PEARL iZUMi 2024 F/W

パールイズミ2024 FALL / WINTERが発表となった。

今回は、秋冬のアイテムだけにトライアスロンに直結してはいないが、オフトレあってのトライアスロンとなるため、より快適なラインナップには注目したい。

ヒーター機能を持たせたグローブなど「快適性」の極みと言えるだろう。また、カジュアルラインなど一見トライアスリートから離れてしまうようだが、トレーニング時間の捻出において通勤ライドや隙間ライドなどに活用される。

「快適性」を高めることはよりトレーニングへの集中力を高めるばかりでなく、本来の基本である楽しさも演出してくれる。今一度、「秋冬アイテム」に注目してほしい。そんな意味で、快適なモノを選べているだろうか。

パールイズミは、創業70余年となる日本の匠だ。一般サイクリストから全日本ナショナルチームまで、様々な用途に対応できる製品をリリースしている。やはり国内においては「基本形」とも言えるサイクルウェアブランドと言える。用途、体型、気温、そしてトレンドから、分かりやすく提案している。また、「適正価格」があってのクウォリティとして、そのバランスに重きを置いているメーカーでもある。そして、「職人」とも言えるパターンナーを自社スタッフに持つ専門性の高さこそが、パールイズミの強さでもあるのだろう。

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今回のFALL / WINTERのテーマは、「よりシンプルに、よりシャープに – サイクリストの感性に調和するウェア。」となっている。

メーカーリリースのトピックスは以下の3点。

 

[TOPIC 1]

ウィンドブレーク スウィッシュ ジャケット(レースフィット)
イグナイト ウィンター ジャージ(レース&ベーシックフィット)
プリントジャージ(ベーシックフィット)

よりシンプルに。より着やすく。 シンプルなデザインを中心にシャープなプリント柄まで。メンズ / レディースのラインナップがリニューアル。

「シンプルな デザインで 着やすいラインナップ。プレーンなデザインのジャージや、プリントデザインもシンプルになって都会的な印象のニューカラーも追加。選びやすいラインナップになりました。」

メインとなるジャケット&ジャージ。秋冬モデルに求める重要なポイントは、保温性は当然ながらフィット性を含めた「動きやすさ」との両立と言えるだろう。それこそが「着心地」と感じ、軽さのイメージにも繋がってくるため、素材選びとカッティングのパターンが全てと言っても良い。

今回の代表的なニューアイテムをいくつか。ウィンドブレークスウィッシュジャケットは5℃対応のアクティブなモデルで、実走派に最適の一枚。フィットタイプはレースで細身となり、防風透湿素材「ウィンドブレーク」を採用。保温性とムレにくい定番アイテムを更に背面の防風素材を調整し、通気性も向上させている。裏起毛は肌触りが良く、ストレッチ性にも優れているため、抜群の着心地となっている。

イグナイト ウィンター ジャージは、同デザインでレースとベーシックの2フィットタイプがラインナップ。15℃対応のモデルで、2ウェイストレッチ素材を駆使し、フィット性を高めている。また、汗冷えを抑える吸汗速乾性に優れた素材は、実走派には必須条件。バックポケットは10cmのファスナー付きが3ポケットで使いやすい。そして、ご覧の通りの発色の美しい仕上がりとなっている。

プリントジャージは、人気の定番ライン。ベーシックフィットのみとなり幅広いユーザーに対応している。例年デザインで注目となるシリーズで15℃対応となる。優れた吸汗速乾性や着心地の良い裏起毛、フィット感の高さ、そして保温力なども十分。「RIDE OUT」ロゴの入ったタイツもラインナップされ、上下のコーディネートも可能となっている。

 

[TOPIC 2]

ヒーターグローブ

高い保温性と操作性で支持される人気の定番グローブが一新。究極に暖かいヒーターグローブも新たにラインナップ。

「優れた保温力と高い操作性で冬のサイクリストに支持される人気のグローブが一新。ヒーターによって究極の温かさをもたらすヒーターグローブも登場してより魅力的なアイテムが揃いました。」

パールイズミと言えば、パンツのパッドなど機能面の定評が高さは周知の通りだが、グローブなどの作り込みも余念がなく、その操作性は高い。立体構造とスリムなデザインがよりリアルなフィーリングを産み、安全な操作性に繋がっている。

そして、今回の大きなトピックスとしてヒーターグローブの復活だった。これは数年前までラインナップされていたものだが、大きくアップデートされて再登場となっている。温かい素材を使うという意味でのヒーターではなく「電気的」なシステムにより保温するというものだ。

特に「プレヒートBOOST」により、10秒で発熱を始め、55~60℃で一気に温めてくれる。その後、5分経過すると35~40℃の中温に切り替わるようになっている。また、気になる使用時間だが、中温で5時間半程度、25~30℃の低温では約12時間は申し分ないだろう。

 

[TOPIC 3]

マウンテン ライト パーカー

よりカジュアルテイストの強いアイテムが登場してシティライドラインナップが充実。自転車専用設計の機能性も備えて、街乗りがさらに楽しくなる。

「カジュアルな雰囲気に溢れるトップス、ボトムスの新アイテムが登場。自転車用の機能はそのままに、シティライドはもちろん、自転車を降りてもより街に馴染みやすいテイストとカラーが魅力のラインナップです。」

トライアスロンを始め、競技からは対局のアイテムと思われがちだが「ON,OFF」を切り替え過ぎず、普段から「自転車のある生活」を楽しむためのラインナップだ。トライアスリートはインドアがメインとなる中、実走の機会は増やしたい。軽い気持ちで走れる通勤などもその一つであり、インドアでの最大のデメリット「実走感の無さ」を少しでも払拭したい。そのために楽しく乗れるお洒落なアイテムも悪くない。

今回のカジュアルラインの中でやはり注目となったのは、このパーカーでイチオシとなった。サイクルとしての機能面、カジュアルとしてのデザイン性が大きな軸となるこれらのアイテムだが、印象としては、サイクルを忘れてしまう「風合い」を持っている。質感もタウンユースでも遜色ない抜群の仕上がりと言えるだろう。

また、着心地の良さも挙げられる。走行時を考慮したタイト感がアクティブ性とファッション性を両立し、絶妙なバランスとなっている。そして、ポケットが前面に4つとバックポケットで、収納も優れた便利アイテムだ。カラーは2カラーの設定だが、差し色となるこの「オーカー」が圧倒的な存在感を放つ。デニムにも合うマルチアイテムとして、多くのシーンで多用されること間違い無いだろう。

 

[SPECIAL]

BMX ARTIST​ NAO YOSHIDA

15歳でBMXに出会い、オリジナルスピンと表現力を武器に全日本大会でも好成績を収める。その後「シルク・ドゥ・ソレイユ」にてBMXアーティストとしてワールドツアーに参加。NYでの個展や舞台美術の制作に携わるなど、芸術家としての一面を持つ。BMXのタイヤを筆に代え描く技法【RIDRAWING(ライドローイング)】を立ち上げるなど、BMXとARTの可能性を広げるためその活動は多岐にわたる。

Learn More:https://www.naoyoshidabmx.com/

トライアスロンやロードとは真逆に位置しているかもしれないBMX。自転車ということでは一括りにはできない別世界。その妙技と迫力は観戦するだけでも満足度が高い。BMXは横乗りスポーツに近い自転車種目の中ではファッション性の高いスポーツで、パークなどはスケートボードに近いイメージだが、スピードが出るため、更にダイナミックな大技が魅了する。

そんなBMXライダーがアーティストとして表現したものがライドローイングによるデザインだ。唯一無二のデザイン性はBMXの華やかさやスピンのスピード感などを感じさせてくれる。

そして、パールイズミとのコラボレーションについて、YOSHIDA氏は「サイクルウエアにデザインを落とし込んだ時、どうなってしまうのかと思っていましたが、デザインの繋ぎ目や発色など仕上がりに満足しています。」とのことだった。あらためてパールイズミの匠としての対応力の高さを再認識させられた。

BMX:Bicycle Motocrossの略。大きくはレースとフリースタイルの2つに分れ、YOSHIDA氏はフリースタイルのフラットランド(他にストリートとパークがある。)で、文字通り、平な場所でトリックを見せるアクロバティックな競技だ。現在、レースとパークがオリンピック種目となっている。

[ORDER / TRIATHLON]

パールイズミもオーダー対応している。昨今では、「チームウエア」が人気となり、大小様々なチームや団体で製作されている。やはり多くのメンバーで揃えるウエアは圧巻となり、人と人を繋げる大切なアイテムとなって来た。

製作は、生地や縫製、そして、トレンドとなるカットなど、ベースとなるウエアももちろん重要だが、オーダーとなればやはりデザインに関心が集まる。希望するデザインの再現性やサイズでのグレーディングまで、納得のできるウエアができるかどうかだが、その点でもパールイズミのオーダーは申し分ないクウォリティと言えるだろう。

パールイズミのトライアスロンウエアは極めて高いクウォリティに仕上がっている。ほぼスイムウエアに近く、レースフィット以上に身体と密着させるウエアだけに高い「快適性」が求められる。そんなウエアは、「オーダーウエア」としてラインナップされ、トップスの身頃には通気性と速乾性の高いメッシュ素材を採用し、常にドライで涼しい着心地を。そして、袖と脇部分には伸縮性の高い、撥水加工を施したメッシュ素材を採用し、スイムやランでの上半身の動きの快適性を確保している。

Learn More:https://www.pearlizumi.co.jp/ow_news/70853

 

 

「各社からリリースされるトライアスロンウェアの今後の差別化はパッドかもしれない。その点ではパールイズミへの期待は大きい。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka