サーヴェロのRシリーズのハイエンド「R5」がモデルチェンジとなった。すでにメーカーNEWSを伝えているが、現物を確認してみた。
まず、外観状の変化はわかりずらいかもしれない。「P」や「S」と違って、元々シンプルなデザインのためなのだが、前作と比較するとヘッドチューブが大径化され、トップチューブの斜度がわずかに急になり、全体的に下がっている。また、ダウンチューブも下がり「低重心」を狙っている。そして、ケーブルは内蔵され、シート周りの仕上がりもアップグレードされている。
このモデルチェンジで「クライミング」をターゲットとすることを、あらためて定義している。そのための最重要課題は更なる軽量化だ。リムブレーキ時代のRcaで脅威的な軽量化に驚かされて久しい。ディスクブレーキという絶対条件の元で、勝てる軽量化をバランス良く仕上げている。今までのハンドリングや、安定感はそのままにモデルチェンジされている。
結果としては、前世代と比較し、130gという大きな軽量化に成功し、16%の軽減となっている。これは「持って」軽いと感じるものだが、実際にレースで使用し、更に世界の頂点でプロが使用するためには「乗って」軽いとなるものが必要だ。これは、剛性によるところが大きく、パワーレスポンスの高さが重要となる。それぞれ「二つの軽さ」が相まって、速いバイクとなるわけだ。ただ、その要素は真逆に位置するため、いかにバランス良く融合させられるかが、各社凌ぎを削る事になる。サーヴェロでは、そのバランスを、自社のデータ蓄積、プロチームからのフィードバックなどから導き出し、今回の新型R5が誕生している。
そして、もう一つ忘れてはいけないのが「快適性」となる。まず、前提としては、プロも使用する「レーシングバイク」であり、快適性もその次元であることは言うまでもない。驚くべきはヘッド剛性を下げていることだろう。やはり、ここにも絶妙なバランスがある。ヘッド径を大きくしつつも剛性は抑え、フロントフォークは縦剛性も抑え、快適性向上につなげている。また、BB周辺の剛性は変えていないと言う。そして、気になるシート周りは、トップチューブのスローピング度を高め、全体的に下げたことで、必然的にシートピラーが長く設定された。全体的にパズルを組み合わせるような仕上がりは、その完成度を高めた。
エアロダイナミクスも大きく向上している。ケーブルのインテグレーテッドにより、25%の削減となっている。もちろん、PやSの次元とは異なるが「エアロダイナミクスのサーヴェロ」として抜かりはない。
短い時間だったが乗ってみた。
まずは、理屈ではない、持って軽い気持ち良さに期待が高まる。走り出してみると、ふらつきのない、安定感を感じることができた。直進安定性が高い分、ペダリングに集中ができる。ジオメトリーや低重心設計が功を奏しているのだろう。
次に、パワーをかけるべくダンシングで走ってみると、そのし易さに驚いたのだった。圧倒的な安定感とパワーレスポンスをしっかりと感じることができる。ダンシングの気持ち良さは抜群と言えるだろう。またシッティングでの上りも重量の軽さと剛性の高さを感じる。ペダリングでは、思いっきり踏み込みたくなるような最後の「伸び」を感じることができた。
バランスの取れた剛性が、パワーロスを感じさせないストレートな反応が楽しいバイクだった。ただ「5」と言う位置付けからみても妥当な剛性ではあると思うが、レーシングバイクであることは確かで、好みは別れるかもしれない。
前作からのライドフィールなど良い点は継承されているため、短時間でもその気持ち良さを感じることはできるが、次回は是非ロングライドで試してみたいものだ。
最上級「R5」。Rは、サーヴェロのラインナップの中で、よりその使命を明確に打ち出して来た。もちろんオールランド性は十分あるが、その性能は、やはり「上り」で使えるバイクであることが証となる。トライアスロンバイクの「P」では、IRONMANをターゲットに開発されているが、同様にはっきりと「勝負」をしてくるところは、サーヴェロらしい。他社ブランドと異なり「レーシングバイクオンリー」を造るサーヴェロの徹底ぶりはいつも面白い。
軽量化は徹底され、細部へのこだわりも十分だろう。スルーアクスルは共通規格だが、更に軽く仕上げられている。前作より中央部が細くなっている。ハンガーのダイレクトマウントもユーザビリティの観点から標準化となりつつあるが、パーツの重要なジョイント担うパーツへの対応となる。
【メーカーNEWS】http://triathlon-geronimo.com/?p=36733