7/15(日)開催の全日本トライアスロン皆生大会に使用されるバイクの分析を行った。使用台数、トライアスロンバイク比率などを調査している。昨年に引き続きTriathlon GERONIMO オリジナルのバイクカウント「GERONIMO COUNT」として、昨年からの推移も気になるところだ。皆生流のバイクはどのように変化したのだろうか。
【バイク使用率】
昨年に引き続きカウントを行ったが、未確認率を1.0%以下に抑えることができた。全バイク89ブランド952台から見るバイク使用率は、以下の通りだった。
順位 | ブランド | 使用台数 | 使用率 |
1 | ceepo | 105 | 11.0% |
2 | TREK | 100 | 10.5% |
3 | SPECIALIZED | 92 | 9.7% |
4 | cervelo | 64 | 6.7% |
5 | GIANT(Liv) | 55 | 5.8% |
6 | ANCHOR(BS) | 44 | 4.6% |
7 | KUOTA | 41 | 4.3% |
8 | FELT | 39 | 4.1% |
9 | PINARELLO | 34 | 3.6% |
10 | cannondale | 26 | 2.7% |
その他 | 333 | 35.0% | |
不明 | 10 | 1.1% | |
未確認 | 9 | 0.9% | |
89 | 合計 | 952 | 100.0% |
※対象は、最終出走952組となる。
Counted by Triathlon GERONIMO
今回の傾向は、大きく分かり易い結果となっている。それは、シーポの大躍進だろう。32台増やし、昨年比143.8%となっていた。2位トレック、3位スペシャライズドの3ブランドは昨年と同じトップ3だ。地域性もあるのか、コナNo.1のサーヴェロは、ほぼ横ばいで、大人しく4位となっている。2018年では、シーポが大きく動きを見せていた。4月の宮古島大会でもサーヴェロに2台差の2位で昨年より21台も増やしていた。シーポは、新型「Shadow-R」などの革新的なモデルのリリースをするなど、今年のコナに向け、加速している。一方ビッグブランドであるトレックやスペシャライズドは、新型が待ち望まれている状況だけに2019年での巻き返しに期待がかかる。サーヴェロは、「こだわり」のモデルのみを造る開発力のあるブランドだけに、不動の地位は変わらない。また、トレンドとなりつつある「異形」に対しても、まだまだこれからプロジェクトが用意されているようだ。その他のブランドでは、ジャイアントが昨年比122%で5位につけている。アンカー、クウォータ、ピナレロなどはやはり国内特有の結果となる。そして、10位となっているキャノンデールは、低迷しているが、新型ディスクトライアスロンの「SUPER SLICE」の国内受注も始まり、2019年に期待したいところだ。
後述にも出てくるが、トップ10ブランドが全体に占める率は昨年より高まっている。59.7%から61.0%へと集中傾向が見て取れる。この数値は、ハワイアイアンマンでは、75%を超え、宮古島では68%となっているので、皆生大会での、その傾向は高いとは言えないが、一つの動きとして捉えることができる。皆生は、ロングとしては、トライアスロンバイク比率が低いため、ブランドが分散傾向となり、ハワイや宮古島とは、異なる傾向を見せているのだろう。
【トライアスロンバイク vs ロードバイク】
皆生大会のバイクは140kmで、ロングとしては、短めの設定となっているが、アップダウンが厳しいコースとして知られている。そのコースでトライアスロンバイクとロードバイクの使用率は最も気になるところだ。噂で聞いていた通り、ロードバイクが多く、昨年のカウントでは、66.6%の選手が使用していた。そして、今年の結果は下記の通りだった。トライアスロンバイクが、1.7%伸ばした、昨年とほぼ同様の結果となった。
使用台数 | Triathlon | 比率 | Road | 比率 |
943 | 331 | 35.1% | 612 | 64.9% |
※対象は、未確認9台を除く943台となる。
Counted by Triathlon GERONIMO
ここで注目したのは、先述の「トップ10比」だった。全体では、昨年とほぼ変わらない結果となっていたが、トップ10ブランドへの集中傾向が見られる中、トライアスロンバイク比率も変化が出ていた。結果は下記の通りだった。
年度 | 使用台数 | Triathlon | 比率 | Road | 比率 |
2017年 | 587 | 228 | 38.8% | 359 | 61.2% |
2018年 | 600 | 258 | 43.0% | 342 | 57.0% |
Counted by Triathlon GERONIMO
全体では伸びの無かった「トライアスロンバイク」だったが、トップ10の中では大きく、その比率を伸ばしていたのだ。良き大会は変わらないが、バイク機材に対しては進化している。エアロダイナミクス、フューエル&ストレージ、ユーザビリティ、軽量性など、競技にとってプラスとなるポイントは大きい。トライアスロンは「機材スポーツ」ではないため、厳しい制約がない。そのため、より高性能なバイクを使用することでのアドバンテージは大きく期待できるのだ。
【第2次異形バイクのトレンドは?】
昨年は、皆無だったが、今年は確認できた。先述の通り、全体的にトライアスロンバイクが増える中での動きだ。絶対数は少ないが、今後も増えるだろう。
①DIMOND 0→3台
②cervelo P5X 0→1台
③VENTUM 0台
【最後に】
昨年も書いたが、皆生大会は、今後も「トライアスロンバイク化」が進むだろう。理由としては、書類選考により競技レベルの高い大会だからだ。トライアスロンバイクは、トレーニングを積むことによって、得られる「フォーム」で乗りこなすバイクだ。宮古島では、エイジとバイク車種の関係を調査したが、正確には、年齢ではなく、「どの程度トレーニングを積んでいるか」「バイクに乗っているか」だろう。賛否あると思うが、皆生のコースでは、トレーニングを積んだ選手なら、トライアスロンバイクのメリットを感じているはずだ。
トライアスロンバイクは、トレーニングが難しい。DHポジションで安全に走行できるところが少ないからだ。良く聞く話だが、「レースはトライアスロンバイク、トレーニングはロードバイク」と。これでは、実戦的ではなく、速く走ることはできない。トライアスロンバイクはハンドル高も低く、前輪加重傾向であり、上り坂では「使いづらい」。では、どうするのか。その「使いづらさ」に慣れるしかないのだ。フラットでは圧倒的にメリットがあることは分かっている。そのメリットのために克服しなければならない。
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