世界標準スローピングフレーム 及び【メーカーNEWS】「GIANT TCR」がフルモデルチェンジ

バイクのフレーム設計において、衝撃的とも言える「スローピング」形状は、様々なメリットを持ち、後の各メーカーの設計に大きく影響を与えた。そして、新たな発想とともに「設計の自由度」をもたらしてくれた。

量産型ロードバイクのスローピングフレームのパイオニア(※)であるジャイアント。96年にリリースされ、その形状に驚きと賛否の意見があったことを憶えている。その否定的な声があったことこそ、信じて発表したジャンアントの凄さと言えるだろう。当時、イタリアのあるロードバイクメーカーでは、「スローピングは美しくない」として、造らないと言っていたが、その後生産されている。トップチューブがホリゾンタルであることの美しさ。。。そのこだわりも素晴らしいと感じた。  ※ショップ系工房で造られたスローピングフレームはジャイアントより数年早く、同様のコンセプトで製作されていた。

スローピングとは、トップチューブが、シートチューブに向かって、下がっている形状のことだ。MTBでは、すでに採用されていた形状のため「MTBのようなロードだ」とも言われた。スローピングのメリットとして、部材が少なくなることによる軽量化、フレームの前三角、後三角が小さくなることによる高剛性、そして、低重心化などがメーカー発表としてあった。ユーザー目線で見れば、スタンディングオーバーハイト(足つき性)が低くなり、適応身長(体型)が広くなる。また、同時に「シートポストによるサイズ変更」とも言える、シートサイズが調整範囲が広くなったため、サイズ設定を少なくすることが可能となった。もちろん、本来フレームのサイズはトップチューブ長で決定するものではあるが、サイスバリエーションを減らすことで、コストダウンにも繋がった。当時、フレームサイズの設定が「S、M、L」というウエアのようなサイズにも驚かされたが、高品質、低価格のジャイアントは受け入れられた。ちなみに、スローピングはジャイアントの看板だが、エアロダイナミクス優先の同社PROPELはホリゾンタル仕様としている。

現在のスローピングは、各社により設計コンセプトは異なるが「スタンダード」となっている。概ね、トップチューブ1本程度下がった形状が「基本型」となっている。逆にホリゾンタルのフレームは違和感すら感じるだろう。最小サイズやレディスモデルについては、やはり、足つき性を考慮し、極端に下げているモデルも見受けられる。

トライアスロンにおいては、基本的にエアロダイナミクスの中で、ホリゾンタルとなるが、シーポなどは開発当初から取り入れていた。サーヴェロも現在のモデルは僅かながらスローピングとなっている。よく見ないと分からない程度ではあるが、エアロダイナミクス、美観、そして、足つき性による汎用性など、研究の上で決定しているジオメトリーとなる。

設計の自由度。「世界標準」になったスローピングは凄い。賛否、いや否が多かったかもしれない。そんな時代から貫き、半世紀。今では当たり前となった形状だ。トライアスロンでは「異形」として自由に設計しているが、第2のスローピングが生まれるのか?

以下、メーカーニュースとなる。スローピングのジャイアント。その看板モデルTCRのフルモデルチェンジだ。もちろん、元祖スローピングとして。

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「GIANT TCR」がフルモデルチェンジ

〜6シリーズ11製品に加え、新型ホイールやサドルも発表〜

GIANTはこの度、ブランドの看板製品というべき「TCR」をフルモデルチェンジし、2021モデルとして発表 いたします。

四半世紀前、GIANTが発表した「コンパクトロード」、⼀般的にスローピングフレームと呼ばれる概念は、全 世界のロードバイクの基準を刷新しました。その時に誕⽣した「TCR(=Total Compact Road)」は、 今⽇ま で「トータルレースバイク」というコンセプトを追求、技術⾰新を続け、第9世代となる2021モデルの新型 TCRシリーズは、クラス最⾼の重量剛性⽐を維持しながらも、前モデルより空⼒性能を⼤幅に向上し、究極の オールラウンドレーシングバイクへとさらなる進化を果たしました。

株式会社ジャイアントは、「TCR ADVANCED SL DISC(3 製品)」「TCR ADVANCED SL(1 製品)」「TCR ADVANCED PRO DISC(3製品)」「TCR ADVANCED PRO(1製品)」「TCR ADVANCED DISC(1製品)」 「TCR ADVANCED(2製品)」の計6シリーズ11製品を、4⽉中旬より販売開始いたします。また、今回の 完成⾞が採⽤する新型のホイールやサドルなども同時に発表いたします。

KEY PERFORMANCE FACTORS

新型TCRシリーズは、次の3つのパフォーマンス要素を念頭に設計されています。

CLASS-LEADING EFFICIENCY

⾼い重量剛性⽐はTCRの特徴です。この重要なアドバン テージのために、新型TCR ADVANCED SLには、チュー ブ形状の抜本的な⾒直しと⾼度なロボットレイアップ技 術による最先端のカーボン素材が採⽤されています。その 結果、主要な競合他社製品(※)よりも最⼤で26.3%も ⾼いフレーム/フォーク剛性を持ち、爆発的な加速と登坂 効率を実現しながら、より優れた乗り⼼地 も両⽴しました。
※2019 T社ロードバイクとの⽐較

ADVANCED AERODYNAMICS

新型TCRは、その空⼒性能でも、前世代と⽐較して⼤き な進歩を遂げました。すべてのチューブ形状を分析、設計、 テストして、幅広いヨー⾓において空気抵抗の⼤幅な低減 に成功。その結果、特にスプリントや単独での逃げにおい て、かつてないほどに⾼速なTCRになりました。

TOTAL CONTROL

新型TCRは、最新のディスクブレーキ専⽤設計から、横 ⾵での安定性を⾼めるまったく新しいホイールシステム の採⽤まで、さまざまな路⾯や⾛⾏条件でより優れたコン トロール性を提供します。新型カーボンフォークは、主要 な競合他社(※1)と⽐較してねじれ剛性が35%向上し、 ⽐類のないステアリング精度を実現しています。また、フ レーム/フォークが32mm幅(※2)のタイヤまで対応す るクリアランスになり、あらゆるタイプの路⾯でスムーズ で⾼速なライドを実現します。

※1︓2019 C社ロードバイクとの⽐較

※2︓ディスクブレーキモデル。リムブレーキモデルは 28mm 幅まで。

 

■詳細は、「新型TCRスペシャルサイト」に掲載しております。 https://www.giant.co.jp/giant20/showcase/2021_tcr/

 

 

 

「四半世紀前から続く、フレーム形状の潮流

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka