ワールドトライアスロンシリーズ2021横浜 GERONIMO Count

WTCS横浜におけるバイクデータとなる。

使用されるバイクは、ロードバイクとなるため、アイアンマンのような特有のバイクではないが、その中に見えてくるトライアスロンとしての「傾向」「特徴」は確認できたのか。オリンピックを目前に世界のトップたちが使用したバイクをシェアから観ている。今回のレースでもバイクの重要性は一目瞭然だった。所謂エアロ形状、シートアングルが立ち、フューエルやストレージ機能を持つトライアスロンバイクでない「トライアスロンで使用するロードバイク」という新しいカテゴリーにも期待したいが、現在はそこまで至ってはいない。ただ、各選手のこだわりや工夫が今後の開発に活かされてくるはずだ。

まずは、ウィナーズバイクをチェック。エリート男子はGIANT、エリート女子はSPECIALIZEDとなった。

エリート男子のウィナーズバイクは、ジャイアントPROPEL ADVANCED SL DISCのエアロロードで、もちろんディスクブレーキ仕様となる。ホイールは、ジャイアントブランドのCADEXで、フロント42mm、リア65mmでセッティングしている。コンポーネントはDURA-ACEのDi2、パワーメーターはSHIMANOとなっている。DHバーのアームレストは大きめで、バイクでのパフォーマンス重視も伺える仕様だった。

エリート女子のウィナーズバイクは、スペシャライズドS-WORKS TARMACだった。但し、ブレーキはディスクではなかった。ホイールは、スペシャライズドブランドのROVALで、前後に50mmをセッティングしている。コンポーネントはDURA-ACE、パワーメーターはQUARQとなっている。女子の使用率が少ないビッグプーリーもインストールしていた。バイクパフォーマンスの高いニブのバイクはリムブレーキにメカニカルシフトだった。

【ブランド別使用率】

次にバイクシェアは下記の結果となった。

今年も予想通り、スペシャライズドの使用率が高かったが、2015年以降ではダントツの26台だった。このデータは男女合計の台数となっているが、スペシャライズドは、女子の使用率が例年高い。今回は26台中17台が女子選手であり、女子の30.9%を締めるまでとなっていた。モデルは、内21台と圧倒的にTARMACで、他はVENGE、AMIRAが使用されている。アイアンマンではサーヴェロが多いが、WTCSではスペシャライズドがKINGということになる。

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 SPECIALIZED 26 22.6%
2 TREK 10 8.7%
3 SCOTT 6 5.2%
4 BMC 5 4.3%
4 COLNAGO 5 4.3%
4 CUBE 5 4.3%
4 GIANT 5 4.3%
4 LAPIERRE 5 4.3%
4 VENTUM 5 4.3%
10 ARGON 18 4 3.5%
10 cannondale 4 3.5%
10 cervelo 4 3.5%
13 CANYON 3 2.6%
13 Wilier 3 2.6%
15 BH 2 1.7%
15 Cinelli 2 1.7%
15 FELT 2 1.7%
15 Liv 2 1.7%
15 ORBEA 2 1.7%
20 ANCHOR 1 0.9%
20 BIANCHI 1 0.9%
20 ceepo 1 0.9%
20 CIPOLLINI 1 0.9%
20 FACTOR 1 0.9%
20 FOCUS 1 0.9%
20 PINARELLO 1 0.9%
20 PROCYCLE 1 0.9%
20 REAP 1 0.9%
20 RIDLEY 1 0.9%
20 ROSE 1 0.9%
20 SIMPLON 1 0.9%
20 STEVENS 1 0.9%
20 SWIFT 1 0.9%
20 vigorelli 1 0.9%
42 合計 115 100.0%

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【詳細分析】

各ポイントについて分析している。まずは、「トライアスロン」で使用するバイクの主な特性について、その動きを見てみた。下記の3点は、「エアロダイナミクス」に関わるファクターとなるが、ドラフティングレースとなる今大会では、「ロードレース」に近いため、必ずしも絶対条件ではない。ただ昨今「バイクの重要性」に注目が集まる中で、単なるロードレース化ではないため、選手の対応が機材面のバイクという形となって表れている。

①エアロロード

②ホイールリムハイト

③DHバー

以下、2点は基本的なバイクトレンドとなる。電動変速システムの普及については今更というイメージはあるが、実はワールドクラスの今大会でも、完全普及とはなっていない。そして、ディスクブレーキについては、普及3カ年も経過し、確認のタイミングと言えるだろう。

④電動変速システム

⑤ディスクブレーキ

以下は、流行りも含めスペシャルパーツの動きとなる。ビッグプーリーも話題としては久しいが、現在どうなっているのか。そして、18年からスラムのワンバイをきっかけとして、コナでは確実に伸びを見せているフロントシングルは、このレースでも有効性があるのか、興味の沸くところである。

⑥ビッグプーリー

⑦ワンバイ

前提として、2021年のWTCS横浜大会115選手の結果であり、全てを計るものではないが、概ね、方向性について大いに参考になると考えている。

【エアロロード】

エアロロードのジャンルが注目を集めるようになって10年以上となる。トライアスロンバイクの開発と前後または、同時期に開発されることが多い。各社ロードバイクの中では最もエアロダイナミクスに優れたモデルシリーズと位置付けている。トライアスロンで使用されるロードバイクとしては、画期的なイメージではあるが、重量、剛性面などから必ずしも選択されているわけではない。

フレーム 男子 女子 合計 使用率
エアロ 31 19 50 43.5%
非エアロ 29 36 65 56.5%
合計 60 55 115 100.0%

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エアロロードは減っていた。2015年の38.7%から、2018年では50.0%に伸びていたが、今大会では50%を切ってしまっているのだ。

昨今のメーカーの動きでは、軽量のオールラウンド系やエンデューロ系にもエアロダイナミクスが高められており、一つのジャンルとして、「エアロロード」を確立するためには、トライアスロンバイクのような、より高いエアロダイナミクスを求めなければいけないが、ロードバイクの良さである「機動性」からはその融合が簡単ではない。重量化であったり、剛性が高くなり過ぎたりと、難しい点も多い。

ただ、エアロダイナミクスは永遠の「絶対テーマ」だけに、あらためて、そのジャンルが確立することを大いに期待したい。特にポジション等も含め、総合的な「トライアスロン向きバイク」は。まだまだ開発の余地がある。

順位 ブランド モデル 使用台数 使用率
1 TREK MADONE 8 16.0%
2 CUBE LITENING C:68X 5 10.0%
3 GIANT PROPEL 4 8.0%
3 LAPIERRE AIRCODE 4 8.0%
3 SPECIALIZED VENGE 4 8.0%
25 50.0%
30 合計 50 100.0%

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エアロロード全50台の中で、最も多く使われているモデルは、代表格と言えるトレックMADONEだった。MADONEは、トライアスロンモデルのSPEEDCONCEPTからフィードバックされたエアロダイナミクスを活かし、そのロード版として完成度の高いモデルとなっている。また、当初からエアロロードの剛性が高過ぎる傾向にあるという課題に着目していたトレックは、独自のシステムIsoSpeedにより、快適性向上への対策を施している。この点に関してはトレックのみならず、各社も共通の課題であり、今後の「第2次エアロロード世代」へ向けて、開発が期待されている。

【ホイールリムハイト】

ホイールのイメージは、まず、フレーム形状と同様に、トライアスロン特有の「エアロダイナミクス」が挙げられるが、その目的は前後により異なる。

フロントは、エアロダイナミクスと、横風などの影響からハンドリングを考慮したチョイスとなる。50mmを超えてくると、ハンドルを切った時に重さ(空気抵抗)を感じるくらいとなる。また、リアは、エアロダイナミクスとともに更に重要となるのは、「高速巡航性」となる。これはホイールの剛性と大きく関係してくる。レースコンディションにもよるが、リアにディスクホイールを使用するのはそのためだ。ただ、その反面として、剛性が高過ぎれば、脚への負担も大きくなる。その辺りのバランスを見ながら、選手たちはホイールを決定する。

このハイトだけで述べるのはやや乱暴ではあるが、概ね傾向は出ている。本来ならば、メーカー間の「重量剛性比」など更に掘り下げる中で、カウントの精度は高まるのだろう。また、一般選手において、エアロダイナミクスはある程度走る力が必要だが、剛性による高速巡航性は誰でも体感できる。一定の速度で走り続け易くなるということだ。そんな極めて重要な武器がホイールだ。

男子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 15 25.0% 24 40.0%
50~54mm 15 25.0% 13 21.7%
40~49mm 23 38.3% 19 31.7%
30~39mm 7 11.7% 4 6.7%
29mm以下 0 0.0% 0 0.0%
合計 60 100.0% 0.0%
女子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 9 16.4% 14 25.5%
50~54mm 4 7.3% 11 20.0%
40~49mm 21 38.2% 18 32.7%
30~39mm 20 36.4% 11 20.0%
29mm以下 1 1.8% 1 1.8%
合計 55 100.0% 55 100.0%

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これも想定される結果ではあった。男女別で見ればやはりパワーの違いにより、剛性、軽量性などがチョイスされている。また前後別では、男子の55mm以上がイメージを超える使用率となっていた。

あと、過去データとの比較は、リムハイトの前後異径サイズが少なかったり、バリエーションが少なかったため比較が難しいが、ほぼ同様と見られる。ただ、男子のフロントが低くなる傾向が出ている。

そして、ホイールメーカーの使用率は、下記の通りの結果だった。

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 ROVAL 24 20.9%
2 DT SWISS 22 19.1%
3 ZIPP 10 8.7%
4 SHIMANO 8 7.0%
5 ENVE 7 6.1%
5 CADEX 7 6.1%
5 BONTAGER 7 6.1%
30 26.1%
25 115 100.0%

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結果は、バイクの使用台数から予想された完成車系のROVALが20%を超える使用率となっていた。また、コンポ系のSHIMANO、ホイール専門のMAVICなどが大きく落としている。として、目を引いたのが、「DT SWISS」だった。2018年では、僅か3台の使用だったが、大躍進の結果となった。DTはスイスの老舗ブランドで、現在では、「ハブ」が有名なメーカーだ。他社のホイールにも多く採用され、そのホイールのランク付として「DTハブが使われている」などと表現される不動のメーカー。また、リム高のバリエーションも多くラインナップしている。

【DHバー】

DHバーが付いていればトライアスロン。そんな象徴とも言えるパーツは、単独走行時に身体を狭め、低く構え、エアロダイナミクスを高めるためのパーツだ。ただ、一般レースやアイアンマンなどドラフティングのないレースで主に使用されているが、WTCSのようなレースでも先頭を引く時には有効的な機材となるため、その可能性に対し、装着されている。ドラフティングのないレースでは、このバーを持ったポジションが標準であり、逆にWTCSのドラフティングレースでは、ドロップを持つことが標準となる。つまり、先頭を引いたり、レース展開を変え、勝負を決める時に使用される重要なパーツと言える。

DHバー 男子 女子 合計 使用率
使用 36 25 61 53.0%
不使用 24 30 54 47.0%
合計 60 55 115 100.0%

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今回の結果で一番気になったのが、このDHバー装着率だった。15年は35.7%、18年で39.8%となっていたが、今年は大幅に伸ばし、半数以上の装着率となった。バイクでの様々な状況変化であったり、そこへの対応、そして、仕掛けるための重要なパーツとして装着されている。当然、仕掛けるためのバイクの力がなければ意味がない。ドラフティングレースにおいてもバイクパフォーマンスが上がって来ていることを物語る機材傾向と言えるだろう。

【電動変速システム】

2012年のシマノULTEGRA Di2のリリースから10年目となる。完成車に設定されたモデルは安価ではないが、購入時には必ず検討する機能の一つであり、絶対条件と言えるかもしれない。電動ゆえに、変速スイッチをハンドルとDHバーに分岐し、2箇所から変速ができる。また、ワイヤー引きのバーコン仕様については、レバーが固かったが、スイッチボタンを押すだけの電動は、DHポジションのブレを抑え、抵抗の少ない理想的なライドも可能にしている。費用対効果としては申し分ない機能が、選ばれている理由だ。また、スラムの「ワイヤレス」も極めて画期的なパーツとして、イージーインストールなどから人気が出て、今や、Di2との選択肢にもなって来ている。

電動変速 男子 女子 合計 使用率
使用 55 49 104 90.4%
不使用 5 6 11 9.6%
合計 60 55 115 100.0%

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結果は、圧倒的な使用率であり、普及率と言った方が良いかもしれない。ただ、エリートレースとしては、まだ90%なのかと言った印象も受けてしまう。エリートと言っても各国、各選手間でも事情があるようだ。恐らく開催されなかった昨年の時点でもほぼ同様の普及率だったと思われる。概ね標準化となった電動変速システムだが、リーズナブルなULTEGRAをもってしても、時間のかかる結果となった。

アンチとして、電源関係のトラブルなど以前は理由の一つでもあったが、GPS、パワーメーターなどバイクも様々なパーツが「スマート化」され、まさにIoTの流れで繋がり、ほんの入り口に過ぎない電動変速化には時間がかかった。ただ、流れは来ていて、スマート化には慣れて来た。今後は、効果の大きな機材の導入への加速は期待できるだろう。

順位 ブランド モデル 使用台数 使用率
1 SHMANO DA Di2 54 51.9%
2 SRAM RED eTap 24 23.1%
3 SHMANO ULTEGRA Di2 23 22.1%
4 SRAM FORCE eTap 3 2.9%
合計 104 100.0%

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圧倒的にSHIMANO系Di2が多い誰もが予想できる結果ではあった。DAとULT合わせて74%を占めている。ただSRAM系eTapも18年の20.0%から26.0%となっていることも注目したい。世界の圧倒的シェアを持つ「質実剛健」のシマノに対し、古くはDHバー先端変速システムの「グリップシフト」や軽量性など特徴を図り、変速機の電動ワイヤレスや小型バッテリー、肉抜率の高いディスクブレーキローターなどリスキーとも思われる「斬新さ」が特徴のスラムには「面白さ」を感じてしまう。昨今話題となる「ワンバイ」もスラムだ。大きな勢力図が変わることはないが、ライバルメーカーがいることで、更にシマノも進化する。今後の開発が楽しみな機材だ。

【ディスクブレーキ】

ディスクブレーキモデルが出揃ったのは、2019年リリースの「2020年モデル」からだ。早かったスペシャライズドは、2016年から2018年モデルで概ね、切り替えが完了している。そして、最後の大メーカートレックが2020年モデルをもってほぼディスクブレーキ化となっているからだ。電動変速システムよりも明らかに「新型」のイメージを持つディスクブレーキモデルに対しては、各社も切り替えが急がれた。この背景には、安全性が挙げられる。ディスクブレーキありきではなく、ワイド化されたホイール、チューブレスタイヤなど、足回りが強化され、同時に制動力向上も進められた来た。ある意味、安全面においては、電動変速やその他のパーツなどと比べられないくらいの重要性があった。

Dブレーキ 男子 女子 合計 使用率
使用 53 46 99 86.1%
不使用 7 9 16 13.9%
合計 60 55 115 100.0%

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結果はデータの通り、高い数値となった。エリートはサポートを受けている選手が多いため、当然の結果である。2018年大会時は、僅か13.0%であったため、完全普及と言えるが、当時は開発が遅れているメーカーもあったため、出揃っていなかったと言うのが正しいかもしれない。いずれにしても、WTCSの世界では、電動変速システムとディスクブレーキは、「標準化」が落ち着いた。

順位 ブランド モデル 使用台数 使用率
1 SPECIALIZED TARMAC 18 18.2%
2 TREK MADONE 8 8.1%
3 CUBE LITENING C:68X 5 5.1%
3 VENTUM NS1 5 5.1%
5 GIANT PROPEL 4 4.0%
5 LAPIERE AIRCODE 4 4.0%
5 SPECIALIZED VENGE 4 4.0%
51 51.5%
合計 99 100.0%

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ディスクロードのシェアは圧倒的にスペシャライズドとなっていた。もちろん使用台数が多いこともあるが、2016年から早々にディスクブレーキに注力しているメーカーであることも合わせての使用率の高さと言えるだろう。モデル別となっているが、VENGEなども合わせると更に増えることになる。使用台数が大きく関わるが、事実となる。

【ビッグプーリー】

ビッグプーリーもトレンドと言われ久しいが、その後、動きはあったのだろうか。効果の大きさは、「体感」できる数少ないパーツでもある。回転時の抵抗が大きく軽減されることで、ペダリング効率を向上させている「アイデアパーツ」だ。ビッグプーリーは、チェーン、プーリーのベアリングの摩耗を抑え、最大の体感は、アウターローでの状態で確認できる。各社鎬を削りリリースしているが、プーリーケージ(本体)の剛性が大きなポイントとなるだろう。

Bプーリー 男子 女子 合計 使用率
使用 11 5 16 14.8%
不使用 49 50 99 91.7%
合計 60 55 115 100.0%

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使用率は、2018年の12.0%に対し、僅かに伸びているものの、低空飛行と行った感じだった。先述の通り、効果は極めて高いが、リアディレーラーの「改造」ともなるので、このエリートレースでは、サポートの関係もあるだろう。

【ワンバイ】

スラムの専売特許とも言える「ワンバイ」は2018年のコナで19台確認、翌年2019年では、63台に増えていた。その63台のうち20台はプロ選手の使用となる。このパーツが普及の兆しを見せているのは、スムースで単純な変速動作とそのデメリットが少ないことが挙げられる。ワンバイは単純にフロントをシングルにして、ディレーラーを外しただけではない。それをすればすぐにチェーンが脱落してしまう。スラムだからこそできているシステムとなる。チェーンとチェーンリングの噛み合いをX-syncという構造で極めてマッチングの高い造りとなっている。写真と同じ状態で使用する選手も多いが脱落防止パーツを取り付けることもできる。

現在、アイアンマンの世界ではこのシンプルな構造と見た目が新しいトライアスロンバイクの姿として注目を集めている。

ワンバイ 男子 女子 合計 使用率
使用 4 1 5 4.3%
不使用 56 54 110 95.7%
合計 60 55 115 100.0%

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結果は、ごく僅かな使用に留まっていた。ただ、使用する選手を想定していなかったため、台数よりもその事実に驚いた。このシステムは、概ね各ギアテーブルをカバーし、アイアンマンでもプロ選手から「全く問題ない」と聞いている。ただ、加減速を繰り返すロードレースのような走り方をするWTCSなどのドラフティングレースでは、シビアな変速が求められることが想定されるため、使用はほぼ無いと思っていた。それよりも誤操作やチェーン脱落抑止、クイックでストレスフリーを優先する選手が使用している。

最後に。ここでの傾向が、一般選手に全て当てはまるわけではないが、考えるべきポイントであることは間違いない。バイクを速く走るためには、この機材と上手く付き合えるか、無視できない重要なポイントでもある。また、スイム、ランと違い、安全面に大きく関わるという点では、ディスクブレーキやホイールにも興味を持ちたい。

 

 

「トライアスロン用ロードバイクの開発に期待!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka