宮古島のバイクカウントとなる。昨年1位復活となったサーヴェロが今年も200台オーバーで1位だった。
このカウントも11年目となったが、激動の10年だった。バイクメーカーによって注力度や考え方の特徴が表れ、選手はどんなバイクを選ぶべきなのか、また、価格高騰も現実的に大きな検討課題との声も聞こえてくる。購入については色々考えさせられたのではないだろうか。それだけに選手の選んだバイクが語っているものも見えてくる。
バイクの新規購入のタイミングは年3回程度の波があるだろう。やはり、シーズン皮切りの宮古島に向け、「新調」する傾向が大きい。次に宮古島で他の選手のバイクを見て感化され、遅ればせながら購入検討。そして、シーズン後半となる佐渡やアイアンマンに向け、検討に入る。そんな流れから見たときに注目が集まるのが宮古島で使用されたバイクということになるのだ。
今回チェックインされたバイクは1402台(不明、未確認などを除き1363台が有効数)。そのトップ5は、サーヴェロ、トレック、シーポ、スペシャライズドまでが4強、続いてキャニオンがランクインしている。この5ブランドで60%以上を占めていることは、完全な一極集中的な状態であり、トライアスロンバイクへの「参入」の難しさと言い換えることができる。
Counted by Triathlon GERONIMO
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■使用台数
第1位 サーヴェロ 214台 ⬆️(昨年204台)

第2位 トレック 193台 ⬆️(昨年159台)

第3位 シーポ 173台 ⬆️(昨年165台)

第4位 スペシャライズド 170台 ⬇️(昨年178台)

第5位 キャニオン 85台 ⬆️(昨年73台)

第6位 フェルト 57台 ⬇️(昨年66台)
第7位 ジャイアント/リブ/カデックス 48台 ⬇️(昨年56台)
第8位 キャノンデール 44台 ⬇️(昨年48台)
第9位 ピナレロ 36台 ⬆️(昨年35台)
第10位 BMC 30台 ⬆️
- その他66ブランド合計 305台
- 不明 8台
- 対象合計 1363台
- ※オフィシャルツアー分25台除く
- ※未確認14台除く
■現世代台数(ディスクブレーキ仕様)

- 第1位 サーヴェロ 136台(63.6%)
- 第2位 トレック 100台(51.8%)
- 第3位 スペシャライズド 98台(57.5%)
- 第4位 シーポ 95台(54.9%)
- 第5位 キャニオン 65台(76.5%)
単なる台数の意味はない。新型の使用率が重要となる。やはり新しいバイクでの人気がどうなっているかが、最大のチェックポイントと言える。ここでの「新型」の定義は「ディスクブレーキ」モデルで見ている。ただ、サーヴェロのP5Xのデリバリーは2017年、スペシャライズドのSHIVは2019年となり、新型というよりは「現世代」と言った方が良いかもしれない。
絶対台数の多いサーヴェロだが、現世代のバイクもダントツとなっている。ブランドイメージとともに、エイジ選手の実績が功を奏しているのだろう。また、キャニオンの新型率の高さは「人気急上昇」と言えるだろう。
■トライアスロンバイク比率(カッコ内は同メーカー内シェア)

- 第1位 サーヴェロ 195台(91.1%)
- 第2位 シーポ 142台(82.1%)
- 第3位 スペシャライズド 109台(64.1%)
- 第4位 トレック 100台(51.8%)
- 第5位 キャニオン 77台(90.6%)
トライアスロンバイク比率は過去最高の59.8%を記録している。この10年で約10%増えている。そのスピードが早いと言えるかどうかは別だが。一方で高齢化や競技への取り組み方など多様化の中で、必ずしもトライアスロンバイクにする必要はない。逆にトライアスロンバイクは難しいバイクであり、乗りこなすためには練習量やポジションの見直しなど、こまめな対応が本来必要となる。
非の打ち所がないサーヴェロだ。トライアスロンのサーヴェロが強調される結果となっている。それに次ぐシーポもトライアスロン専門ブランドとして、健闘している。そして、ここでもキャニオンの9割越えは今後の動きが気になる注目株という状況が見てとれる。
■現世代モデル別使用台数(人気モデル・フレーム)

- 第1位 スペシャライズド Shiv DB 2019~ 63台
- 第2位 トレック Speedconcept DB 2022~ 53台
- 第3位 サーヴェロ Pseries 2020~ 50台
- 第4位 キャニオン Speedmax CFR 2021~ 45台
- 第5位 サーヴェロ P5 DB 2019~ 44台
- 第6位 シーポ VIPER DB 2023~ 36台
実際にどんなモデルが人気となっているのか、具体的に知りたいところだが、前提としなければいけないことは販売期間に差があるということだ。その上で見ていかなければいけないが、人はパッと見の印象が残るものだ。昔の話だが、ケストレルがIRONMANのオフィシャルだった頃、「赤の500sci」は多く感じたなどの話を聞いたことがある。
1位のShivは6年経過しているため台数が多いとも言えるのだが、「使われ続けるバイク」という見方もできる。現時点ではどのレース会場でもその存在感は大きく、色褪せず、7年目を感じさせない。そして、2位のSpeedconceptが特筆に値するだろう。販売期間から見ると多いということだ。実際にチェックイン時にもその多さを感じた。特にトレックはカラーオーダーのパイオニアでもあり、特徴的、かつ美しいカラーが目を引いている。
■異形の現在
- 第1位 シーポ Shadow 14台
- 第2位 サーヴェロ PX系(5、3、Series)13台
- 第3位 カデックスTRI 5台
- 第4位 ダイアモンド 4台
- 第5位 ヴェンタム One 1台 / エルブス Amanyar 1台 / キャファ 1台
異形を確認してみた。合計で39台あり、その存在感は決して小さなイメージではなかった。特にシーポが目立っていた。そんな風に感じてはいるが、今後も増える傾向はないが、一定数の支持はあるだろう。
個々の性能差は別として、考え方は「エアロダイナミクス」に特化したバイクたちだ。「1本ないし2本パイプが足らないバイク」。トライアスロンバイクでヒルクライムレースには出ないだろう。同様に使用用途が「エアロダイナミクス最優先」のレースで本領発揮となるわけだ。選手の考え方はそれぞれであり、「マルチ性」を優先すればこれらにあらずというだけだ。
一世を風靡した26インチホイールも然り、現実的な生産レベルで見た時に難しいものもあるが、それが正解なのかどうか。今後もより速く、より乗りやすいバイクの追求はし続けるべきだ。つまり、メーカーのパッション次第と言えるだろう。
■サーヴェロ内訳

車種 | モデル | ブレーキ | 台数 |
TA | P5 2025~ | DB | 8 |
P 2025~ | 11 | ||
P5 | 44 | ||
P series | 50 | ||
PXSeries | 5 | ||
P3X | 6 | ||
P5X | 2 | ||
P5 | RB | 11 | |
P3 | 29 | ||
P2 | 16 | ||
P3c | 5 | ||
P2c | 7 | ||
P1 | 1 | ||
RD | S5 2023~ | DB | 2 |
S5 | 4 | ||
S3 | 2 | ||
Soloist DB | 2 | ||
S5 2014~ | RB | 3 | |
S5 2011~ | 2 | ||
S3 | 1 | ||
S2 | 2 | ||
R1 | 1 |

サーヴェロの中味はどうだったのか。やはりリムブレーキP3の後継に当たるミドルレンジのPseriesが幅広く使用されていた。今後は更に後継のPが増えていくことだろう。次にP5だが、KONAでも同様だが、強豪エイジに使用される傾向が強い。
一方、リムブレーキ世代は減っていくことになるが、サーヴェロの場合、旧モデルが根強く残る傾向がある。ほぼ同じ仕様となるP3とP2を合わせれば45台のシェアとなっていて、これも大きな存在。この2モデルの違いはフォークのみとなる。
そして、全体を見るとほぼ歴代のトライアスロンモデルが出揃っていた。伝説とも言える初代P3カーボンも現役で走っている。生産は終了したが、大きな話題で盛り上げてくれた「異形」のPX系も13台確認できた。
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毎回、このカウントをしていると思うことだが、ブランド数では76、モデル単体で見ればその何倍もの車種から選んでいることになる。「どうやって決めているのだろうか」自身で決定する場合も少なくないと思うが、行きつけのショップからの提案も大きいだろう。競技レベル、身体的特徴や制限、そして、予算などからの判断になる。トライアスロン以外でも使用する場合も加味しているかもしれない。いずれにしても余裕を持って相談することが大切だろう。
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「宮古に向けた機材の新調は、国内のトレンドに大きな影響を与える」

Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka