ワールドトライアスロンシリーズ横浜2022 GERONIMO COUNT

WTS横浜2022におけるバイクデータとなる。

2015年からの定点観測となる横浜のバイクカウントは8年目となった。トライアスロンバイクではないので、劇的な変化はないのだが、「Sign / Trend / Standard」の3段階では動いている。また、ここでは、「エリート」のカウントとなるため、エイジグループのような「人気ランキング」ではなく、プロ及びプロに準ずる選手、そして、メーカーの動きとなる。

トライアスロンへ注力するメーカーはどこなのか、もちろんバイクメーカーだけではない。各パーツメーカーも特徴が出ている。国内でトライアスロンが始まって42年、オリンピックでの正式種目となって6回、今や自転車系競技としてのメーカー注目度も高く、安定していて、開発にも繋がっている。そんな「メーカー色」はどのように表れていたのだろうか。

いずれにしても限られた「92名」の選手のバイクからの分析であることを前提にしつつも、オリンピックに次ぐWT(ワールドトライアスロン)最高峰のシリーズ戦としての結果でもある。

まずは、ウィナーズバイクをチェック。エリート男子はTREK、エリート女子は今年もSPECIALIZEDとなった。

エリート男子のウィナーズバイクは、アレックス イー選手が使用したトレックEMONDAだった。トレックにはエアロロードMADONEがあるが、チャンプの選んだバイクは、オールラウンドのEMONDAだった。一方で、DHバーは装着し、フロントギアはワンバイ仕様となるなど、こだわりを見せている。リムハイトは47mmを使用し、後述にも出るが、ややトレンドから外れたハイトを使用していた。ランで勝負をするイーのスタイルが随所に出ている仕様だが、エイジ選手にも参考となる仕様だろう。

エリート女子のウィナーズバイクは、ジョージア テイラー ブラウン選手が使用するスペシャライズドS-WORKS TARMACだった。「The WTS横浜」と言えるバイクだ。2015年のGERONIMO COUNT開始からの確認となるが、常にトップシェアとなっている。テイラーブラウンのバイクは、DHバー無し、その他も特徴的な仕様ではない、オーソドックスだが、ホイールはスペシャライズドの新コンセプトであり、ハイトのトレンドでもあるRAPIDEのフロント51mm、リア60mmをセッティングしていた。

【ブランド別使用率】

次にバイクシェアは下記の結果となった。

スペシャライズドの使用率の高さは想定内の結果だった。自転車競技も含め、グローバルにその頂点を極めるメーカーの存在感は大きい。ただし、昨年の22.6%と比較すると「ダントツ感」のイメージは無くなっていた。昨年は女子選手だけで17台使用されていたので、そこが減っているようだ。使用されているモデルは、男子でTarmac7台、Venge3台、女子は全員Tarmacとなっている。昨年まで、女子選手ではAmiraなども使用されていたが、全てTarmacとなった。Tarmacは、今やオールラウンドの代表格とも言える人気モデルで、女子選手にも一本化したことで、幅広く、かつ完成度の高さが、そのイメージとなった。

一方、追随するメーカーも気になるところだ。2位ジャイアント/リブは昨年は別々にカウントしていたが、それでも7台から伸ばしている。横浜の1週間前にアイアンマンチャンピオンとなったブルンメンフェルトやイデンも参戦していれば更に増えていたことだろう。そして、同率2位のトレックも不動のメーカー、昨年と同数をキープしている。スペシャライズドとはコンセプトを画し、「エアロロード」MADONEへの注力度は高いが、ウィナーズバイクはEMONDAなっている。男子は4名がMADONE、2名がEMONDA、女子は半々となっていた。

トップ3ブランドで39.1%を占めている。スペシャライズド、トレックは、 KONAでもメジャーブランドだが、ジャイアントは「二刀流」ブルンメンフェルトの大活躍により、トライアスロンへのイメージが急上昇している。現行トライアスロンバイクのTrinityの新型化が遅れていたかと思えば、グループブランドCADEXであえて異形に取り組み、発表と同時に実績を上げるセンセーショナルな動きも極めて面白い傾向だ。

今後も機材バトルに大いに期待したい。

順位 ブランド 男子 女子 合計 使用率
1 SPECIALIZED 10 6 16 17.4%
2 GIANT/Liv 4 6 10 10.9%
2 TREK 6 4 10 10.9%
4 BMC 3 3 6 6.5%
4 LAPIERRE 2 4 6 6.5%
4 SCOTT 2 4 6 6.5%
7 CANYON 4 1 5 5.4%
7 cervelo 3 2 5 5.4%
7 VENTUM 3 2 5 5.4%
10 FACTOR 2 1 3 3.3%
11 BH 2 0 2 2.2%
11 cannondale 2 0 2 2.2%
11 FELT 1 1 2 2.2%
11 ROSE 0 2 2 2.2%
15 ARGON 18 1 0 1 1.1%
15 Bianchi 1 0 1 1.1%
15 CIPOLLINI 1 0 1 1.1%
15 DOLAN 1 0 1 1.1%
15 FOCUS 1 0 1 1.1%
15 ORBEA 1 0 1 1.1%
15 LEON 0 1 1 1.1%
15 PINARELLO 0 1 1 1.1%
15 STEVENS 0 1 1 1.1%
15 TIME 0 1 1 1.1%
15 VITUS 0 1 1 1.1%
15 RIDLEY 0 1 1 1.1%
26 合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

【詳細分析】

各ポイントについて分析している。つまり「仕様」となるわけだが、言い方を変えれば各選手の「好み」ということも言える。まずは、「トライアスロン」で使用するバイクの主な特性について、その動きを見てみた。

下記の3点は、「エアロダイナミクス」に関わるファクターとなるが、ドラフティングレースとなるWTS横浜では、「ロードレース」に近いため、必ずしも絶対条件ではない。ただ昨今「バイクの重要性」に注目が集まる中で、単なるロードレース化ではないため、選手の対応が機材面のバイクという形となって表れている。

  • ①エアロロード
  • ②ホイールリムハイト
  • ③DHバー

下記の3点は、トレンドからスタンダードへ移行している。電動変速システムは、完全普及となったのだろうか。また、ディスクブレーキは、バイク本体の新型化との関係性が大きいため増えていることが予想される。そして、パワーメーターは、一般的には高価なイメージがあるが、今や「絶対アイテム」だけに、その使用は必須だろう。

  • ④電動変速システム
  • ⑤ディスクブレーキ
  • ⑥パワーメーター

下記の2点は、流行りも含めスペシャルパーツの動きとなる。ビッグプーリーも話題としては久しいが、現在どうなっているのか。そして、18年からスラムのワンバイをきっかけとして、コナでは確実に伸びを見せているフロントシングルは、昨年確認され、今年は増えているのだろうか。

  • ⑦ビッグプーリー
  • ⑧ワンバイ

前提として、WTS横浜2022の92選手の結果であり、全てを計るものではないが、概ね、方向性について大いに参考になると考えている。

【エアロロード】

今や馴染みとなったエアロロードは、2010年のスペシャライズドVENGEがその起点と言っても良いが、10年以上経ち、ややメーカーのスタンスに差が出ている。VENGEもそのエアロダイナミクスをTARMACに託し、統合された。ピナレロのように当初よりエアロロードという位置付けにはしていないが、十分なエアロダイナミクスがあったりと、明確にモデルを分けていないメーカーもある。ここでは、オールラウンド以外に「エアロロード」と明確に設定しているメーカーの使用率であり、エアロダイナミクスの優劣ではない。

フレーム 男子 女子 合計 使用率
エアロ 27 13 40 43.5%
非エアロ 23 29 52 56.5%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は全く同数値となる43.5%だった。昨年もそうだったが、減少傾向が見て取れる。2015年は38.7%、2018年では50.0%だったが、前述の通り、「カテゴリー分け」をしない傾向が伸びれば、今後も減っていくことになるが、むしろより強化されたオールラウンド性の中のエアロダイナミクスとして注目されて行くのかもしれない。

メーカーもカテゴリーを増やすことは簡単ではない。スペシャライズドのTARMACの流れが他社にも影響は少なからずあるだろう。ただ、ここではトライアスロンであり、エリートレースから見る「エイジ」へのフィードバックの期待を探れないのか、ということに尽きる。トライアスロンバイクでもなく、単なるロードでもない、「トライアスロン適正」の高いロードバイクの一環としてこのエアロロードに期待していた。もしそこが減ってしまうのであれば良い流れとは言えなくなるだろう。

トライアスロンバイクとロードバイクは難易度の違いではない。もちろん、ある程度の経験があることが前提となる話だが、ターゲットとしたレースや身体の制限などから総合的に判断、選択するものとなる。そんな中で、トライアスロン特性の象徴でもあるエアロダイナミクスに特化したロードバイクは、やはり期待の大きなカテゴリーとなる。ロードバイクの代用ではなく、「トライアスロン専用ロードバイク」があれば最高ということだ。

究極であり、理想であるトライアスロンバイクで、「最高のデータ」を得ることも必要だと思う。ただ、現実的な次元でのロードバイクの開発に期待したい。簡単なことではないが。

順位 ブランド モデル 男子 女子 合計 使用率
1 TREK MADONE 4 2 6 15.0%
2 CANYON AEROAD CF 3 1 4 10.0%
3 LAPIERRE AIRCODE DRS 2 1 3 7.5%
3 Liv ENVILIV 0 3 3 7.5%
5 BMC Time Machine R 2 0 2 5.0%
5 cannondale SystemSix 2 0 2 5.0%
5 cervelo S5 2 0 2 5.0%
5 FACTOR OSTRO VAM 1 1 2 5.0%
5 FELT AR FRD 1 1 2 5.0%
5 SCOTT FOIL 2 0 2 5.0%
5 SPECIALIZED S-WORKS VENGE 2 0 2 5.0%
12 BH AEROLIGHT 1 0 1 2.5%
12 Bianchi OLTRE XR4 1 0 1 2.5%
12 cervelo S3 0 1 1 2.5%
12 CIPOLLINI NK1K 1 0 1 2.5%
12 DOLAN REBUS 1 0 1 2.5%
12 FACTOR ONE 1 0 1 2.5%
12 GIANT PROPEL 0 1 1 2.5%
12 ORBEA ORCA AERO M11e 1 0 1 2.5%
12 TIME SCYLON AKTIV 0 1 1 2.5%
12 VITUS ZX-1 EVO 0 1 1 2.5%
22 27 13 40 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

エアロロード全40台の中で、最も多く使われているモデルは、今年もトレックMADONEだった。そのMADONEは、7月に第7世代としてフルモデルチェンジしている。ツールドフランスで投入され一躍脚光を浴びることとなった。トレックの「エアロロード」にはトライアスロンの観点からも期待したい。現在のベースとなった2015年ローンチの第5世代から人気の高いモデルで、流れとしてはロングセラーのシリーズと言えるだろう。

KONAで不動のサーヴェロは、WTS横浜では影を潜めてしまっているが、「エアロロード」というカテゴリーができる以前からエアロダイナミクスにこだわるメーカーとしてはパイオニア的な存在でもある。ツールドフランスでも新型が使用され、やはり、期待がかかっている。ちなみに今回確認されている1台は旧モデルとなるS3で、塗装も変えられていて「Cervelo」とは表記されていない。

エアロロードが新規追加されることは朗報だ。ただ、ロングライドとなるトライアスロンでの適正は個々のバイクと乗り手により、向き不向きがあるだろう。エアロロードの剛性の高さがその選手、そのレースに合っているのか、慎重に選ぶ必要があることは言うまでもない。見た目は「トライアスロン風」だが、中身が異なる性格を持つ場合もある。やはり、ロードバイクであることには変わりがないからだ。

※繰り返しになるが、エアロダイナミクスの性能差ではなく、メーカーのカテゴリー分けからカウントしている。

【ホイールリムハイト】

ホイールのイメージは、まず、フレーム形状と同様に、トライアスロン特有の「エアロダイナミクス」が挙げられるが、その目的は前後により異なる。

フロントは、エアロダイナミクスと、横風などの影響からハンドリングを考慮したチョイスとなる。概ね50mmを超えてくると、ハンドルを切った時に重さ(空気抵抗)を感じるくらいとなるが、各社1~3mm程度のハイト差でシビアなコントロールをしている。また、リアは、エアロダイナミクスとともに更に重要となるのは、「高速巡航性」となる。これはホイールの縦剛性と大きく関係してくる。レースコンディションにもよるが、リアにディスクホイールを使用するのはそのためだ。ただ、その反面として、剛性が高過ぎれば、脚への負担も大きくなる。その辺りのバランスを見ながら、選手たちはホイールを決定する。

このハイトだけで述べるのはやや乱暴ではあるが、概ね傾向は出ている。本来ならば、メーカー間の「重量剛性比」など更に掘り下げる中で、カウントの精度は高まるのだろう。また、一般選手において、エアロダイナミクスはある程度走る力が必要だが、剛性による高速巡航性は誰でも体感できる。一定の速度で走り続け易くなるということだ。そんな極めて重要な武器がホイールだ。

男子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 22 44.0% 30 60.0%
50~54mm 14 28.0% 6 12.0%
40~49mm 12 24.0% 12 24.0%
30~39mm 2 4.0% 2 4.0%
29mm以下 0 0.0% 0 0.0%
合計 50 100.0% 50 100.0%
女子
リムハイト フロント 使用率 リア 使用率
55mm以上 11 26.8% 16 39.0%
50~54mm 8 19.5% 4 9.8%
40~49mm 11 26.8% 12 29.3%
30~39mm 10 24.4% 8 19.5%
29mm以下 1 2.4% 1 2.4%
合計 41 100.0% 41 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

この結果は昨年と明らかに変化があった。結論から言えば、男女ともに高ハイトの傾向が強くなって来ている。フロントは分かれる傾向があるが、データ上は上表の通りだ。昨年は、男女ともに40~49mmが最多だった。そして、女子のリアホイールも40~49mmが最多となっていたが、より高ハイト化していた。尚、ZIPPやPRINSTONなどリムハイトが一定でないものは高い方の数値で分類している。

そして、ホイールメーカーの使用率は、下記の通りの結果だった。

順位 ブランド 男子 女子 合計 使用率
1 DT SWISS 11 8 19 20.7%
2 ROVAL 9 5 14 15.2%
3 BONTAGER 5 3 8 8.7%
4 CADEX/GIANT 4 2 6 6.5%
4 MAVIC 1 5 6 6.5%
6 SHIMANO 3 2 5 5.4%
7 PRINCETON 4 0 4 4.3%
7 ZIPP 3 1 4 4.3%
9 Dedaelementi 1 2 3 3.3%
9 ENVE 1 2 3 3.3%
9 HED 2 1 3 3.3%
12 FFWD 0 2 2 2.2%
12 HUNT 1 1 2 2.2%
12 RESERVE 2 0 2 2.2%
15 BOYD 0 1 1 1.1%
15 campagnolo 0 1 1 1.1%
15 EASTON 0 1 1 1.1%
15 GOKISO 0 1 1 1.1%
15 HOLLOWGRAM 1 0 1 1.1%
15 PRIME 0 1 1 1.1%
15 REYNOLDS 1 0 1 1.1%
15 ROSE 0 1 1 1.1%
15 SCOPE 0 1 1 1.1%
15 VISION 1 0 1 1.1%
不明 0 1 1 1.1%
24 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

ついにDTスイスがトップシェアとなった。昨年は2位で大躍進としたが、今年は更に伸ばし、トップとなった。2018年では、僅か3台の使用だったが、大躍進の結果となった。DTはスイスの老舗ブランドで、現在では、「ハブ」が有名なメーカーだ。他社のホイールにも多く採用され、そのホイールのランク付として「DTハブが使われている」などと表現される不動のメーカー。また、リム高のバリエーションも多くラインナップしている。

ロバール、ボントレガーなどバイク系ブランドは、バイクの台数に左右されるだろう。マビック、シマノ、ジップなどパーツ系ブランドは追随したいところだ。同じくパーツ系のプリンストンは昨年の1台から4台に増えているため、より存在感を感じさせた。イネオスも使用するホイールとして通っているが、アイアンマン世界選手権セントジョージでも増えて来ている。今後の注目ホイールであることは間違いない。

【DHバー】

一般的にはDHバーが付いていればトライアスロンの証。そんなイメージがあるパーツだ。単独走行時に身体を狭め、低く構え、エアロダイナミクスを高めるためのパーツだ。ただ、一般レースやアイアンマンなどドラフティングのないレースで主に使用されているが、WTSのようなレースでも先頭を引く時には有効的な機材となるため、その可能性に対し、装着されている。ドラフティングのないレースでは、このバーを持ったポジションが標準であり、逆にWTCSのドラフティングレースでは、ドロップを持つことが標準となる。つまり、先頭を引いたり、レース展開を変え、勝負を決める時に使用される重要なパーツと言える。

DHバー 男子 女子 合計 使用率
使用 31 14 45 48.9%
不使用 19 28 47 51.1%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は減っていた。昨年53.0%まで伸ばしていたことで、トライアスロンの象徴復活を感じていたのだが、軒並み有力選手も使用していない。当初より雨予報でコースも変更されたこともあるため、外した選手もいたと思われる。当初は、ロードレースで装着しないのと同じようにドラフティングルールで必要性が低いと考えていた選手も少なくないだろう。事実2015年では35.7%だったが、バイクの強い選手も増え、バイクからの駆け引きも出て来ている。バイクがある程度引っ張れる選手こそ、勝機があるということだ。

いずれにしてもペースをコントロールし、レースの展開を変えられる選手にこそ意味のあるパーツだけに、そこへの可能性と自信も伺えることになる。もちろん、遅れて単独走行時にも有効ではあるが、ロングのように長時間のDHポジション走行はないため、各選手での考え方が分かれるようだ。

【電動変速システム】

2012年のシマノULTEGRA Di2のリリースから11年目となる。完成車に設定されたモデルは安価ではないが、購入時には必ず検討する機能の一つであり、絶対条件と言えるかもしれない。電動ゆえに、変速スイッチをハンドルとDHバーに分岐し、2箇所から変速ができる。また、ワイヤー引きのバーコン仕様については、レバーが固かったが、スイッチボタンを押すだけの電動は、DHポジションのブレを抑え、抵抗の少ない理想的なライドも可能にしている。費用対効果としては申し分ない機能が、選ばれている理由だ。また、スラムの「ワイヤレス」も極めて画期的なパーツとして、イージーインストールなどから人気が出て、今や、Di2との選択肢にもなって来ている。

電動変速 男子 女子 合計 使用率
使用 48 39 87 94.6%
不使用 2 3 5 5.4%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は約95%。ほぼ完全普及と言って良いだろう。昨年は90.4%であり、まだ宣言はできなかった。エリートはある程度「時間の問題」として普及率は高まるが、一般選手においては常に一定層の非電動予想されるため、恐らく70%程度がゴールなのだろう。シマノからも三番手105の電動化もリリースされ、より手軽感は高まって来ているが、選択肢としての非電動は続くだろう。

今後のバイクの入り口が電動変速システムだろう。様々なアイテムがスマート化され、使い勝手が良くなっている。各デバイスとの連携が面白くなって来ているが、多少馴染みもあることだろう。難しく取られてしまう可能性もあるが、自転車に限らずの現在の進化が、より良い環境を整えてくれる。

順位 ブランド モデル 男子 女子 使用台数 使用率
1 SHMANO DA Di2 21 17 38 41.3%
2 SHMANO ULTEGRA Di2 11 10 21 22.8%
3 SRAM RED eTap 10 8 18 19.6%
4 SRAM FORCE eTap 5 3 8 8.7%
5 SHMANO DA 1 1 2 2.2%
5 SHMANO ULT 0 2 2 2.2%
7 campagnolo SR EPS 1 0 1 1.1%
7 campagnolo SR 1 0 1 1.1%
7 SRAM Rival etap 0 1 1 1.1%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

これは例年予想通りの結果となる。ブランド見れば68.5%がシマノとなっている。ただ、減っていた。絶対数を多いが、昨年はDi2だけでも74.0%だった。スラム系が26.0から29.3%に上がっているためだ。

世界の圧倒的シェアを持つ「質実剛健」のシマノに対し、古くはDHバー先端変速システムの「グリップシフト」や軽量性など特徴を図り、変速機の電動ワイヤレスや小型バッテリー、肉抜率の高いディスクブレーキローターなどリスキーとも思われる「斬新さ」が特徴のスラムには「面白さ」を感じてしまう。昨今話題となる「ワンバイ」もスラムだ。大きな勢力図が変わることはないが、ライバルメーカーがいることで、更にシマノも進化する。今後の開発が楽しみな機材だ。

【ディスクブレーキ】

電動変速(Di2)普及元年の2012年で言えば、ディスクブレーキモデルが出揃ったのは2020年モデルからと言えだろう。早くはスペシャライズドは、2016年モデルもあるが、2020年でスタートラインに並んだと言って良いだろう。現時点でのディスクブレーキモデルはここ2~3年程度の「新型」となる。一般レースでは、リアルタイムの人気ランキングとも言える目安だ。

ディスクブレーキ普及の背景には、安全性が挙げられる。ディスクブレーキありきではなく、ワイド化されたホイール、チューブレスタイヤなど、足回りが強化され、同時に制動力向上も進められた来た。ある意味、安全面においては、電動変速やその他のパーツなどと比べられないくらいの重要性があった。

Dブレーキ 男子 女子 合計 使用率
 仕様 46 35 81 88.0%
非仕様 4 7 11 12.0%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果はデータの通り、昨年より2ポイント伸ばし、高い数値と言えるが、レースの特性上、すでに90%は軽く超えていることを予想していた。2018年の13.0%から昨年は一気に増えていたため、完全普及としたが、電動変速システムから見るともう少しといった感じだ。ツールドフランスなどプロサイクリストを見ていると「あえて」というチームもあったが、理由はそこではないだろう。2023年で完全普及となることを期待したい。

一方、一般選手では、Di2の普及時よりも速いのではないだろうか。安全面もあり、また廉価帯でも選択肢が増えて来ているため、スタンダード化が加速している。

ブランド モデル 台数
1 SPECIALIZED SW TARMAC 7 6 13 16.0%
2 TREK MADONE SLR 4 2 6 7.4%
3 GIANT TCR ADV SL 3 2 5 6.2%
3 VENTUM NS1 3 2 5 6.2%
5 TREK EMONDA 2 2 4 4.9%
6 BMC Team Machine 1 2 3 3.7%
6 CANYON AEROAD CF SLX 3 0 3 3.7%
6 LAPIERRE AIRCODE DRS 2 1 3 3.7%
6 LAPIERRE XELIUS SL 0 3 3 3.7%
6 Liv ENVILIV 0 3 3 3.7%
6 SCOTT ADDICT 0 3 3 3.7%
6 SPECIALIZED VENGE 3 0 3 3.7%
13 BMC Time Machine R 2 0 2 2.5%
13 cannondale SystemSix 2 0 2 2.5%
13 cervelo S5 2 0 2 2.5%
13 FACTOR OSTRO VAM 1 1 2 2.5%
13 FELT AR FRD 1 1 2 2.5%
13 ROSE X-LITE SIX DISC 0 2 2 2.5%
13 SCOTT FOIL 2 0 2 2.5%
20 ARGON18 SUM PRO 1 0 1 1.2%
20 BH AEROLIGHT 1 0 1 1.2%
20 BH ULTRELIGHT 1 0 1 1.2%
20 Bianchi OLTRE XR4 1 0 1 1.2%
20 CANYON Ultimate CF SLX 1 0 1 1.2%
20 cervelo R5 1 0 1 1.2%
20 FOCUS IZALCO MAX 1 0 1 1.2%
20 GIANT PROPEL 0 1 1 1.2%
20 LEON GENUS 0 1 1 1.2%
20 ORBEA ORCA AERO M11e 1 0 1 1.2%
20 PINARELLO DOGMA F12 0 1 1 1.2%
20 STEVENS XENON 0 1 1 1.2%
20 VITUS ZX-1 EVO 0 1 1 1.2%
32 46 35 81 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

ここはやはり、スペシャライズドが獲った。使用台数が多いこともあるが、2016年からいち早く、ディスクブレーキに注力しているメーカーであることが大きい。また、MTBも含めた総合メーカーはディスクブレーキにも強く、シビアなカーボンコントロールが必要なロードバイクのディスクブレーキ化にもフィードバックが活かされている。

今や安全性向上は当然だが、エアロダイナミクスとの融合を期待しているメーカーも少なくない。もちろん、難しい開発とはなるが、ディスクブレーキありきではなく、総合的に進化させて来ている。

【パワーメーター】

ノンドラフティングのトライアスロンの場合、レースでは、ほぼ「一定」のマイペースを刻んで走る。一定にすることが最も効率が良い走りとなるからだ。では、その一定とは「何」を一定にするのだろうか。もちろん、速度ではない。ハートレートが一般的だったが、リアルタイムでペースを一定にできるのが、パワーメーターなのだ。ロードレースでは、タイプによるが、速度の加減速もあり、駆け引きというタイミングもある。それに対し、トライアスロンでは、練習からレースまでフル活用が可能となるだろう。もちろん、距離、コースにも影響はされるが、概ね「コンスタント」な走りがベストパフォーマンスに繋がる。電動変速システムDi2もトライアスロンでの使用は、大きなメリットがあったが、同様にパワーメーターもトライアスリートにこそ、必要なアイテムと言えるだろう。

Pメーター 男子 女子 合計 使用率
使用 43 41 84 91.3%
未確認 7 1 8 8.7%
合計 50 42 92 100.0%

まずは使用率だが、これは恐らく100%と考えている。「未確認」としているのは装着の確認ができなかった台数だが、普段のトレーニング時に使用していないことは考えられないからだ。少なくともスマートトレーナーで確認はしているはずだ。また、レースの特性上、ペースが一定でないため、当日必要ないということも言えだるだろう。クランク型の場合はそのままとなるが、ペダルの場合は簡単に交換ができる。

順位 ブランド タイプ 男子 女子 台数 使用率
1 QUARQ クランク 12 8 20 21.7%
2 GARMIN ペダル 6 7 13 14.1%
3 SHIMANO クランク 7 5 12 13.0%
4 4iiii クランク 5 2 7 7.6%
4 Favero ペダル 3 4 7 7.6%
4 SRM クランク 4 3 7 7.6%
7 PIONEER クランク 2 4 6 6.5%
8 ROTOR クランク 1 3 4 4.3%
9 POWER PRO クランク 1 2 3 3.3%
9 STAGES クランク 1 2 3 3.3%
11 INFOCRANK クランク 0 1 1 1.1%
11 SPECIALIZED クランク 1 0 1 1.1%
未確認 7 1 8 8.7%
12 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、クウォークがトップシェアとなった。2018年は16.7%で大きく伸ばしている。クウォークはスラムとの関係性が高いため、そのコンポーネントの使用率とも大きく関係してくる。逆に2位のガーミンや4位のファベロは完全後付けのペダル型のため、選ばれた可能性が高い。ペダル型を使用している選手の中にはクランクにも装着されているケースがあった。後からペダルを選択しているのだろう。

【ビッグプーリー】

ビッグプーリーもトレンドと言われ久しいが、その後、動きはあったのだろうか。効果の大きさは、「体感」できる数少ないパーツでもある。回転時の抵抗が大きく軽減されることで、ペダリング効率を向上させている「アイデアパーツ」だ。ビッグプーリーは、チェーン、プーリーのベアリングの摩耗を抑え、最大の体感は、アウターローでの状態で確認できる。各社鎬を削りリリースしているが、プーリーケージ(本体)の剛性が大きなポイントとなるだろう。

Bプーリー 男子 女子 合計 使用率
使用 8 7 15 16.3%
不使用 42 35 77 83.7%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

使用率は、昨年の14.8%から伸ばしていた。ただサンプル数が少ないため、何とも言えない結果であり、使用率が低迷していることは明らかだ。今後も大きく流行ることはないかもしれない。ものが悪いということではなく、コンポーネントメーカーとの契約なども関係しているだろう。また、専属メカニックなどが帯同する場合は良いが、調整がシビアであったり、輸送に気を使うなどから敬遠されていることもあるだろう。使用率が少ないから悪いということではない。むしろ良いパーツと考えている。

順位 ブランド 男子 女子 使用台数 使用率
1 ceramicspeed 5 4 9 60.0%
2 NOVA RIDE 2 2 4 26.7%
3 KOGEL 1 0 1 6.7%
4 RIDEA 0 1 1 6.7%
4 8 7 15 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

数量は少ない中での比較となるが、予想通りのセラミックスピードがシェアを獲っていた。ここで、GERONIMO COUNT上、初登場となったのがアメリカブランドのノバライドだ。ビッグプーリーに注目する中では、大きく目を惹いていた。

【ワンバイ】

スラムの専売特許とも言える「ワンバイ」は2018年のコナで19台確認、翌年2019年では、63台に増えていた。その63台のうち20台はプロ選手の使用となる。このパーツが普及の兆しを見せているのは、スムースで単純な変速動作とそのデメリットが少ないことが挙げられる。ワンバイは単純にフロントをシングルにして、ディレーラーを外しただけではない。それをすればすぐにチェーンが脱落してしまう。スラムだからこそできているシステムとなる。チェーンとチェーンリングの噛み合いをX-syncという構造で極めてマッチングの高い造りとなっている。写真と同じ状態で使用する選手も多いが脱落防止パーツを取り付けることもできる。

現在、アイアンマンの世界ではこのシンプルな構造と見た目が新しいトライアスロンバイクの姿として注目を集めている。

ワンバイ 男子 女子 合計 使用率
使用 3 2 5 5.4%
不使用 47 40 87 94.6%
合計 50 42 92 100.0%

※ Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、昨年と同数の5台だったが、この中には男子優勝のイー、昨年のTOKYO2020チャンピオンで今回3位のダフィーも含まれている。KONAでは増加傾向にあるが、昨年初めて確認し驚いた。まだビッグプーリー同様、大きく伸びることはないがこれもスラムらしい面白い考え方であり、一般選手には大いに推奨できるシステムだ。明かにストレスフリーとなる変速動作が最大のメリットだ。

最後に。

やはり、トライアスロンに「近い」ロードバイクの開発に期待したい。エアロダイナミクスだけではなく、シートアングル、ヘッドレングス、剛性など。そして、昨今の定義でもあるストレージやパッキングなどのユーザビリティーも備えたバイクが必要だろう。トライアスロンで使用するロードバイクも次のステップに進めて欲しいものだ。

その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=39373

 

 

「自身に合ったバイクとは何だろうか。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka