第1回

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Triathlon LUMINA No.45

P81~83 Mare Ingenii Tri BIKE CHRONICLE

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「90年前半、高品質なバイクの登場、伝説のR700と26インチホイールバイク」 

トライアスロンが誕生して37年目に入る。原則単独走行のトライアスロンで使用するバイクの究極は、長い時間使用し、その効果が現れるロング系トライアスロンに使用されるバイクにその対策が明確に示されている。素材、形状、ジオメトリーなど、所謂ロードレーサーの延長線ではなくなってきたのが、90年代に入ってから顕著となったのだ。ちょうど25年が経った。この四半世紀で大きく進化したトライアスロンバイクについて振り返ってみる。

トライアスロンの世界では、やはりアメリカ系ブランドが主役だった。80年代からバイクの本格生産に入った、キャノンデールやトレックは、90年代に入り、それぞれ特徴のある高品質なバイクをリリースし始めたのだ。キャノンデールは、軽量アルミフレームの2.8Seriesトライアスロンを、トレックは、やはり看板となったOCLV製法のカーボンロードを開発した。90年前半の代表的なカーボンフレームと言えば、先述のトレックOCLVロード、当時世界初の特許を多く持って製作されたケストレル、ハワイ6勝のマークアレンも乗ったルックKG196。その他カーボンブランドとしては、コルナゴやジャイアントだった。

ここで、触れて置きたいのが、そのマークアレンの乗ったKG196だ。93年モデルとして登場し、94年モデルとして、スペシャルカラーとアッセンブルの「マークアレンシグネチャーモデル」がリリース。アレンが乗ったことも話題だったが、当時ルックと言えば、カーボンフレームの代表格。ツールドフランスでも奇抜なデザインのフレームをデビューさせ、ONCEチームが使用し、機材が「話題」になる、そんなイメージが強かった。20年以上経った今でも色褪せないバイクだ。なぜかと言うと、当時の設計が今に生かされているからなのだ。最もそれを感じるのは、ヘッド周りで、当時ルックは、「AEROFIN fork」と呼んでいたが、フォークとヘッドが一体化されてエアロ形状になったものだ。当時は斬新なデザインだったが、今や当たり前に見るデザインだ。BMCのTM01やトレックのSpeedConceptなど、現在最も人気のあるバイクのヘッド周りは、「ルック型」なのだ。

26インチホイールの考え方が全盛となった90年代は、各社26インチモデルをリリース、80年代後半からすでに先行していたQRやカーボンのケストレル、ビームフレームのZIPPやソフトライドなど、「トライアスロン色」の強いブランドが目立っていた。ライトスピードやプリンシピアなどはやや遅れて生産、そして、肝心なトレックにおいては、なんと、ライバルのキャノンデールに遅れること2000年にアルミフレームで登場したのだった。また、ロードのキング、コルナゴの名車C40の26インチトライアスロンやルックのチタンフレームのTI282やアルミフレームのAL264の26インチトライアスロンまで、欧州のブランドまで影響を受けていたのだ。

当時の26インチモデルは、サイズに関係なく設定されており、キャノンデールR700などは630mmという超ビッグサイズにも26インチが採用されていた。これは、「エアロダイナミクス優先」の考え方で、当時よく話題に上がった、前面投影面積の大きさや、速度に二乗して大きくなる空気抵抗などへの対策がメインだった。そして、現在の考え方は、「ポジション優先」となっている。サーベロPシリーズの450mm、キャノンデールSLICE WOMEN’Sの 440mm、トレックSpeedConcept9.5WSDのXS、フェルトDA,B,S各シリーズの470mmなどが現在の代表的な26インチモデルで、共通することは、各社最小サイズに設定があることだ。小柄な選手は、無理して700Cサイズにせず「ポジション重視」を推奨しているということ。

当時のアイアンマンにおいての使用率は、キャノンデールvsトレックvsケストレルの三つ巴で、各社勝ったり、負けたりしながら鎬を削っていた。そんな中ではあったが、90年前半は、トレックが強かった。やはりアメリカブランドであるということと、80年台から手がけているカーボンフレームなどが貢献した。そして、トレックは、OCLV製法のカーボンロードをリリースした92年に118台から94年には、176台まで伸ばしているのだ。もちろん使用率トップだ。ここで特筆すべくはキャノンデールの伸びだったのだ。アルミ全盛の波に乗って、93年に3ケタの使用率に突入、翌年94年には、132台まで伸ばしてきた。ここで大前提となるが、この台数は、現在のサーベロの500台弱というのは別格、3ケタで「ハワイの顔」そして、当時であれば200台に近づけば快挙と言えるのだ。

もう一度トップ3ブランドについて、フレーム素材から見ると、トレックとケストレルはカーボンフレーム、キャノンデールだけが、アルミフレームだった。今やフレーム素材は、カーボンが競技においては当り前の時代となったが、当時は、「新素材」と呼ばれたカーボンとアルミが比較されていたのだ。そのため、現在ハワイアイアンマンでもチェックされていないフレーム素材に関してもチェックされていて、90年前半では、カーボンはほぼ横ばいながら、アルミは、92年の18%から94年の34%へと、今では考えられない驚異的な伸びを示している。これは、キャノンデールを筆頭とするアルミフレームの伸びが大きいと考えられる。当時カーボンは高額なフラッグシップが多かったこともあるだろう。

ここで、90年前半を代表するモデルでありトライアスロンバイクの代名詞、「伝説のR700」について触れておこう。93年にフルモデルチェンジし、登場したキャノンデールのトライアスロンバイクで、軽量性、26インチホイール、仕上げ、ジオメトリー、パーツアッセンブル、そしてデザインなどあらゆる面において、当時の「象徴的」バイクであったと思う。それまでの重いスチールフレームから、R700の完成度の高い軽量アルミフレームが注目となり、ロードにDHバーを取り付けただけのトライアスロン仕様から専用設計になり、また、国内には当時正規入荷していなかった変速パーツ「グリップシフト」が採用されていたりと、憧れのバイクだった。また、モデル設定が105完成車だったため、価格はリーズナブル(\190,000)だったことも人気となった理由だ。翌年94年には、R700とともに、上位モデルR1000が登場、ハイポリッシュのカラーが大絶賛を得た。後に97年にモデルチェンジとなりMS800(マルチスポーツ800)とシリーズ名称も変更となって「R700」が欠番となった。残念。

いずれにせよ、このバイクの「バトル時代」に突入したことは、トライアスリートにとって、より選択肢の増える朗報であり、大きな期待となった。

 

 

「只今、第2回に向け執筆中!時間がな~い(笑)」

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka