2021彩の国トライアスロンin加須スペシャライズドカップ GERONIMO COUNT

初めてのカウントとなった彩の国トライアスロン。使用されたバイクから機材傾向とそこから選手の動きが見えるトレンドはあったのだろうか。

GERONIMO COUNTは2015年からスタートし7年目に入った。バイクカウントは、元々コナで30年以上行われ、その使用率が話題となっていた。同様のカウントではあるが、「その先」が知りたかった。例えば、コナという最高の舞台でも実際の「選手層」は幅広い。エイジでのハンデはあるが、やはり「SUB10」で使用されるバイク、本当に速い選手が乗るバイクは何か?サーヴェロのシェアはダントツトップだが、人気のあるモデルは何か?など、もっと突っ込んだ「本当のこと」が知りたい。また、ワンバイ(フロントシングル)などトレンド以前の「兆し」も発見したかった。そんなカウントだ。

まず大会の位置付け(特に選手層)などの「前提」をイメージし、確認して行っているが、今大会、彩の国トライアスロンでは、レースタイプを3つ設定、バイクコースがフラットで、初心者も参加しやすい。また、東京を含む関東圏が主となる選手層であることなども、様々なイメージが沸いてくる。そして、コロナ禍でトレーニングは出来ているのか、そうでないのか、トレーニングができていなければ、機材の新調もしない。中止や延期でレースも少なくなり、モチベーションも下がる中で出場する選手たちの機材はどうなっているのか。

そして、新しく始める選手は増えているのだろうか。コロナ禍2年目となった。今シーズンこそはと思っていたが、レースは軒並み減っている。それでも始めてほしい。そんな兆候は確認されるのだろうか。

あくまでも、使用されているバイクから見ている選手たちの動向、傾向であり、一つの仮設に過ぎないが。

 

2021 SAINOKUNI  Bike ” GERONIMO ” Count

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 SPECIALIZED 85 25.1%
2 cervelo 35 10.4%
3 ceepo 22 6.5%
3 FELT 22 6.5%
5 TREK 21 6.2%
6 cannondale 14 4.1%
7 CANYON 12 3.6%
7 GIANT/Liv 12 3.6%
9 PINARELLO 11 3.3%
10 ANCHOR 9 2.7%
11 MERIDA 8 2.4%
12 BMC 7 2.1%
12 BIANCHI 7 2.1%
14 KUOTA 6 1.8%
15 SCOTT 5 1.5%
15 LOOK 5 1.5%
17 COLNAGO 4 1.2%
18 Wilier 3 0.9%
19 ARGON18 2 0.6%
19 BH 2 0.6%
19 DEROSA 2 0.6%
19 FUJI 2 0.6%
19 GUSTO 2 0.6%
19 ORBEA 2 0.6%
19 QR 2 0.6%
26 ANTARES 1 0.3%
26 BOMA 1 0.3%
26 CASATI 1 0.3%
26 cinelli 1 0.3%
26 corratec 1 0.3%
26 DARE 1 0.3%
26 GARNEAU 1 0.3%
26 GIOS 1 0.3%
26 HARP 1 0.3%
26 lapierre 1 0.3%
26 NEILPRYDE 1 0.3%
26 NESTO 1 0.3%
26 QUARK 1 0.3%
26 RIDLEY 1 0.3%
26 signalcycles 1 0.3%
26 TAOKAS 1 0.3%
26 TOYO 1 0.3%
26 VENTUM 1 0.3%
不明 0 0.0%
未確認※ 18 5.3%
43 合計 338 100.0%

※未確認が多かった。1500台のカウントでも2%程度の誤差が通常となっている。

Counted by Triathlon GERONIMO

ダントツの1位は、スペシャライズドだった。その強さは本物で、あくまでもGERONIMO COUNT上だが、4月の石垣島1位、5月のWTCS横浜エリートでも1位のシェアとなっている。今回はSPECIALIZED CUPとして冠スポンサーでもあったが、それが理由ではないということ。スペシャライズドは、自社施設によるエアロダイナミクスへの取組みも最高レベルだが、「フューエル&ストレージ」などのトライアスロンバイクとして「定義」を確立させたメーカーだけに「トライアスロンのスペシャライズド」というイメージは強い。また、2016年頃からいち早くディスクブレーキにも注力し、その普及率は高い。今回使用されている85台の内45台(52.9%)はディスクブレーキ仕様だった。

2位のサーヴェロは、コナでは不動のKINGとなっているブランドだ。車で言えば「F1」しか造らない、そんなブランドでもある。2016年ローンチのPX系は、「異形」を決定的にしたラインで、フューエル&ストレージに加え、フィッティング(ハンドル高など)やユーザビリティまで完成させた究極のトライアスロンバイクとなっている。今回、台数は2位だが、その中でのディスクブレーキ率は、62.9%の1位となっていた。ブランド内の「新型率」が高いことを示している。

3位のシーポは、ご存知ジャパンブランドで、トライアスロン専門メーカーでもある。創設者田中信行氏のパッションが注がれたブランドイメージは、質実剛健のジャパンブランドから現在ではワールドブランドとなり、世界を走っている。また、大きなメーカーではできないトライアスロン専門の良さを活かし、こだわりの開発が行われている。例えば、「MAMBA」はトライアスロンバイクでない。ただのロードでもない。トライアスロンバイクの定義でもある「ヘッド長」「シートアングル」を調整しているロードなのだ。

同じく3位のフェルトも人気ブランドだ。特にトライアスロンの「IA」は、2021年で8年目となるロングセラーモデルだ。2013年に僅かフレーム4本の入荷から始まり、2018年コナでディスクブレーキモデルが追加ローンチとなり現在に至っている。昨年中止になったコナでの「新型」ローンチの話もあり、今後も楽しみなバイクとなっている。現在、「細身」の設計が多い中で、長いとは言えボリューミーなダウン&シートチューブのデザインは人気が高い。

現在は、タイミングが悪い。コロナ禍で予定が狂った。トライアスロンバイクの開発には時間がかかる。また、トッププロではなく、一般エイジからトップアマまでが使用できるバイクが開発のターゲットとなるため、トレンドへの対応も必要となる。

トライアスロンバイクは究極の開発であり、そのメーカーの「実力」を示す物差しでもある。その開発時に培われた技術やデータなどが、ロードバイクにも活かされている。自転車に限らず、「頂点」を極めることは、重要と考えるメーカーが多いだけに、今後も楽しみなジャンルなのだ。

ちなみにトライアスロンバイクとロードバイクを分けた場合、トライアスロンの使用率は、1位スペシャライズド、2位サーヴェロ、3位シーポ、4位フェルト、5位キャノンデールとキャニオンとなっている。ロードの使用率は、1位スペシャライズド、2位トレック、3位フェルト、4位ジャイアント&リヴとピナレロとなっている。ロードバイクは特徴的な結果で、選択肢も多いということだ。

総台数 TOP10台数 使用率
320 243 71.9%

Counted by Triathlon GERONIMO

この数値は、TOP10ブランドで占めている割合で、概ね7割前後が境目となる。それを上回り71.9%となっているのは高い結果だったと言える。つまり、TOP10ブランドから選んだ選手が多かったということになる。但し、あくまでも参考値であり、特に「フィッティング」と時間をかけた「ポジション出し」をもって、その結果良いバイクだったということになるが、必ずしもこのTOP10とは限らない。そこには、バイクの「ホームドクター」が必要になる。

また、昨今、高齢化するトライアスリートにとって、トライアスロンバイクがベストは限らない。例えば、前傾がきつい場合、逆に短いヘッド長も必要なくなる。シートアングルに関しては、その調整幅も大きいものが多くなっている。トライアスロンバイクである必要性が絶対ではなくなってきているということなのだ。エアロダイナミクスの観点では、基本的にトライアスロンバイクは絶対に速い。但し、AVスピードが35km以上で走れる選手は多くないとした場合、一瞬の速度ではなく、安定して出し続けられるパワーの持久性が重要となるが、その時のポジションはロードバイクかもしれない。

ちなみにこの数値がコナでは77.7%となっている。(選手2400名)

 

【ディスクブレーキ率】

今回注目の一つが「ディスクブレーキ」だ。これをもって概ね新型バイクのカウントといっても良いだろう。ディスクブレーキは、2016年頃からリリースされ、早いメーカーでは2018年モデルをもって切り替わっている。全体的には18年、19年、20年モデルが、普及3カ年のイメージとなる。但し、トライアスロンモデルについては、ディスクブレーキありきではないため、少しずれが出ている。いずれにしても、「ディスクブレーキ=標準」と言っても良い段階に入っているということなのだ。

冒頭にも前述したが、トレーニングができていればバイクも新しくなる。これはごく普通の流れでもある。バイクの新型比率が高ければ、コロナ禍の現状でも明るい話題と捉えることができると考えている。勝手な仮説ではあるが、やはり高まっていることを期待したかった。

総数   Disc   比率   Rim   比率
Tri Road 合計 Tri Road 合計
320 44 42 86 26.9% 99 135 234 73.1%

Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、26.9%だった。悪い結果ではないのではないだろうか。4月の石垣島ではこの数値が18.1%だったことを踏まえると、良いのではないか。今も尚、「コロナ禍中」であり、まだ新型をリリースしていないメーカーがいくつもある。ややメーカーが追いついていない感がある中でのこの伸びは良しとできる。また地域性もあり、関東圏では、デリバリーや情報の伝わりも早い。チーム内での情報、そして、影響も大きく関係している可能性もあるだろう。新しい機材を導入することはモチベーションにも繋がって来ることは事実だけに、無視はできない。

 

【トライアスロンバイク使用率】

GERONIMO COUNTを始めた頃からチェックしている観点として、トライアスロンバイクとロードバイクの比率があった。これも一つの仮説として、ミドルタイプに出るためには十分なトレーニングが必要であり、モチベーションも高いはず。当然ロングも視野に入れ、「トライアスロンバイク」の導入を検討し始めるタイミングでもあるからだ。以前にも述べたが、ミドルはトライアスロンの今を占うレースであると言っても過言ではないと考えている。

大会 年度 台数 Tri 比率 Road 比率 距離
木更津 2017 1557 277 17.8% 1280 82.2% OD
石垣島 2021 824 254 30.8% 570 69.2% OD
彩の国 2021 320 143 44.7% 177 55.3% ミドル・ショート・ミニ

Counted by Triathlon GERONIMO

選手層を占うデータだが、トライアスロンバイクの比率は高かったと言えるだろう。1000名以上のロング、ミドルをメインにカウントしているため、他の大会との比較は難しいが、宮古島でもトライアスロンバイク比率は2019年で51.8%、ミドルオンリーのセントレアで42.9%となっている。そんな中での44.7%という結果だった。これも良い流れと捉えている。前述と矛盾しているわけではなく、様々な切り口で見た場合、トライアスロンバイクの普及率が高まることは盛り上がりのエビデンスの一つと言えるだろう。

 

【DHバー装着率】

最後に、DHバーの装着率を確認してみた。7年目となるこのカウントだが、WTCS以外では初めてDHバーの装着率を確認している。WTCSとは意味が異なり、より「ロードレース化」したバイクとその走りの中で「名残」とも言えるDHバーはどうなっているのか、そんな観点だった。ここ彩の国では、装着しているか、どうかと言うよりは、「非装着」の選手がどの程度いたかを確認したかった。これも多少乱暴だが、DHバーを装着していない選手は、初心者の可能性が高い。但し、バイクのスペシャリストである場合も多々ある。いずれにしても「トライアスロンへの挑戦」は変わらないと位置付けている。前述のトライアスロンバイク比率と同様に、「これから」トライアスロンを楽しんでもらえる人の目安となるのではないだろうか。

総台数 装着 比率 非装着 比率
320 254 79.4% 66 20.6%

Counted by Triathlon GERONIMO

結果は20%超の選手がDHバーを装着していなかった。この観点では良かったのではないかと考えている。どのレースタイプだったのか、恐らくB,Cではないかと思われるが、初心者であれば、ロードスペシャリストであれば、DHポジション走行は、また違うトレーニングと注意点もある。まずは、ロードバイクで「体幹」への意識がしやすい状態で走ることは、段階として必要であり、正解と言えるだろう。

あと、細かく見るとロードバイクの中でもディスクブレーキモデルの非装着率が高くなっている。これは単純に新しいバイクを購入した初心者も多く含まれているのではないだろうか。ちなみにパッドの小さい「ショートタイプ」のDHバーも含まれている。これは、少し意味が違ってくる。短時間使用で、ロードポジション(シートアングルが寝た)でのDHであったりするが、個々のポジションからのチェックは難しいため、「有無」で判断している。

 

【最後に】

他にもコナトレンドのワンバイやDHバーとベースバーを可動式で兼用するモルフテックを使用する選手など「コナ顔負け」のマニアックなバイクも確認されたが。。。

今回はここまで。

 

 

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=35151

「彩の国を“ DH ” で走るなら、そのための練習を。」

BOSS-N1-S
Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka