2021彩の国トライアスロンin加須スペシャライズドカップ RaceReport

6/6(日)埼玉県加須市で「2021彩の国トライアスロンin加須スペシャライズドカップ」(彩の国トライアスロンin加須大会スペシャライズドカップ大会実行委員会主催)が開催された。

■気象(7:00時点):天候 曇り / 気温 21.0℃ / 湿度87% / 風速 0.7m 北東 ※熊谷地方気象台

■スタート数:338名

2年ぶりの開催となった彩の国トライアスロン。6月初めの定番レースが厳しい状況の中でも、無事開催、そして終えることができた。

当日のレースは、タイムスケジュール通りスムースに流れていた。朝6時の受付開始から表彰式の終わる15時まで、時折の天然シャワーはあったが、強い日差しもなく、選手にとっては絶好のコンディションの中の開催であったと言えるだろう。

そして、久しぶりのトライアスロン出場となる選手も多かったと思うが、渡良瀬の醍醐味である高速バイクコースを楽しみ、それぞれの目標に向けてレースを満喫したことだろう。

コンパクトにまとまった会場

彩の国トライアスロンの歴史は長く、1995年に「彩の国トライアスロンin北川辺」(旧北川辺町はのちに加須市となっている。)として始まり、今年で27年目の老舗大会となっている。当時は、オリンピック正式種目を目指す流れとして「インターナショナルスタンダード」のショート51.5kmで開催されていた。今で言うODだ。

トライアスロンは、スイムがあるため、ロケーションの設定が簡単ではない。水辺の近くでバイク、ランが行える場所が必要だが、会場となる渡良瀬遊水池は、絶好のロケーションで、関東圏からのアクセスの良さが人気となり、長く続いている。また、会場がコンパクトにまとまっている。各種目の動線をはじめ、メイン会場と駐車場の距離なども選手からは好評となっている。

ただ、それだけではなく、アットホームな空気感のあるこの大会は、スタッフ、ボランティア、そして、地元などに守られ続けてきた大会でもある。

■コース

【Swim】A: 2.25 / B: 1.5 / C: 0.75 km

10名づつのローリングスタートで、基本的にフラットな遊水池を泳ぐ。レイアウトは、真っ直ぐ泳ぎ、戻る1周750mを周回する。

【Bike】A: 72 / B: 43 / C: 21.6 km

フラットな高速コース。2箇所90度コーナーがあるものの、ほぼDHポジション走行となる。道幅も広く、走り易いコースだが、DHポジションでの練習が必要となる。

【Run】A: 15 / B: 10 / C: 5 km

土手の登り下りがあるものの、ほぼフラットでペースが掴み易いが、単調なため、集中力が鍵となるコース。

 

■レース

【Swim】

7:45:00 レースが始まる。スタートは、彩の国C、B、Aの順番で10名ずつ、10秒ごとのローリングスタートで行っている。1周750mをそれぞれ3周、2周、1周泳ぐ。

レイアウトは、真っ直ぐ泳ぎ戻るだけの単調コースで折り返し地点も距離が短いため、大きく視界に入っている。初心者には安心感があっただろう。ただ、経験の浅い選手も少なくないため、コース取りの見極めは重要となる。やはり、レイアウト上バトルは避けられないため、A、B、Cを分けず、申告泳力順でスタートさせるなどを試しても良いかもしれない。スイム後のバイクコース上の「密」もあり総合的なバランスということなのだろう。

まずは、入水時に注意。下が藻で滑るためだ。各選手慎重に水の中に入っていく。水質が話題となることが多いが、選手からは「イメージしていたよりは良かった」との声を聞いている。濁ってはいるが、無臭だった。渡良瀬川下流に位置する日本最大の遊水池は、もちろん、波や流れはないが、風により、海面は影響を受け易い。ましてや短い周回となるため、完全に「楽勝」と言える選手は多くはなかっただろう。ただ、プールのようなオープンウォーターではトライアスロンの醍醐味に欠けてしまう。また、基本的なことだが、泳ぎ過ぎやその逆など、周回を間違える選手が何名かいたようだ。

イメージとしては「遊水池、ベタなぎ、楽勝」と言うことではないのだが、ごく普通のトライアスロンコンディションであり、概ね、安全面も含め、良いスイム会場だと言えるだろう。

スイムトップのMiho Cは余裕の笑顔でスタートを待つ。
10名づつ、10秒ごとのローリングスタート。

スイムコース全望

周回で一度上陸する

【Bike】

バイクはオールフラットの高速コースだ。2箇所の直角コーナーとそのための減速を除き、ほぼ100%「DHポジション」となるコースで、トライアスロンらしいバイクシーンが拡がっていた。見ていてもその気持ち良さが伝わってくる。一般公道では出来ない走りで、ここぞとばかりに思いっきり走っているように見えるからだ。一方で、高速かつ瞬時の対応が難しいDHポジションで彩の国Aは10周回するため、初心者も少なくない状況では慣れも大事だが「慎重さ」が求められる。

途中、小雨が降り出したが、長く降ることはなく助けられた。雨が降れば、視界、スリップ、また、ハンドルを持つ手が滑るなど、一気に危険性が増す。その点では恵まれたコンディションだったと言えるだろう。そして、ほぼ無風だったことはこの上ないコンディションでもあった。

そして、前述の「DHポジション」が走りを分けている。DHポジションは2つに分かれている。練習を積んで来た「攻め」の走りと、イージーな走りだが、前者は、圧倒的なスピード感で、一般レースながら見応えのある光景となっていた。もちろん、どちらが、良い悪いではない。ランを含め、コントロールが出来ているかであることが重要なことは言うまでもない。ただ、渡良瀬に出るなら「バイク」を強化して走ることが醍醐味と考える選手も多いのではないだろうか。その分、スキル、マナーも重要となってくる。実走のスキルとインドアでの「実走感」を持ち、「遠くを見る」DHポジションでの練習が必要となるだろう。

ルールやマナーという点では、「キープレフト」が徹底され、撮影時も「随分寄って来るな」と感じたくらいだった。事故がなかったのも、道幅の広さとこのキープレフトがあったためだろう。直角コーナーではやや膨らみがちで、熱くなっている選手もいたが、幅広い選手層の大会では仕方ない。

【Run】

彩の国Aのランの頃は暑かった。実は湿度は少し下がっていたが、天然シャワーも降らなくなり、曇りも薄曇りに変わり、陽射しが届き始めていた。

ランは、フラットだが単調なコースで、彩の国Aでは6周を走ることになる。ペースとポジションは掴み易いが、我慢の走りが必要だった。ランではバイク以上にペースの差を感じた。1年以上ぶりのレース出場となる選手も少なくなかったと思われるが、しっかりと走り込んで来た選手の走りは、以前と変わらないシーンとなっていた。

交通アクセスやコースがフラットであることなどから、気軽に申し込める中、「やっているな〜」そんな素晴らしさを感じた。もちろん、それぞれ環境も変わり事情もあると思う。思った走りができなかった選手もいただろう。ただこの場に出て来たことで、様々なことを感じ、きっとスイッチが入ったことだろう。ただ単に辛いランではなく、次に繋がるきっかけとしてはランはいい。

【Finish Line】

積み上げて来たものを出し切れたのか。

思い思いのレースではあったと思うが、無事完走は何より嬉しい。理屈ではなく、ゴールは最高に気持ちがいい。ロングのベテラン選手が、練習感覚で出ていたり、「初ミドル」として頑張って来た選手まで様々な想いがあった。大会開催、否かの中でモチベーションキープも簡単ではなかっただろう。

いずれにしてもこの感動は一人で作ることはできない。

Congratulations !

 

■表彰式

表彰式はしっかりと1時間。

表彰式が中止となる大会も多いが、今大会では通常通り行っている。やはり、大会としては、レースの締めとしてやってほしい。

各賞の景品やジャンケン大会なども、さすがSPECIALIZED CUPの豪華景品で大いに盛り上がっていた。ディスクホイールからヘルメット、シューズ、ウエアなどスペシャライズド製品が、多く提供され、沸いていた。

選手たちは、レース後の高揚感の中で、締めくくりを楽しんでいた。

彩の国A女子総合優勝のMiho C

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■SPECIALIZED CUP

今回の冠スポンサーはスペシャライズド。現在、自転車の各ジャンルにおいてトップブランドのスペシャライズドは、他社が難しいとされる「トライアスロン」への注力も大きいメーカー。4月の石垣島、先月の横浜(エリート)でもトップシェア(GERONIMO COUNT)となっている。

 

■GERONIMO COUNT

前述の通り、シェアの高いスペシャライズドだ。今回は更に冠ということもあったか、スペシャライズドに乗る選手が多かった。データとしては、ダントツのトップシェアだった。85台で25.1%(速報値)の使用率となっていた。

※詳細データはこちら

 

■コロナ対策

検温テント

4月下旬に緊急事態宣言となり、多くの大会が中止または延期となったが、この大会は開催することができた。

感染予防対策は、JTUの運営ガイドラインに基づき、様々な策を講じて開催している。大会前2週間の健康チェックシートから始まった。まずはここからの「意識付け」が大切だったと思う。会場ではサーモカメラによる検温計測を実施。マスクはスタート直前で回収、ゴール後すぐ新しいマスクを配布するなどしていた。また、応援自粛のお願いも徹底していた。一般レースでは、応援は、選手も観客もそのコミュケーションを楽しんでいる。でも今は、レースができるだけで良しとしたい。

無事に終えることができた。400名以下の規模の大会でもその開催は簡単ではない。選手が楽しみにしていることは分かっている。何とか開催したい。関係者の努力や地元の協力など、開催に漕ぎ着けるまでには、多大な苦労があったことだろう。

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【Result】

総エントリー数 / 最終出走者数 375/338名

完走者数 / 率 291名 / 86.1%

■彩の国A 総合男子
1位 菊池 朋明 No.137  3:17:51
2位 高嶺 寛己 No.147  3:24:08
3位 立山 宏一 No.143  3:28:10

■彩の国A 総合女子
1位 Miho C No.102  4:02:19
2位 青木 智恵子 No.109  4:09:15
3位 武田 紗由巳 No.104  4:15:14

■彩の国B 総合男子
1位 江田 祐太朗 No.432  2:06:36
2位 高島 志郎 No.424  2:10:33
3位 阿久津 将 No.449  2:10:37

■彩の国B 総合女子
1位 石井 汐里 No.407  2:26:22
2位 竹内 愛 No.408  2:28:08
3位 日引 華子 No.406  2:28:51

■彩の国C 総合男子
1位 橋本 有広 No.607  1:03:57
2位 洲上 幹太 No.605  1:09:11
3位 Potiron Yoann No.612 1:09:25

■彩の国C 総合女子
1位 高田 彩加 No.601  1:18:31
2位 古田 真子 No.603  1:28:03

※全てのデータ:https://www.sainokunitri.com(6/6投稿にて)

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その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=35151

 

 

 

「アットホームな良いレースだった。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka