ピナレロの2020年モデルが国内公式発表となった。
話題は、やはり5月にリリースされたDOGAMA F12となる。F8、F10とチームスカイによりその活躍は周知の通りだ。その後継の最新モデルがF12となる。チームスカイからイネオスへの移行があり、1ヶ月前倒しで発表されたF12だったが、この度現車の確認とともに国内発表となった。
今回の2020年モデルでは、「DOGMA F12」「DOGMA F12 DISK」「DOGMA FS」「PRINCE FX DISK」「RAZHA DISK」が新型としてラインナップされている。また、昨年の発表以降にラインナップされたグラベルロードの「GREVIL+」「GREVIL」、シクロクロスの「CROSSISTA+」「CROSSISTA」、そして、アイアンマン世界最速モデルの「BOLIDE TR+」「BOLIDE TR」となる。その他のモデルは2019年から継続としている。
PiNARELLO:言わずと知れたロード界No.1ブランド。ロード界最高峰のツールドフランスでは、チームイネオス(チームスカイ)による活躍が記憶に新しい。昨年もゲラント・トーマス、クリストファー・フルームの活躍により、チームスカイをサポートするバイクとして輝いた。
トライアスロン:昨年のアイアンマンワールドチャンピオンシップにおいて、ニューージーランドのキャメロン・ワーフにより、4時間9分という驚異的なコースレコードを出している。5年は破られない記録となるだろう。また、国内の人気大会、宮古島でもロードブランドながら10位に入っている。
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ピナレロ本社 ルチアーノ氏 来日
「みなさん、こんにちは。2020年モデルプレゼンテーションにご来場頂きありがとうございます。
2017年の1月にこの一つ前のモデルF10を最高のバイクとして発表しました。そして、同時に、次のモデルにどうアップグレードしてくのか、とても難しい課題としていました。
ご存知のようにF10は、ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアなどのグランツールで勝利を重ねています。これらのバイクに対してどのような特色を新たに加えることによって、更に高性能なバイクに仕上げていくかは、難しい課題ではありましたが、その課題を突き詰めていくことによって、今日ご紹介するF12が出来上がっています。
また、バイク以外に新たなカテゴリーとして、ウエアをリニューアルしています。2019年のラインナップから、価格帯、モデルタイプ、カラーなどのバリエーションを見直し、より良いものを作っています。これらのアイテムは、DOTOUT製でリリースしています。
そして、ピナレロのオリジナルパーツブランドのモストですが、ハンドルバー、ステム、サドル、その他アクセサリーを展開しています。サドルですが、選手のフィードバックを得ながら、2年の歳月をかけて開発しました。このサドルの仕上がりがとても良く、完成車ほぼすべてに装備されています。あと、ハンドルバーのタロンですが、ケーブルがフル内臓できるようにアップグレード、これはまさしくF12にマッチングするように開発されました。その他、ライト、バーテープ、コンパクトツールなども是非チェックして頂きたいと思います。
Thank you very much. 」
以下、メーカーニュースとなる。
2019年5月1日、ピナレロ社は、チームスカイがチームイネオスへ移行するのと同時に、新しいフラッグシップモデル「DOGMA F12」を発表いたしました。
DOGMA F12は、世界最高との呼び声が高いDOGMA F10を凌ぎ、再びグランツールを制覇するバイクとなるべく開発、これまで蓄積された空気力学および構造力学的な知識や経験を生かし、「F」の称号を与えるにふさわしいバイクとなるようデザインされました。
開発にあたって特に留意された点は、エアロダイナミクス特性の向上、フレーム構造の軽量化と剛性アップ、最新コンポーネントとの互換性、ピナレロフィーリングの維持、これらを開発コンセプトとしてDOGMA F12は開発を進められました。
Team INEOS
エアロダイナミクス
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外部に露出している各種ケーブルの内装化を進め、ケーブルハウジングが受ける空気抵抗の85%を軽減。新しくDOGMA F12のために開発されたMOST Talon Ultraインテグレーテッドハンドルバーは、従来のTalon Aeroと比較して空気抵抗を5%軽減しています。そしてTalon Ultraと組み合わせるスプリット構造のエアロヘッドセットも新たにデザインされました。 |
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フロントフォークも空力学的に非常に重要な部分であり、またピナレロフィーリングを生み出す部分でもあるので、非常に注意深く見直しが検討されました。
新しいF12フロントフォークは、「ONDA」の形状を維持したまま空気抵抗を軽減するため側面が拡大されています。そして断面形状も見直された結果、F10とF12のフロントフォークをCFD解析で比較した結果、F12フロントフォークは15.7%の空気抵抗軽減に成功しました。 |
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ピナレロフレームの美学は常に考慮されるべき側面ですが、あらゆるヴィジュアル的な改善は明らかな空力的優位性によって検証されなければなりません。 ダウンチューブ、ヘッドチューブ、ボトムブラケットなど、あらゆる箇所で空気抵抗を削減する試みを取り入れバイク単体で7.3%の空気抵抗を削減することに成功し、DOGMA F12とDOGMA F10で40km/hの同条件での走行を比較すると、DOGMA F12の方がパワーを8ワットセーブして走行できることが証明されました。 |
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構造デザイン チューブの断面と形状は、剛性と軽量性を確保するために非常に重要な要素です。 同時に、空気力学にも大きな影響を与えます。 それらの性能をさらに改善するため「アシンメトリック」デザインの可能性を追求しました。 特にボトムブラケット~チェーンステイのエリアにおいて、パワー伝達効率の改善は、F10と比較して剛性が10%向上したことを示しました。 |
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ブレーキ仕様の違いによる構造変化も大きな検討課題でした。DOGMA F12はディスクブレーキ、リムブレーキ、それぞれのシステムに適した構造を同時に開発しました。
Dogma F12ディスクのフォークデザインは、FEM解析で得た36パターン以上のサンプルで試験した結果、重量を増やさず、空力的ペナルティを伴わずに、ねじれを減らす最良のフォーク形状を見つました。この新しいフォークデザインは、以前のものと比較して40%以上もねじれ効果を減らすことを可能にしました。 |
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リムブレーキ仕様では、従来より効果的で強力なブレーキシステムとして「ダイレクトマウント」を採用、ブレーキ台座を可能な限りモノステイ/フォークヘッドに近づけることにより、フレーム剛性を高め、タイヤクリアランスも十分に確保することができました。
従来のピボットシステムと比較して、ダイレクトマウントバージョンでは12.5%(ドライ状態)から25%(ウェット状態)もの制動力が向上しています。 |
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ハンドルバーも空力特性の向上と同時に、8.77%の剛性アップ、10%の軽量化を達成しています。 | |
汎用性(互換性) あらゆるタイプのライダーに適合させるには、汎用性が非常に重要な要素となります。最新コンポーネントへの対応はもちろん、従来のトラディショナルなコンポーネントへの対応も必要となります。DOGMA F12のE-Linkシステムは、シマノ Di2、SRAM AXS、カンパニョーロ EPS、メカニカル変速システムのすべてに対応します。 また、Talon Ultraとの組み合わせが最良ですが、ポジションなどン問題で従来のハンドルステムを使用する場合に備えて、トラディショナルステム用のステムアダプターも開発しました。 |
カラーも多彩となり、より選べるドグマとなっている。また、ミドルレンジ以下もディスクモデルなど、充実したラインナップとなっている。プリンス系は、2020年モデルも人気の中心となるだろう。
PRINCE FX DISK
PRINCE
GAN
RAZHA
PRIMA
CROSSISTA
BOLIDE TR
昨年のアイアンマンで最速となったバイクがこれだ。ピナレロは以前から、「TT」と「トライアスロン」を代用ではなく、分けて開発している。徹底したエアロダイナミクスの追求から生まれたこのバイクは、今年のKONAでも注目の一台と言える。価格はリーズナブルとは言えないが、仕上がりは見合ったものだ。また、ピナレロの提唱する「デザイン性」においては、イタリアンを象徴するものと言えるだろう。
Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka