バイクの人気を決定付けると言っても良い、ハワイアイアンマンの各ブランドの使用台数。
トップ3の順位は、予想通りだった。サーベロが1位、トレック2位、スペシャライズド3位、トップ3の順位は昨年同様だった。ただ、内容に動きがある。サーベロオンリーの時代は終わった。トレック・スペシャライズドの2社が伸ばしてきている。台数にはまだまだ差はあるが、「サーベロ vs トレック&スペシャライズド」の様相を呈してきた。この図式ではほぼ互角の使用台数となるため、来年以降更なる「機材バトル」が楽しみとなる。また、これも予想通り、BMCはTM01で大きく伸ばしトップ10入りを果たしている。
【第1位 サーベロ 488台】
6年連続400台オーバーは「強過ぎる」というしかない。さすが、サーベロである。P5が圧倒的な存在感を放ち、使用台数アップに大きく貢献している。女性、年配の選手にも多く使用され、「アイアンマンの象徴」となっていた。しかしながら、昨年からは微増、記録更新とはならず、一昨年とのタイ記録は、やや「不満足」な結果と言える。本来、500台オーバーが可能だったからだ。これは、P3、P2のモデルチェンジが遅れたことにあるだろう。確かにレジェンドバイクだが、長過ぎたのも事実、「Di2対応」など、モデルチェンジを待ちわびていた。そんな中この夏にNEWP3が登場したのだ。NEWP3は、P5をベースに製作された。ただし、ブレーキなど、あえてオーソドックスなスタイルを取り、扱い易さが売りとなっている。ハワイへのタイミングでは、やや遅かったため、今年は大きく貢献することは出来なかったが、来年は「P5&P3」で500台オーバーが期待できる。台数という点はP2も重要で、これも早いモデルチェンジが望まれる。いずれにせよ2014年も「不動の地位」は変わらないだろう。
【第2位 トレック 220台】
昨年200台の大台に乗り、沸いたトレック。台数は微増だが、新型スピードコンセプトも多く使用され、「勢い」を感じる。エキスポでも一番目立つ場所での展開。今回の新型スピードコンセプトは、「エアロダイナミクス」と「ストレージ」を大きなテーマとしている。ストレージは同時にフューエルを兼ねていることもあり、スペシャライズドから始まった、「フューエル」は2014年に向け一つのトレンドとなっている。国内の展示会で確認のできなかったサドルケージも展示されていたが、実際に使用している選手を確認することはできなかった。また、ストレージ機能をフル活用すればそれなりに重量増となるため、補給のシュミレーションも「第6の種目」として課題となる。レースでは、いま一つ見せ場がなく終わった。トレックはバイクの強い選手に乗せる傾向があるが、ダークボッケルも精彩を欠き、目立つことは出来なかった。スピードコンセプトのトップは短め、ポジショニングは慎重さが必要。
【第3位 スペシャライズド 209台】
現在、アイアンマンにおいて確実に伸ばしているスペシャライズド。122台、170台、そして今回209台。2011年ハワイで世界同時発表された現行SHIVが確実に伸びているようだ。SHIVは、トレックのところでも述べた通り、「フューエル」が話題となったバイク。独自の内蔵システムで給水ができる。また、中央に配備されるフューエルセルは、昨年、今年と、アレキサンダーも使用していたが、下部はストレージ、上部もそうだが、補給食用となっている。一つ気になるところは、ブレーキで、今年からマグラのRT8TTが装備されているが、実際に装備されているSHIVを確認することはできなかった。RT8TTと言えば、サーベロとマグラの共同開発で生まれたトライアスロン用油圧ブレーキだ。変速の電動化の次は、ブレーキの油圧化の傾向が、シマノのディスクブレーキなどとともに現実化しつつあるが、ツインシフター仕様のDi2では、マグラとのコラボが実現しないと使い勝手の好みが出てしまっているようだ。そして、トレック同様トップが短めとなっている。
【第4位 フェルト 115台】
昨年と同数の115台だったフェルト。常に上位をキープするブランドだが、各社の新製品開発にやや遅れを取っていた感はあったが、満を持してついに「大物」がやってきた。それが、この「IA」だ。ずばり、P5、スピードコンセプト、SHIVを意識されたモデルとなっている。エアロダイナミクスとフューエルを「強調」したモンスターマシンだ。特にフューエルは中味を2つに分けることができるなど、「後発」の良さを出している。2014年に向け、「4強入り」出来るのか、期待のかかるマシンでもある。そして、今回ミリンダによりウィナーズバイクとなるなど幸先の良いスタートとなった。小柄なミリンダだが、26インチではなく、700Cモデルを使用していた。それだけポジション設定の自由度も高いことが伺える。フェルトはもともとリーズナブルなトライアスロンバイクで人気だが、更にその前、90年半ばに「究極のアルミトライアスロンバイク」をリリースした頃には、「こだわり」の一言だった。そんなフェルトの原点を思いださてくれたこのモデルには、大いに期待がかかる。
【第5位 スコット 91台】
今回スコットは活躍した。ルーク・マッケンジー、セバスチャン・キーンレにより2位、3位の入賞となった。トレック同様、いやサポート数ではもっと多く「バイクの強い選手」をサポートしている特異なメーカーだ。スコットに乗る選手はバイクが速いということだ。スコットもハワイでの使用はこのフラッグシップモデルのプラズマ3が多くなっている。シャープなデザイン性の高いフレームで、ハンドル位置が低いのが特徴。したがってポジションセッティングなどかなり難易度が高く、DHバーとのトータルでのセッティングはDHバーそのもののチョイスが直接関わる。DHバーのパッド位置とブルホーン部の低さなど、ユーザーのライディングスタイルと大きく関係してくるあたりが、特にシビアな一台と言えるだろう。毎年、プロ選手のスペシャルカラーモデルがバイクマニアを楽しませてくれる。
【第6位 QR 80台】
【第7位 キャノンデール 79台】
【第8位 アルゴン18 72台】
【第9位 BMC 68台】
【第10位 ジャイアント 66台】
Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka