【KESTREL】 4000

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世界初のフルカーボンフレームをリリースするなど元祖アイアンマンバイク、ケストレル。カーボンバイクの草分けであり、トライアスロンを得意としたUSAブランド。シートチューブのない500sciやKM40AirFoilなど、オープントライアングルのフレームデザインが、機能と美しさで特長のバイクだった。アイアンマンでは、バイクのトップシェアを獲り、オフィシャルバイクも経験している。特に500sciは大人気となり、ケストレルのラインナップの中でも最も多く使用されていたモデル。500sciと言えば、女子の人気選手ウェンディ・イングラハムが乗り、「アイアンマンの代名詞」的な存在となった。男子顔負けのスイムアップで、女子トップでバイクスタートするため、イメージが良く、現在のサーベロのような存在だった。また1989年にリリースしたKM40は、シートアングル、ヘッド長、26インチホイールなど90年代のトライアスロンバイクの基本となるジオメトリーをいち早く取り入れていたモデルで、その後メジャー&マイナーのモデルチェンジをして3代目を1999年リリース。その名もKM40AirFoil、最終完成型となった。極めてデザイン性が高く、当時は「走る芸術品」と形容し、他社を寄せ付けないオーラを放っていた。またロードの200シリーズも含め、「曲線」の美しいフレームで「デザインし過ぎていない」というイメージが強い。

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その後、2000年に入り直線的なデザインの時代が続いたが2009年アイアンマンでこの4000が発表となり、「帰って来た、ケストレル」と感じた。メーカーの注力はネーミングからも感じる。「4000」はケストレルをこの世に知らしめた、当時世界初の数々の特許製法で一世を風靡し話題となった、レジェンドのネーミングだ。4000は一見オープントライアングルだが、ご覧の通り、シートチューブにあたるものが、存在する。形状はサーベロ型。当時言われていた剛性不足を補ったものだ。剛性重視の中、数少ない快適性重視のバイクでもある。「ケストレル完全復活」と言える一台となり、安定したロングセラーモデルとして、2015年で6年目に入る。

写真は、現在ケストレルの顔とも言える、人気選手、アンディポッツのバイクだ。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【ZIPP】               404 Firestrike Carbon Clincher Limited

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ジップの新型ホイールファイヤーストライク。

外観は、ファイヤークレストとほぼ同形状となる。このモデルは、404シリーズのみに設定され、「Limited」となっている。「404」は、ジップの看板商品で、650Cクリンチャーモデルなど5タイプがラインナップされている。ファイヤーストライクは、2010年にリリースされたファイヤークレストとほぼ同等の形状で、優れたエアロダイナミクスを持っているが、最大の特長は、制動力にある。

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魚の鱗のように見えるブレーキ当たり面だが、SiCで造られたSHOWSTOPPERというテクノロジーが施されている。より制動力を高めている。本来トライアスロンの大前提にはないが、実際は、テクニカルなコースがある。そんなコースには最適となるだろう。昨今ディスクブレーキや油圧ブレーキなどが話題となる中、リムサイドからの提案でもある。ディスクのメリットもあるが、やはり、通常のブレーキのほうが軽量なのは、間違いないからである。

この写真のホワイトデカールは、インプレスダイレクトデカールという初の試みのデカールで、表面処理の一環となる。価格も通常のデカールより少し高くなる。

同じ404シリーズの中で違いは何か?、ということになるのだが、この「ファイヤーストライク」は、カタログデータで前後1620g、「ファイヤークレスト」は、1640gになっている。制動力の高さが売りでかつ重量も軽いとなれば、ファイヤーストライクが良いとなるのだが、価格が高価になる。現在、国内で定価設定されていないが、10万以上は、高価になるだろう。

ホイールの “ Cervelo ” ジップの進化は目が離せない。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【GARNEAU】 GENNIX TR1

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GARNEAUは、カナダのブランドで、当初LouisGarneauでリリースされていたが、アクティブなバイクラインを別ブランドとして展開している。ルイガノは元々アパレルから始まったメーカーで、「カナダのパールイズミ」と言った感じの人気、実力ともにNo.1ブランドだ。アイアンマンでは、バイクより、ヘルメットやウエアなどの人気が先行している。

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このモデルは、2013年モデルとしてリリース2年目となる。前作2011年にリリースされたT1の後継モデルとして、アイアンマン本格参入の2台目にあたる。最大の特長は、軽量であることだろう。フレームサイズ520mmで1720gと、トライアスロンバイクとしては、超軽量クラスになる。昨今、トライアスロンバイクの重量は、付属パーツなどにより比較がしづらいが、明らかに軽量と言える。この重量には、ブレーキも含まれている。Hi-MODのスライスが、ブレーキ無しで1605g(540mm)だったので、同レベルか、勝っているかもしれない。トライアスロンの命は、「エアロダイナミク」、重量は関係ないという考え方もあるが、軽いに越したことはない。メーカーは、サドルの前後調整幅が、120mmとなっていることなどポジションの自由度を強調している。現存するモデルの中で、この調整幅は、最長かもしれない。この手の調整幅を大きくする考え方は、最近の傾向で、あのサーベロP3やBMCTM01なども同様の考え方になっている。ユーザーの使い勝手を優先としている。逆に言えば、メーカーの「逃げ」でもあるが、決められないということだ。ただ、今後もこの方向になるだろう。なぜならば、トライアスロンのポジションは、個人差が大きいが、その人にとっては、「ピンポイント」のポジション出しが必要になるからだ。足首の角度、ペダリングの癖からくるサドル高、大腿部の長さ、骨盤の角度、柔軟性、背筋と腹筋の強さ、上腕の長さなど、いろいろなパーソナルデータが絡むのだ。このサドルの調整幅にしてもイコールシートアングルということになるため、フレームのトップ長を表記してもシートアングルを表記していない。キャノンデールのスライスなども表記がない。これは、サドルの位置によって、結果としてシートアングルが決まるため、不要というか、「意味」がないと考えているのだろう。「メーカーの提案」と「フィティングの自由度」の融合は簡単でないのだ。本来ならば、シートアングルは、定番の78°、最近のサーベロなどの79°に決めたい。そして、可能な限りリアホイールを前方に位置させ、フレーム形状もタイヤに限りなく寄せる。「エアロダイナミクスとホイールへの荷重バランスの良さ」を出したい。理想と現実の難しさが、トライアスロンバイクの永遠の課題なのだ。また、このバイクのテクノロジーの一つとして、AeroBlanceTechnolgyが面白い。フロントフォークを大きくオフセットしたデザインにしているが、これによりステアリングへの風の影響が抑えられ、安定性が24%向上しているとのこと。これも、トライアスロンバイクに求められる「直進安定性」の重要度が高さに対する提案となる。

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このカラーは、アウトドアブランドMERRELLのチームカラー。

TR1-frame市販モデルはこちら。

¥356,400 + tax

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【FELT】 IA FRD

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2013、2014年と2年連続でアイアンマンウィナーズバイクのIA。

フェルトは、当初はアメリカ、現在はドイツブランドとして、アイアンマンでも人気のブランドだ。フェルトの顔である、創設者ジム・フェルトの開発力、そして、熱いマインドで造り上げられている。毎年アイアンマンの現場に精力的に関わっている。きっかけがトライアスロンだったこともあり、90年代前半のポーラニュービーフレジャーの活躍などに大きく貢献し、トライアスロンの定番ブランドとなった。サイズなどにもこだわりを持っていて、あえて650Cホイールを多用するなど、トライアスロン界でも独自のスタイルを持っている。

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この「IA」は、ずばり、P5、スピードコンセプト、SHIVを意識されたモデルとなっている。エアロダイナミクスとストレージを「強調」したモンスターマシンだ。エアロダイナミクスを高めるためのフレーム形状、ブレーキ他、各部の収まりなど、究極度の高いバイクが出来上がった。トッチューブ前側には流行りのストレージが付く。このストレージは、中味を2つに分けることができるなど、「後発」の良さを出している。後付ではなくトータルデザインされた完成度は他社を抜く。当初はSHIVのようなフューエルシステムもあったが、途中からなくなってしまったのが残念。先述とは異なるが、このIAに関しては、26インチモデルは存在しない。480mmも700Cとなっている。ただ、設計、造りなどから小柄な選手でも可能性はあるモデルだ。それだけポジション設定の自由度も高い。逆にDHバーの高さは低めのため、ポジション出しは慎重に行う必要がある。2015年のアイアンマンで、「4強入り」出来るのか、期待のかかるマシンでもある。
IMG_8287smallアイアンマンでは、ミリンダの乗るバイクとして、ハワイの顔にもなった。P5に次ぐハワイ代表格のモンスターバイクだ。この写真のモデルはミリンダのスペシャルバイク。独自のアッセンブルとカラーリングが施されている。メインコンポーネントはスラムのため電動変速ではない。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【cervelo】 New P5

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サーベロP5がついにモデルチェンジとなった。

サーベロは、周知の通り、アイアンマンNo.1バイクだ。昨年のアイアンマンでは、フレデリックヴァンリルデによって、ウィナーズバイクとなっている。現在のトライアスロンバイクの象徴であり、最強のバイクがP5だ。最高のエアロダイナミクスと剛性を誇る。引きの軽いマグラの油圧ブレーキを共同開発したことも話題となった。また、Di2、ブレーキのケーブル類がほぼ100%フレーム内部に納まる美しい造りとなっている。

DHバーのフレキシブル性、Di2バッテリーの納まり、ブルホーンでの電動変速や遠征時の梱包など、いくつか課題は残っているが、大きな問題ではない。

このモデルは、すでに8月のユーロバイクで発表されていたが、1か月以上経ってWEBが公開となった。モデルチェンジと言っても、カラーリングだけだ。国内初入荷から約2年、タイミングは良い。メインにツヤ消しのレッド、下部がツヤ有りのホワイトになっている。写真からは見えないが、トップチューブ上面はツヤ消しブラックになっている。微妙なデザインだが、現物はとても良かった。フレームカラーのみの変更で、ハンドルのカラーは、同色にすることなく、従来のままとなっている。できれば、同色にするとより完成度が高かったと思う。このノーマルカラーは、ハワイではレイチェルジョイスが使用していた。

サーベロは、イヤーモデルとして設定したいないため、正確には2015年モデルとはしていない。

デザインは好みだが、やはり、「Newカラー」ということで、人気となるだろう。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【ceepo】 CP VIPER

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昨年のアイアンマンにおいて、ついに70台オーバーとなり「世界第7位のトライアスロンバイク」となったシーポ。日本のトライアスロン専門ブランドとして、初めて世界のステージで戦えるバイクだ。その特長は、開発力にある。大手メーカーと違い、小回りが利き、いち早く最新のトレンドを反映させることができる。絶えず研究開発はなされ、他のブランドの良いところは導入、もちろんオリジナリティありきの「こだわり」ブランドで、一般ユーザーからプロまで使用できるラインナップがある。そして、日本国内においても人気ブランドで、No.1大会の宮古島でのシェアも高い。

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バイパーはカラーリングの変更のみで2年目となる。フラッグシップモデルとして、エアロダイナミクスと剛性を誇る。ルック型ヘッドとボリュームあるフォークは安定性が高い。また、いち早くディスクブレーキを採用するなど、トレンディなブランドでもある。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【cannondale】          SLICE BLACK INC.

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人気アメリカンブランド、アメリカの代表格、キャノンデール。

常に独自技術で話題性の高いキャノンデールはもともとアルミフレームを得意とするメーカーで、その軽量性は群を抜いていた。またMTBではリアサスの量産、片持ちフォークのレフティなど、他のメーカーにはない一歩先を行くブランドとして人気となった。また、カラーリングは特にこだわりがあり、「キャノンデールのカラー」そのものが話題となる。特に難しいとされる「グリーン」を絶妙なデザインとともに人気カラーにするなどオピニオンリーダーでもある。

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2008年リリースのカーボントライアスロン、スライスもロングセラーの人気バイクだった。2011年にはHI-MODバージョンも追加、アイアンマンでもクリシーやミリンダによってウィナーズバイクともなった名車。そして、2014年でフルモデルチェンジとなった。現在の「競技志向の高過ぎる」トライアスロンバイクに一石を投じるかのような、新しいコンセプトで登場したのが、このNewスライス。「軽量性と快適性」を重視したコンセプトで、「初めてのロング」に適したバイクと言える。このモデルは、105やアルテグラ仕様のモデルと同形状だが、フレームマテリアルが違うのだ。実はスライスには、国内入荷しているノーマルの他に高剛性のHi-MODバージョンが存在する。そのHi-MODモデルが、このブラックインクとデュラエースDi2仕様に設定されている。

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Newスライスのフラッグシップバージョンが、この「BLACK INC.」。このカラーは、不思議なことに同じスライスには見えない精悍さの高さが最高の仕上がりとなっている。国内入荷を期待したいのだが。。。

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このモデルは、Hi-MODのデュラエースDi2仕様だ。

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※残念ながら、これらのUSA展開モデルは国内展開なし。

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【Boardman】 AiR TTE 9.8

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Boardmanは、レジェンドとも言えるタイムトライアルのスペシャリスト、クリス・ボードマンのイギリスブランドだ。
ボードマンは90年代の選手で、オリンピックゴールドメダリストでもあり、世界選手権も2度制し、ツールドフランスでも活躍した名選手。ボードマン本人のすべてでもある「タイムトライアル」にこだわったラインナップとなり、エアロロードとタイムトライアル、トライアスロンバイクを得意としている。
ハワイアイアンマンにおいては、2012年オーストラリアのピート・ジェイコブスがこのボードマンに乗り優勝したことは、記憶に新しい。そして、翌2013年からこのTTEを使用している。また、アイアンマンだけではなく、オリンピックディスタンスにおいても、ロンドン五輪で金、銅を獲った、トライアスロンの申し子、ブラウンリー兄弟も使用し話題となっている、ロング、ショートを制したチャンピオンバイクでもある。
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まず、特徴的なデザインのフレームだ。特にトップチューブ前方の形状は、フェルトのIAやストレージを装着した時のサーベロP5のように、ステムからトップチューブ上面を流れるようなデザインにしていることだ。ストレージなどの機能はないが、機能美を考えたもので、これもトレンドの兆しと言えるだろう。ボードマンは、シンプルなデザインながらも、流体解析による無駄のないエアロダイナミクス、また、ホイールとフレーム各部が接近するところの整流にもこだわって造られている。これは、エアロホイールをセッティングすることを大前提に設計されているのだ。そして、ボリュームのあるフロントフォークの内側に収められたボードマン特有のフロントブレーキは、エアロダイナミクスはもとより、デザイン性、造形面においても異彩を放っている。もちろんメンテナンス性も良い。
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ボードマンの完成車は、性能とコストパフォーマンスのバランスが取れたこだわりのアッセンブルとなっていて、サドル一つとっても、昨年のハワイアイアンマンシェアNo.1のISMを組み合わせるなど、トレンドも網羅したバイクに仕上げている。
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BOSS1smallTriathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【BMC】 timemachine TM01

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BMCはスイスのブランドで創業は1986年。現在の流れになったのは、2001年で、実質ここからがBMCの歴史と言える。今や押しも押されもせぬブランドのイメージだが、実は新しい。当時言われた新興メーカーの一つで、サーベロと時期が被る。ややサーベロには遅れたが、現在は肩を並べている。2004年のtimemachineTT01の鮮烈デビューがターニングポイントだったのではないだろうか。技術とそのこだわりの集大成がTT01というカタチになってアピールしたのだ。そして、2011年、7年の時を経て、TM01がデビュー、大人気となった。

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このTM01は速く走るために造られたやや荒々しさを感じるバイクだ。アイアンマンのためのバイクで、デビューして5年目になる。そして、2代目ハワイアンバイクと位置づけられる。(初代は、クウォータKUEEN-K)ハワイアンバイクとは、アイアンマンのトレンドを網羅したバイクのこと。ジオメトリー、デザイン、ハンドルセッティング範囲、Di2完全対応、そして「カッコ良さ」など、すべてを網羅した「パーフェクトマシン」。また、BMCは特有のサイズ設定をしていて、Mサイズには2種類の設定がある。「M-short」と「M-long」という、トップチューブ長の違うものを造っている。トップの短い「アメリカ系」は、まさにこの「M-short」に当たる。そして、日本人などに合うのが、「M-long」となる。このあたりを「わかっているメーカー」としても注目する理由がある。ブレーキの調整方法、Di2バッテリーの搭載位置など、大きな問題ではないが、改良ポイントも残る。

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Triathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka