マシンのセッティングに関しては、以前にも述べていますが、今回は、ご質問のそのままにお答えします。「ハンドルが遠い」というお問合せでした。関連記事の「スピナーのセッティング」では、お持ちのリアルバイクに合わせるために可動箇所の説明や、それらの出来る範囲や出来ないことなどを述べています。もう一つの関連記事として「DHポジションをとる?」では、所謂、一見それらしい恰好になっているものの、リアルバイクとの差が顕著に出てしまう状態となり、返ってデメリットもあることなどをお伝えしています。
《関連記事》⑪スピナーのセッティング ⑫DHポジションをとる?
今回は、両方に関係してくると思います。よくありがちなのですが、あのスピナーは競技目線で見ると、185cm程度の人が使って、初めてリアルバイク同様のポジションが出ます。簡単に言えば、ハンドル位置が高く、遠いのです。したがって、小柄な人が使用するとハンドル位置が不自然となります。その不自然な位置に無理に合わせることで、リアルバイクとの「差」が大きくなってしまいます。
ハンドル位置が遠いために、サドルを前に出して近づけ過ぎている人がいますが、これは、リアルバイクで言うところの「シートアングル」を極端に立てているのと同じになります。バイクのポジション的フィーリングは、このシートアングルで決まると言っても良いでしょう。ロードバイク(シートアングル72~74度)とトライアスロンバイク(78度前後)を乗ればその差は歴然です。
バイクのポジション合わせは、クランクの位置を基本として、次にサドルの高さと前後位置、最期にハンドルまでの距離と落差の順番です。したがってハンドルが遠い場合、サドルを前に出して近づけるのではなく、ハンドルを手前に引いて近づけるのです。そこで問題となるのが、「遠い」ハンドル位置です。思った位置に近づきません。もちろん、物理的に近づけることは無理なので、ハンドルの持ち方を変えて、ブルホーン部中央(二番の位置)から手前の部分を持つ、それでも遠い場合、指先を引っ掛けるようなイメージにする。ちなみに手のひらを開くことは、「上半身リラックス」に繋がります。また、ブルホーン先端(三番の位置)を持つことは、更に必要ありません。二番の位置であったり、最も手前を持つなどして、その距離を埋めます。特に三番を持つような「ダンシング時」には、小柄な人が無理をして持つと、リアルバイクとは全く違う動きになってしまいます。実際にはあり得ない、「空中」を掴んでいることになります。また、重要な「重心」が前輪加重が強くなり、バランスを失います。
結論として、クランク→サドルの位置→(リアルバイクと同様な「上半身」の角度の決定→最後に手を置く位置(ハンドル)を考える。一応、ハンドルですが、手を乗せるだけと考えると良いでしょう。そして、これは、「今の問題」だけではなく、上半身リラックスにも繋がるため、全ての人に必要なことなのです。
最後に。スピナーをダメ出ししているわけではありません。スピニングはメリットが勝っているから開催しています。雨でも夜でも寒くても出来る、バイクの準備なしに出来る。そのためにやっているわけではありません。もちろん、それらのメリットも大いに助けとなります。レースでは、リアルバイクによる実走です。スピナーを使うわけではありません。実走でのパフォーマンスを上げるために、「スピニング」という手法を使っているのです。スイム3.8kmのために3.8km×1はやりません。ストリームラインがあり、ドリルやインターバルをメインとして行います。それと同様です。
大事なことは、知っているのか、知らないのか、やっているのか、やらないのか、その差は大きくなります。
以上。
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