総括

今年のアイアンマンが終わった。

アレキサンダー、マッカの時代も終わった。2013年から新たなアイアンマンたちの時代になると感じた。トータルバランスの良い選手でなければ勝てない、過去最高レベルのアイアンマンになった。

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【機材】

まず、総合1位のウィナーズバイクとなったのは、ボードマンAiR/TT/9.8、女子は、ピナレロGRAALだった。どちらもトライアスロンに注力しているブランドではないが、今年の結果ではある。ボードマンは、ここ数年上位に入る選手を送り込んできていたが、目立つバイクではなく、注目はされていなかった。実際、このウィナーズバイクを含め、少なくとも3台は確認していたが、バイクカウントから漏れている。一方、ピナレロもトライアスロン界では、大人しいブランド。モデルチェンジしないトライアスロンバイクのFT1、高額のFT3、そしてこのTTバイクのGRAALなどがその対象車種となる。女子ではあるが、ツール&アイアンマンの制覇でもある。

そして、最も話題となるバイクの使用率は、今年もサーベロがダントツの使用率第1位となった。ただ、台数は昨年をわずか5台ではあるが、割った。しかしながら絶対数は多く、4人に1人がサーベロに乗る計算になる。そして大きく伸ばしているのがスペシャライズドで前年の139%となった。キャノンデールは久しぶりに5位に戻って来た。また確実に伸ばし、来年以降も期待できるのがBMC。2012年からアイアンマンへの本格参入となるため、実績は少ないが、前年の366%は期待も大きい。

また、エキスポに見るメーカーの「勢い」という点では、盛り上がっていた。出展しなかったブランドもあるが、「トライアスロンのサイクルショー」だった。一部のメーカーは離れた場所で「私設」で展示をしているところあった。ブース代はかなり高額のようだ。そして、1番良い場所にあり目立っていたのがサーベロ、ブースは大きい。次にスペシャライズド入り口に位置し賑わっている。トレックはやや外れたところにあるが、大きなブースでイメージは良い。フェルトのブースは一般的な規模。そしてキャノンデールは、出展されていなかった。毎年出ていたので残念である。

ホイールやパーツにもトレンドが見られる。詳細は追って。

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【大会】

今年の大会は、強風のアイアンマンだった。プロ選手は平凡なタイムで終わり、エイジ選手は、フィニッシュタイム10時間台で30分落ちとなっていた。バイクが苦手の選手にとっては厳しい展開となった今年のアイアンマンだった。

まず、スイムでは、例年通りの展開でアンディポッツが良いポジションでスイムフィニッシュ、バイクスタートをする。アンディポッツはここ3年ケストレルに乗っている。トレックでは、「バイクの強い選手」に乗せる傾向があるとお伝えしたが、ケストレルも特徴があり、「スイムの強い選手」の乗せる傾向がある。やはり、バイクスタート時は大注目の一瞬。そしてしばらくはバイクトップを走ることになる。結果スイム出身の選手が勝ったことはないのだが、「見せ場」を決めているのだろうか、傾向が伺えるのも事実だ。バイクは中盤からマリノバンホーネッカーが飛ばし、2位グループに10分差でバイクフィニッシュとなった。ただ、10分程度のビハインドは射程圏内、ランの強い選手に捕まるのも時間の問題。誰が出てくるのか、どんな展開となるのか、まずは15km地点での順位である程度見えてくる。マリノバンホーネッカー1位をキープ、ただ、2位のピートジェイコブスに3分詰められている。ペースが違う。時間の問題で逆転となるだろう。それよりも後から追い上げて来ている、アンドレアスラエラートがどこまで来ているのかが、レースの見所。トップから遅れること7分、15km地点を7位で通過。ラエラートの猛追が始まった。クィーンKに入り、ピートジェイコブスはトップに出た。そして、先ほどまで7位だったラエラートが追い上げ、今回の主役たちの戦い “ Jacobs  vs  Raelert ”が始まった。ともにランの力は強く、お互い気の抜けない壮絶な「5分差」の展開が続いた。ラエラートはトップ10の中で1位のランラップで追い上げた。そして、トップのジェイコブスはそれに次ぐ好タイムでランを終えた。結果はジェイコブスが優勝、2位のラエラートに4分57秒の差を付けて、初のアイアンマンチャンピオンとなった。

2007年以降、6年連続でオーストラリアが優勝している。「アイアンマンのオーストラリア」となった。

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【チーム・Y】

今年も国内最多出場となる4名が参加した。昨年も4名、安定した状態が続いている。今回のメンバーは7回目となるエース大西選手、3度目の石田選手、2度目の金山選手、初出場、紅一点の篠田選手の4名。篠田選手がいち早く昨年12月の70.3シンガポールで決めた。金山選手、石田選手は、3月のアイアンマンメルボルンでゲット。そして、大西選手は、6月のアイアンマン70.3セントレアに賭け、必死に練習を積んだ。そして、結果は見事ゲット。しかもエイジ1位でラストチャンスをカッコよく決めてくれた。画して今年も4名の出場となった。

レース展開だが、厳しい結果となった。常に目標はサブ10(10時間を切ること)。男子は全員、もちろんサブ10の経験はあるが、このアイアンマン世界選手権で、出すことは極めて難しい。風、暑さ、コースなど、条件が厳しい大会で、選手を苦しめる。特に今回は強風のため30分落ちとなり、記録としては、悪かった。そんな中、金山選手は10時間36分という「好タイム」でフィニッシュ。「風が無ければ。。。。。」と言ってもしかたないが、頑張ったと思う。次いで石田選手がゴール。エース大西選手は残念ながら、腹痛のためワースト記録でゴール。女子の篠田選手は、「無事完走」という結果だった。

アイアンマンの世界もレベルが急上昇中で、3年前まで10時間でゴールすると300番を切れたが、現在では、500番まで落ちる。世界の選手層は厚くなって、エイジグループでも激戦が展開されている。特に40~44歳、45~49歳のグループは激戦区で、出場権をゲットすることは、とても大変なことである。あくまでも「本戦」での結果に注目したいが、「出場することに意義がある」ということも言って良いと思う。

「家庭」「仕事」そして「週20時間以上練習」という3つを最高レベルでこなすメンバーが在籍してくれていることに感謝したい。

そして、チーム・Yとして2013年アイアンマン世界選手権出場に向けスタートする。
「Road to KONA 2013」
BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka