ピナレロの2023年モデルが発表となった。
コロナ禍で中止となっていたリアル展示会が再開となった。すでにDOGMA Fは昨年夏に発表済みとなっているため、新規の公開としては「Fシリーズ」をメインとし、エンデュランス系の「Xシリーズ」がトライアスリート対象としての情報となる。
ピナレロは、1952年ショップの創業から始まった老舗のイタリアンロード。世界最高峰ステージレースのツールドフランス含むグランツールでは、30回の優勝を誇るレーシングバイクのメーカーだ。アイアンマンがサーヴェロであれば、ツールはピナレロと言ったイメージとなるだろう。
ピナレロはロードバイクとして、人気が高いが、国内ではロードはもとよりトライアスロンでの使用率は常にトップ10に入る人気ブランドだ。その理由は、国内ではトライアスロンバイク比率が低く、30~50%程度となり、圧倒的にロードバイクが多い。そのための選択肢としては、名実ともにNo.1とも言えるピナレロが支持されることは自然なことだった。
一方、KONAのアイアンマンでは、トライアスロンバイク比率が高いため、使用率はトップ10外となるが、2018年にキャメロン・ワーフが新型BOLIDE TRを使用し、バイクのコースレコードを出したことにより「トライアスロンのピナレロ」というイメージがあらためて定着しつつある。実は10年以上前には「FT1」という廉価モデルもあり人気となっていただけに、価格帯を踏まえたラインナップが増えれば、トライアスロンバイクとしても、その使用率も必ず増えると言って良いだろう。
DOGMA Fは言わずと知れたロードバイクの「代表格」と言える。常に最高峰のレースで活躍してきたDOGMAだが、前作F12から3年ぶりのフルモデルチェンジとなっている。特筆すべくは軽量化と言えるだろう。すでに極みとも言えるバイクの更なるブラッシュアップは、前作比較で265g(F12 530mm)に成功している。もちろん気になる剛性比なども向上している。また、各部はより研ぎ澄まされたシェイプとなり、エアロダイナミクスも申し分ない最強バイクだ。
Fシリーズは、フラッグシップのDOGMA Fの下位に位置し、幅広いホビーレーサーをターゲットとしている。フレームマテリアルを2グレード設定し、東レT900をDAモデルとULTモデルに、T700を105モデルとし、それぞれF9、F7、F5としている。ジオメトリーは、DOGMA Fをベースとしたレースのための設定とし、9サイズをラインナップしている。また、軽量化もフレームのみならず、フォークやハンドル、シートポストなどトータルで行うことで、パフォーマンスと安全性をバランス良く仕上げている。
Xシリーズは、エンデュランスモデルとして快適性重視となっている。ジオメトリーやマテリアルでロングライドに対するレーシーさを持つモデルで、用途は広く使用できるだろう。フレームマテリアルは、東レT600の1グレードとし、105Di2モデルと105モデルを設定、それぞれX3、X1としている。エンデュランス系であるが、ピナレロとしての機敏な走りをするために、カーボンレイアップなど快適性を保ちながらも、十分なレーシングスプリットを合わせ持つバイクとなった。
BOLIDEは展示されていなかった。
トライアスロンとしては、やはりBOLIDEとなるが、トライアスロンモデルの「TR」は、2019年モデルとして、すでに新型ディスクブレーキ化となっているため、追加、変更などはなかった。今回は、TTモデルが「ディスクブレーキ」となり、デザインも大幅に一新された。UCI規定に準拠するTTモデルで、前作の有機的なデザインから、ややシャープとなったディスクモデルはより一層の精悍さが増した。マテリアルは、東レTT1100から最新のM40Xに変更され、更なる軽量化や強度アップとなった。写真はフィリッポ・ガンナの専用カラーで、販売はブラックマットとなる。
そして、このバイクで注目すべき点はDHバーにある。ここ数年でカスタムオーダーやカーボン成型によるエアロ化、ポジションとしてのハイハンズなどいくつかの切り口から進化となっている注目パーツだが、「3Dチタンハンドル」にした場合、驚愕の¥5,170,000増となっているのだ。これは現地イタリアに出向き、プロ選手と同じ工程で計測、製作するというものとなっている。高額ではあるが、超ピンポイントとなるDHポジションを、理想的にフィッティングさせるという点で、正しい考え方と言えるだろう。
「この展示会も例年であれば前年の6月か7月となるのだが、半年以上遅れている。まだ完全に以前のペースに戻ったわけではなく、デリバリーも確認が必要なる。レース計画と合わせ早めのオーダーが望ましいだろう。」