トライアスロンの原点、IRONMAN “KONA” WORLD CHAMPIONSHIP が帰って来る。
44回目のKONAのアイアンマンがいよいよ開催となる。1978年オアフ島にて15名で開催され、4回目からハワイ島に舞台を移し、1982年は2回開催、その後、毎年10月にアイアンマンのメインイベントとして開催されている。2018年で40周年となり、2020年、2021年はコロナ禍により中止、今年の5月に2021年大会として、初のハワイ以外となる米国ユタ州セントジョージで世界選手権が開催された。そして、2018年に初の7時間台を記録し、その後、「SUB8」が優勝基準となるスピードアイアンマンとなっている。
今年の話題の一つとなるのが、初の「二日間開催」で行われるということなのだ。今まで土曜日に行われていた大会を、木曜日と土曜日に分けることで、クウォリファイを持った多くの選手が出場できるようになっている。木曜日と土曜日にそれぞれ2500名づつ半々に分け、女子は木曜日に含まれている。ちなみに2023年もすでに二日間開催が決定している。
もちろん、レース内容も面白くなる。後述の通りだが、絶対王者のブルンメンフェルト同一年の2回制覇、バドマンと並ぶ6勝目がかかったリフなど、プロ中のプロが見せるパーフェクトな走りに期待が高まる。
そして、5000台を超える選手のバイクからトレンド、サインを確認することはできるのだろうか。
いずれにしても聖地KONAでのレースが再開となり何よりと言えるだろう。
≪世界最速のアイアンマンを決める日≫
プロ選手のスタートリストが発表された。プロのクウォリファイは各ローカルアイアンマンでのプロ枠獲得がほとんどとなる他、KONAの優勝者は5年間のクウォリファイが付与、2位、3位の選手は、翌年のKONAの出場権を得ることができる。また、ワイルドカードとして、選ばれる選手もいる。5月のセントジョージでは、ブルンメンフェルト、ダフィーの2選手は、東京五輪の優勝者として得ていた。今回は、ドイツのドライツがワイルドカードで出場となっているが、その理由はセントジョージでのオフィシャルとの事故により与えられているなど、救済措置としても使われている。
また、様々な理由でスタートラインに立てない選手もいる。8月のバイク事故で優勝候補の一人フロデノは欠場となったが、セントジョージも怪我で欠場していて連続となるため、極めて残念としか言いようがない。ブルンメンフェルトとの対戦こそ、今回の超目玉だったからだ。今やブルンメンフェルトの走りを疑う人はいないだろう。今回も優勝は99.9%の予想がイメージされるが、スイム、バイク、ランの全てを高次元にバランス良く、パーフェクトな走りをするフロデノはアイアンマン史上最高の選手でもある。北京五輪のチャンプと東京五輪のチャンプの世代を超えた名勝負が期待されていた。
アリスターブラウンリーも疲労骨折で欠場を表明、つい先日だが、セントジョージ女子2位のカットは交通事故で大怪我を負っている。また、デロンは、財政面を理由に欠場となっている。
そして、勝負の行方は。
やはりやってみないと分からないのだが、女子はリフが最有力候補となる。5月のセントジョージで5勝目を上げ、8月のコリンズカップでもコースレコードで優勝するなど絶好調と言えるだろう。そして、6回目の優勝となればバドマンと並ぶ最多タイとなるため、極めて注目度が高い。セントジョージでは、怒りをパワーに変えて見事な優勝となったが、今度はアイアンマン6勝がかかっている。オリンピックのタイトルを獲っていないリフはアイアンマンでその実力を発揮し、不動の地位を築いた選手だ。
一方、男子は前述の通り、「大本命」となるのがブルンメンフェルトだ。昨年の東京五輪の優勝後、一年経たずにアイアンマンも頂点を極めてしまった。まさに二刀流のノルウェー選手で、28歳という若さが魅力。6月のSUB7プロジェクトでは、アイアンマンディスタンスを6:44:25という驚異的なタイムを出し成功している。バイクはドラフティングであることなど、通常レースとの比較はできないが、「今」最も話題を振りまく、大注目の選手なのだ。オリンピアンでありながら、スイムは抑え、バイクもトップには出ない。そして、ランではショートのような勢いでチェイスし、先行を抜き去る。バイクのビハインド10分は「射程距離」ということなのだ。ブルンメンフェルトに勝つためにはバイクのアドバンテージが最低でも10分以上ほしい。
女子は45名、男子は51名の選手がKONAで決戦の時を迎えようとしている。
≪「Triathlon GERONIMO」の使命となるバイクチェック≫
今回の対象バイクは5100台を超える。5月のセントジョージで過去最高の2914台を記録したが、今回は遥かに多いバイクが集まる。何が見えるのか、いつもと違う傾向が出るのだろうか。昨今、KONAでも上位ブランドへの集中化が高まり、8割近くがTOP10ブランドとなっている。
もちろん、台数だけではなく、その中身が重要だ。国内での「ディスクブレーキ」比率は20~30%程度だが、世界ではもっと進んでいるのだろうか。同時に、フルモデルチェンジとなったディスクブレーキのトライアスロンバイクは、ブルンメンフェルトの使用するカデックスで出揃ったと言える。
2016年KONAでローンチとなったサーヴェロP5Xから始まり、2018年KONAのスペシャライズドSHIV、2019年のサーヴェロP5、2020年のスコットPLASMA6とキャニオンSPEEDMAX、昨年8月のコリンズカップでリフやカリーが使用していたフェルトIA、9月のアイアンマン70.3でカヌートが使用していたトレックSpeedconcept。そして、今年5月セントジョージで電撃デビューとなったカデックスTriとなるが、2020年以降リリースのバイクは、初めてのKONA出場なのだ。KONAのバイクシーンに最新バイクが集結する。
今シーズンも石垣島、セントジョージ、横浜、彩の国、皆生、佐渡とカウントをして来たが、3年ぶりのKONAは原点あり、基準となる大会だけに、毎年、各メーカーを始めとする業界サイドから一般選手まで注目が高い。
待ち遠しい「もう一つのKONA」となる。
【大会情報】
■開催日 2022/10/6(木)& 8(土)ハワイ現地時間
■競技 スイム2.4mile / バイク112mile / ラン26.2mile
※Learn More https://www.ironman.com/im-world-championship-2022
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前回2019年のレポート: http://triathlon-geronimo.com/?p=31936