今年もサーベロがダントツの使用率第1位となった。ただ、台数は昨年をわずか5台ではあるが、割った。しかしながら絶対数は多く、4人に1人がサーベロに乗る計算になる。そして大きく伸ばしているのがスペシャライズドで前年の139%となった。キャノンデールは久しぶりに5位に戻って来た。また確実に伸ばし、来年以降も期待できるのがBMC。2012年からアイアンマンへの本格参入となるため、実績は少ないが、前年の366%は期待も大きい。
【第1位 サーベロ 483台】
5年連続400台オーバーはレジェンドと言える。昨年は、大きな動きがなかったが、ついにデビューとなったP5が注目となっていた。創設者の1人でもあるフィルホワイト自ら乗り込んで来ている。リリース間もないが、プロを含め21台確認できた。100万クラスのモンスターマシンだけに20台以上の確認は、大いに目立っていた。ただ、2011~2012年継続となったP3やP2は少なく、2010年以前のカラーが目立つ。今後は、P3やP2でのDi2モデルを期待したい。サーベロはエアロダイナミクスの頂点、アイアンマンの歴史を塗り替えたブランド、そして、乗り易いジオメトリーなど、2013年も「不動の地位」は変わらないだろう。
【第2位 トレック 211台】
200台を超えた。サーベロには大きく離されているが、本来は200台超えれば、トップクラスだ。(2000年前後は、トレックvsキャノンデールvsケストレルの三つ巴で、それぞれが、200~250台で競っていた。)この5年を見ても、サーベロが強すぎたのか、200台を超えるブランドは無くなってしまった。そんな中でのトレックは大きな前進と言える。残念ながらレースの結果は、10位に終わった。トレックの戦略は、「優勝できる選手」ではなく、「バイクの強い選手」に乗せる傾向がある。昨年は男子クリスリエト、女子ジュリーディベンズなど、「バイクで魅せる」ということにある。走る姿は最高に美しい二人だ。その点では、今年の10位のダークボッケルもバイクラップは2位、悪くなかったのかもしれない。トレックのスピードコンセプトはKVFデザインで成功した。大人しいデザインながらエアロダイナミクスが高い。ただ、アメリカ特有のジオメトリーでトップは短め。人気は高く、志向としては、高額ながらビギナーからのご指名が目立つ一台でもある。
【第3位 スペシャライズド 170台】
トライアスロンへの徹底したプロモーションをかけている。昨年の122台から今年の170台と大きく伸ばしている。これは、新型のSHIVが昨年アイアンマンにおいて世界同時発表など「演出」を含めたプロモーションで注目を浴びていた。この2年連続でスペシャライズドがウィナーズバイクとなったことも、拍車がかかり、人気が出ている。増えている原因が「新型SHIV」による、メーカーとしては最高の結果だったと思われる。ただ、このバイクもアメリカ特有で、特にその傾向が強い。トップチューブが短いが「女性も乗れるトライアスロンバイク」というわけではない。小柄であればサドルは出ず、一番重要となるサドルとDHバーパットの落差が確保できない。小柄な人には、DHバーをローポジションでセットすれば、ある程度「バイオポジション」も出る。
【第4位 フェルト 115台】
使用率は、昨年124台、今年115台、若干落とした。ただ、唯一トップに入る「大衆車」で、2013年のB16は税込で20万を切る設定となっている。サポート選手では、「顔」となる、2010年優勝のミリンダカーフレーが使用し、「アイアンマンバイク」のイメージ付けには成功している。ジオメトリーなど扱い易いバイクではあるが、500mm、480mmは、やや扱いづらくなった「650Cホイール」となっている。また小さいサイズでもヘッド長は長めのため、ハンドル落差はチェックが必要。シートアングルは、カタログ記載は一つだが、フレームに貼ってあるシールには2つ記載されている。「78度」に近いデータを利用する。また、サドルは前寄りになってしまう点もよくチェックしながらポジション出し、組立が必要となる。
【第5位 キャノンデール 86台】
エキスポでのブース展示はなかった。スライスRSなどが1年遅れて、発売が正式決定した中では残念。キャノンデールと言えば、女子4勝のクリシーウェリントンが乗るバイクとして、知られているが、今年は欠場。メーカーとしては、痛い。ただ、店頭では、キャノンデールのトライアスロンバイクは人気がある。真っ先に声のかかるバイクでもある。理由は「カッコいい」からなのだ。キャノンデールらしいすっきりとしたデザインが好評。また近年メーカーの努力で、2008年当時38万だったスライスの完成車が、2013年では、26万となっている。トレックもビギナーに人気としたが、価格面も合わせるとスライスはオススメし易いバイクである。また、やはり注意しなければいけないのが、「アメリカ系」。トップは短く、長めの脚が必要だが、極端な胴長短足でなければ、落差出しに注意しながら、ポジション出しを行える。
【第6位 スコット 85台】
【第7位 QR 78台】
【第8位 アルゴン18 71台】
【第9位 ジャイアント 64台】
【第10位 ケストレル 46台】
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Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka