第6回

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Triathlon LUMINA No.50

P81~83 Mare Ingenii Tri BIKE CHRONICLE

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「更なるエアロダイナミクスや新しいアイテムへの取組が期待される。

これまでを、簡単に振り返ってみた。この四半世紀での、バイクの進化は、極めて大きかった。素材は、クロモリから、アルミ、そして、カーボンへと進化し、軽量性や快適性、成型の自由度が高まったのだ。ホイール径は、700Cから26インチ、そして、再び700Cとなった。形状は、丸型断面から、ティアドロップ断面やオーバル断面へ、その後、翼断面、そして、カムテイル断面になり、軽量なエアロフレームを製作できるようになった。パーツもいろいろ変化があった。変速は、ワイヤーから電動に進化。DHバーも、アルミからカーボンへ。サドルも一般型からトライアスロン専用型へ。ロードから始まり、ロードとトライアスロンのどちらにするのか、迷いの時代を経験し、カタチばかりのトライアスロンバイクから、明確なジオメトリーとコンセプト持ち、現在の「トライアスロン専用バイク」が確立された。

さて、新しい構造やパーツなど兆しから定着するまでの時間はどのくらいかかっていたのだろうか。例えば、現在、主流となっている、フレーム形状の一つにヘッド一体型フォークが挙げられる。この元祖は、1993年モデルとして、リリースされた「ルックKG196」だったが、その後、いつ普及したかと言えば、2009年のトレックSpeedCincept、アルゴン18E-114、フェルトDA、ブルーTriad SL、そして、元祖ルックKG596など、翌年には、BMCTM01などが記憶に新しい。KG196から16年、17年経って定着している。これは、構造的に難しいところもあったと思われる。ハンドルを切ったときに、フレームに当たる処理をどうするのか、ハンドルは完全に切れなくても良いとするのか、など、現在、当たり前のことでも、当時は、許されなかったのかもしれない。電動変速システムは、マビックが二代目として、98年に「メカトロニック」をリリース、2000年でトライアスロンKITも出て、センセーショナルなパーツがデビューした。その後、現在のDi2のトライアスロンKITは、2009年のデュラエースDi2だった。この9年は、少し短いのだろうか。そして、2012年秋の「アルテグラDi2トライアスロンKIT」リリースで、「完全定着」となった。逆にホイールは、極端に変わっていないアイテムかもしれない。もちろん、素材、剛性、軽量性、回転性能、制動力遥かに進化はしているのだが、トライアスロンで重要となる「高速巡航性」の点においては、90年前半のZIPP、トレカ、ニッセキなど、その性能の高さは、今でも語り継がれるくらいだ。特にトレカなどは、復活を期待したいぐらいだ。誰かが、思い付き、考え、モノが造られる。しかし、完成度なり、標準化なり、ハードルが高く、定着しないものも、年月をかけて、また誰かが引き継いでいる。そこには、「良いものは、良い」、だから造るという、「夢」が続いているのだろう。

今、ここで同じように注目となり、流行の兆しを見せているのが、ディスクブレーキなのだ。ディスクブレーキは、今できたものではなく、15年の歳月が経ち完成度は高く、現在、MTBでは、リーズナブルなモデルにも標準装備される当たり前のブレーキとなっている。また、MTB的要素もあるシクロクロスなどにも、装備されている。そのディスクブレーキを今、ロードバイクで提案されている。ロードのディスクブレーキ化は以前からあった話だが、メリット、デメリットの話になり、具現化は、されなかった。ただ、ここに来て、シマノの「本格始動」で、一気に浮上した感がある。まず、一般的なメリットは、制動力、特に雨天時。次にスピードコントロールとレバーの引きの軽さが良い。そして、リムの振れが出た場合にも、ブレーキングへの影響が少ないことなどが挙げらる。デメリットだが、メインテナンス性として、パーツのコストと高い作業精度の必要性となるだろう。そして、フレームは「ディスクブレーキ専用」となるということだ。非対応フレームでの後付けはできない。当然、どんなものでもメリット、デメリットはあるものだ。セオリーよりも実際の使い勝手は、また違った感じになる場合も多い。メリットをトライアスロン目線で見れば、更に良さも見えてくる。例えば、カーボンホイールを直接制動する訳ではないので、リムのダメージがなく、その想定が不要となるため、軽量化にもなる。また、雨天時は、先述の通りだが、特に効きの悪いカーボンリムでは、その点も大きなメリットとなる。そして、ヘッド周りをシンプル化でき、エアロダイナミクスに貢献するのだ。ただし、ディスクブレーキそのものがどの程度の乱流が発生するのか、今後フォークの形状が重要となるだろう。デメリットもある、ロングレースとなる、トライアスロンでは、レース中にホイールをチェンジする可能性がある。事例としては、少ない話だが、その場合、セッティングがシビアなディスクブレーキは、ディスクローターとブレーキパッドの干渉が予想される。その点の対策もほしいところだが、総合的には、使ってみる価値は十分あるだろう。そして、今後、これも先述の通りだが、Di2の時と同様に、「専用と兼用」「対応と非対応」などと、フレーム側の対応が急がれるところだろう。今シーズン、各社に意見を聞いてみたが、現時点では、「将来性」というのが、大方の意見と感じた。過去にも流行りの兆しで終わったものは、いろいろあったが、実際に、2016年モデルを見ると、各社の「ディスクブレーキモデル」は、確実に増えているため、現実的な将来性と言えるのではないだろうか。

また、現在活発に取り組みが進んでいる一つに、ヘルメットの「エアロダイミクス」がある。テーマは、決まったが、その手法は、まだ「思考錯誤中」とも感じる。2000年半ばから定着しつつあった、TTヘルメットの、動きは早かった。元々、TT系のヘルメットは、エアロダイナミクスと通気性のバランスの難しさを追求している。当初は、ロングテールが主流だったが、ガノーや、ルディのショートテールが注目されているのと同時に、更に短い、「丸っこい」ヘルメットの人気が高まった。カスクBANBINOのように、耳を覆うタイプから、ジロAirAttackShieldのように、耳を出しているものまで、様々だった。ただ、条件としては、シールド付きということが定義となるモデルだった。それらの「丸っこい」ヘルメットは、やや特異なデザインのため、流行るかどうか、微妙な感覚があったが、サドルのISM同様、機能本位でブレイクしたのだ。そして、丸っこいというと、あのOGKカブトが2008年に短距離トラックTT用としてほぼ丸い形状をいち早く造っていた。もちろん今も存在しているタイプで、横を向いたり、下を向いた時の空気抵抗を抑えているという点では、現在に繋がっているのだ。そして、これもほぼ同時に、動き始めたのが、「エアロヘルメット」だった。スペシャライズドEVADEやトレックBALLISTAなどが最新のモデルとなる。一見すると、一般的なヘルメットに近いが、やはり、外観上は、エアインテークが減り、凹凸の少ない滑らかなデザインとなっている。現在エアロ系としては、扱い易いアイテムと言える。

そして、これからまだまだ開発の可能性があると言えるのが、ウエアとなるだろう。ヘルメット同様に、大きく風を受けるウエアに対する「エアロダイナミクス」が必須となるだろう。バイクとともに、ヘルメット、ウエアはこれからの5年で大きく進化が予想されるアイテムだ。どちらも身体に着用するアイテムだけに、バイク本体とまた違った難しさがある。ヘルメットはすでに、試行錯誤中と言ったところだが、ウエアについては、まだまだこれからで、大いに課題となることだろう。80%は身体が空気抵抗となっている。バイクのエアロダイナミクスと同時に、もっとも風を受ける身体への対策は、重要となる。ただ、ヘルメットのようにはいかない。トラックのTTように短時間であれば、エアロスーツがあるが、トライアスロン、ましてやアイアンマンなどになると、ヘルメット以上に「通気性」が重要となる。その相反するポイントをいかに融合させることができるかにある。すでにスペシャライズドなどは、その開発に着手、リリースも決定、今後、他社も続くことになるはずだ。特に今後の開発の中で、ウエア素材の進化も注目と言って良いだろう。エアロダイナミクスも高いが、炎天下でも着用が可能となるような快適性を合わせ持つ素材もゆくゆく出てくると思う。そして、重要となるのが、ライダーの「フォーム」となり、身体の幅、上体の角度、首の位置、など、ウエアが進化した時には、フォームのためのバイクの「ポジショニング」が最も重要となるはずだ。現在も盛んとなっている「バイクフィッティング」の重要性が更に高まるだろう。

様々なアイテムの開発が、各メーカーで鎬を削られ、日夜研究されている。次は、何が出てくるのだろうか。でもそのヒントとなることは、必ず、ユーザーからの声でもあるのだ。速く走りたい、快適に走りたい、より、ストレスフリーを目指し開発されている。今、当たり前に使っているパーツの良さを忘れてしまっているかもしれない。WレバーがSTIに変った時、最近であれば、ワイヤー変速がDi2に変った時、これら機材の「進化」は、それぞれの走りのグレードを高めてくれた。さて、次は何を造ってもらうべきなのか考えてみたい。

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「是非ご覧下さい。」

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka