Team GERONIMO for SADO 2017 参戦記(Aタイプ ダイGo!選手)

これまでずっと落選し続けてきた佐渡Aについに挑戦出来る日がせまってきた。

土曜日の朝に佐渡に到着。前日まで東京で仕事し、家に戻らず佐渡に移動したため、TumiのバッグにRimowaのキャリーケースという、明らかに場違いな持ち物で港から宿へ向かう。

レースに当選した時はあれほど嬉しかったのに、レース日が近づくに連れて不安感が増してくる。

レース前日午後に到着したこともあり、選手登録、競技説明会、バイクの組立て等、諸々予定を消化すると、すぐに夜になり21時過ぎに就寝。夜は全く問題なく熟睡し、レース当日は3時15分起床。朝食を適度に取り、スタート地点へ向かう。

4月の宮古島ではスタート直前の肩関節脱臼でDNSという悔しい思いをしたので、今回は何としても完走したい。しかし、レースに出るからには、今の自分に出せる力は出し切ってタイムは縮めたい。そのため、不得意なバイクでペースを上げすぎず、ランにうまく繋げられるよう、心拍数をモニタリングしながら、ペースコントロールに留意するよう自分に促す。

スタート前、試泳後に岸へ上がるとチームメンバーが何人かいた。会話することで緊張を和らげようとしていると、大塚さんが近寄って来て写真を撮ろうとするが、ひと言「みんな顔がこわばりすぎ、全然笑えてないよー」と。笑えるわけないだろ、と思いつつ。にこやかさを取り繕ってみる。

いよいよスタート

足が海底から離れて泳ぎ始めた瞬間、さっきまでの緊張感はどこかに吹き飛ぶ。十何時間後か判らないが、あとはゴールするのみ。

透明度は悪くないので、海底が見えるところでは、海底の岩や波紋を目印にして進むこと、また、沖に行ってからはコースブイと自分との距離を目測しながら泳ぐことで、蛇行しないよう心掛けた。とにかく泳ぎこみが不足していたので、余計な距離を泳ぐことによるタイムロスは避けたかった。バトルには極力巻き込まれないようにしたが、時々上から手が飛んで来たり、足を掴まれたりは、トラあるあるとして受け入れるしかない。競技継続不能になるような一撃を喰らって脱臼しないよう留意しつつ泳ぎスイムアップ。

バイク

これまで、特にミドルでは不得意なバイクを必死に頑張った結果として、ランで脚が残っておらず、ランでペースダウンというパターンが多かった。今回はロング。同じパターンはまったら、ランは本当の地獄になってしまう。そうならないよう、ギア軽め、心拍数145前後維持、それと十分水分を補給し、最後までペース一定で行き、うまくランへ繋げたい。

どんどん抜かれ、気持ちは焦る。焦る気持ちを抑えるため、鼻歌をうたいながら景色を楽しむことに。景色を楽しみつつ、Z坂にさしかかる。動画や画像を見る限りではしんどそうだったが、まだ前半ということもあり、体力も残っているのでそれ程でもない。とにかく景色が素晴らしい、佐渡に来て良かったな、と思いながら通過。その後、両津の手前くらいから、猛烈な睡魔が襲ってくる、道が単調だからなのか、低血糖なのか、とにかく居眠り運転になりそうになるくらい眠い。身体を抓ってみたり、補給を取ってみたりしたが、なかなか良くならない。眠気を我慢しながら街中へ入り、ぼーっと前を眺めていると、Yのロゴを発見、マサさんであることを認識。大きな声で応援してくれている。思わず笑顔になって、こちらも大きく手を振って応える。応援のおかげで、さっきまでの眠気もなくなり、走りに集中できるようになった。どうやら低血糖による眠気ではなく、単調な道による眠気らしいことも分かったので、補給はこれまで通り行い、眠気に襲われたときは歌で気分を紛らわせつつ進むことにした。

そうこうしていると、ついに小木の坂へ。ここはZ坂など比べ物にならない程つらい。でも、まだ脚は回ってくれる。何度目かの登坂でいよいよしんどくなって来たときに、佐渡Cタイプ応援団を発見。疲れがピークの場所をピンポイントで把握して陣取って応援してくれているようだ。ありがたい、応援の力に後押しされ、坂を上りきる。小木の坂も抜け、しばらく走るといよいよ市街地へ入ってくる、ランに入っている人や街の人の応援など、にぎやかな雰囲気になってきた、長かったバイクパートもいよいよゴールに近づいている。ランに入ったときに脚がつることが多いので、ギアを軽くしランに備える。

ラン

ランシューズに履き替えながら、いつも思うことまた今回も思う。あとは走るだけ、もうすぐ終わると。ランの準備を終え、トイレを済まして、ランコースへ向かう。身体がいつもより軽いし、脚も残っている。キロ6分弱を維持。エイドに立ち寄るタイムロスを考えても、このまま走れば4時間半以内で走れる。自分の実力を考えれば、このペースで走り切れれば上出来。直射日光は強いものの湿度が低いため、比較的走りやすく、このままのペースで行けそうだ。チームメンバーとすれ違うたびにお互いに声を掛け合う。そのたびに元気をもらい、折り返しまで順調なペースで進む。

ところが、折り返しを過ぎたあたりから、体調に変化が現れる。身体は水分を求めているのに飲んでも胃が膨れるだけで、そこから先に行っていない感じ。そのうち頭もフラフラし始めペースダウン。25キロを過ぎたあたりで、ついには気持ち悪くて走れなくなる。歩いてさえいれば、ペースは遅くとも前に進む、立ち止まることだけはしないよう、歩き続ける。しかし、そのうち、歩いていても気持ちが悪くなり、たまらず道のわきの原っぱで吐く。胃の中が空っぽになったおかげで、随分ラクになり、エイドで水分とエネルギーを補給し、再び走り出す。ただ、走り出すとまだ気分が悪くなりペースが上がらない。挙句の果てには腹痛にも襲われる始末。やがて畑野の折返し手前の坂にさしかかると薄暗い中、前方に大塚さんと応援団を発見。気持ち悪いし、腹は痛いし、上り坂はきついし、独りで走っていたら歩いていたと思うが、応援団に力をもらい、ノロノロ走りだが坂をクリア。

畑野の折返しでトイレを済ませて、腹痛は克服。気温が下がり、体調も復活し始め徐々にペースも戻ってくる。35キロ手前になると、いよいよ苦しくなってきた。でもこの苦しさって何か。呼吸か?足の痛みか?胃のむかつきか? 一括りにすると確かに苦しいが、分解してみると、個々のつらさは大したことはない。ということは、まだいける。そう自分に言い聞かせながら走り続ける。やがて商店街の明かりが先のほうに見え、その明かりの中へ入る。ゴールアナウンスの声が徐々に大きく、はっきり聞こえるようになる。ゴール前、観客のみなさんとハイタッチしてゴールテープを切る。何年間も出場したくても出ることができなかったレースを完走できた喜びと、もう走らなくてよい安堵感で、にやけ顔がしばらく直らなかった。佐渡A、とにかくつらいレースだったが最高の達成感があった。

どんなに計画しても、うまくいくと思っていても、そう思う通りにいかない。想定外に対応しながら、応援してくれる人々に勇気づけられ力を振り絞ってゴールするのがロングのトライアスロンの面白さだと再認識。これって、仕事や人生に通ずるものがあるような気がして、だからトライアスロンはやめられない。

最後に、佐渡まで応援に来てくださった皆さん、島の皆さんやボランティアの皆さん、そしてこの日に向けて、チーム盛り上げ、練習会、ツアー、応援など、あらゆる局面チームをまとめてくれた大塚さんに心から感謝し、レポートを終わります。

 

 

 

「ダイGo!、ロングは面白い!」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka