Higashimikawa IM70.3 Race Recap Report

13%の坂を上る、女子2位太田麻衣子選手

 

6/10(土)話題の新規レース「アイアンマン70.3 東三河ジャパン in 渥美半島」が開催された。(主催:アイアンマン70.3 東三河ジャパン in 渥美半島実行委員会)

今年の最も話題となっていた新しいレース、そして、アイアンマン70.3の復活はどのようなレースだったのか。運営、選手の声など、概ね高評価と感じている。

ミドル以上の長距離レースの開催は難しいが、「アイアンマン」の冠をつけて開催出来ていることは更にハードルが高いが、見事に無事終えている。国内トライアスロンを盛り上げる一つとしての役割は大きく、特に「今後」の注目度が高い。

 

■3年ぶりのアイアンマン70.3、新コース渥美半島

国内にアイアンマンシリーズが帰って来た。以前のセントレアも同じ愛知県だが、全く異なる会場となるため、「新規レース」ということになる。コロナ禍以降、既存のレースも開催とその維持は簡単ではない中で、新しいレースが出来たことは嬉しい。様々なハードルを越えて、開催にこぎつけたことは容易に想像できる。

このレースの特徴としては、まずは「アイアンマン」であるということだ。原点でもあり、世界的に最もメジャーなシリーズレースとなる。その中でロングとなるアイアンマンの半分の距離で開催されているのが、この「アイアンマン70.3」で、現在、最もレース数が多く、人気がある。そんなブランド価値の高いレースなのだ。

また、距離が重要なポイントとなる。ショートまでは誰でも完走は出来るだろう。ロングは、概ね1年近く徹底したトレーニングとそれまでの十分な経験が必要となる。このアイアンマン70.3を含め、ミドルは「挑戦」という意識を高く持ち、真剣にトレーニングに取組む必要がある距離と言えるだろう。

そして、コースレイアウトも選手の要望は強い。特にバイクコースだ。昨今「見せるレース」として、観戦、応援なども考慮した「周回コース」も少なくない。もちろんその良さもある。今回インタービューした選手の中にも「周回コースは選ばない」という選手もいた。やはりレースに出る「選手目線」において楽しめるバイクコースに対して期待は大きい。

そんな理由からトライアスロンを真剣に楽しむ目標としては、最も有意義で適したレースと言えるのだ。今回1000名に満たない参加人数だったことが不思議に感じていたが、今後のブラッシュアップ、そして「発展」を考えると期待しかない。

スイムスタートは自己申告の泳力によるローリングスタート
ボランティアに守られたバイクコース
エイドステーションは楽しみたい、特に名産は嬉しい

■Race Operation

スイムのスタートはバトルを避け、苦手な選手でも安心度の高いローリングとなっている。そして、コースレイアウトに特徴があった。1.9kmを550mで一度上陸するのだが「安心感」が高い。スイムを得意とする選手は続けて泳ぐ方が良いと思うが、最初の550mが「ウォーミングアップ」となるのだ。もし体調が悪ければそこで終えることも出来るだろう。完走率は高いが、選手層は幅広い。全選手が余裕を持ってやれているわけではなく、安全面を考慮した設定と言えるだろう。

バイクは、とにかく特長的で最大のセールスポイントの「ワンループ」で、選手を楽しませるコースだったが、警備員、ボランティアがびっしりと沿道に立っている光景には大変驚かされた。やはり、最も安全性が問われるバイクコースだけに「安全運営」の象徴とも思えた。特にピンク色のTシャツを着たボランティアの方々、何メートル置きに立っているのだろうか。そんな状況の中を走っていれば選手側の安全意識も更に高まったはずだ。

ランのエイドは11箇所あった。2km毎に設置されているため、これも安心感が高い。4番目と8番目には地元の名産「メロン」が用意されていることに選手たちも喜んでいた。エイドに到着すると真っ先にメロンを頬張る、そんな光景だ。

そして、 沿道からの熱い声援、応援が凄かった。本当に多くのボランティアや住民の方々が関わっていることに驚かされた。さすが「トライアスロン県」の愛知であることを再認識することになった。

 

50km地点は最大の難所であり、名所となる

■Course

スイムは、メイン会場となる三河湾に面したの白谷海浜公園からスタートなる。砂浜ではなく、細かい「玉砂利」状態で、選手を見ていると痛そうには見えないが、砂浜のようなダッシュはなく、下を見ながらスタートしている。スタート方式は10名づつ10秒間隔のローリングで、スタート後一度上陸する変則コース。エイドはスタート、中間、フィニッシュに3箇所設置されている。

バイクは、ダイナミックなワンループコースで、ほぼフラットとなる。渥美半島中央には山間部もあるため、スタート後反対側の国道42号線に向かう途中、上りも出てくる。ワンループの飽きないコースだが、最も風光明媚となるのは渥美半島の先端周辺となる。50km地点には最大13%の坂が待っているが、最もキツいところは150mくらいとなる。道幅が狭く、接触を避けるため、あまり蛇行することができないことはキツい。エイドは、スタートを含め5箇所となり、20km強に1箇所の割合で設置されている。

ランコースもほぼフラットで、途中8km地点の三河港大橋で少し上りとなる。珍しい「ワンウェイ」のコースは、折り返しの対面などなく、ひたすらフィニッシュを目指すランとなる。エイドでは地元名産のメロンを楽しみながらボランティアの方々と会話を楽しむ和やかな雰囲気が良い。エイドは、スタートを含め11箇所となり、2kmに1箇所の割合で設置されている。

 

心配された雨は降らず、前日、当日は、天候に恵まれた

■Weather

レースに大きく影響する天候だったが、恵まれた。概ね「曇り」で、朝も時折陽射しが入り、青空がのぞくこともあり「今日は大丈夫だろう」と思える瞬間だった。そして、次に気になるのは、気温、湿度と風だった。気温、湿度はこの時期としては想定内だったと思われる。当日6時の気象データは、気温20.0℃、水温20℃、ウェットスイムにもちょうど良かった。

そして、風がなかったのだ。普段スイム会場となる白谷海浜公園は波が立ちやすいようだが、当日は「超ベタナギ」だった。現地入りした木曜日もほぼ鏡面となっていたが、前日は荒れ、うねりが強かったため心配されたが、経験の浅い選手も安心して泳げたのではないだろうか。バイク中も概ね風速1.5~2m程度で、走りに影響はなかった。選手からも口々に「風がなくて良かった」と聞こえてきた。多くの選手がランに入った11時頃から風が少し出てきたが、むしろランにはちょうど良かった。

つまりは、この時期としてのグッドコンディションだったと言えるだろう。

 

2位に5分差をつけた男子優勝の大倉 拓地選手

■Race Result

《参加選手》

総エントリー数 / 最終出走者数 761/674名

完走者数 / 率 635名 / 94.2%

《男子》

1位 大倉 拓地(#34) 大阪府    4:12:16(S 27:16 / B 2:19:47 / R 1:20:44)
2位 前田 能宜(#13) 愛知県    4:17:02(S 25:35 / B 2:21:35 / R 1:24:57)
3位 藤井 雅之(#101) 岐阜県    4:17:38(S 29:59 / B 2:21:26 / R 1:21:21)

《女子》

1位 松井 恵里奈(#701) 愛知県    4:52:03(S 30:09 / B 2:38:18 / R 1:38:10)
2位 太田 麻衣子(#720)東京都    4:52:55(S 26:51 / B 2:39:31 / R 1:40:11)
3位 前田 乙乃(#696)愛知県   4:54:12(S 26:58 / B 2:39:35 / R 1:42:44)

 

Congratulations

IRONMANへの期待

アイアンマン70.3のフィニッシュゲートと花道は特別だ。国内のレースだが、世界シリーズでもあることをあらためて感じる。

さて、当初ロングのアイアンマンが予定されていただけにその期待は高まっている。今回のようにバイクコースなどへのこだわりを持ちながらコース設定することは簡単ではないだろう。バイクコースを60km3周回など検討されていたようだが、どこにポイントを置くのか、距離とコース設定への課題は何なのか。距離はすなわち「時間」を示し、運営上極めて大きな課題が立ちはだかる。

取材中「今年はロングのために下見に来た」という選手もいた。やはり待望のロングなのか、今回のコースが素晴らしく高評価だけに、幅広い選手層が参加できるミドルなのか。ロングの場合、8~10ヶ月は準備期間はかかるだろう。

いずれにしてもすでに2024年に向けてスタートしていることになる。

 

 

◾️Triathlon GERONIMO

その他:Higashimikawa 2023 http://triathlon-geronimo.com/?p=45598

Facebook:https://www.facebook.com/TriathlonGERONIMO/

Instagram:https://www.instagram.com/triathlon_geronimo/

 

 

「期待しかない。」
BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka