Triathlon GERONIMO レポーター ~安藤選手皆生参戦記~

今回の皆生大会では、Triathlon GERONIMO のレースレポーターとして、選手のご協力の下、熱い参戦記をお届けしたい。

 

(以下、安藤レポーターより)

 

≪復帰レースとなった皆生に思うこと≫

 

3月31日、大島春合宿での落車事故で腰椎横突起2箇所骨折、全治2か月からの復帰レース。おっさんアスリートはタイムよりも怪我なく楽しくを肝に銘じていたつもりが、バイクが調子良かったので気の緩みからか大塚さんはじめ仲間に迷惑をかけることになったので、過酷と聞いていた皆生で不安満載ながらしっかり完走しようと決意。すでに5月横浜、6月ケアンズとキャンセル、7月はじめに伊勢神宮観光目的でエントリーしていた伊勢志摩トライアスロンもショートやってる場合じゃないと思いこれもキャンセルして皆生ロングに備える。

今回、バイクは初めて送ろうと思い西濃運輸に予約するも、集荷前日に西日本豪雨のため予定日配送できるかわからないのでキャンセルを検討してほしいとメールがきて仕方なくキャンセル。飛行機輪行に切り替える。車に自転車積んで早めに羽田到着したが、三連休初日だからかANAの第二ターミナル駐車場はすでに満車、第一ターミナルは空きとなっていたので慌てて入庫したら直後に満車表示になり間一髪でセーフ。第一から第二ターミナルまで自転車を引っ張っていくはめになる。

【レース前】

ロングの前日入りは慌ただしく、バイク組立、選手登録、開会式、競技説明、買い物とあっという間に夜になる。出発前日に度付きゴーグルのレンズを新しい勝負レンズに替えようとして外枠を折って使えなくなり、ANAではチューブラータイヤのパンク修理材を爆発する可能性があると言われ没収され落ち込んでいたが、米子のイオンで足りない物すべて調達できた。

TETSUJIN皆生通信(皆生トライアスロンのメルマガ)で当日は気温35度で熱中症特別警報も予想されるので、熱中症対策や水分補給に細心の注意を払うようにとメールがあり、睡眠不足にならないよう温泉入って早めに布団に入るがレースの不安からか熟睡できず、うとうとして4時に起床。

今回もバイクボトルにはパワージェル7本(佐渡より1本多い)を水といっしょに入れ、マグオン6本をバイクにセッティング。トランジッションには競技説明会場でもらったアミノバイタルのジェルを準備。5時半に宿を出発して会場でバイクチェックインと受付けをしようとしたら、背後から「アンディー」と呼ぶ声が聞こえ振り返ると、受付のボランティに千恵さんがいるというサプライズ!復帰レースのロングで不安の方が大きかったがなんか楽しくなってきた。

【スイム】

スイム入水チェックをして知り合いが何人かいたので復帰報告をして気を紛らわし、熱中症対策で水をいつもより多めに飲んでみる。泳いで足の着かないとこからのスタートで監視員のカヌーにつかまってスタート待ち、佐渡と同様にバトルに巻き込まれないように最前列からのスタートにした。しかしスタート直後から早い人たちに次々と抜かされ、思ったよりもレベルが高いのか自分の泳力が万全でないのか、目標がないと海では左に曲がるクセがあるので、目標がとらえられず自分から左に曲がって他の人とぶつかるを繰り返す。前半はかなりしんどいスイムだったがようやく中間チェックポイントで上陸、後半は右にコースロープ沿いにまっすぐ泳げるようになり、人もまばらになってきていい調子で波にのっていけるようになる。結局54分、111位でスイムアップ、前半厳しかったわりにはまずまずのタイムで上陸すると大塚さんと千恵さんが応援してくれていた。トランジッションでは自分より早くスイムアップした生井さんと会って、後を追うようにバイクに向かう。

【バイク】

140キロのうち最初の40キロ以外は大山の登りとアップダウンのジェットコースターが続くハードなコース。大西さんから速度や時間を気にせず心拍をだけを見て走るというのを聞いて、初めて心拍計をつけてやってみた。スタート直後からスイムの心拍が収まらず、平地が続くも150を下回らない。130台を目標にしていたが、抜かれだすと焦って踏み込んでしまう。そのうち名物の大山の登りに入ると160まで心拍があがって収拾つかず、心拍はどうでもいいことになった。大山登りは覚悟していたこともあって順調に通過、60キロ地点までは予定通りのタイム。しかしここからのアッツプダウンの連続で徐々に足を削られスピードが落ちていく。先行した生井さんにはこの辺でやっと追いつくことができたが、速い人たちからはどんどん抜かれる。ようやく中山温泉ASのUターン、ここで疲れたり熱中症ぎみの人が何人か休んでいる。自分も小休止したくなるが、ここは我慢して残りの約50キロを頑張る。バイク終了時点で159位、結局バイクでは48人に抜かれたことになる。佐渡ではバイクで3回もトイレに行ったが、水分を多くとったにもかかわらず今回は一度も行かず、それだけ暑かったということか。

【ラ ン】

午後1時過ぎの一番日差しが強く暑くなったころにランスタート。ランは境港で折返しの往復コース。車両規制がまったくないので、42キロすべて歩道を走るコースで凹凸があったり斜めになっていたり足元にも注意しないといけない。歩道橋も何か所かあり、信号も守らなくてはならない。スタートしてすぐに信号待ちで先行していた7人ぐらいに追いつき、青になるとダッシュして抜いていく。こんな感じで最初の10キロは信号のタイミングが良く20人ぐらい抜いたと思う。その辺りで大塚さんと千恵さんが応援してくれていて、ラン好調宣言をしていた。とにかくエイドの数が半端なくある、2キロ毎ぐらいにある感じで、ほぼ全てのエイドで水分2杯飲み、スポンジで頭から水をかけて、氷を帽子の中と両肩に入れる。ワイフから借りたストッキングを氷入れにして両肩に入れるのがすごく効いた気がする。スポンジを肩に入れている人がいるが、あれではすぐに温かくなってしまいあまり効果がないと思う。境港の折返しでリストバンド(折返し確認用)を受け取りしばらくすると生井さんとすれ違い声を掛け合う。アッキーとはレースを通じて一度もすれ違わなかった。暑いけど足や心肺はそれほどきつくなかったが、足の爪が痛くなってきてレース後見ると両親指が真っ黒になっていた。前後にだれもいなくなり競技場までラスト400メートルというとこで最後の信号につかまる。4人ぐらい後続のランナーが集まってきてせっかくここまで来たんだからと思い、青になった途端にゴールまで最後のダッシュをする。幸いおじさんに花をもたせてくれたのか誰もついてこないので単独でゴールテープを切れた。

結局ランはキロ6分弱で4時間ペースで走れていたが、エイドの休憩と信号待ちで4時間35分もかかった。バイクで48人抜かれたがランでは47人抜き返して112位でゴールできた。

★ ★ ★

西日本豪雨の影響もある中、準備をして下さった大会関係者の方や4000人以上のボランティアの方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。前日の説明会で流木が海に流れ込んできてスイムの開催が危ぶまれていたのに、鳥取県知事の英断で県が流木を片付けたと言っていました。それだけこの大会に懸ける思いが選手だけでなく大会に携わるすべての人にあるんだと思い、この大会に常連者が多いというのも頷きました。

また同行してくれた大塚さん、生井さん、アッキー、サプライズの千恵さんがいてくれて、ともにレースに出て励ましあえ、応援してくれたお陰で無事に復帰レースを完走できました。応援されないと頑張れないタイプなんですよ。

 

 

 

 

今シーズンはあと9月の佐渡30回記念大会が残っていますので、これも仲間みんなで盛り上がっていきたいと思います。

 

距離:スイム3km バイク140km ラン42.195km

記録:10:49:21(S 54:07(111)/ B 5:19:42(192)/ R 4:35:32(117)

成績:総合112位 エイジ13位

 

レポート 安藤 友久

 

 

「無事完走、何よりでした。初皆生を楽しんで頂いたようですね。

BOSS-N1-S
Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

Triathlon GERONIMO レポーター ~生井選手皆生参戦記~

今回の皆生大会では、Triathlon GERONIMO のレースレポーターとして、選手のご協力の下、熱い参戦記をお届けしたい。

 

(以下、生井レポーターより)

 

≪私のスタート地点 皆生トライアスロン≫

 

「今年は、皆生に出る!」と主人に宣言をしたのは、まだ、寒い日が続く2月。昨年の大会は、鎖骨骨折のこともあって、皆生に出る気持ちになれず、忘れようとしていた。今年は出ると決めたら「仕事が忙しい」の言い訳をせずに、練習することで気持ちを高めようと思い、7月へと向うことにした。

「トライアスロン」=鉄人=ちょっと変?

とイメージを抱く人は多い。私もその一人だった。そのイメージを変え、生活に一部なったのは、友人の存在と私の好奇心。友人のトライアスロン仲間との交流がとても羨ましかった。友人のおかげで、根暗だった私は、皆生に出るまでになってしまった。

皆生トライアスロンとの出会いは、鍼灸の先生(コナ出場経験あり、日本選手権出場経験あり)の一言「皆生はいいよー。出てみな」と。何も知らない私は、その一言を信じ、エントリーへ。34回大会に初めて出場。これが、ロングデビュー。知り合い0、経験0、そして、きついバイクコースも知らなかった。それでもフィニッシュしてしまった。この快感が私のスタートになった。

今まで、遠い大会は主人と一緒か一人で参加することがほとんど。仲間やチームで動くことは一度もなかった。今年は、ご縁があって、仲間とコーチと一緒に参加することができた。仲間の一人に、私にトライアスロンを教えてくれた友人がいる。そのことも力になった。同じ目的をもち、お互いに励まし合える仲間の存在は本当に大きい。心配なことが半分に思えるから不思議である。合わせて、エントリーしたけれど出られなかった仲間からの応援も大きかった。大人になっても「頑張れ」「応援しています」の一言が背中を押してくれることに久しぶりに気が付いたことも新鮮だった。

今年は、猛暑。皆生トライアスロンは暑いことでも有名。今年もその展開になった。前日から水分、栄養、体調を考えながら食べてきた。誰でもが、倒れるリスクを背負いながら競技をする。倒れるもフィニッシュするも自己責任がのしかかってくる。

【スイムスタート】

スイムが得意とはいえ、バトルが怖いので真ん中ぐらいの位置からスタート。けだるいスタート音を聞き、気持ちよく泳ぎだした。新しいメイストームのウエットも心地よい。前半は、やや流され自分の泳ぎができなかった。後半は、肩回りが動き出し、息が上がらない程度に泳げた。ただし、調子にのると、違う方向へ行っていた。36回大会よりは、遅かったが、気持ちよくトランジットへ向かうことができた。ここからが、皆生トライアスロンの醍醐味。

【バイクスタート】

初めて、皆生に出た時は「オニ!」と思ったコース。4回目であるが、やはり「オニコース」である。ただ、前回との違いは、2点。昨年バイクボジョションをすべて測り、サドルなどを買い替えた。そのこともあって、身体に負担がない。痛くない。2つ目、登りは根性で登った。時折、大塚コーチの「ワン・ツウ・ワン・ツウ」が聞こえ始め、応援となった。他のコースは、軽快に進んでいった。スピニングの効果が出ていると実感できた。今思えば、力まず、楽しく漕げたと感じている。そう思っている時にエイドで、他の選手と激突してしまい、落車!相手選手、相手のバイクは無事。私は右臀部を打ち、サドルは曲がった。激痛のあまり、しゃがみ込むが、すぐに現実に戻り、バイクを直し、臀部を確かめ、気持ちを落ち着かせて再度スタートした。エイドのボランティアの方は、何度も「大丈夫?」と言ってくれたが、答える余裕なし。本当に申し訳ないことをした。再スタート直後は何度も「悔しい」と言っていたことを覚えている。冷静になることで、安全に進めると思い直し、前だけを見つめた。この時、仲間から「頑張れ」が気持ちを奮い立たせたことは間違えない。大山の折り返しで大塚コーチとチエさんからエールをもらう。仲間に会えるだけで、勇気が湧いた。「まだ、行ける!」と。そして、アッキーともすれ違う。仲間の頑張りは、励みになった。これでもかの坂を越え、下りを繰り返して、バイクフィニッシュへと向かった。この時、臀部の痛みはあるものの、以前のような腰のだるさはなく、ランへと進めそうな感じがした。気持ちだけは高い。

【ランスタート】

「安藤さんとはどのくらい差があるのだろうか?」そう思いながらスタートした。スタートした時点では、ランへと進んだ女子は少ないようだ。「諦めなければ、女子総合10位までに入れるかも?」と高望みをしながら進んだ。

皆生名物信号と歩道橋を楽しみ。エイドでの学生ボランティアの粋の良さを励みに、足を止めず、前々と。信号待ちをうまく使うことが、このコースの攻略法。信号に合わせて止まらず、進むのが私の走り方。少々のダッシュもあり。ランは課題をもって走ることに決めていた。それは、腕振り。後ろへ振る。ハの字になるように振る。もう一つは、自分の身体の下に足を着地できるように気を付ける。2点を確認しながら進んだ。足が止まる選手を追い越すことで、自信が付き、さらに前へ。エイドでは、氷をキャップと打った臀部を冷やすためにウェアーの後ろポケットに入れ、OS-1を摂り進んだ。皆生は、エイドには困らない。むしろエイドが必ずあるから安心して進められるのだと思う。ボランティアの方たちには本当に感謝しか言葉がない。

進むうちに大塚コーチとチエさんに「ガンバ!」と激をもらう。日影がなく、コースもあまりよくない。細いコースで折り返してくる選手とすれ違うたびに元気をもらった。女子選手には思わず「ガンバ!」と声をかけた。

ついに、安藤さんとすれ違った。ハイタッチをし、二人で「ファイト」と言葉を交わした。うれしかった。でも、この距離は追いつけない。ケガからの復帰とは思えないぐらいの力走だった。境港を折り返しエイドでは、スイカを口にし、おにぎりを食べ、フィニッシュへと向かった。胃腸も元気。通ってきたコースを再び走る。エイドの場所が分かるので、更に気持ちを和らげてくれた。暑さは変わらず、エイドの氷が足りなくて、学生ボランティアたちは、氷をかち割っていた。本当にありがたい。氷をもらい、OS-1を飲み、進んだ。フィニッシュできそうな時間を考え始めた。「6時には~?」と。32キロ付近でアッキーとすれ違う。表情がなく心配。ただ、彼女の底力を知っているので、お互いに視線を合わせるだけにした。残す距離10キロを切った辺りから、涼しい風が通り抜けるようになった。毎回、エイドに寄らなくても大丈夫になってきた。市街地に入りコースの幅を広くなり、走りやすくなった。ここからが、粘りの走り。信号をうまく使い、他の選手を交わし、フィニッシュゲートへと向かった。街灯が点く前にテープを切りたい!

どらどらパークに入り、ゴール手前でチエさんから「まるちゃん!(旧姓丸田なので)」と。勢いを止めずに、ジャンプと笑顔でゴールテープを切り、無事にフィニッシュ!

フィニッシュする度に、「また、来年も」と原点に戻ることを考える私がいました。

 

皆生トライアスロンは、ボランティアの皆さんとマーシャルの綿密な連絡で成り立っている。毎年、これだけの大会が開催できるのは、ボランティアのみなさんのおかげである。選手全員が「合格通知」をいただく大会はここだけ。私たち選手も「皆生に出る」という誇りを持つことが、ボランティアの皆さんへの返しになると思う。

 

レポート 生井 恭子

 

 

「灼熱の皆生、お疲れさまでした。皆生大会の雰囲気はとても良いものがありますね。そして、女子総合9位、エイジ優勝おめでとうございます。

BOSS-N1-S
Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

セントレア GERONIMO Bike Count

6/17開催のアイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパンにおけるGERONIMO COUNTの結果が出た。

【バイクトレンド】

全バイク94ブランド1591台から見るバイクトレンドは、以下の通りだった。

第1位 SPECIALIZED 216台

まずは、トップ10内のブランドの動きだが、スペシャライズドが、3年連続の使用率第1位となっている。2位に30台差の216台は、シェアも初の大台13.6%だった。そして、15年大会からの3年間で、伸長率129.3%となっていた。ただ、車種比率は、トライアスロン46.3%、ロードバイク53.7%で、絶対台数とこの比率が総合ブランドの強みが出ている。スペシャライズドと言えば、ロングセラーとなるSHIVが人気のトライアスロンバイクとなっている。リリース後7年目となる中、最新カラーの当年度モデル多く見かける。長い期間、人気のある理想的な状況でもある。一方で、モデルチェンジは望まれている。明らかにロングスパンとなるため、今年のコナでの新型発表の可能性に期待したい。

第2位 Cervelo 186台

第3位 TREK 169台

第4位 Ceepo 136台

次に、コナではダントツのKINGサーヴェロは、昨年の3位から2位に浮上している。やや国内では異なる動きとなっているが、「トライアスロンバイク」だけを見ると、スペシャライズド100台に対し、153台という圧倒的なトライアスロンカラーを出している。第3位はトレックだ。ロードバイク比が66.3%で、そのイメージが強くなって来た。やはり、モデルチェンジに期待がかかる。先日ローンチされたNew MADONEは、SpeedConceptのフィードバックが盛り込まれていたが、今度は逆に、New MADONEの快適性、ユーザビリティ、そして、ディスクなどをNew SpeedConceptに活かしてほしい。そして、第4位のシーポが伸びている。昨年比112.4%、この3年では、スペシャライズドに次ぐ、128.3%となっていることも注目したい。シーポと言えば、先日の発表された「SHADOW R」が大きく話題となっている。前代未聞となった「SIDE FORK」は、シーポの開発力、発想の柔軟性など、開発余地の広いトライアスロンバイクに一石を投じてくれた。

第5位 Cannondale 90台

第6位 GIANT 78台

第7位 FELT 70台

5~7位の中間のグループは、キャノンデール、ジャイアント、フェルトだった。キャノンデールは、昨年コナでも使用されたディスクモデルの「SuperSlice」に期待がかかる。ジャイアントは、海外勢に多く、オージーのプロ選手の使用が目立つ。Trinityは、今回のウィナーズバイクでもある。フェルトもIAが5年目となるが、コナで、「IA Disc」の発表などが予定されているため、待ち遠しい。

第8位 PINARELLO 64台

第9位 BMC 50台

第9位 SCOTT 50台

8~10位は、ピナレロ、BMC、スコット(BMCとスコットは同率)だが、ピナレロはもちろん、1台を除き、ロードバイクとなっている。このあたりも国内特徴だが、「トライアスロン」で人気のロードバイクということができる。もちろん、フルームなどツールドフランスなどでも輝かしい実績と「イタリアン」ということがベースにある。BMCは、トライアスロンバイク比率66%の理由は、人気のTimeMachineによるものだ。スコットは、ロードバイク比率が高かった。ロードバイクでは、エアロロードの代表格「FOIL」があるが、ディスクモデルも投入され、今後に期待がかかる。

トップ10で1100台を越えているが、そのシェアにも少し動きがでている。15年から17年まで伸びていたが、今年は、僅かに下がった。ただ、トップ5で見てみると伸びている。スペシャライズドやシーポの伸びが、5強集中を生み出している。この5強でちょうど半数となる。

【トライアスロンバイク vs ロードバイク】

ロングの予備レースでもあるミドルタイプであるセントレアは、過去3回大会でトライアスロンバイク比率を伸ばしてきたが、今年はどうなっているのか。ロングライドとなり、巡行性やエアロダイナミクスでのメリットが重要となるトライアスロンバイクは、絶対的なものとして、伸びていることが予想されるのだが、今年の宮古島大会の分析では、1ポイントダウンという結果だった。

結果は、42.9%だった。15年38.8%、16年39.0%、そして、昨年の40.9%から2ポイント伸ばしたのだった。この傾向は、先述の通り、宮古島とは異なる結果となったのだ。では、なぜセントレアは、「トライアスロンバイク」を伸ばすことができたのだろうか。これは、一つの仮説に過ぎないが、ロングはリピーターが多く、すでに所有しているバイクの変化が少ないのではないだろうか。一方ミドルタイプは、ベテランからミドルデビューまで、幅広い選手層となる。ミドルを目指し、ロードバイクからトライアスロンバイクへ乗り換える選手も少なくない。それが、この結果に繋がったと考えている。ただ、絶対数は少ない。したがって、これから伸びるのか、横ばいとなるのか、トライアスロンで使用されるバイクの「トレンドチェック」は、ミドルタイプのレースが教えてくれるということなのだ。

もう一つのファクターとして、同じミドルでも「IRONMAN」「開催地」「開催時期」などによっても異なる結果が出る可能性がある。例えば、開催時期と購入時期の関係も分析が必要だろう。

【第2次異形バイクブームは?】

やはり、セントレアではこれらのバイクも伸びていた。宮古島では、VENTUM微増以外は、横ばいだった。ここでも先述のように、「ミドル」での特徴と捉えても良いだろう。

①cervelo P5X 5台→12台

②DIMOND 3台→5台

③VENTUM 1台→3台

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全ブランド別データは下記の通りだった。

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 SPECIALIZED 216 13.6%
2 cervelo 186 11.7%
3 TREK 169 10.6%
4 CEEPO 136 8.5%
5 cannondale 90 5.7%
6 GIANT(LIZ) 78 4.9%
7 FELT 70 4.4%
8 PINARELLO 64 4.0%
9 BMC 50 3.1%
9 SCOTT 50 3.1%
11 KUOTA 45 2.8%
12 ANCHOR(BS) 32 2.0%
13 BIANCHI 29 1.8%
14 COLNAGO 28 1.8%
15 CANYON 25 1.6%
16 MERIDA 23 1.4%
17 DEROSA 21 1.3%
17 NEILPRYDE 21 1.3%
19 LOOK 20 1.3%
20 ORBEA 19 1.2%
21 RIDLEY 18 1.1%
22 ARGON18 16 1.0%
22 WILIER 16 1.0%
24 BH 10 0.6%
25 QR 9 0.6%
26 FUJI 8 0.5%
26 KESTREL 8 0.5%
28 CARRERA 6 0.4%
28 FOCUS 6 0.4%
28 GARNEAU 6 0.4%
28 TIME 6 0.4%
32 BOMA 5 0.3%
32 DIMOND 5 0.3%
34 CUBE 4 0.3%
34 lapierre 4 0.3%
36 CINELLI 3 0.2%
36 corratec 3 0.2%
36 EDDYMERCKX 3 0.2%
36 GIOS 3 0.2%
36 KohdaBloom 3 0.2%
36 VENTUM 3 0.2%
42 AVANTI 2 0.1%
42 CENTURION 2 0.1%
42 DEDACCIAI 2 0.1%
42 JAMIS 2 0.1%
42 MOOTS 2 0.1%
42 RTS 2 0.1%
42 SUPRARACE 2 0.1%
42 ZUNOW 2 0.1%
50 AlfaRomeo 1 0.1%
50 ANTARES 1 0.1%
50 AthleteCompany 1 0.1%
50 ATHLONIA 1 0.1%
50 ATTACK 1 0.1%
50 AVEDIO 1 0.1%
50 AZZURRI 1 0.1%
50 BASSO 1 0.1%
50 Boardman 1 0.1%
50 BOTTECCHIA 1 0.1%
50 C4 1 0.1%
50 Chapter2 1 0.1%
50 CIPOLLINI 1 0.1%
50 CKT 1 0.1%
50 DARE 1 0.1%
50 Definitive Gitane 1 0.1%
50 EASTON 1 0.1%
50 FISHER 1 0.1%
50 Fondriest 1 0.1%
50 GT 1 0.1%
50 GURU 1 0.1%
50 INTERMAX 1 0.1%
50 KHS 1 0.1%
50 KOGA 1 0.1%
50 KONA 1 0.1%
50 KUNG 1 0.1%
50 Leopard 1 0.1%
50 Lynskey 1 0.1%
50 MARIN 1 0.1%
50 MasaMasa 1 0.1%
50 MBK 1 0.1%
50 MIYATA 1 0.1%
50 NESTO 1 0.1%
50 PANASONIC 1 0.1%
50 PENNAROLA 1 0.1%
50 PLANET X 1 0.1%
50 SEVEN 1 0.1%
50 SILVERBACK 1 0.1%
50 SITESI 1 0.1%
50 STORCK 1 0.1%
50 SWIFT 1 0.1%
50 TRIGON 1 0.1%
50 TriRig 1 0.1%
50 vellum 1 0.1%
50 WIZARD 1 0.1%
不明 12 0.8%
未確認 1 0.1%
94 1591 100.0%

Counted by  Triathlon GERONIMO

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この順位がすべての評価ではない。欧米バイクが主流となる中で、日本人特有の体型や、小柄な選手が多い中、単純に人気で選ぶわけにはいかない。目標設定に合わせ、その選択肢の中で吟味し、「相棒」を決定すべきだろう。特にフィッティングは同時、必須項目となることを忘れてはいけない。

【最後に】

セントレアを始めとするミドルタイプは「幅広い」選手層となる大会だ。初ミドルとなる選手から、ロングを何度も出場している選手まで参加している。ビギナーからベテランまで一緒に楽しめる、満足できる大会ということも言えるだろう。ビギナーにとっては、それなりの練習量が必要となる。正直、オリンピックディスタンスまでは、ある程度完走は容易だが、ミドルはそういうわけにはいかない。ミドル出場は、「本格的」にトライアスロンに取組む姿勢と言っても良いだろう。また、ベテランもロングの「スピードレース」、「調整レース」も兼ねて走ることができる距離の大会なのだ。したがって、ミドルの普及こそが、「トライアスロンの普及」の一つに繋がると考えている。

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「今後もミドルタイプに注目となるだろう。」

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka

セントレア RACE-photo

国内唯一のIRONMANシリーズ戦、IRONMAN70.3セントレア知多半島ジャパンが開催された。

IRONMAN70.3は、IRONMANのちょうど半分の距離に設定されているミドルタイプのレースだ。国内では、51.5kmのショートレースが多いが、ショートをクリアした選手が、次に狙うミドルタイプは人気が高くなっている。そのミドルタイプの中でもやはり「IRONMAN」を冠したレースとしてこのセントレアは人気となっている。また、開催地も愛知県ということで、日本の中間地点として、全国から幅広く選手が参加している。今回で9回目となるこのレースは、国内トライアスロンの活性化にも繋がっていると言えるだろう。

さて、レース当日は、風があるものの天候には恵まれた。曇りがちながら晴れ間のぞくレースの朝だった。スイムは、エリートから順に各エイジグループがウェイブスタートで行われる。海でのスイムではあるが、少し入江になった場所で行われる。一見穏やかに見えるが、今回は、波が立っていた。スタート時間にもよるが、往路では、「かなり」と感じる選手も少なくなかったようだ。

バイクは、冠スポンサーでもLIXILのある臨海工業地帯のフラットコースを4周回し、ラスト20kmが山間部のコースとなる。今回は、風が強かったため、追い風と向かい風を交互に受けながらの周回となった。70km近くがこのコースとなるため、フラットが得意な選手に向くコースだ。4周回となるため、応援もし易く盛り上がりを見せている。そして、終盤のアップダウンはトップ選手でも顔しかめるようなコースだが、フラットとアップダウンの両方を楽しめるバイクコースだ。トップ選手がバイクフィニッシュするころには、強い陽射しとなり、気温も上昇していた。暑さにも耐えながらの展開となった。

そして、ランがきついという選手が多い。これはランスタートから半分以上の約13kmがアップダウンのコースとなっているからだ。バイク90kmの後にこのランコースは、ベテランでも走り応えがあるだろう。当日は、陽射しも強くなり更に選手を苦しめた。そして。ゴールでは、それまでの辛かったことを噛みしめつつも解放された最高の笑顔を見せてくれた。やはりあのコースを走ったからこその達成感なのだろう。

プロレースは、男子13名、女子6名が出場。男子は、白熱した展開となった。1位と2位の差は僅か10秒。LAWRYがスイム、バイクで先行、KIBBYは、5:40遅れてのランスタートとなった。ハーフでの5分差は大きい。追い付かない。しかし、KIBBYは、LAWRYより5分以上速いランで猛追した。残念ながら10秒足らなかったが、素晴らしい追い上げを見せたのだ。ちなみに総合トップ3と女子の1位はオージー選手だ。

【総合】

1位 Lindsey LAWRY (AUS) 4:04:10

2位 Mitchell KIBBY (AUS)   4:04:20

3位 Sam DOUGLAS (AUS)   4:05:48

【女子】

1位 Grace THEK (AUS)         4:36:18

2位 Christine CROSS (USA)    4:37:53

3位 Manami IIJIMA (GUM) 4:39:46

 

セントレアは、来年は10回目の開催となる。

 

 

 

 

「ミドルこそが国内を盛り上げる!

BOSS-N1-S
Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

セントレア EXPO

アイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパンは、エキスポから始まった。

中部国際空港内に設置されたエキスポブース。バイク、ホイール、ウェットスーツ、ウエア、シューズ、サプリメント、そして、アイアンマンストアでは、セントレアオリジナルのアイアンマングッズが販売されている。新デザインで各アイテムが用意されていたが、キャップやサンバイザーに人気が集まっていた。

バイクは、ダイアモンドとヴェンタムが展示されていた。ヴェンタムは、今回国内で初お披露目となった「MARQUISE」に注目が集まった。トップシューブとBB上部にストレージを備えているダイアモンドの最上位モデルとなる。また、ヴェンタムは、シタトタロウが今期使用するスペシャルデザインのフレームが展示されていた。このカラーリングは、塗装ではなく、「ラッピング」により施されている。注目度120%となっていた。これもこのセントレアに間に合わせた初お披露目だった。

ハワイほどに揃うわけではないが、MONO的には、十分に面白い展示だったと思う。

 

 

 

「異形バイクがんばれ!

BOSS-N1-S
Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【GERONIMO COUNT】第38回全日本トライアスロン皆生大会

日本初のトライアスロンとして、1981年に開催された。国内のトライアスロンはこの大会から始まっている。そして、今年も開催される。

日本の元祖であり、ロングの大会となる皆生。日本国内のトライアスロンを語る上で大きな意味を持ち、一度は出場してみたい大会でもある。1978年に初めて開催されたハワイアイアンマンをきっかけに国内での開催を実現させたのだ。現在、国内では、4つのロングが開催されている。4月宮古島、6月長崎、7月皆生、9月佐渡となり、皆生はもちろん、日本を代表する大会となる。

距離は宮古島に近く、アイアンマンに比べると少しバイクが短い「オリジナル仕様」となる。ただし、バイクはタフなコースだけに侮れない。皆生を完走することは、国内の「オリジナルトライアスロン」の制覇でもあり、その意味では、ステイタスが高い。

そんな皆生ではどんなバイクが使用されているのだろうか。大会全般とともに「Triathlon GERONIMO」の独自取材を慣行したい。

昨年レポート:http://triathlon-geronimo.com/?p=21747

■開催日 2018/7/15(日)

■競技

スイム3km / バイク140km / ラン42.195km

※詳しくは、http://www.kaike-triathlon.com/

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「今年も皆生の厳しさ、そして、優しさを感じたい!」
BOSS-N1-S

Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

YOKOHAMA 2018

2018WTS横浜大会エリートバイク詳細分析

バイク使用率

                   Photoレポート(Male) ~Mola優勝~                                                                       Photoレポート(female) ~Duffy優勝~

【GERONIMO COUNT】2018世界トライアスロンシリーズ横浜大会

2018WTS横浜大会エリートバイク詳細分析

ITU世界トライアスロンシリーズ横浜大会のエリートレースで使用されるバイクの詳細分析を行った。

バイクブランド別使用率

まず、この大会の特徴として、「トライアスロンバイク」を使うタイプではなく、「ロードバイク」を使ったドラフティングルールのトライアスロンとなる。したがって、バイクパートは、ロードレースのように見える。一般エイジ選手にとっては、関係ないように思うかもしれないが、昨今、こだわって「あえて」のロードバイクも少なくない。またエイジが上がる中で、ロードバイクの優位性もあり、参考となる点もある。

下記の通り、各項目でチェックしているが、まずは、トライアスロンで使用するバイクの「定義」となる三項目をチェックしている。ロードレース化されたエリートのレースで「トライアスロンバイク要素」はどうなっているのか。トライアスロンの原点となる「エアロダイナミクス」に関わる、フレーム形状、ホイール、DHバーはどのように使用されているのかをチェックしている。また、競技性とともに「ユーザビリティ」を向上させる電動の変速システムの使用率はどうか。そして、「トレンドパーツ」も導入されているのか、など総チェックしている。

前提として、2018年の横浜大会108選手の結果であり、全てを計るものではないが、概ね、方向性について大いに参考になると考えている。

【エアロロード】

2010年のVENGEから脚光を浴び始めたエアロダイナミクスを高めたロードバイクだ。もちろんそれまでもエアロダイナミクスを追求したロードバイクはあったが、軽量性、快適性、そして、より高いエアロダイナミクスのための設計など、それまでのものとは違った。このカテゴリーは、スタンダード化し、当然の求める機能として、大きく話題になることはなくなった。スペシャライズドやトレックのようにカテゴリーを明確に分類しているメーカーは、軽量性を含めたオールラウンド、悪路、長距離、快適性などのエンデュランスロード、そして、エアロロードとなる。一方、カテゴリーで大きく分けてはいないが、エアロダイナミクスを高めているモデルもある。ピナレロのドグマなどがそれにあたるだろう。いずれにしても8年が経ち、その「傾向」を確認したい。

フレーム 男子 女子 合計 使用率
エアロ 32 22 54 50.0%
非エアロ 23 31 54 50.0%
合計 55 53 108 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

今回のエアロロード比率は108台中の54台で、50.0%だった。2015年では、38.7%だったのでこの3年で確実に伸びてきている。ただまだ絶対数は少ないのではないか。やはり単独走行ではない、ドラフティングのため、軽量ロードなどを選択する選手も少なくないのだろう。特に女子は、エアロロード比率は低い。理由としては、設計上モデル設定がない、剛性が高過ぎる。重量化などが挙げられるだろう。単純な計算として、女子の使用率が高まれば、全く違う結果となる。競技性、ユーザビリティを考慮し、女性トライアスリートのためのエアロロードの選択肢が増えると良いのだろう。

順位 ブランド モデル 使用台数 使用率
1 TREK MADONE 7 13.0%
1 SCOTT FOIL 7 13.0%
3 TIME SCYLON 4 7.4%
4 Dedacciai SCURO25 3 5.6%

※Counted by Triathlon GERONIMO

エアロロード全54台の中で、最も多く使われているエアロロードは、トレックMADONEとスコットFOILだった。ともにエアロロードの代表格となる。特にMADONEは、トライアスロンモデルのSPEEDCONCEPTからのフィードバックを受けて、徹底したエアロダイナミクスとともに、高くなりがちな剛性で落ちてしまう快適性を向上させるなど、「エアロダイナミクスだけ」ではない完成度を誇っている。その他モデルでディスクブレーキ仕様の場合は、エアロダイナミクスが異なるためノーマルと分けてカウントしている。

【ホイールリムハイト】

ホイールは、フレーム形状と同様だが、トライアスロンにおいて「エアロダイナミクス」は必須であり、特徴的なパーツでもある。だが、このODエリートレースの特殊性から必ずしも、アイアンマンでの使用状況とは異なる。先頭を引くことを想定すれば、必要となる。また、スイムで出遅れた場合、小集団でのペースアップにも有効だろう。そして、先頭集団では、エアロダイナミクスよりも「軽量性」や「コントロール性」を重視する中で、それらの機能を維持しつつ、エアロダイナミクスの高いホイールなど進化も著しい中で、選択されていることもあるだろう。

そして、ホイールの使用率は、下記の通りの結果だった。

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 SHMANO 19 17.6%
2 ROVAL 18 16.7%
3 ZIPP 14 13.0%
4 MAVIC 12 11.1%
5 LightWeght 5 4.6%

※Counted by Triathlon GERONIMO

やはり、シマノは、コンポーネントとトータルでサポートされているのだろう。ロバールは、スペシャライズドのホイールブランドということもあり、バイクの使用台数に比例している。ジップ、マビックは、ホイール専門メーカーであり、アイアンマン同様にその専門性の高さをもって上位にランキングしている。また、超軽量で知られるライトウェイトも5台ながら5位についている。

リムハイト 男子 女子 合計 使用率
50mm以上 32.5 24 56.5 52.3%
31~49mm 21.5 24.5 46 42.6%
30mm以下 1 4.5 5.5 5.1%

※Counted by Triathlon GERONIMO

結果としては、50mm以上のリムハイトが半数を超えていた。2015年の49.1%から3.2%伸びている。同時に31~49mmは、2015年に44.3%だったので、減っている。数値的には、よりリムハイトは高くなる傾向と言えるだろう。エアロダイナミクスと言う点では、単独走行、集団走行、それぞれメリットになるタイミングが違うが、ホイール剛性がもたらす「高速巡行性」においては、共通したメリットとなる点として重視されているかもしれない。

【DHバー】

DHバーは、トライアスロンの「象徴的」なパーツと言えるだろう。単独走行時に前面投影面積を小さくし、エアロダイナミクスを高めるために使用するパーツだ。エイジレースやアイアンマンなどノンドラフティングのレースでは、当たり前のパーツだが、先述の通り、ODエリートレースのドラフティングルールの中では様々な対応となっている。ちなみにここで使用されているDHバーはITUルールに基づくショートタイプであり、エイジレースで使用されている長い(普通)DHバーではない。

DHバー 男子 女子 合計 使用率
使用 23 20 43 39.8%
不使用 32 33 65 60.2%
合計 55 53 108 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

結果は、4割弱だった。ODエリートレースの中で「トライアスロンバイク度」を測るフレーム、ホイール、そして、DHバーを見た時に最もトライアスロンバイク度の低い結果となっている。実は、2015年の使用率は、35.7%だったので、増加傾向ではある。

【電動変速システム】

電動変速システムは今や「絶対的」なパーツと言えるだろう。認知はもちろん、普及率も高まっている。2012年のシマノULTEGRA Di2のリリースにより、スタンダード化した高機能パーツだ。ユーザビリティとして最大のメリットをDHバーとハンドルのそれぞれから変速できることを挙げる選手が多いだろう。ただ、このレースでは、DHバーの脱着を想定しているため、変速は、ハンドルのみとなっている。このあたりが、100%使用率とならないことと関係しているようだ。

電動変速 男子 女子 合計 使用率
使用 34 31 65 60.2%
不使用 21 22 43 39.8%
合計 55 53 108 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

2015年では、30.6%の使用率だったので、大きく伸ばしている。ただ、電動変速に関しては、もっと高い数値を期待していた。先述の通りだが、DHバーとハンドルの両方で変速を想定していないことにより「絶対的メリット」がエイジレースやアイアンマンレースと比較すると落ちるのだ。また、ワイヤー引きの性能も向上していて、フレームの構造にもよるが、変速時の動作も極めて軽くなっている。もちろん、「電動」は格上であることは間違いなく、今後様々なパーツが「電化」される中で、多様性に繋がる重要なシステムでもある。電動とワイヤ―引きの「2WAY」が存在すれば、どうしても比較ということになる。外国選手が多い中、メカトラブルなどを想定している選手もいるだろう。可能性を挙げれば、それなりになるが、変速の「電動化」は、今や、競技において「標準」と言っても過言ではないだろう。

順位 ブランド モデル 使用台数 使用率
1 SHMANO DA Di2 42 64.6%
2 SRAM RED eTap 13 20.0%
3 SHMANO ULT Di2 10 15.4%
合計 65 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

2015年では、「Di2」そのものの状況を見ていたが、スラムもリリースし、しかも勢いを感じさせるブランドだけにその動きは気になるところだ。結果の通り、圧倒的にシマノが多い。2015年では、シマノオンリーだった30.6%から、48.1%と、「シマノDi2」の使用率は伸びている。ただ、「ワイヤレス」を実現させたスラムへの期待感があり、今後の「電化」にも関わるキーワードとして、その存在が大きくなりつつあることも確かだ。2018年モデルへのスラムの搭載率が伸びていることもそれを裏付けているのではないだろうか。

【ディスクブレーキ】

2018年で勢ぞろいとは言えなかったが、多くのブランド、モデルでリリースされた。実質の元年と言って良いだろう。ディスクブレーキの普及はホイールとの関係性が強い。ホイール、ブレーキともに「安全性」に大きく関わるパーツだ。リムのワイド化など、走行面の前にまず安全性だ。スポーツバイクが進化し続ける中で、再度安全面について考えられている。高速回転をし続けるホイールの強度、耐久性、そして、ワイド化されたリムへの対応として、アーチ型のリムブレーキではなく、制動力の高いディスクブレーキとなったことは、同時であり、当然の結果だった。また、「トライアスロンバイク(モデル)」の設計においては、ヘッド周辺の設計において、自由度を高めている。

Dブレーキ 男子 女子 合計 使用率
使用 10 4 14 13.0%
不使用 45 49 94 87.0%
合計 55 53 108 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

結果は少なかった。ある程度低い数値を想定していたが、低過ぎた。各ブランド明らかに動きがある中、選手への供給とはギャップを感じる。ホイールも関わるため、プロの場合、サポートが決まっているとフレームとの組み合わせが出来ない場合も考えられる。エイジ選手で言えば、フレームとホイールともに「ディスク仕様」になっていなければいけないということだ。いずれにしても少し時間がかかりそうだ。

順位 ブランド モデル 台数 使用率
1 SPECIALIZED TARMAC DISC 5 35.7%
2 SPECIALIZED VENGE DISC 2 14.3%
2 Dedacciai SCURO25 2 14.3%
3 BH G7 DISC 1 7.1%
3 SCOTT ADDICT RC ULTIMATE DISC 1 7.1%
3 Dedacciai SCURO25 1 7.1%
3 CUBE AGREE C:62 SLT DISC 1 7.1%
3 FELT FR FRD DISC 1 7.1%
合計 14 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

ディスクロードを投入していたのは、上記の通りだった。やはり「ディスクのスペシャ」が強かった。スペシャライズドブランドとしては、50%のシェアとなっていた。

【ビッグプーリー】

ビッグプーリーもトレンドパーツとして気になるところだ。効果の大きさは、「体感」できる数少ないパーツでもある。回転時の抵抗が大きく軽減されることで、ペダリング効率を向上させている「アイデアパーツ」だ。ビッグプーリーは、チェーン、プーリーのベアリングの摩耗を抑え、最大の体感は、アウターローでの状態で確認できる。各社鎬を削りリリースしているが、プーリーケージ(本体)の剛性が大きなポイントとなるだろう。

Bプーリー 男子 女子 合計 使用率
使用 12 1 13 12.0%
不使用 43 52 95 88.0%
合計 55 53 108 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

使用率は低かった。先述の通り、効果は極めて高いが、リアディレーラーの「改造」ともなるので、このエリートレースでは、サポートの関係もあるだろう。

順位 ブランド モデル 台数 使用率
1 ceramicspeed OSPW System 11 84.6%
2 KCNC Jockey Wheel System 1 7.7%
3 RIDEA C38AERO 1 7.7%
合計 13 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

セラミックスピードの圧勝だった。セラミックスピードは、セラミックベアリングのトップサプライヤーで、デンマークのブランドだ。18年以上の実績を持ち、一般産業部門とは別に、自転車専用部門があり、各メーカーへの供給をしている。そして、オリジナルとして、ヘッドパーツ、ホイール、BB、プーリー、チェーンなど、回転性能に関わるパーツをハンドメイドで製作している。アイアンマンハワイ出場のトップ選手サポートからエイジ選手まで、トライアスロンへの注力度も高く、ダントツ1位の使用率となっている。また、ジップホイールへのベアリング供給も行っている。

【パワーメーター】

ノンドラフティングのトライアスロンの場合、レースでは、ほぼ「一定」のマイペースを刻んで走る。一定にすることが最も効率が良い走りとなるからだ。では、その一定とは「何」を一定にするのだろうか。もちろん、速度ではない。ハートレートが一般的だったが、リアルタイムでペースを一定にできるのが、パワーメーターなのだ。ロードレースでは、タイプによるが、速度の加減速もあり、駆け引きというタイミングもある。それに対し、トライアスロンでは、練習からレースまでフル活用が可能となるだろう。もちろん、距離、コースにも影響はされるが、概ね「コンスタント」な走りがベストパフォーマンスに繋がる。電動変速システムDi2もトライアスロンでの使用は、大きなメリットがあったが、同様にパワーメーターもトライアスリートにこそ、必要なアイテムと言えるだろう。

Pメーター 男子 女子 合計 使用率
使用 36 24 60 55.6%
不使用 19 29 48 44.4%
合計 55 53 108 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

パワーメーターは、先述にもあるが、「レース」と「トレーニング」での使用から考えると、ロードレースのようになるODエリートレースの場合、パワーメーターによる一定の走りは関係なくなってくる。ドラフティングにより設定したパワーも余裕が出てしまう。だからと言って、エスケープする必要もない。集団の状況によって可能な限り脚は温存しておく。集団のペースが上がれば、設定パワーを超えることもあるが、レースポジション、ランの優劣など総合的に判断し、走ることになるだろう。したがって、「トレーニング用」のバイクに付いているかどうかが「本当」の数値となってくる。ただ、パワーのみのデータ収集ではないので、概ね現実的な「今」の数値と言えるのではないだろうか。

順位 ブランド タイプ 使用台数 使用率
1 SRM クランク 13 21.7%
2 QUARQ クランク 10 16.7%
2 PIONEER クランク 10 16.7%
4 GARMIN ペダル 8 13.3%
4 ROTOR クランク 8 13.3%
6 powertapP1 ペダル 3 5.0%
6 SHIMANO クランク 3 5.0%
8 power2max クランク 2 3.3%
8 SPECIALIZED クランク 2 3.3%
10 STAGES クランク 1 1.7%
合計 60 100.0%

※Counted by Triathlon GERONIMO

使用率1位は、SRMだった。SRMは、1986年創業のドイツブランドで、トレーニングシステムの第一人者的老舗ブランドだ。第2位のQUARQは、ハワイアイアンマン使用率No.1ブランドだ。第3位は、日本人選手に多く使用されていたのが、PIONEERだ。パワーベクトルがモニタリングできる画期的なものだ。そして、第4位のガーミンはペダル型としてイージーインストールで、バイク複数台で共有できるメリットなどがある。第10位ではあるが、STAGESは、女子優勝者、ダフィが使用しているものだ。

各社それぞれ特徴があるが、老舗としてのSRMは存在感が多き。SRMは、古くは、ツールドフランス3勝のグレッグレモンが使用し、アイアンマンでは、優勝2回のノーマンスタッドラーも取り入れていた。プロサイクリストにも多く使用されている。現在、第8世代のPC8は、単なるパワー計測アイテムとは少し違うもので、パワー計測ありきではなく、出場するレースに向け、トレーニングのピークを「合わせる」ための自己管理アイテムの要素が大きい「頭脳系」アイテムだ。価格もリーズナブルとなったが、これには、クランクなどは含まれない。逆に、クランクは、ant+の通信方式であれば、各社のクランクが使用できる。SRMは、本来、その人の身体の管理をするもので、選手ではなく、監督が選手の状態を把握するためのアイテムと言っても良いだろう。また、以前のワイヤードタイプであれば、より細かく計測ポイントの解析ができ、トラックなどの短距離での有効性が極めて高かったが、コスト高だった。今回は、長時間、長距離となるトライアスロンなどには、十分な対応能力となり、その分、コストダウンになった。

最後に。プロ選手への実戦投入は、今後の開発に大きく影響してくるが、トライアスロンの現状は、見るスポーツではなく、やるスポーツだ。したがってエイジレースでも即、効果を発揮するものに人気が出るだろう。ペダル型のパワーメーターなど、手軽さでは人気アイテムとなるだろう。

 

 

「気になったアイテムは?どれも重要!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

バイク使用率

横浜大会におけるバイクの使用率は、以下の通りだった。

今年もスペシャライズドの使用率が高かった。総台数は108台であり、この時の、このレースに、限ったデータであることは言うまでもない。ただ、世界シリーズであり、国内最高峰のオリンピックディスタンスで使用されるバイクは気になるところだろう。

このデータは、エリートの男女合計となっている。

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 SPECIALIZED 15 13.9%
2 SCOTT 9 8.3%
2 TREK 9 8.3%
4 CUBE 5 4.6%
4 cervelo 5 4.6%
6 GIANT 4 3.7%
6 FELT 4 3.7%
6 Dedacciai 4 3.7%
6 TIME 4 3.7%
10 BH 3 2.8%
10 PINARELLO 3 2.8%
10 Wilier 3 2.8%
10 Liv 3 2.8%
14 CANYON 2 1.9%
14 cannondale 2 1.9%
14 cinelli 2 1.9%
14 ARGON 18 2 1.9%
14 FOCUS 2 1.9%
14 STEVENS 2 1.9%
14 KRBO 2 1.9%
14 MERIDA 2 1.9%
22 BMC 1 0.9%
22 SWIFT 1 0.9%
22 FACTOR 1 0.9%
22 ORBEA 1 0.9%
22 KUOTA 1 0.9%
22 CIPOLLINI 1 0.9%
22 PROCYCLE 1 0.9%
22 SHARK 1 0.9%
22 COLNAGO 1 0.9%
22 Lapierre 1 0.9%
22 KOGA 1 0.9%
22 ROSE 1 0.9%
22 QR 1 0.9%
22 RIDLEY 1 0.9%
22 ANCHOR 1 0.9%
22 AVANTI 1 0.9%
22 DEVINCI 1 0.9%
22 MASSI 1 0.9%
22 STEiNBACH 1 0.9%
22 GIOS 1 0.9%
22 WIAWIS 1 0.9%
42 合計 108 100.0%

Counted by Triathlon GERONIMO

 

コナや宮古島のデータに比べれば、一桁違う。したがって、詳細な分析を行っている。下記要素とともに男女差も出ている。

まずは、「トライアスロンバイク」としての要素である①②③は、どうなっているのか?単なるロードバイク化となっているのか。

 ①エアロバイク使用率

 ②ホイールリムハイト傾向

 ③DHバー使用率

また、④は完全定着したのか?

 ④電動変速システム使用率

そして、⑤⑥⑦のトレンド要素はどうなっているのか?

 ⑤ディスクブレーキ使用率

 ⑥ビッグプーリー使用率

 ⑦パワーメーター使用率

などが挙げられる。

追って、お知らせしたい。

 

 

「様々な前提と事情はあると思うが事実!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka