今年のメインイベント、アイアンマンが終わった。
大会は、強風の中、2006年以来のバイクの強いドイツ選手の優勝と、女子は驚異的なランの大逆転に沸いた。機材は、より専門的になる中、「快適性」や「メインテナンス性」を考慮したモデルが動き始めた兆しがあった。チームは、無事完走することが出来た。
【機材】
まず、総合1位のウィナーズバイクとなったのは、スコットPlasmaTeamIssue、女子1位は、フェルトIAだった。どちらもトライアスロンバイクに注力しているブランドである。スコットは、DHバーを生み出したメーカー。ハワイでもメジャーなトップブランドで、今年の使用率は第10位の66台だった。そして、2015年モデルチェンジの少ない中、新しいプラズマが登場したのだ。従来のプラズマに「プラスフューエル、プラスストレージ」という造りでダイナミックなデザインとなっている。初期型SHIVを彷彿させるデザインだが、そこは後発、フロントのカウリング的なものは、エアロドリンクシステムとなっているところが、独自のアイデアとなる。これは、プロファイルとコラボで実現したものだ。一方、フェルトは、129台でバイク使用率第4位に入る上位常連ブランド。リーズナブルなトライアスロンバイクをリリースするなどトライアスロン界においてなくてはならないブランドだ。そのフェルトが昨年リリースした大物が IA だ。「エアロダイナミクスとストレージ」をテーマにしたモンスターマシンだ。サーベロやトレックを研究して作り上げたものと思われる。随所に各社の良さが見られる。IAは、2年目となり、エイジ選手での使用が一気に増え、「打倒P5」のイメージだった。
最も話題となるバイクの使用率は、やはりサーベロが490台で第1位。続いて、トレック260台、スペシャライズド242台、フェルト129台、キンタナルー76台となっている。そして、シーポがキャノンデールと並んで72台の第7位に躍進となった。
サーベロは、2005年からトップシェアを取り、2008年からは、400台オーバーを記録、今年で7年連続となる。台数も昨年プラス2台の490台は、記録更新となった。昨年、モデルチェンジしたP3も多く使用され、台数に貢献していたが、何と言っても最高峰のP5が多く、完全にサーベロの「顔」となり、「特殊なバイク」から「普通のバイク」となった。
トレック&スペシャライズド連合軍は、昨年の429台から502台となり、2ブランドだが、サーベロを超えて来たのだ。まだ、大きく図式は変わらないが、「3強時代」と言えるだろう。
そして、今回のテーマ「快適性」「メンテナンス性」などから来る「一般エイジ選手」のためのバイクへの動きとその兆しが見えた。現在は、プロも使用する「フラッグシップモデル」を一般エイジ選手も使用している。各ブランドも最高峰を求め、「究極」のバイクを造り上げているのだ。もちろん素晴らしいことだが、一般エイジ選手にとっては、必ずしも合致するとは言えない。やはり「選択肢」として幅広いラインナップが必要になる。ロードレーサーであれば、レーシーなものからエンデュランスやコンフォートまで、いろいろなバリエーションがある。今すぐは無理かもしれないが、トライアスロンバイクにも「タイプ」が明確に別れ、「ハワイ選手」と「初ロングの選手」がそれぞれ選べるようになると良いのだ。ロードに比べ、用途人口の少ない「トライアスロン専用バイク」はまだまだ時間がかかることだが、現在その方向性の「要素」を含め、メーカーの新たな発想で出来上がって来ているものもある。代表的なバイクとして、キャノンデールNewスライスの「快適性と軽量性」、サーベロNewP2の「メンテナンス性」、シーポNewベノムの「快適性」などがそれに当たる。
また、エキスポに見るメーカーの「勢い」という点では、例年通りだったが、残念ながらトレック、スペシャライズドのブースは出ていなかった。サーベロやキャノンデールは定位置で大きく構え、ホイールメーカー、パーツメーカーなども出展している。「トライアスロンのサイクルショー」として、新製品の情報がキャッチ出来る。各メーカーの詳細は追ってアップ予定。
終わりはない、常に挑戦し続けるスポーツ。それが、アイアンマンだ。
石田選手レポート: http://triathlon-geronimo.com/?p=240
「Road to KONA 2015」 チーム・Yとして2015年アイアンマン世界選手権出場に向けスタートする。
まだまだ、これからです。