
米国ハワイ州カイルア・コナ(2026年10月10日)今年のアイアンマン王者が決定した。
総合優勝はデビューウィンとなったヴァンサイ・ルイ(37)が7時間47分27秒でフランス人初制覇となった。
今回のレースは、スイムでの混戦、バイクでのバトルとペナルティ、そしてラン終盤での大逆転と、アイアンマンらしい最後まで目の離せない展開となった。特に注目すべきは、ショートディスタンスを中心に活躍してきたルイが、ロングディスタンスへの本格転向初年度に世界の頂点へ立ったことだ。引退を考えていたシーズンに、トライアスロン界で最も価値あるタイトルの一つを手にした。
ルイのアイアンマン参戦は今大会を含め僅かと言える3回目だった。しかも6月開催のフランクフルトは、異常気象の「熱波」により距離はミドル強だったため、実質2回目の参戦がこのコナとなっていた。優勝賞金125000米ドルとアイアンマンプロシリーズの6000ptを獲得した。
最後までルイを追い詰めたのは、優勝候補のノルウェー勢一人でのグスタフ・イデンだった。イデンは2022年のニースで優勝、昨年は2位の選手。スイムより常にタイム差が一定の展開となり、ランでの猛追はラスト2kmまで分からなかった。ルイが逃げ切るのか、イデンが追いつくのか、バイクのペナルティが大きく影響した結果だった。
今更だが、ルイはやはりオリンピアン(2020東京五輪出場)だった。2024年までWTCSをメインにショートディスタンスで活躍して来た。WTCS横浜大会でもお馴染みの選手で2019年には優勝している。昨年からアイアンマン70.3、T100のミドルディスタンスに出場し、今年からフルのアイアンマン挑戦となっていた。
オリンピアンの挑戦は30代後半からが多いがルイも37歳。アイアンマンの世界では40歳まで活躍できるが、やはり30歳前半からの参戦を見てみたい。
本人によれば、今シーズンは競技人生最後の年になる予定だったとのこと。
ルイは次のように語った。
「私はオリンピックのメダルを獲得するために人生のすべてを捧げてきました。トライアスロンの世界には、オリンピックの金メダルとコナの世界選手権タイトルという、2つの大きな目標があると思います。そのうちの一つを手に入れることができました。これから数日間、ゆっくり考えて、今後の人生をどうするか決めたいと思います。」

イデンは、3年前にがんで亡くなった母親を追悼するため、ピンクと白を基調とした新しいトライスーツを着用してレースに臨んだ。記者会見でもこの「2回目」に対する想いを熱く語っていたが、バイクで3分間のドラフティングペナルティを受け、その遅れを取り戻そうとランで懸命に追い上げたが間に合わなかった。しかし、イデンらしい爽やかな表情も見せてくれた。
「前を走るルイが見えていて、『This is my day』と思っていました。でも、最後は本当に過酷でした。それでも2位でフィニッシュできて、とても満足しています。今日は本当に感情が揺さぶられる一日でした」

そして、今回日本人プロとして古谷純平が参戦。
総合19位となった。レース前から公言していた20位以内の有言実行となった。昨年の12月のSub8(アジア人最速)など、きっちりと明確な目標をクリアして来たことに脱帽だ。
古谷選手はトップ8を目指しているだけに「通過点」かもしれないが、日本のトライアスロンを元気づけた十分な結果だったのではないだろうか。
日本人プロ参戦は9年ぶりだが、上位(20位以内)への期待は2000年以来の26年ぶりとなる。当時コナでは三羽烏(田村嘉規、宮塚英也、谷新吾)の3選手が20位以内となり沸いた。更に当時シード権(15位以内)があったが、田村選手が14位の快挙にメディアスタンドでは大興奮となった。
11位から20位内の差は大したものではない。僅かな状況、組立、体調、運の差だ。その中から将来のトップ10が生まれる。近年ここまで楽しませてくれた選手はいただろうか。

| Pos | Name | Swim | Bike | Run | Total Time | Pro Series Points (unofficial) |
| 1 | Vincent Luis (FRA) | 48:31 | 4:15:42 | 2:38:36 | 7:47:27 | 6,000 |
| 2 | Gustav Iden (NOR) | 50:10 | 4:17:10 | 2:36:58 | 7:49:03 | 5,905 |
| 3 | Matthew Marquardt (USA) | 48:25 | 4:11:28 | 2:43:58 | 7:49:59 | 5,849 |
| 4 | Gregory Barnaby (ITA) | 50:10 | 4:11:23 | 2:44:44 | 7:51:02 | 5,786 |
| 5 | Pierre Le Corre (FRA) | 48:29 | 4:20:47 | 2:38:50 | 7:53:29 | 5,639 |
「ルイにはまだ続けてほしい」

Triathlon Journalist Nobutaka Otsuka