ついにR5がモデルチェンジとなった。
トライアスロンでは不動の地位となっているサーヴェロだが、競合犇くロードの世界でも頂点となるツールドフランスなどプロチームでの活躍も輝かしい。トライアスロンではトライアスロンバイクということは絶対ではなく、コース、フィジカル面よるポジション設定、そして、選択肢の多さによるより良いバイクのチョイスなど、半数はロードバイクの選択となっている。
そんな中でも気になるのが、軽量性やテクニカルコースへの対応がし易いバイクではないだろうか。フラットで勝負するのか、上りでダメージを抑えるのか、選手にとって長丁場となるトライアスロンでは戦略が重要となる。また、ロード系出身の選手からの支持も想定されるだろう。いずれにしてもロードバイクはトライアスロンシーンにおいて、決戦バイクの選択肢であることは間違いない。
今回のR5はズバリ「クライミング」と再定義しているところが面白い。元々オールラウンド性の高いバイクとして位置付けられ、Pのトライアスロン、Sの究極のカタチとしてのエアロロードなど、他のモデル同様により、絞り込んで攻めてきたあたりはさすがサーヴェロと言えるバイクだろう。「F1」しか造らないメーカーとしてのこだわりが詰まっている。
以下、メーカーNEWSとなる。
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What goes up must come down.
登りの先には下りがある。ゴールは登り切った頂上だけとは限らない。
R5の目的はただ一つ、誰よりも早く頂上へ到達すること。レースはもちろん、ライバルだけでなく過去の自分よりも。
頂上でのフィニッシュには栄光とファンファーレが伴いまずが、それがその日の唯一の登りであることはほとんどありません。レースは通常、下りで勝つことはありませんが、栄光を失うこともあります。ヘアピンコーナーをライダーの思い通りのラインで自在走ることができないクライミングバイクは、カフェイン抜きのコーヒーのようなものだ。
R5は今回で4回目のモデルチェンジとなります。そして、重量や剛性はチームの要望を元に長年にわたって変化してきましたが、デザイン、ハンドリング、安定性、そして下り坂での比類のない力強さは初期から一貫しています。
ここでR5の歴史を紐解いていきましょう。2010年 第一世代R5ca/R5がデビューします。この年に初めてサーヴェロのラインナップに「5」グレードが追加されます。この時デビューした初代R5の公称重量は800g以下。同時にデビューしたR5caは675gと驚異的な重量を叩き出し、この年のユーロバイクアワードを受賞しました。
2013年 第二世代Rca/R5がデビューします。チューブ形状がスクオーバル3へ進化し、高剛性、軽量化、エアロの追及が進んでいきます。さらに、Rシリーズの代名詞である垂直面に対し可能な限りシンプルな超薄型シートステーが継続採用されます。シマノDi2の進化によりケーブル類の内装化、クラシックレースでの仕様を見据えて25cタイヤのクリアランス確保を行うなど最先端の技術を集結しました。
2017年 第三世代R5/R5Discがデビューします。先代モデルから重量を増やすことなく剛性強化を行うと同時に、各チューブ接合部のデザインを見直し、エアロダイナミクスの追及が行われました。
2021年 春先のクラシックレースに突如姿を現した見慣れぬバイク。ハンドル周りのケーブル類は内装化され、ヘッドチューブの大経化。しかしながら全体のシルエットに大きな変化はなく、第三世代モデルを更に洗練したエレガントなデザイン。2021年秋に満を持して第四世代R5デビューです。
開発背景
ーフレームの方向性を再定義ー
“王道クラシックロードバイク”から“ピュアなクライミングバイク”へ
2019年に新型R5の開発をスタートしました。まず、フレーム重量を減らす為の検討から始まりました。これは供給先のプロチームからの一番の要望であったからです。それと同時に、スタックやリーチといったフィット感に関するジオメトリーは変更しないで欲しいという要望もあったのです。これまでUCI既定の6.8㎏に近づけることに苦労していましたが、チームの要望を叶えるために試行錯誤を繰り返しフレームの軽量化を図って行きました。軽量化のために様々なギミックを省いてしまうと快適性が失われるのでは?という懸念もありましたが、チームからは快適性については問題になりませんでした。それでも第三世代モデルと比べてトップチューブの位置を少し下げることで快適性を向上させることに成功しています。
第三世代モデルはまさに“王道クラシックロードバイク”という味付けでした。そのため登りもこなせるし、どのような道でも走れるバイクだったのです。新モデルの開発では、オールラウンダーな味付けの第三世代をよりピュアなクライミングバイクへと再定義する方向性を打ち出し、第三世代をベースにしてプロチームにテストしてもらいフィードバックを反映させていく開発工程をとりました。勿論、最大のテーマは如何にしてフレームを軽量化するか?どの部分を削ることができ、軽量化を実現できるのか?という探求を繰り返したのです。ベースである第三世代のテストでは、プロチームから繰り返し「フロントエンドが硬すぎますよ」というフィードバックが寄せられました。これは、開発当時にフレームと同じく剛性を最大限に高めたいと考えてデザインしたため、結果として硬すぎるフォークとなってしまっていました。新型フレームはこの点はヘッドチューブの剛性を少し下げ、フロントフォークを若干改良することで解決しました。
軽量化を行う為にはフレームの表面積が重要となります。ダウンチューブの断面が大きければ大きいほど、ねじり剛性、つまりボトムブラケットの剛性が高まるのです。チューブの断面が大きくなればなるほど、材料を増やさなければならず、重量も増えるので、密接に関連している剛性バランスや重量バランスを見直す必要が出てきます。剛性バランスについてはこれ以上硬いフレームにする必要が無かったため、第三世代のBB周辺の設計をそのまま使用しています。その結果、剛性感とフィット感はそのままに、軽量化と快適性の向上が図られた“ピュアなクライミングバイク”へと生まれ変わりました。
ーピュアなクライミングバイクへー
第三世代のR5には、山羊のような登坂力を発揮する一方で、骨への負担が大きいという難点がありましたが、今回のR5ではその難点が解消されています。多くのライダーにとってはそれほど問題ではありませんでしたが、ワールドツアーチームは、グランツールの週数が増えるにつれてバイクの不快感が増していくと感じていました。では、剛性を下げる?クライミングバイクで?バカげていると思いましたが、私たちはそれに取り組みました。
エンジニアは、ヘッドチューブとボトムブラケットの剛性を特定の比率にすることが、乗り心地を良くするための魔法の公式であることを発見していましたが、R5やS5のように剛性を追求する必要があるバイクではそれを適用したことはありませんでした。
いくつかの異なるレイアップに取り組み、自分たちでテストし、さらに Team Jumbo-Vismaにも送ってテストしてもらいました。トム・デュムランは、サンウェブでR5を愛用していたこともあり、初期のテストでは有力な候補となりました。快適性が向上したことで疲労が軽減され、より効果的な回復が期待できる。Jumbo-Visma社がこれを検証し、レースに実践投入することに決めました。
新しいR5フレームは、第三世代に比べて130gの軽量化を実現しました(56サイズ)。これは、すでに軽量化されたフレームから16%の削減です。56サイズでの新しいフレームは703g、新しいフォークは329g。51サイズの実測重量(カラー:Five Black)は695g、フォークは330gです。この重量は箱から出して梱包を外した製品重量の為、塗装済み、リアエンド、ボトルゲージボルト込みの重量です。サイズ・カラー・塗装による重量の差はあるものの、フレームセット重量は1㎏に近づくように設計されています。また、このフレームではS5やP5のようなエアロダイナミクスは重視されていませんでしたが、ケーブルを内側に入れることで25gの抵抗を減らすことができました。
■ラインナップ税込み価格
フレームセット:¥693,000(ハンドル/ステム/シートポスト付属)
フレームセット:¥693,000(ハンドル/ステム/シートポスト付属)