総括

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アイアンマンが終わった。 

機材1.jpg【機材】話題は次世代トライアスロンバイクが「新世代」となったことだ。スコットPLASMA PREMIUM、スペシャライズドSHIV、ジャイアントTRINITY ADVANCED SL、トレックSPEED CONCEPTの4モデルに続き、フェルト、アルゴン18、キャノンデール、BMC、ブルー、アバンティ、そしてシーポ。「次世代」の当初の定義ではないものもあるが、ヘッド周りを中心としたエアロダイナミクスがポイントで、結果、定義であるDHバーを含めたセッティングが必要となるという意味では、定義に属すると考える。「より戦闘的なバイク」になったということだ。その反面、488台で使用率1位のサーベロなどやや出遅れ感はあるものの圧倒的な人気は衰えない。「安定感と安心感」があるからだろう。バイクはKINGサーベロ、トレック、フェルト、スペシャライズド、スコットの順で使用されている。サーベロは不動の地位ながら、2位のトレックは大幅に台数を伸ばしている。トレックのトライアスロン戦略が確実に進んでいる。また目玉はコナで世界同時発表となったスペシャライズド新型SHIV、グランツールでも使用されたキャノンデールSLICE RSは今回が初お披露目。BMCTM01も話題のバイクでブースも大きく展開していた。アルゴン18がフルモデルチェンジE118が発表されハワイでも定番のトライアスロンブランドとして定着して来た。

コンポーネントはもちろんシマノがトップ、スラムが増え、カンパが減っている。ホイールは変わらずZIPPがトップシェア、ゼンティスが減っている。サドルはフィジークがダントツ、セライタリアが大きく落とし、あのISMが大きく伸ばしている。そしてCobbが倍増し5位に入っている。DHバーは不動のプロファイル、ビジョンが大きく減、3T、ボントレガーは増えている。ボントレガーはトレックの使用台数アップとともに増えていると思われる。ヘルメットはルイガノ、ジロが強かったが、ルディプロジェクトが大きく伸ばし、3強となった。

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【大会】
プロレースは確実にハイレベルになった。プロのエントリー制度が厳しくなり、本戦ハワイに来るまで5~6大会も出ている選手もいた。まぐれではない「本物のプロ」が集まった。そんな中でレースだった。スイムは大きく変わらないが、バイク4時間30分、ラン2時間50分で優勝レベルが8時間10分台に突入した。そして今回は昨年優勝のクリスマコーマックが抜け、誰が勝ってもおかしくないハイレベルな戦いとなった。トップ10のバイクラップ4時間30分以内は7選手、ラン2時間50分以内が4選手だった。そんな中で38歳クレイグアレキサンダーが15年振りコースレコードを更新した。バイクも常に上位120km地点では第2パックで快調に飛ばす。ドラフティングすれすれの絶妙なポジション取り。このバイクでのポジションが勝敗を決めたと言っても良い。その後のランは得意種目。3位スタート、先頭のクリスリエトとは約5分差、全く問題なし。15km地点ではすでにトップ、そのまま2位に5分の差をつけ3回目の優勝を飾った。
一方、女子は5位までがトップ争いになる。結果安定した強さのクリシーが4度目の優勝となった。歴代3位の優勝回数で更なる優勝が期待される。いつものレース展開でスイムはやや遅いが、バイクで徐々に順位を上げ、ランで爆発する。実はレース2週間前に落車、怪我をしている。強い精神力がもたらす結果でもあった。バイクスタート14位、ランスタート6位、ランをトップスタートのジュリーとはなんと20分以上の差があった。ただ前を走る5選手のランは敵ではない。後ろから来ているミリンダが本当のライバルとなる。「ミリンダの息遣いがいつ聞こえてくるか」と語っていたクリシー。15km地点では3位に上がる、ミリンダも5位に上がっている。その後クリシー、ミリンダが優勝を賭け激走が始まる。両者ともにペースが落ちない、我慢のレース。特に追いかけるミリンダの飛ぶような走りは凄かった。その走りはコースレコードを生んだが、クリシーも粘り、ミリンダに次ぐタイムを出し、見事ミリンダの猛追をかわしての優勝となった。
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【チーム・Y】
2002年、2003年、2004年、2005年、2007年、2009年、2010年、2011年、8年、延べ14名の選手が出場した。ベストタイムは2010年大西選手の10:09:21。2011年4名出場は過去最高。今年もチームの代表、日本の代表として戦って来た。
7:00レーススタート!スイムを最初にアップしたのは大西選手、続いて金山選手、石田選手、佐藤選手。そしてバイクスタート。スタート後約3時間、60km地点のカワイハエで応援。9:59体調異変の大西選手をかわし、金山選手がトップ通過。その後、折り返し地点のハビィでは再び大西選手がトップに立つ。そのままチームトップをキープしてバイクゴール。ランスタートは13:30スタートがサブ10のタイムリミットだがまだ来ない。予定を約20分遅れて大西選手がランスタート。続いて3選手もランスタート。スタート後500m地点で応援。アリィドライブをケアウホウ方面に走り折り返す。再び応援ポイントで約15km地点となる。15km地点の通過はトップ金山選手、7分後石田選手、さらに10分遅れて大西選手と続く。ベテラン大西選手が不調だ。佐藤選手は大幅に遅れている。ラン後半はもっともハワイらしいコースでハイウェイをバイクコースと同じ方向に走りエナジーラボで折り返す。応援ポイントをラスト10km地点に移動。最初に姿を見せたのが石田選手だった。確実な足取りで走っている。続いて金山選手、全力で走っている。そして、17:30大西選手が来た、辛そうだ。18:00往路の佐藤選手はかなり疲れきっている。しかし必ず完走はする。
単調なコース、コナの夕陽が美しい。多くの選手がただただゴールを目指し、走っている。
石田選手、金山選手、大西選手、佐藤選手、4選手全員が無事ゴールした。
こんなに嬉しいことはない。
そしてチーム・Yとして2012年アイアンマン世界選手権出場に向けスタートする。
「Road to KONA 2012」
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BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka