
今年の佐渡のチャンピオンが決まった。
まずは気になる今年の天候だが、概ね「ラッキーだった」と語る選手が多い。周知の通り暑くなかったのだ。昨今、7月~9月に開催される大会は熱中症などのリスクも高いため、距離の短縮や最悪中止も視野に入れて開催されている。その点では11時で26.7℃(大会発表)という快適さだった。(最高気温は13:30に28.8℃/新潟地方気象台相川にて)佐渡大会としては極めて稀とも言える低温で選手たちは安堵した。
ただ、完璧とはならなかった。風が強かった。そのため、スイムの距離が半分となり、ABそれぞれ2km、1kmで開催された。潮流も沖では強く、「横に流された」などの声を聞いている。距離短縮はやはり残念ではあるのだが、昨年の高波、それによりリタイヤ者続出などを考慮すると、「選手の安全確保」から懸命な判断となった。特に大きな理由として救護体制にあった。風が強いため、海上のライフセーバーの位置が固定できないということ。水中と違って、海面に身体が出ているため、風の影響を大きく受けてしまう。
そして、選手たちは元気だった。距離が短いため上位選手のポジションも違い、レース展開にも影響があった。スイムでの疲労が少ないため、バイクは気持ち良く走れた選手が多かった。ただ、ここでも風による悪い影響はあった。強風にバイクが大きく揺らぎ、「怖かった」という声も少なくなかった。
涼しさに助けられ、風に翻弄された今年の佐渡だが、完走率の高さが「今年は良かった」と考える選手が多いのではないだろうか。完走率は、Aタイプ84.9%、Bタイプ94.8%と、十分だろう。個人的な良し悪しはそれぞれあると思うが、大会全体を見た時に「完走率」は重要な数字となる。特に佐渡は国内最長で制限時間の短い厳しいレースとして高い完走率を出すことは難しいこと。前述の通り、天候も大きく左右する。距離だけでは測れない自然相手の険しいレースだ。
Aタイプ総合優勝は、寺澤光介選手(32)で8時間33分39秒、昨年は2位だったが、ついに佐渡を制した。得意のスイムでトップフィニッシュ、スイム1周目はリレーで参戦していた「松田丈志」を先行する泳ぎで気合いを感じさせた。バイクも唯一人SUB5の爆走で、更に後続を突き放し、ランへ移った。ランでは後続の追い上げもあったが、最終的には5分近い差をつけ初優勝を飾った。
女子優勝は、平柳美月選手(34)で9時間43分53秒、2位に20分近い差をつけ、国内女王の貫禄を見せた。また、男子を含めた総合では10位の快挙となっている。これでAタイプ2勝、Bタイプ3勝の佐渡5連勝となった。その強さは向かうところ敵なしと言ったところだろうか。今回も得意技のバイクで勝負を決めている。無駄な力みのない軽やかな走りを見ていると、バイクは「体感とスキルの高さだ」と感じさせられる。
ロングのウィナーズバイクは、男女ともにサーヴェロが制した。
Bタイプ総合優勝は、古谷純平選手(35)でSUB4が見えた4時間6分10秒、2位に30分以上の大差をつけ圧勝となった。今年のメインレース、10月のアイアンマン世界選手権(目標20位以内)が控えているためBタイプの出場とはなっているが、十分な存在感をアピールする走りとなった。KONAにプロ枠での出場をするだけに、スイム、バイク、ランのバランスの良いパフォーマンスが、全てラップ1位という結果となった。
女子優勝は、竹内香織選手(42)で5時間33分9秒。得意種目のランで追い上げ優勝となっている。24年にはAタイプで2位の実績があったが、今回は見事に優勝となっている。
夏のビッグイベント、佐渡が無事に開催、完走率も高く終えることが出来た。何よりではあるが、真夏開催のレースはこれからも課題が多く、毎回神頼みとなってしまうのだろうか。「長年」「伝統」「続けてきたこと」などを可能な限り守りながらも40余年経った今、「今まで通り」の見直しや新たな挑戦が必要となるのだろう。




■上位者一覧




「選手にはちょうど良かったと思うが、夕方になると寒さも感じる気温だった。」

Triathlon Journalist Nobutaka Otsuka