7/18(日)群馬県高崎市で「第9回 榛名湖リゾート・トライアスロン in群馬」(榛名湖リゾート・トライアスロン in群馬実行委員会主催)が開催された。
はるトラも二年ぶりの開催となった。昨年は国内レースがほぼ全滅となったコロナ禍によるものだった。今年も周知の通りの状況で、中止となっている大会が多い中だったが、無事に開催することができている。そして、「日本一美しいトライアスロン」と謳っているレースを楽しんだ。
当日は、大会に合わせるように梅雨が明け、雲ひとつない最高の夏空が広がっていた。高原とは言え、梅雨明けからの強い陽射しは、やはり夏の過酷なレースであったことは間違いないだろう。とは言えスタートは7:40で、終了は12:30と、コンパクトにまとまっているため、大きな問題もなく、無事に終えている。
緊急事態宣言などによる自粛の「お願い」により、300名近くが減ってしまっているが、久しぶりのレースを楽しむ選手やビギナーから、ベテランまでレースとしての盛り上がりは十分だった。また、変わらないスタッフの対応により、アットホームな雰囲気の中での開催だった。
はるトラは、2013年から始まり、今年で9回目となった。ただ、18年の台風、昨年のコロナで2度中止となっている。関東圏では交通アクセスが良く、リゾートトライアスロンが楽しめる大会として人気となっている。歴史は比較的新しいが、800名近いエントリー数となる地方大会としては、規模の大きな大会と言えるだろう。バイクコースのキャパからこれ以上は定員を増やせないまでに最大活用し開催している。
榛名湖は、高崎市に位置する榛名山のカルデラ湖で、標高は1000mを超える高原リゾートとなる。ちなみに「榛名山」は総称であり、その峰は存在しない、榛名富士を含む大小15の山岳から成る山体だ。榛名湖の透明度は、季節にもよるが、全国レベルから見ても良いほうだろう。
例年、海の日の週末開催となり、梅雨明けの眩しい太陽と真っ青な空と、高原の爽やかさが満喫できるタイミングが最高だ。やはり、はるトラに出るなら時間に余裕を持って「トライアスロン旅」を楽しんでほしい。
■コース
【Swim】スタンダード・リレー: 1.5km / スプリント: 0.75 km
一周750mのコースを周回する。スタート地点は、水深が浅く歩いて前に進んで行く。2名づつ6秒間隔のローリングスタートとなる。
【Bike】スタンダード・リレー: 40km / スプリント: 18 km
一周8kmのコースを周回する。やはりメロディラインの上りが、名物となるテクニカルコース。長い下りもあり、慎重さが必要となるコース。
【Run】スタンダード・リレー: 10km / スプリント: 5 km
一周5kmのコースを周回する。序盤で約500mの厳しいアップダウンがある。その後は、約3km地点で少し上りが出てくるコース。
■レース
【Swim】
7:40:00 レースが始まった。スタートは、スタンダード、リレー、スプリントの順番で、2名づつ6秒毎のローリングスタートで行われた。スタンダードとリレーは2周、スプリントは1周を泳ぐ。
レイアウトは、大きなブイの間を真っ直ぐに泳ぐだけで、視界も良く泳ぎやすい。ただ、標高が高いため「息が上がる」という選手は少なくない。また、海水ではないため、浮きにくいこともあり、少し時間がかかってしまう選手もいたようだ。ビギナーの中には、2周のところ1周で帰って来てしまって、慌ててコースに戻ったりと、幅広い選手層となる大会の光景が広がっていた。
榛名湖は深いところでも15m程度で、スイムコースとなっているところは、3~4m程度となっている。その浅い水深のため、海中の藻が手に触れたりして驚いた選手もいたようだ。藻のためイメージした透明度とは少し違うようだ。
いずれにしてもフラットで安心感のあるスイムコースで、前日の風も収まり、ほぼベタなぎ状態でのスイムは、ビギナーも泳ぎやすかったのではないだろうか。
【Bike】
バイクは、約8kmのコースを周回する。スタンダードとリレーは5周、スプリントは2周する。正確には、外周で7.7km程度で、バイクスタートとゴール地点までのコースで調整され、合計5周で40kmとなっている。
コースは、アップダウンのあるテクニカルコースと言えるだろう。ただ、湖畔沿いを中心にDHポジションとなるフラット部分も半分以上あるコースだ。そんな中最大の難所となるのはスタート後、間もなくとなるメロディーラインの上りとなる。緩やかに上り始めるため、1km以上は続く上りで選手は苦しめられる。それをスタンダードであれば5回走らなければいけない。
各選手それぞれの走りをしている。DHバーが付いていないロードバイクの選手が勢い良く上って行く。普段はローディーなのか。カメラを向けると笑顔でポーズを取ってくれる余裕のある選手。カメラの前だけ「ダンシング」をしてくれた選手。そして、うつむきがちで、淡々と坂と闘っている選手。いずれにしても頑張っている光景がエンドレスで続いている。
上った後は、下りが待っているのだが、これが要注意となる。急な下りだが、道幅は広いとは言えない。また長く続くため自ずとスピードが出てしまうため、前後、左右も確認しながらのテクニカルな走りとなる。下り後半では、日向と日陰が強い日差しにより、明暗のコントラストが強く、路面状況の確認がしづらいポイントもある。その後、湖畔沿いに入ってからも道幅が狭かったり、路面の悪いところもあり、慎重なバイク走行が求められる。
このバイクコースの攻略は、上りではなく「下り」と言えるだろう。飛ばせということではない。コース情報をより多く把握し、いかにスピードを殺さず走れるかどうかということだろう。その点はバイクのチョイスも「ロードバイク」がセオリーとはなるが、普段の練習がそれを想定したものになっているかが大前提となる。このレースのためだけにロードバイクを用意するのはナンセンス。コースを想定した機材と練習が必要になるという点では、このコースで良い結果を狙うのは簡単ではない。当然、試走も何回できるか、バイクが得意で狙ってみたい選手は「十分な準備」をオススメしたい。
【Run】
ランは、5kmのコースを周回する。スタンダードとリレーは2周の10km、スプリントは1周の5kmとなる。
コースは、榛名湖の外周をほぼトレースする湖畔のラン。序盤に9%の上りを含むアップダウンが500m程度続き、選手を苦しめる。また、中盤でアップダウンが出てくるが、あとはフラットも多い。陽射しは強かったが、湖畔沿いの木々で日陰となる部分もあり、精神的にも助けられていた。
選手のウエアはショートということもあり、「袖なし」が多かった印象だ。現在、「袖付き」が主流のイメージになったが、元々はアイアンマンのバイクなどで、「エアロダイナミクス」を考慮したことから始まっている。今でもコナでは、ランになるとウエアを変える選手を見かける。当日の天候では、やはり、袖なしが涼しげに見えていた。
選手も疲れて来た。カメラに反応してくれる選手もいたが、バイク時に見られた笑顔は少なくなり、淡々と走る選手が多くなって来た。トライアスロンは、「バイク+ラン」の競技だ。そのバランスが難しい。ビギナーの選手は、バイクの坂で脚を使い切ってしまったかもしれない。そんなことを考えながら走ることが、トライアスロンの魅力でもあるのだが。やはり、梅雨明け直後で、暑さに慣れていない身体は、いきなりの「夏本番」でダメージが大きいのだろう。
いずれにしても最後の種目となるラン。ゴールを目指して力を振り絞る選手に感動だった。デビューの選手もいただろう。ベテランでもコロナ禍で久しぶりとなった選手もいただろう。それぞれの想いの中、それぞれのゴールを目指し、トライアスロンという「非日常」で持てる力を出し切っていた。
【Finish Line】
レースが終わった。
ゴールの頃は「太陽」が真上から燦々と降り注いでいた。疲れも暑さもマックスとなっていたが、ゴールで全てが報われる。思い通りのレース展開となったかどうかは分からないが、その瞬間は、最高に気持ち良いのだ。
やはり、「トライアスロンはいいな〜」と思った瞬間だったのではないだろうか。
Congratulations !
「過去4回出場しています。この大会はドラフティングがないので良いですね。」とレース後お話ししてくれたのは、70歳のベテラントライアスリート、四阿選手。
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■GERONIMO COUNT
GERONIMOのバイクカウントは、暫定の速報値となるが、下記の通りだった。
1位 TREK 43台
1位 SPECIALIZED 43台
3位 cervelo 27台
※対象はスタンダード、リレー、スプリントの332台となる。
※詳細データはこちら(後日発表)
■コロナ禍での開催
開催することはできたが。。。
準備も6月からのスタートで、運営も簡単ではなかった。まん延防止措置の出ている市町村には、解除されない場合、自粛のお願いをしていたが、さらに緊急事態宣言も発令されたため、多くの参加者がいた東京都などの選手は、大幅に減ることとなった。
もちろん、レースでは直前までのマスクの徹底や2名づつのローリングスタートなど、可能な限りの対策をしていた。また、蜜を避けるため、表彰式は開催せず、ゴール後は、三々五々の流れ解散となっていた。ゴール後余韻に浸り、お互いの頑張りを称え合う、大切な時間でもあるが、「今」は全て行うことはできない。
はるトラのレースディレクターであり、高崎市トライアスロン協会会長の小平博氏は言う「今回は、初トライアスロンもベテランも皆 “ デビュー戦 ” です。」と。ご自身も第1回の佐渡から出場し、16年にはコナ出場を果たしている強豪エイジグルーパーであるだけに、選手をより楽しませたいとい気持ちも強いはず。そんな熱き人々によって開催できている。また、高崎市あげてのイベントであると言うことも、この成功に大きく関わっているのだ。
そして、一日も早く平時に戻ることを待っている。大会が開催できたこと自体が最高なのだろう。ただ、そんなことは選手もスタッフもみな分かっている。普通に開催できることの有り難みを痛感させられた。
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【Result】
◯ 総エントリー数 / 最終スタート数 671/382名(ジュニア、キッズ含む)
◯ スタンダード&リレー /スプリント エントリー数 / 最終スタート数 591 / 332名
◯ 総完走者数 / 率 371名 / 97.1%
《気象》(7:00時点):天候 晴れ / 気温 25.6℃ / 湿度 66% / 風速 2.4m 北北西 ※前橋地方気象台
■スタンダード男子総合
1位 小林 祐也 2:10:47
2位 橋本 有広 2:12:17
3位 望月 佐夢 2:13:11
■スタンダード女子総合
1位 田村 光 2:27:00
2位 大熊 美結 2:43:41
3位 Martin Sarah 2:47:40
■スプリント男子総合
1位 関根 悠太 1:05:23
2位 杉本昌也 1:08:25
3位 吉川 誠司 1:10:43
■スプリント女子総合
1位 貴田 真美 1:13:40
2位 小澤 真理子 1:22:31
3位 鈴木 佐梨 1:25:03
■スプリント高校生男子総合
1位 浅沼一那 0:59:29
■スプリント高校生女子総合
1位 長谷川 菜奈 1:07:57
■リレー総合
1位 M・S・I PUBLIC 2:26:27
2位 勝己一族 2:32:07
3位 ☆ゆまりえ☆ 2:40:27
■リレー男女混合
1位 TEAM ウガちゃんねる 2:44:27
※全てのデータ:http://harutra.jp/result
その他のレポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=35664
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