ジャイアントのTrinityがフルモデルチェンジとなった。
すでにグスタフ・イデンがプロトタイプを使用し、インスタなどでアップされてから半年以上経っていたが、ようやく公式発表となった。そして、前世代のお披露目は2015年KONAとなるため、9年以上のロングスパンとなるが、ついにデビューとなった。
前作も高い定評で人気があっただけに待望の新型となるが、途中2021年のカデックス登場により、トライアスロンは尖ったジャンルだけにジャイアントから外れるのかもしれないと思われた。カデックスは「究極」を追求したジャイアントグループのパッションを伝えるスーパーバイクに仕上がった。あえてこのタイミングで「異形」を選択したこともエアロダイナミクスへの本気を感じさせる「アイアンマン専用バイク」だった。
一方、新型Trinityは、マルチ性の高いトライアスロンバイクとなっている。まず、エアロダイナミクスは、前作のマニクールサーキットのACEから近年ジャイアントの他モデルも行っているドイツのインメンシュタードにあるGST風洞実験施設で動的マネキンを使用し、よりリアルに安定した状態でテストされている。
外観上は、ボリューミーなヘッド周り、前作から踏襲する「C型」シート周り、エアロ効果の大きなフォークの扁平比、サドル下の抵抗減のための細身のシートポストなど、現在考えられる形状として一つの「標準型」とも言えるのではないだろうか。
軽量性は大きく進化している。558gの軽量化となっているが、前作から時間が経っているため当然の期待でもあった。そこで軽量化の中味を見るとフレーム単体で1340gと非常に軽く、フォークやシートポストなど含め、大きな軽量化に繋がっていた。また、条件とも言える「重量剛性比」を落とすことなく軽量化に成功している。
次にフューエルは、バイクボトルから補充できるようになっている。トライアスロンの場合「余計な動き」はエアロダイナミクスに影響が出てしまう。ドリンクシステムを構築し、最低限の動作で補充ができることが望ましい。このボトルからの補充はすでに他社で先行はしているが、今後の標準仕様となるだろう。
ディスクブレーキはこのタイミングでは「当然」の仕様となる。ロードバイクでは2020年モデルを持って「切替」と言えたが、トライアスロンバイクは開発スパンが長いため、各社まちまちとなっていた。ディスクブレーキのメリットを最大限に活かせるトータル設計が必須条件だったと言えるだろう。
今回のモデルは「TTとの兼用」となる。ここは賛否あるだろう。トライアスロンとTTではかかるパワーが大きく異なるため、そこに求める剛性も変わる。ただ、万人向けの既製品はなく、各選手個人の力量がどこにマッチするかによるだろう。昨今、開発は二極化しており、TT兼用とトライアスロン専用があるが、開発スピードを考えるとTT兼用に分があるかもしれない。
以下、メーカーNewsとなる。
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GIANT「TRINITY ADVANCED SL」がフルモデルチェンジ
〜トライアスロン仕様およびタイムトライアル仕様の3製品を発表〜
GIANTは、アイアンマン世界チャンピオンやワールドツアーのプロロードレーサーと共に開発・テストした新型「Trinity Advanced SL」の完成車およびフレームセットを、2025モデルとして発売いたします。
新型「Trinity Advanced SL」は、GIANTがこれまで培ったテクノロジーや最上級のカーボン素材によって前世代から558gもの大幅な軽量化を達成。さらにディスクブレーキシステムへのアップデートによるコントロール性の向上から、最大8,640通りのセッティングが可能なアームレストセッティングなどによるアジャスタビリティの拡大まで、全面的に大幅な進化を遂げています。
今回の新型「Trinity Advanced SL」シリーズは3モデル。「Trinity Advanced SL 0」と「Trinity Advanced SL Tri Frame Set」は主にトライアスロン向けであり「Trinity Advanced SL TT Frame Set」はタイムトライアル仕様となります。トライアスロン、TTとも同一のフレームセットをベースにセットアップを変えており、トライアスロン向けモデルには当フレーム専用設計の補給/給水システムが標準でアッセンブルされます。
(速報)1月9日に行われたばかりのオーストラリアTT選手権では、新型「Trinity Advanced SL」に同じく新型の「CADEX Max Aero Disc WheelSystem」を履かせたルーク・プラップ(Team Jayco Alula)が勝利。自身3枚目となる豪州TTチャンピオンジャージの獲得に成功しています。
- 製品紹介ウェブサイト https://www.giant-bicycles.com/jp
- 問い合わせ先 株式会社ジャイアント 044-738-2200
FULL-SPEED DYNAMICS
2022年アイアンマン世界チャンピオンのグスタフ・イデンをはじめとするアスリートと共に開発が進められた新型「Trinity Advanced SL」は、よりダイナミックで汎用性の高いバイクへと進化しました。2024年7月のチャレンジ・トゥルク・トライアスロン(フィンランド)に新型「Trinity Advanced SL」のプロトタイプを持ち込んで勝利したグスタフは、「一番感じたのは、乗っていて楽しいということ。特にダウンヒルは、バイクの素晴らしさを明示する指標になります」と語っています。
今回の改良点の筆頭は、ディスクブレーキへのアップデートと、エアロダイナミクスを損なうことなくコントロール性を高めたその設計です。新しいフロントフォークは、フォークレッグの底部がブレーキキャリパーと一体となるようにデザインされ、乱気流を低減させます。
さらに、最も硬く軽いGIANTの最高級カーボン素材「Advanced SLグレードカーボン」をフレームとフォークに採用し、前世代に比べて558gの軽量化と12.6%の重量剛性比向上を達成。エアロ性能のみならず、登坂性能や加速性能も向上し、あらゆる地形でスピードを維持できる性能を手に入れています。さらに、新しいハイドレーションシステムと、トップチューブに設けられた大容量ベントーボックス(最大32gのエナジージェルを6個収納可能)が、効率的なエネルギー補給を実現しています。
ULTIMATE AERO EFFICIENCY
AeroSystem Shaping Technologyにより、新型「Trinity Advanced SL」シリーズの各チューブ形状と接合部は空気抵抗を最小化する緻密な形状に設計されており、数値流体力学(CFD)による解析と風洞実験を組み合わせた長年にわたる開発プロセスの集大成と言えます。
新型「Trinity Advanced SL」フレームセットの変更点として重要なポイントのひとつは、ヘッドチューブ、ダウンチューブ、フォーク、シートポストがトランケイテッド・エリプス(翼型形状)になったことです。また前述の通り、フォークのみならずフレームについてもブレーキキャリパーと一体的な形状を成してエアロ性能を高めるデザインとされています。
さらに、前世代から大きく進化したポイントはフレーム専用設計の補給システムです。大容量リザーバータンク(M、Lサイズは850ml、XS,Sサイズは700ml)とハンドルバーエクステンションの後部のベントーボックスで構成されるこの補給システムは、装着することで総合的なエアロ性能をも向上させ、前世代と比較して5.9wのアドバンテージを実現しています。
グスタブも、「ジャイアントが本当に素晴らしいのは、専用設計の補給システムによって実効性のあるエアロ性能向上に成功していることです。なぜなら、バイク単体で速いだけでは意味はなく、リアルなレースではライダーと補給システムまで含めてトータルで考える必要があるので、全ての要素を統合して設計されたバイクには、間違いなく優位性があります」と評価しています。
PERSONALIZED FIT
さまざまな体格やポジションの好みに合わせて完璧なフィットを実現するシステムについても、アスリートと共にかたち作られました。新型「Trinity Advanced SL」は、シートポストのオフセットを前世代の3ポジションから4ポジションに増やし、トータル51mmの調整範囲(前世代は40mm)を提供します。
コックピットも完全に再設計され、アームレストの調整幅がさらに拡大しました。スタックの調整幅は前世代の60mmから80mmに、リーチは同じく60mmから75mmに、左右アームレストパッドの調整は6ポジションから8ポジションに増え、アームレストの角度は0度、10度、15度の3段階に設定可能。さらにエクステンション幅の調整パターンも2パターンから4パターンに倍増しました。これらのアップデートにより、ライダーの完璧なポジションを実現するセッティングの選択肢は8,640通りと、前世代の24倍に及んでいます。また、この調整システムはスペーサーと2本のボルトを用いたシンプルな構造のため、簡単な作業で細やかな調整が可能です。
TRINITY ADVANCED SL 0
常にアスリートと共に世界の舞台で戦ってきた「トリニティ」がフルモデルチェンジ。大幅な軽量化やエアロダイナミクスの最適化のみならず、テーラーメイドのようなフィット感と快適性まで獲得し、全方位的に進化。
完成車の「SL 0」は、あらゆるコンディションでも抜群のコントロール性とエアロ性能を発揮する「CADEX Aero 4-Spoke WheelSystem」と、世界を転戦するトップアスリートに選ばれる超軽量コンポーネント「SRAM Red AXS」をスペックするトップグレード。
- 標準価格 : ¥1,705,000(税込)
- サイズ : 465 (XS), 495 (S),525 (M), 550 (L) mm
- カラー : カーボン・プリズマティックヘイズ
※トップチューブストレージ、ハイドレーションキット、コンピューターマウント付属、電動コンポーネント専用フレーム
- フレーム : Advanced SL-Grade Composite,12x142mm thru-axle, disc
- F.フォーク : Advanced SL-Grade Composite,full-composite steerer, 12x100mm thru-axle, disc
- ギアクランク : SRAM RED 1 AXS, 48T
- 変速パーツ : SRAM RED AXS E1 12-Speed
- ブレーキセット : SRAM RED hydraulic, [F]160mm, [R]140mm
- ホイール : CADEX Aero 4-Spoke Disc WheelSystem
- タイヤ : CADEX Aero Tubeless 700x25C
TRINITY ADVANCED SL TRI FRAME SET
常にアスリートと共に世界の舞台で戦ってきた「トリニティ」がフルモデルチェンジ。フレームセット全体で前世代から558gもの大幅な軽量化を果たし、最新テクノロジーによるエアロダイナミクスを最適化。さらにコンタクトポイントの改良によりテーラーメイドのようなフィット感と快適性まで獲得し、全方位的に進化。
- 標準価格 : ¥748,000(税込)
- サイズ : 465 (XS), 495 (S),525 (M), 550 (L) mm
- カラー : カーボン・クローム
※トップチューブストレージ、ハイドレーションキット、コンピューターマウント付属、電動コンポーネント専用フレーム
- フレーム : Advanced SL-Grade Composite,12x142mm thru-axle, disc
- F.フォーク : Advanced SL-Grade Composite,full-composite steerer, 12x100mm thru-axle, disc
- ハンドルバー : GIANT Base Bar w/ integrated stem combowith new Sync rest set, 10/15degree extension
- ステム : Base Bar w/ integrated stem
- シートポスト : Trinity Composite
TRINITY ADVANCED SL TT FRAME SET
常にアスリートと共に世界の舞台で戦ってきた「トリニティ」がフルモデルチェンジ。フレームセット全体で前世代から558gもの大幅な軽量化を果たし、最新テクノロジーによるエアロダイナミクスを最適化。さらに最大30mmに対応するタイヤクリアランス、コンタクトポイントの改良によりテーラーメイドのようなフィット感と快適性まで獲得し、全方位的に進化。「TT」フレームセットはUCIのタイムトライアル規定に対応。
- 標準価格 : ¥715,000(税込)
- サイズ : 465 (XS), 495 (S),525 (M), 550 (L) mm
- カラー : カーボン・クローム
※ダウンチューブボトル&ボトルケージ、コンピューターマウント付属、電動コンポーネント専用フレーム
- フレーム : Advanced SL-Grade Composite,12x142mm thru-axle, disc
- F.フォーク : Advanced SL-Grade Composite,full-composite steerer, 12x100mm thru-axle, disc
- ハンドルバー : GIANT Base Bar w/ integrated stem combowith new Sync rest set, 10/15degree extension
- ステム : Base Bar w/ integrated stem
- シートポスト : Trinity Composite
Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka