サーヴェロのコンセプトモデル「S5」がモデルチェンジとなった。
先日終わったばかりの世界最高峰自転車ステージレース、ツールドフランスでも、大活躍の一台と言えるバイクだ。個人総合優勝に輝いたヴィンゲゴー率いるユンボ・ヴィズマが使用していたバイクだ。今年のユンボは強かった。絶対王者と目されていたポガチャルの巻き返しを一切許さなかった。そのため、常にクローズアップされるのはユンボジャージとサーヴェロで、特にS5の特徴的なハンドル周りがその存在感をアピールしていた。
まず、外観上は、R5のモデルチェンジの時もそうだったが、一見大きな変更点を感じないだろう。一般的なモデルチェンジでは、丸型が角型に変わるよう、一目見て違いを感じると思う。新鮮味としては、賛否分かれるかもしれないが、そう言うことではない。サーヴェロの「完成度」の高さが、このようなモデルチェンジとなっている。つまり前作に対する究極のブラッシュアップと言えるだろう。
やはり「S」はエアロダイナミクスの徹底が大きい。12年ほど前の「エアロロード」ブームより早くにエアロダイナミクスの高い夢のロードに着手していたパイオニアとしては譲れない。更に言えば「TTバイク」から始まったメーカーだけにトライアスロン、TT、エアロロードは、まさにサーヴェロそのものであり、真骨頂とも言える。
フレーム形状の変更点は、ヘッド周り、シート周りのエアロ形状ボリュームアップとBB周りのボリュームアップとなる。ヘッド周りは元々フレームサイズにより異なるため、シート周りのエアロ形状が最も判別し易い形状だろう。このあたりは、トライアスロンバイクのP5よりフィードバックされている。また、フロントフォークがボリュームアップとなっている。横からはより幅広に、前からはより薄く仕上げられている。同様にシートステーも薄く、エアロダイナミクスを高めている。そして、28mmタイヤ対応となり、R5などとの併用時にも対応可能となったわけだ。
フィット性は、ハンドル周りがシビアにセッティングが可能となり、フィーリングが向上している。また、明確には発表していないようだが、新型デュラエースに合わせたハンドル形状としているようで、マッチング性が高くなっている。そして、シートアングルは、54cm、56cmなど大きいサイズで「前乗り」への対応度が高いシートポスト採用により、トライアスロンでの使用適正度が高まっている。
剛性は、前作や他社比較などは発表になっていない。ただ、ツールドフランスでもS5の使用ステージが増え、より「オールラウンド性」が高まっていることは、僅かでも「トライアスロン」の方向に向いたと言っても良いかもしれない。
今後のトライアスロンシーンにおいては、その使用率は高まって来るだろう。前作と比較し、ロードバイクをトライアスロンで使用する場合の「トライアスロン適正」が高まっていることからだ。エアロダイナミクス、シートアングル、快適性などが主にその理由となる。それぞれ一点で見れば、より得意とするバイクもあると思うが、総合点が前作より高くなっている。
DHバーは、前作同様に装着可能となっている。
以下、メーカーDATAとなる。
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The New S5
サーヴェロはエアロダイナミクスへのこだわりとスピードの追及を続けています。 2003年に初代エアロロードバイクである“ソロイスト”が誕生して以来、私たちは エアロバイクのあり方を再定義してきました。 新しいS5は、これまでのエアロロードの定義と歴史を引き継ぎ、ライダーをより 速くするという我々の使命を体現しています。
UCIで認められている形状を最大限に生かすために、ボリュームを持たせた フレームセクションと新しいフォーク設計が採用されています。 新しいフォークはフロントエンド全体をシンプルにし、ホイールとタイヤの クリアランスを拡大することでさらに速いバイクを実現することが出来ました。 さらにリアホイールとタイヤのクリアランスも広げ、より速く走るために「Reserve」と共同開発した新しいホイールセットを採用しています。
バイク全体として空気抵抗を減らし表面積を拡大しました。そして、表面積を拡大しながらも、重量を減らすことに成功しました。
よりシンプルに、より速く、そしてより快適に。
Simplify
速さを追求すればするほど、誰もが異なるポジションを試したくなります。前モデルのS5では、ステムを長くしたり、よりアグレッシブなフィッティングに変更したりと、さまざまな変更が行われました。新しいS5では、新しいステムを取り付けるだけで、簡単にポジション変更することができます。
必要なスペーサーはすべて付属していますし、ボルトの長さも従来の スタック別仕様から1種類になりました。 ハンドルバーの取り付けもよりシンプルになり、0~5度の範囲でフィット感 を調整することができます。さらに、ヘッドパーツ周辺の複雑な構造を シンプルにすることで、53gの軽量化も実現しました。
Refine
ハンドルバーの快適性を向上させ、バーからレバーフードへの移行がフラットになるよう形状を微調整しました。従来のS5ハンドルバーにあったシムの代わりに、2本のボルトで0~5度の範囲で傾きを調整できるインターフェイスを採用しました。
あらゆるレベルのバイクフィッターが、オフセット量の少ないシートポストへ移行して います。新しいS5では54/56サイズで15mmオフセットのポストが標準装備されて います(これまでのS5では25mmオフセット)。 これまでのシートポストとは互換性があり、よりアグレッシブななポ ジションを求める人のために、オフセット25mmのポストの在庫を確保しています。
Enhance
UCIのエアロダイナミクスデザインに関する新しいレギュレーションにより、エアロプロファイルを深くする 余地が増え、すでに市場で最速のエアロバイクであるS5の性能をもう少し引き出すことができました。 ヘッドチューブとBBエリアはよりボリュームが増え、シートチューブ後端はよりアグレッシブなシェイプになっています。新型S5は電動変速機専用のため、ドロップアウトの形状を整え、バイク全体をブラッシュアップすることが出来ました。
Tire Clearance
ワイドなホイールとタイヤは、空力的に速く、そして快適です。 S5は34mm(実測値)までのタイヤクリアランスを確保し、28mmタイヤを履いた ワイドな新型ホイールReserveを中心に最適化されています。 タービュレント・エアロ・プロトコルのもとで開発されたこのホイールは、5ワット強 の省エネを実現しています。
Turbulent What?
タービュランスエアロの真骨頂は、その名の通り、タービュランス(乱流)における ホイールの挙動にあります。つまり、風が吹いているときの挙動です。リザーブとサーヴェロは、横風の角度でも劇的に失速しないリム形状を開発しました。これにより安定し、より快適なライディングを楽しむことができます。
Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka