15℃へのこだわり

パールイズミFALL/WINTER 2022が発表となった。

パールイズミは、一昨年には創業70周年を迎えている日本の匠だ。一般サイクリストから全日本ナショナルチームまで、様々な用途に対応できる製品をリリースしている。やはり国内においては「基本形」とも言えるサイクルウェアブランドと言える。用途、体型、気温、そしてトレンドから、分かりやすく提案している。また、「適正価格」があってのクウォリティとして、そのバランスに重きを置いているメーカーでもある。そして、「職人」とも言えるパターンナーを自社スタッフに持つ、専門性の高さこそが、パールイズミの強さでもあるのだろう。

パールイズミは日本のメーカー。日本の四季を楽しむサイクリストに製品を提供して来た。ただ、昨今の気象状況の変化は周知の通りだろう。今回の発表は「秋冬」、ウエアとしては普通のことなのだが、現在の日本では、秋が無くなってしまったのではないかと思うような気候だ。ウエアの着こなしの様変わりも余儀なくされている。そんな中でのそのキーワードは「温度設定」ではないだろうか。

今回注目したのが15℃だった。

15℃を切ってくれば、吐く息が白くなる頃だ。アームウォーマー、レッグウォーマーだけではなく、適応したウエアのことを考え始める。普段着でもそうではないだろうか。もちろん個人差があると思うがが、15℃切ったらダウンを着るなど決めている人もいるだろう。

気象庁のデータ(東京都/東京地点 2019~2021)からは、月の平均最高気温が15℃を下回るのは、12~1月までの3ヶ月で、最も低い月は1月となっている。ただし、データと「身体の慣れ」には差を感じるかもしれない。18℃からの15℃と一度下がった気温からの15℃では感じ方も大きく違ってくる。

昨年の東京の11月は、15日までに20℃を超える日が10日もあるのだ。15日を過ぎて、少しずつ下がり始めるが、それでも17℃を超える日が8日もあった。暖かいはずだ。それが12月に入ると平均最高気温が6℃以上下がってくる。この変わり目が「体感」としては寒く感じるのだろう。ただ、12月と2月は気温にも変動が大きく、それぞれ20℃を超える日もある。低い気温が安定しているのは1月だけと言うことになる。つまり1月以外は「15℃対応」でも使える日が多くなっていると言うことだ。昨年2月の13℃以上は16日もあった。

温度設定については、今さら特筆すべきことではないのだと思う。すでにメーカーは対応している。「異常気象」と言うキーワードは久しく感じる。異常が「常」になってしまったからだ。いずれにしても狙っているゴールは「快適性」だ。冬のロングライドは、1日の気温差が大きいため、よりウエアには気を配りたい。コースやペースなどのレベルも考慮し決定する。冬はウエア選びが一つの「テクニック」とも言えるだろう。そのため、ユーザー目線の分かりやすさが必要となるのだ。

最後に。

10℃以下のアイテムを否定するものではない。10℃以下でも走る、季節に左右されないライダーこそが「本物」だと思うから。

もう2月。春は近い。気温より、目標レースが気になる。そんな時期が今だ。本来ならば宮古島に向け、より上がってくる1月、2月のはずだった。

ベーシックフィットでも選べるようになったレースフィットのデザイン

今回のFALL/WINTERのテーマは、「着る人を引き立てるデザイン。ベーシックなグラフィックの中にもスポーツの躍動感を表現。サイクリストの視覚・触覚に訴える1着へ。」となっている。

メーカーリリースのトピックスは以下の4点。

■TOPIC 1:ベーシックフィットのラインナップがさらに拡充

■TOPIC 2:エントリーユーザーにもおすすめ、低価格プリントジャージ

■TOPIC 3:10℃対応グローブ登場でラインナップ増強

■TOPIC 4:シティライドフィットに普段着感覚のアイテムが追加

 

***************************  【TOPIC 1】  ****************************

TOPIC 1 ベーシックフィットのラインナップがさらに拡充

今作の最大のトピックスとなるのが、ベーシックフィットだ。「スタンダード」とも言えるベーシックフィットは、多くのサイクリストに選ばれるシリーズ。レースフィットとは異なる適度なフィット感は、バタつきなどを抑えたバランスの良い着心地となっている。

このベーシックフィットは、中心となるシリーズのため、カラーやデザインなどのバリエーションが富み、様々なサイクリストに応えている。それまで定番だった「黒・白・赤」の「自転車3原色」に加え、ボーダーやカモ、チェックのデザイン、落ち着いたネービーなど、幅広いデザイン性となっている。

そして、注目となるのが「15℃対応」の充実だろう。レースフィットと同じデザインのイグナイトウィンターベーシックジャージに始まり、プリントジャージ、コンフォートウィンタージャージと、既存のサーモジャージとヘザージャージにはニューカラーを追加している。

【3455-BL】15℃対応のメインジャージ。やはりベーシックのラインでは一際目を引くのがこのプリントジャージだろう。カラフルなチームやトリコラインは、スポーティーさを強調し、合わせやすいネービーカモ、落ち着いたヘザーグレーまで多様なデザインとなっている。

【3700-BL】薄手で「超軽量」のキルティングジャケット。表面に防風素材を配し、裏面は起毛の空気層により温かくなっている。「フワフワ」とした柔らかさで着心地も良い上に5℃対応となっている。他にベテランの着こなしとも言えるベストタイプもラインナップしている。

【3500-BL】5℃対応のウィンドブレークジャケットで人気のアイテムだ。防風性と保温力に優れ、動きやすい定番ジャケットとなっている。今回この「ネービー」が追加となっている。今作では、ネービーが各アイテムに追加されていて、タイツにもラインナップされている。

 

***************************  【TOPIC 2】  ****************************

TOPIC 2 エントリーユーザーにもおすすめ、低価格プリントジャージ

ベーシックフィットの中でもリーズナブルに設定されたプリントのコンフォートウィンタージャージだ。価格設定などエントリーユーザーをターゲットとしているが、ベテランサイクリストのコーディネートの一枚としても遜色はない。アンチスポーティデザインとして、上級ローディーにもお洒落に着こなしてもらえるだろう。

このコンフォートウィンタージャージは、肌触りの良い裏起毛による保温性と吸汗速乾性の高さに優れたものだ。また、それら機能と価格とのバランスにも配慮されたものとなっている。

そして、前述の通り、このジャージも「15℃対応」となっているため、1月、12月と2月の気温が低い日を除き、長い期間使用することができる。

【3120-BL】オールシーズン対応の薄手ハザードジャージだ。一年中使えるレイヤリング前提のアイテムとなっている。デザインはワンポイントでシンプルなものとなり、アウターレイヤーとも合わせやすくなっている。価格はリーズナブルに抑えられ、重宝する一枚と言えるだろう。

 

***************************  【TOPIC 3】  ****************************

TOPIC 3 10℃対応グローブ登場でラインナップ増強

10℃対応のグローブがラインナップされている。寒さを敏感に感じる部位として、指先の保温は極めて重要な基本アイテムだ。このモデルは、元々15℃対応だったものをベースにリニューアルし、同時に15℃対応には薄手のグローブを追加している。

グローブもパールイズミの得意技だ。その「着用感」、ウエアであれば着心地に優れている。裏起毛による保温性を保ちながらも、重要となる「操作性」を兼ね備えたグルーブ。もちろんタッチパネル対応となっている。

 

***************************  【TOPIC 4】  ****************************

TOPIC 4 シティライドフィットに普段着感覚のアイテムが追加

シティライドは、自転車のあるライフスタイルを想定したラインとなっている。自転車を乗ることだけを目的としている場合は、レースフィットやベーシックフィットの専用アイテムがあるが、通勤バイクやサイクリングだけではなく、降りている時間も長い時などにお洒落に演出してくれるアイテムで、写真の通り「普段着」とも言える仕上がりとなっているのだ。

【9334-BL】シティライドウォームプリントジャージ。このカラーは「グレンチェック」とネーミングされているものだが、スポーティーさを大きく抑えて、どこでも着れるデザインとなっているオススメの1枚。

【9334-BL】同じくプリントジャージのカラーバリエーション。やはりプリント柄が注目となるが、走る「カジュアルウエア」と言ったところだろうか。サイクリング+αの楽しみ方をする時などに最適のラインだ。

 

****************************  【Ladies】  *****************************

パールイズミのレディースも毎回注目している。もちろんレディース専用のパターンと着心地となっている。裏起毛の肌触り、ムレを抑える吸汗速乾性など、メンズ以上のハードルの高さがあるのではないだろうか。また、タイツの生命線とも言えるパッドもメンズ同様にバリエーションを揃える高いクウォリティだ。

その上で、問われるのがデザイン性となる。やはり第一印象は見た目となるデザインから入るのは普通だろう。そんな「両立」がシビアに求められるのがレディースウエアなのだ。パールイズミのレディースウエアは、機能とデザインを高次元に兼ね備えた仕上がりと言えるだろう。

【W7455-BL】パールイズミレディースラインの「華」とも言えるベーシックフィットのプリントジャージでやはり15℃対応だ。クウォリティはもちろんメンズと変わらず、快適性を追求したものだ。今作で特に目を引くのが、「フロスト」(下・中央)と言うデザインで、圧倒的な華やかさが大きな存在感を放っていた。

 

**************************  【Accessories】  **************************

アクセサリーとして、関連アイテムも製作している。収納力や携帯性など、実力系アイテムが、よりサイクルライフを快適にしてくれる。

【53】このケースはウォレットで前作に加え、スマホの見えるクリア仕様とハンドルへの固定ができるベルクロが装備されたものだ。グローブでも開けやすい大型ファスナーなど気の利いた便利アイテムとなる。ウォレット機能として、紙幣、カードなどの収納ポケットも充実している。

【56】その名もヘリウムバッグ。今回の新作ではないが、人気アイテムとなっている。15リットルのバックパックが手のひらに収まるサイズで携行することができる。ジャージのポケットやサドルバッグなどに入れておけば、いざという時に重宝するアイテムとなるだろう。

 

*****************************  【限定】  ******************************

2022の春の限定ジャージも展示されていた。毎回桜をモチーフに美しい色合いとデザインがコレクタブルなアイテムとなっている。今回は「サクラとツバメ」で真っ白なジャージにひときわ映える仕上がりとなっていた。その他、ブルーの色使いなど全体の配色も絶妙な一枚だ。デリバリーは3月上旬の予定となっている。

 

*************************  【Order Wear】  **************************

パールイズミもオーダー対応している。昨今では、「チームウエア」が人気となり、大小様々なチームや団体で製作されている。やはり多くのメンバーで揃えるウエアは圧巻となり、人と人を繋げる大切なアイテムとなって来た。

製作は、生地や縫製、そして、トレンドとなるカットなど、ベースとなるウエアももちろん重要だが、オーダーとなればやはりデザインに関心が集まる。希望するデザインの再現性やサイズでのグレーディングまで、納得のできるウエアができるかどうかだが、その点でもパールイズミのオーダーは申し分ないクウォリティと言えるだろう。

 

**************************  【Triathlon】  ***************************

パールイズミのトライアスロンウエアは極めて高いクウォリティに仕上がっている。ほぼスイムウエアに近く、レースフィット以上に身体と密着させるウエアだけに高い「快適性」が求められる、パールイズミのトライアスロンウエアは、「オーダーウエア」としてラインナップされ、昨年2月に新素材採用でリニューアルしている。トライアスロンでは重要なキーワードとなる「エアロダイナミクス」。それをより高める素材「スピードセンサーⅡ」を袖と背中に採用するなどバージョンアップしたものとなった。

 

 

 

「15℃は境目。実際は10~15℃への対応が必要だ。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka