vol.25 総括

今年のアイアンマンが終わった。

大会は、昨年に続き、新たなヒーローが誕生、今のアイアンマンは、連続優勝の難しい時代に突入したと言える。機材は、最高に出揃った感がある。「フューエル」「ストレージ」が大きなテーマとなったバイクが目立つ。チームも健闘したが、目標を達成することは出来なかった。課題も見えた大会だった。

総括機材IMG_9538.jpg【機材】

まず、総合1位のウィナーズバイクとなったのは、サーベロP5、女子は、フェルトのニューモデルのIAだった。どちらもトライアスロンバイクに注力しているブランドである。サーベロは、アイアンマン界のレジェンド。2005年からトップシェアを取り、2008年からは、400台オーバーを記録、今年で6年連続となる。台数も昨年プラス5台の488台は、過去最高だった一昨年とタイ記録となる。「長かった」P3もついにモデルチェンジしたが、タイミングがやや遅かったと思われたが、P5の人気は凄かった。上の写真はバイクチェックインの1シーン、たまたまだが、P5が3台まとまった絵だ。左奥は、P4もある。サーベロは「強過ぎ」という他ない。一方、フェルトは、バイクシェア4位に入る上位常連ブランド。リーズナブルなトライアスロンバイクをリリースするなどトライアスロン界においてなくてはならないブランドだ。そのフェルトが満を持して、「大物」を発表した。それが、FELT IA だ。「エアロダイナミクスとフューエル」をテーマに迫力あるマシンだ。サーベロとトレックとスペシャライズドを研究して作り上げたものと思われる。随所に各社の良さが見られる。

そして、最も話題となるバイクの使用率は、今年もサーベロがダントツの使用率第1位となった。昨年若干ながら台数を落とし、陰りかと思われたが、上記の通り、「P5フィーバー」で、またしてもサーベロに差を広げられた感じだ。ただ、サーベロと「その他大勢」の時代は、終わった。サーベロ、トレック、スペシャライズドの3強時代に入ったと言える。というより「サーベロ VSトレック・スペシャライズド連合軍」ということなのだ。ジオメトリーなどトレックとスペシャライズドは近い。P5やNEWP3もやや「アメリカンサイズ」になって来ているが、そこはまだ線引きされるスタイルを持っている。今後この3社の「バトル」が楽しみである。さて、今回もう一つにニュースは、「日本ブランド」のシーポが世界の仲間入りしたということだ。感覚的は話にはなるが、長年取材を続けて感じる台数は、「50台オーバーが条件」なのだ。もちろんサーベロの比ではないが、50台を超えてくると目立つ。誰もが意識せざるを得ないことになる。シーポ創設10年にして、快挙と言えるだろう。更に世界での注目も高まり、台数はしばらく増えるだろう。その分開発に対する期待が高まるため、「維持」する難しさも出てくる。戦いは選手だけではない、メーカーも最高峰のステージで使用してもらえるよう鎬を削ってやってくるのだ。すでに2014年が楽しみになって来た。

また、エキスポに見るメーカーの「勢い」という点では、今年も盛り上がっていた。特にトレックはもっとも「良い場所」で出展していた。注目度ももちろん高く、賑わっていた。サーベロは例年通り、定位置で構え、スペシャは向かいのスペースで大きく展開、昨年出展していなかったキャノンデールは復活、アルゴン18も定番人気、フェルトは新型IAをメイン展示とし、注目されていた。各ブランドの詳細は追って。

総括大会IMG_1336.jpg
【大会】
.
今年で35周年を迎えたアイアンマン。久しぶりにコンディションの良いレース当日を迎えた。

プロ選手の優勝タイムは8時間12分とまずまずのタイムだった。今後を占うトップ10内のタイム差は18分44秒で、これも近年のほぼ平均的なタイム差となっていた。ちなみにこのトップ10内のタイム差は、宮塚選手が日本人初のトップ10入りした1988年に30分を切った。その7年後の1995年に20分を切り、更に8年後の2003年で15分を切った。そして、過去最高の激戦トップ10となったのは2009年の11分23秒だ。世界のアイアンマンレースは、激戦となっているのだ。

さて、レースは、スイムでの大きな展開はなく、大集団でのスイムアップ。トップは、Brandon Marshの50:51、3位のPete Jacobsまで50分台、その後は、51分台のバトルとなった。トップ10の8選手が51分台、牽制のスイムだった。昨年、今年と50分切りのないスイム、“ 主役 ” Andy Pottsの欠場で、無難なスイム展開となった。スイムの距離を5kmまで伸ばせば、また違った展開になるだろう。アイアンマンにおけるスイムの比率は低いため、スイマーのアドバンテージも期待できないのだ。

ここからが、本番のバイクスタートは、昨年のチャンピオンPete Jacobs、クウィーンKに入り、抜け出したのは、Andrew Starycowiczだった。40km地点の通過は、Andrew Starycowiczに続いてFaris Al-Sultan、キープのPete Jacobs、そして、今回の立役者の1人、Luke McKenzieが通過。その後、折返し130km地点では、トップは入れ替わり、Luke McKenzie、続いてAndrew Starycowicz、Sebastian Kienle、そして、Frederik Van Lierde。バイクの強い選手が続く。そのすぐ後にも、Tyler Butterfield、2005年チャンピオンのFaris Al-Sultanが健闘している。その後、動きが出てきた。Frederik Van Lierde、Tyler Butterfield、間にDirk Bockelが入り、Faris Al-Sultanのパックが出来た。その前をSebastian Kienleが「無理せず」単独走行、そしてトップ集団は、Luke McKenzieとAndrew Starycowicz。ここで微妙な動きがあった。2位を走っていたAndrew Starycowiczが先頭に出たのだ。ここまでパフォーマンスを見せてきたが、疲れも出ているはず、「最後の見せ場」だろうか。そのままバイクフィニッシュとなった。

ランスタートは、再び入れ替わり、Luke McKenzieがトップに立った。続いてAndrew Starycowicz、やや疲れが見える。少し遅れ、Sebastian Kienle、Frederik Van Lierde、Dirk Bockel、そして、6位でFaris Al-Sultanがランスタート。ペースも良い感じで、上位入賞を目指す。アリードライブで折返し、再び中心部に戻ってくると15km程度の地点となるが、そこを通過する時には大きく順位が入れ替わるのが、常。バイクで無理をして来た選手は、遅れが出ていたり、帰って来ないこともある。そんなドラマが見れる15km地点、まだまだその後の展開はあるが、最初の篩いなのだ。

その15km地点のトップ通過は、Luke McKenzieだった。ペースは悪くない。2位通過はSebastian Kienle、快調に走っていた。Andrew Starycowiczは来なかった。そして、Frederik Van Lierdeがハイペースで追い上げて来た。その後、クウィーンKで猛追が始まり、2位、そしてトップに立った。完全にランの次元の違う走りを見せ、35周年大会を制した。

2013年、新たなチャンピオンが誕生したが、来年はまたどうなのか予想がつかない。連続優勝は難しい。そんな、ハイレベルなアイアンマン時代になった。

総括チームIMGP0842.jpg
.
【チーム・Y】
.
チーム・Yもハワイ参戦が始まり、早や12年、今年こそ「サブ10」を達成したいと臨んだ。もちろん、ベストは尽くした。しかしながら、サブ10の「壁」は高かった。全てのものを引き寄せ、全てのものを出し切り、達成できる目標。また、来年の目指す意味が明確になった。

アイアンマンの終わりはない。常に挑戦し続けるスポーツ。それが、アイアンマンだ。

青木選手レポート: http://triathlon-geronimo.com/?p=533

金山選手レポート: http://triathlon-geronimo.com/?p=535

「Road to KONA 2014」 チーム・Yとして2014年アイアンマン世界選手権出場に向けスタートする。http://triathlon-geronimo.com/?cat=15

IMGP0454.jpg
.
【現地レポート】
.
フォト中心ですが、現地からアップした情報です。
モノ情報などは、今後、ピックアップして、アップ予定です。
.
8日(メディア登録~モノチェック): http://triathlon-geronimo.com/?p=514
9日(モノチェック): http://triathlon-geronimo.com/?p=516
10日(アンダーパンツラン~記者会見~カーボパーティ):
11日(バイクチェックイン): http://triathlon-geronimo.com/?p=520
12日(レース速報): http://triathlon-geronimo.com/?p=464
13日(アワードパーティ): http://triathlon-geronimo.com/?p=522
.

まだまだ、これからです。

より詳細情報お届けします。引き続き「2013アイアンマン」チェックして下さい。

BOSS1small

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka