でもある。

それを阻むことができるか、若手のホープ、昨年ナショナルチャンピオンシップ(Bタイプ)優勝の山岸穂高選手、ランでの猛追が魅力の渡邉 優介選手、皆生大会初優勝の丸尾公貞選手などが熱い戦いを見せてくれるだろう。また、女子は元リオオリンピアンローディーで、タイムトライアルも強い “Baby Triathlete” 與那嶺理恵選手がどんな走りで暴れてくれるのか、こちらも楽しみな今年の佐渡だ。

昨年Aタイプの完走率は73.8%だ。灼熱ランは厳しい。頑張ってほしいが無理はしないでほしい。やって来た以上の力は出ない。この一年の積み上げたものを確認するだけだ。

前回(2024年)Recapレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=50785

■開催日 2025/9/7(日)

■競技

  • Aタイプ:スイム4km / バイク190km / ラン42.2km
  • Bタイプ:スイム2km / バイク108km / ラン21.1km

※詳しくは、http://www.scsf.jp/triathlon/

 

 

 

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「天候は神のみぞ知る、マイペースで行こう!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

KAIKE 2025

■Contents

第43回全日本トライアスロン皆生大会 Recap Report

Triathlon GERONIMO Official Member Report(小嶋選手)

Triathlon GERONIMO Official Member Report(古田選手)

【取材予定】第43回全日本トライアスロン皆生大会

第43回全日本トライアスロン皆生大会 Recap Report

女子優勝は昨年に続き、大阪の宇治選手となった。

7/20(日)第43回全日本トライアスロン皆生大会(皆生トライアスロン協会主催「スポーツ振興くじ助成事業)が開催された。

皆生大会は、1981年に始まった国内発祥の大会で、その歴史こそが日本の歴史とも言える大会だ。皆生の特徴としては、「短めのロング」というイメージを持っているかもしれない。大きくは2つだろうか、「灼熱」と「バイクコース」を口にする選手が多いだろう。

スイムは宮古島と同じ3kmだが、波や潮流によってはハードな3kmとなることもある。バイクは、佐渡やアイアンマンなどに比べ、40~50km短いが、アップダウンの連続、気が抜けないテクニカルコースは「佐渡とどちらがきつい?」との声が聞こえてくるほど。そして、そんなバイクコースで中々余力を残せずランに入るが、そこは「灼熱」の世界となっているサバイバルなレースなのだ。

今回の出場選手は978名(個人の部)がエントリー、内92名が女性選手となっている。また、最年少は20歳、最年長は81歳と幅広い選手層となっていることも特徴と言える。地域性は42都府県からのエントリーとなっているが、大阪122名、兵庫89名、鳥取83名など、「関西系」の大会でもある。

そして、43回の歴史において初めて「Bタイプ」が新設された。狙いは「全員が勝利者を目指す」皆生大会として、距離を短くし、まずは完走に対する難易度を下げることで、新たな挑戦者を迎えるために設定された。

尚、今回よりTriathlon Japanの2025NTTトライアスロンエイジグループ・ナショナルチャンピオンシップシリーズロング第9戦としてポイント対象レースとなったことで、実質のロング(宮古、長崎、皆生、佐渡、北海道)をメインに出場している選手にとっては朗報となる。

レース結果は、Aタイプが75.6%の完走率、Bタイプが66.6%となっている。Aタイプ男子は丸尾公貞選手(愛媛県・39歳)初優勝、女子は宇治公子選手(大阪府・43歳)の連覇。新設のBタイプ男子は原田和範選手(滋賀県・33歳)、女子は小川千恵子選手(大阪府・53歳)が初代の覇者となった。

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以下、リキャップとなる。7回目の取材となったが、変わらず、古き良き、トライアスロンの原風景が広がっていた。

■Course & Distance

穏やかな日本海スイム
アップダウンが激しく、テクニカルなバイク
灼熱に耐えるラン

【Swim】

コースは、23年から採用されているワンループで泳ぐ3km。皆生温泉の海水浴場に沿って泳ぎ、中間地点で一度上陸、チェック。折り返しスタート地点に戻る分かりやすいコース。また、スタートはビーチからの一斉スタートだが、比較的ゆっくりと海に入り、順次泳ぎ始めるようなスタートとなる。そして、スタート直後の第1コーナー付近ではやはり密集状態となりやすいため、ポジション取りも重要となる。

今回は、波はなく、潮流の影響もない、泳ぎやすいコンディションだったため、タイムも概ねイメージ通りにアップできているのではないだろうか。ただ、昨年は波、潮流の影響により、後方の選手では15~20分程度遅くなっている。タイムだけでなく、心身ともにダメージがあることを常に想定し、十分なスイムトレーニングを積んでおかなければいけない。

【Bike】

コースは、皆生らしさであり、名物とも言えるアップダウン&テクニカルとなる140km。他のロングよりは短いが舐めてはいけない。フラットもあるのだが、「上っているか、下っているかしかない」と口にする選手が多い。そんな強烈なイメージが残るということなのだ。また、試走をするかしないかは大きい。下りのスピードを殺さず、走り続けるためには「先」がみえていなければいけない。その点では地元や関西の選手は強い。

序盤50kmの目標は大山。大山を上ると言っても頂上まで行くわけではなく、裾野を走るだけなのだが、そこが長く1~3%程度の坂が続くため、休めない。ガーデンプレイスを過ぎ、大山の橋は応援ポイントのため元気に走りたいところだが、ここですでに明暗が分かれている。まだ序盤となる50km程度で、余裕のある選手は「DHポジション」で颯爽と走っているが、表情が険しくなってきている選手も少なくない。

中盤40kmの目標は折り返し地点となる中山温泉。そこに行くまでに「ジェットコースター往路」となる。イメージは直線で下りと上りのセットとなる。下りで脚を止めていては上れない。いや、上れるが下りの勢いを活かせず、皆生攻略とは言えない。更に直線ばかりではなく、コーナーも多いテクニカルには慎重さが重要となる。

終盤50kmの目標はもちろん、前半の「ジェットコースター復路」のクリアだろう。やはり、まず、アップダウンとテクニカルのエリアを終えたい。ここで選手間の走りには大きく差が出てくる。コース、疲労、そして、灼熱が襲いかかるからだ。真上から降り注ぐ太陽は容赦ない。

今回は、天候に恵まれ、下りやコーナーも攻める走りができていただろう。もちろん暑さも厳しくなってきていたが、大雨よりは安心して走れる。比較的速かった選手は、終盤の日野川沿いで例年向かい風となるのだが、追い風に助けられたと選手から聞いている。

【Run】

コースは、概ねフラットのスピードコースとなる40km(実測41km)。序盤、終盤は街中を走り、中盤で海岸エリアとなる弓ヶ浜サイクリングコースを走る。

序盤9kmの目標は弓ヶ浜の海。弓ヶ浜サイクリングロードまでは街中を走るが、途中陸橋、地下道を通る。

中盤24kmの目標は竹内工業団地の境夢みなとターミナルの折返しポイント。まずは海沿いのサイクリングロードを走るが、路面のコンディションが良いため、走りやすい。ただ、日陰は皆無。耐え忍びながら、ひたすら我慢の走りをする。大山を背にして走る風光明媚なポイントであり、空港も近いため、飛行機が低い位置で飛んでいるが、それを確認する余裕はない。

終盤8kmの目標はもちろんゴールのどらドラパーク米子陸上競技場。ここが最後の試練となる。フラットではあるが、地下道と陸橋2つがある。また、それまで走っていたサイクリングロードから街中の歩道に入ると、微妙な段差もキツく感じて来ていたのではないだろうか。

今回は、曇ったり、涼しい風が吹く時間もあった。「焼け石に水」だったかもしれないが。

■Weather

皆生の象徴、大山がクッキリと望める快晴

7回目の取材となったが、ご覧の通りの天候だった。皆生と言えば灼熱か、大雨が降るか、今年はどちらだろうと覚悟しながら現地入りをしている。やはり選手の安全性、特にバイク走行時を考えると灼熱でも晴れた方が良い。

予定通り、開催が決定される5時の気温は26.9℃。当日の最高気温はお昼前に36℃を記録している。12:30には南寄りの風から北寄りの風に明確に切り替わっていた。日野川沿いも走る時間帯によって恩恵を受けられた選手もいたわけだ。

そして、暑さ感を増幅する湿度だが低かった。一日中ではないが、5時に70%を記録後、下り始め、9時には60%を切り、お昼には50%を切っていた。選手に実感があったかどうか別だが、良いコンディションだったということだ。ただ、15時頃から再び上がり始め、17:30には70%を超え、遅い選手にとっては暑かったと感じたことだろう。大会終了時には80%となっていた。

個人的な見解だが、今回の暑さは5段階言えば4だったと感じている。過去6回の取材の中ではもっと暑く、特に湿度が高い時もあった。つまり、最悪は避けられたということ。

※気象情報:鳥取地方気象台米子地区 2025年7月20日10分毎

■Age & Finisher(Aタイプ)

今回初めて調査してみた。宮古島では良くチェックしていたが、皆生はどうなのだろうか。国内全体としても「高齢化」が進む中で、皆生に特性はあるのだろうか。

50代が中心である現状は変わらない。宮古では50-54がトップシェアであり、皆生も同様なことが分かる。ただ宮古は23%であり、4ポイント高い。前後のシェアはさほど差はないが50-54だけが多い傾向だった。

「完走率」はあらためて気になるキーワードだ。「完走は当たり前」「完走しなければ意味がない」など、簡単に言えなくなって来ている。現在、国内で開催されている5ロングで年間3500~4000人程度の延べ完走者が存在するが、基本的には完走するもの、となって来ている。

今回は、40代までの完走率が高いが、50代を超えてくると完走率が落ちている。ただ、50代の完走率は低めとなっていても、参加者数が多いため、「完走者数」自体は大きく占めている。50代は、高齢だから完走率が悪いとは言い切れない。それぞれ「取組み方」の違いが表れているのではないだろうか。つまり勢いだけでは難しいということ。

限られた時間の中で、計画性や効率性などの見直しによって、より安全に楽しく生涯スポーツとして継続できるのではないだろうか。国内では50代が中心となるスポーツだ。仮に30代、40代が増えても、50代が減ることはないだろう。上手く進めて行きたいところだ。

■局面の一つ

Side by side

並んで走る丸尾選手と山岸選手。

竹内工業団地内の最初の給水所の手前の光景だ。距離にして18km程度地点だろう。まさに「ガチ」と言った感じだった。真横にビタっと並んだ状態で走っている姿に興奮を覚えた。まだ半分以上残っている中でいつどのように仕掛けるのだろうか。

この直後、中野緑地給水所で、山岸選手が前に出た。その差は見る見るうちに広がり、30秒差をつけていた。26km程度の地点では2分差まで広がっていたため、そのまま行くかと思われた。

その後、ゴール地点に戻り選手を待つことに。

ゴール地点でレース状況が随時入って来ていたのだが、「#10丸尾選手がトップ」に会場はどよめいていた。逆転したのか?、そして、「間もなく丸尾選手がゴールします」とアナウンスされた。次に入って来たのは高橋選手だった。昨年覇者の高橋選手は得意のランで追い上げ18分遅れのランスタートから見事に追いついたのだった。

高橋選手は2ヶ月前に交通事故で大怪我をしていた。そんな中での2位は大健闘だった。本調子だったらどうなっていたのだろうか。

■原点

同伴ゴールができる大会。

他の大会は禁止になったり、一緒にテープを切れなかったりだが、皆生は思う存分のゴールが楽しめる。しかもカメラ目線でもあるのだが、「近い」距離で目の当たりにするのだ。各選手それぞれのゴールがあり、一日中走り回ったご褒美を味わうことができる瞬間だ。

仲間や家族、特にお子さんとのゴールは必見だろう。周りの人々も感動のお裾分けにあやかれるということ。

他の大会もそれぞれ事情があると思うが、最後の最後くらいは選手が好きなようにやらせてあげられると良いのだが。皆生はそれができる。

■大切にしていること

#1の藤原選手(61)は過去最多の8回優勝を誇るも、今回はDNF
3度優勝の谷選手(58)は総合11位の快走

今年もレジェンドの二人は特別招待選手として参戦。

まさにこのような選手こそ「レジェンド」と呼ぶに相応しいだろう。藤原選手は「サラリーマン三羽烏」と言われた名選手で、フルタイムワーカーでありながらもこの皆生8勝など周知の活躍をして来た。藤原選手と言えば「研究家」でもあり独自のメソッドで走ってきた異色の選手でもある。

谷選手は1993年のアイアンマンワールドチャンプオンシップでプロ12位入賞(当時は15位までが入賞)するなど、輝かしい経歴となる。日本のプロロングの世界は、2000年コナで谷、宮塚、田村の3選手がTOP20に入って以来、止まっていると言っても良いだろう。そんな最高潮の時代に活躍していた選手だ。

皆生大会はこのような選手たちを大切にしている。常にゼッケン1を用意していることも皆生流なのだ。

■Volunteer

今年も約2000名のボランティアに支えられ開催している。

現在、コロナ以降、ボランティア確保が難しいと各大会でも聞く。ボランティアの数も多ければ良いということではないと思うが、理屈抜きに盛り上がりを感じる。ボランティアは大会規模にもよるが、1000名超えれば多いと思う。選手数と同じくらいであれば申し分ないだろう。2000名ということは選手1名に対し、2名のボランティアがつく計算になるということだ。

もちろん、集まっているだけではなく、慣れている。エイドステーションには名産のスイカがあって選手を喜ばせているが、それだけではない。「OS-1」があったり、氷を切らさないなど、選手への配慮もレベルが高い体制となっている。

また、やはり「慣れ」は言うまでもなく重要で、長年続いている大会のボランティアには安心を感じる。友人、家族、部活、企業など地元の関係性の良さが成すということなのだろう。

そして、皆生は子供たちが多くボランティアに参加している。これが重要なのだ。「大きくなったら鉄人になる」という憧れの面もあるのだ。これは佐渡にも見られる傾向だが、あらためて、地元を始めとした多くの関係者に支えられていることを感じる。宿泊していたホテルの仲居さんもボランティアをされていて「もう来年の準備を始めますよ」と冗談を交えて地元の一体感を感じさせてくれた。

■Race Result

2025鉄人皆生覇者
ゴール直後のインタービューでは冷静に振り返っていた丸尾選手

皆生が終わった。

Aタイプ男子は丸尾選手の初優勝、女子は宇治選手の連覇となった。丸尾選手は一度2位に下がってからの逆転優勝。宇治選手は昨年に続き、涼しかった昨年のタイムを大幅に更新し優勝となった。

丸尾選手が静かに語り始めた。

MC:まずは今の気持ちを

「優勝できるとは思っていませんでした。」

MC:情報が錯綜していて

「エイドを飛ばした時に先頭の山岸さんがそのエイドに入っていたということで逆転したみたいです」

MC:高橋選手についての印象は?

「高橋さんは前に出られることはなかったのですが、後ろで追い上げているなということは感じていたので一生懸命逃げました。」

MC:昨年は4位、今年はどうだった?

「昨年はランの最初で潰れてしまったので、今年はランも最初から余裕を持ってイーブンペースで行こうと決めていたのが良かったと思います。」

MC:今日のレース振り返って、印象的だったポイントは?

「去年は雨だったので、今年は快晴で灼熱の皆生味わえて、その中で優勝できてことは良かったと思います。」

MC:今後の目標は?

「トライアスロンをできる限り楽しんで行きたいと思います。」

MC:みなさまにメッセージを

「凄い楽しい大会をさせてもらって本当に感謝しています。沿道のみなさんも一生懸命サポートしてくれたので、この暑い中最後まで走り切れたのだと思います。ありがとうございました。」

今年は、穏やかスイムとなったことが良かった。上位選手の中でもスイムが得意ではない選手もいて、昨年より大幅にタイムアップしていた。あとは暑さの戦いだったと思うが、これは得て不得手で大きく差が出ていたように思う。特に一般選手は完走がかかっているため、必死の形相で力を振り絞っていた。

来年に向け準備を始めよう。

【第43回全日本トライアスロン皆生大会】

《日時》2025年7月20日(日)7:00~21:30

《選手数》※個人の部

Aタイプ

  • 応募総数 921名(競争率1.12倍)
  • 総エントリー数 / 最終出走者数 / 出走率 842 / 816名 / 96.9%
  • 完走者数 / 完走率 617名 / 75.6%

Bタイプ

  • 応募総数 154名(競争率0.77倍)
  • 総エントリー数 / 最終出走者数 / 出走率 136 / 123名 / 90.4%
  • 完走者数 / 完走率 82名 / 66.6%

《順位》※個人の部

Aタイプ 男子総合

  • 1位 丸尾 公貞   No.10    8:30:47(S46:39/B4:13:49/R3:30:19)
  • 2位 高橋 正俊   No.4     8:34:36(S43:41/B4:35:11/R3:13:21)
  • 3位 山岸 穂高   No.5    8:35:54(S46:57/B4:14:56/R3:34:01)

Aタイプ 女子総合

  • 1位 宇治 公子   No.7    9:08:44(S48:55/B4:46:55/R3:32:54)
  • 2位 岡本 春香   No.9    9:21:17(S59:18/B4:41:21/R3:40:38)
  • 3位 高橋 佳那   No.8 9:42:12(S1:01:05/B5:02:09/R3:38:58)

Bタイプ 男子総合

  • 1位 原田 和範   No.2033    6:23:28(S48:54/B3:33:56/R2:00:38)
  • 2位 大倉 啓悟   No.2079    6:41:03(S56:10/B3:33:22/R2:11:31)
  • 3位 石田 涼       No.2042    7:05:03(S44:50/B3:28:13/R2:52:00)

Bタイプ 女子総合

  • 1位 小川 千恵子   No.2049    8:14:11(S1:00:37/B4:30:59/R2:42:35)
  • 2位 水野 美津子   No.2003    9:11:11(S59:42/B4:57:39/R3:13:50)
  • 3位 志野 治美    No.2072 9:26:28(S1:12:10/B4:43:23/R3:30:55)

公式記録:https://www.kaike-triathlon.com/?p=5822

◾️Triathlon GERONIMO

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「激しく、厳しいが、楽しく、優しい皆生。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka