【全日本トライアスロン皆生大会】 BIKE ” GERONIMO ” Count

7/16(日)開催の全日本トライアスロン皆生大会における「バイク使用率」の結果が出た。Triathlon GERONIMO オリジナルのバイクカウント「GERONIMO COUNT」として、皆生大会のバイクトレンド分析を行った。特に気になっていた「ロードバイクの使用率」など、皆生特有の注目ポイントについてレポートをしている。

【バイク使用率】

今回、初の皆生大会のバイクカウントチェックとなった。全バイク90ブランド983台から見るバイクトレンドは、以下の通りだった。

順位 ブランド 使用台数 使用率
1 TREK 111 11.3%
2 SPECIALIZED 83 8.4%
3 ceepo 73 7.4%
4 cervelo 62 6.3%
5 cannondale 53 5.4%
6 FELT 46 4.7%
7 ANCHOR(BS) 45 4.6%
8 GIANT(Liv) 45 4.6%
9 KUOTA 39 4.0%
10 PINARELLO 30 3.1%
その他 352 35.8%
不明 8 0.8%
未確認 36 3.7%
90 合計 983 100.0%

※対象は、最終出走983組となる。

Counted by Triathlon GERONIMO

全体的には、常連ブランドと言えるだろうか。まず、1位トレックは、内71台がロードバイクで、シェアに大きく貢献している。圧倒的に強いブランド力と言えるだろう。2位スペシャライズドは、トライアスロンとロードバイクのバランスの良いブランドで、ほぼ半々となっている。総合力の高さが伺える。3位は、シーポとなった。内69台はトライアスロンバイクで、トライアスロンバイクでは1位のシェアとなっている。そして、トライアスロンバイクと言えば、サーヴェロだが、トライアスロンバイク比率の下がる皆生大会では、やや大人しくなってしまう。後述の通り、トライアスロンバイクが少ないこの皆生大会では、やや順位などに変化が見られる。

トップ10ブランドが全体に占める割合は、アイアンマン世界戦選手権では、75%にもなる。宮古島では66%となっているが、皆生大会では、59.8%とやや低めになっている。国内特有の傾向が強い大会と言えるだろう。様々な理由が考えられるが、やはり、コースのイメージから来る、トライアスロンバイクとロードバイクの比率が大きく関係していると思われる。

【トライアスロンバイク vs ロードバイク】

皆生大会は、テクニカルでアップダウンの厳しい、国内屈指の難コースだ。しかも実力のあるベテラン選手が多い中でどのような特徴が出ているのか、最も気になるところだ。ロードバイクが70%越えているのか、どうかが、最大のチェックポイントだった。そして、結果としては下記の通りだった。

使用台数 Triathlon 比率 Road 比率
947 316 33.4% 631 66.6%

※対象は、不明36台を除く947台となる。

Counted by Triathlon GERONIMO

「地元ではほとんどロード」と言う情報や、コース状況などからロードバイクが多いことは予想していた。そのイメージから70%オーバーもあるかと思ったが、結果は、66.6%だった。ただ、今年の宮古島では46.9%、15年のアイアンマンジャパンで50.0%あたりからも見ても、高いロードバイク比率と言えるだろう。当然、同じロングでもコース、選手層など、単純に比較はできない。間違いなく言えることは、きついコースの上に、高温多湿なため、ダブルで選手を苦しめるコンディションであるということだ。「佐渡よりも遥かにきついコースだ。」と何人もの選手から聞いた。

今後も劇的に傾向が変わることはないだろう。理由はリピート率の高い大会だからだ。かと言って、「絶対ロードバイク」というわけではない。しっかりとDHポジションがキープできる上位選手にとっては、十分にDHポジション比率もあり、その優位性は高い。上り坂で「DHポジション」を選択できる選手には、トライアスロンバイクが向いているだろう。

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【第2次異形バイクブームは?】

残念ながら、1台も確認できなかった。やはり、実力重視のリピーターの多い大会では、最新機材へのチェンジも少しタイムラグがあるのだろうか。

①cervelo P5X 0台

②DIMOND 0台

③VENTUM 0台

【最後に】

今後、皆生大会もう少しづつ「トライアスロンバイク化」は進むと予想している。上りでのメリットは、ロードバイクに軍配が上がるが、フラットでのメリットはそれを上回るからだ。そこにはある程度の練習量と慣れも関係してくるが、そのメリットに気が付くかどうかだろう。また、「DHポジション」は、フラットなどの高速コースだけではない。その効率良いフォームは緩やかな上りでもメリットを発揮する。個人差はあるが、5%程度ならDHポジションで上るという選手もいる。そう言った意味でも今後皆生大会は注目して行きたい。

上記に関しては、トライアスロンバイク、ロードバイクという「モノ」ありきではなく、「トライアスロンバイクのポジション」であり、そこから生まれる「フォーム」が重要となる。ロードバイクでもサドルを前方に出し(限界がある。シートアングルが75~76°程度になっていれば可)ハンドル位置を低く設定、トライアスロンバイクに乗っている状態と同様にセッティングできれば、「トライアスロンバイクの走り」が出来ることになる。(実際には前後輪への荷重バランスなど課題も残るが。)逆に、エアロ形状のフレームでもシートアングルが寝ているタイムトライアルバイクでは、長距離走となるトライアスロンでは不向きと考えている。(シートアングルの立っているトライアスロンバイクと寝ているタイムトライアルバイクを区別している。また、タイムトライアル系は、マテリアルも剛性が高く、長距離には不向き。)

※一般論とし、個別の製品に対しては別途確認が必要となる。

 

今回の皆生取材関連記事:KAIKE 2017

 

BOSS-N1-STriathlon “ MONO ” Journalist   Nobutaka Otsuka

皆生流

7/16(日)鳥取県米子市他で「第37回全日本トライアスロン皆生大会」(皆生トライアスロン協会など主催、スポーツ振興くじ助成事業)が開催された。

皆生大会は、国内トライアスロンの発祥の大会であり、日本トライアスロンの原点でもある。皆生温泉開発60周年記念事業のイベントとして、その年だけの開催を予定していたが、大反響となり、2回、3回と繋がり、今年で37回目となったのだ。もちろん、簡単の道程ではなかった。試行錯誤を繰り返しながら開催され、53名で始まった大会は、現在1000名となった。大会は常に選手のために、選手は大会のために、そして、それを支える地元の人々、ボランティアがいた。

 

 

 

 

皆生大会の特徴のひとつとして、選考方法が挙げられる。現在、選考方法は、先着順、抽選、書類選考となるが、皆生は書類選考となる。選考は、選手の安全を考え、他の大会の成績、練習量、もちろん、皆生大会での成績、出場回数、そして、都道府県比率、年代別など、様々な観点から、良い意味で厳しく公平に選考する。逆に出場できること自体「スタイタス」と考えるべきだろう。ロングは極めて過酷な種目だ。そのための絶対はないが、少なくともオリンピックディスタンス完走レベルでは、「完走できる」という説得力は弱い。

国内では4つのロングが開催されているが、皆生以外は全て「島」で開催されていて、皆生だけが「本州開催」となる。そのため、特に交通規制が厳しい。というのか、交通規制がない。バイクは、トップ通過後1時間まで、信号、交差点が規制されているが、その後はランも含め、すべて交通法規順守だ。単純に言えば、「賛否」はある。ジェットコースターバイクの勢いが活かせない、灼熱ランのペースが乱れる。ただ、37回続いている大会なのだ。大会はコースだけで決まるわけではない。大会スタッフ、選手、4400人に増えたボランティア、そして地元の人々が作る「優しい大会」が魅力であり、そこに赤信号は関係ないのだ。5回、6回出ているという選手の声を聞く、リピート率の高い大会なのだ。年に一度、この大会しか出ていないという選手もいた。

さて、大会当日は、天候に恵まれた。海はベタナギ、曇りがちで風も弱い。大山に雲がかかって見えない。例年に比べ楽な展開で始まった。スイムスタート時には、八尾彰一さん(チームブレイブ監督)が、「バトルのない優しいスタートを」と選手に向けエールと安心感を送っている。選手は、フローティングスタートとなるため、海の中へ入っていく。そして、スタートを待つ。

7時スイムがスタートした。長い一日が始まった。タフなバイクコースと太陽と戦う14時間30分だ。波は穏やかだ。(翌日は、流れが強く、うねっていた。白波も立ち、レース当日ではなくて良かったと思う。)スイムトップはリレーの選手で、個人も含め唯一ダントツの40分切り(38:20)だった。海から上がり一度、観客の前でも大きくガッツポーズで雄叫びを上げながらのスイムゴールだった。

続々と選手がスイムアップしてくる。いよいよ皆生の醍醐味であるバイクがスタートする。皆生では、バイクトランジットの前にすぐにエイドステーションがある。飲み物の他に食べ物も用意されている。最初から食べている人も少なくない。スイムアップ後心拍も上がり、苦しく、落ち着かないタイミングだが、ボランティアの声援と機敏な対応に選手も背中を押してもらえる。「行ってきます!」としっかりボアンティアに挨拶している選手もいる。バイクスタート時というか、スタート前のエイドステーションから「熱い」皆生だった。

最初の目標は、皆生の象徴となる大山だ。晴れれば美しい稜線を見せるのだが、雲がかかっている。大山は冬場になるとスキーも楽しめる。海と山が楽しめるロケーションということだ。さて、皆生温泉をスタートしてしばらくはフラットコースとなる。途中、車道から河川敷のサイクリングロードを走ったり、道路横断のための「地下道」をバイクから降り、押して渡るところもあるが、これも皆生。最初のフラットが終わると後は、アップダウンのみだ。

バイク30km地点では、コースを横断するために、バイクを一旦降りて、地下道の階段を下り、そして、反対側に出るという皆生ならではの変則コースがある。ちょっと「障害物競走」のようにいろいろ楽しめるのが皆生だ。

フラットが終わると次の目標は「大山」となる。皆生のコースは、大山の裾野が広がっているため、山の上の方でなくても上り基調のアップダウンが続くコースとなっている。大山を目指し、選手たちが上ってくる。その選手のバイクフォームは様々で、DHポジションで軽やかに上る人もいれば、シッティングからダンシングまで、その光景は、ベテランが多いロングのレースとしては、やや違和感を感じた。このコースは、「コース慣れ」している選手が極めて有利となる。地元の選手は、実際に練習コースとして普段から走っているためコースが頭に入っている。先の見えない下りのコーナーなど、初めて走る選手は、その踏込みにも限界があるが、コースを熟知している選手の走りは全く違う。大山からの下りを見ていても恐らく速度にして10km程度は違うのではないかと思わせる瞬間があった。ドロップの下ハンを持ち、反対車線寄りのアウトコースを思い切り踏込んでいる。「マイコース」と言わんばかりの勢いで走っている。

 

60km地点の「植田正治写真美術館」の前にエイドステーションが設置されている。ボランティアは全力で押してくれる。ボランティアの女子高生が、「コーラ!」と叫んでいる。頭から水をかけてくれるボランティアがいる。スイカも美味しそうだ。

休憩していた選手に聞いた。「今年は曇っていて去年より楽だね。」と笑って応えてくれた。後から聞いた話だが、始めから例年のように晴れていたら完走率が下がったのではないかとのこと。しかし、この後、大山もその姿を徐々に現し始め、容赦ない陽射しと高い湿度が選手を徹底的に痛めつけることになる。

エイドステーションのある折り返し100km地点までは、道幅が狭いアップダウンが続く。直線のアップダウンでは勢いを活かせるのだが、下りのコーナーでは、Rもその先の状況も見えない。したがって下りの勢いが活かせないのだ。このバイクコースを攻略するためには、コースを覚え、下りの勢いをどこまで活かせるかにあると言っても良いだろう。

皆生のバイクコースは、タフなコースとして有名だ。「ジェットコースター」と例えられ、アップダウン、テクニカルなコースが続き、猛者も唸らせる。「宮古島、佐渡と比べ、距離は短いですが、一番きついですね。」と選手が口々に言う。地元では、圧倒的にロードバイクの使用だと言う。トライアスロンバイクは逆に珍しがられるとのことだ。ただ、何人かの選手に聞いてみると決してDHポジション比率は少なくない。逆にDHポジションを70%以上取れるという選手もいた。実際コースを全て下見したが、フラット、下りでDHポジションで走行できる比率は少なくないのだ。

ランは、正に「サバイバル」だ。ランの頃には、完全に晴れ、日陰の無いコースを走り続けるのだ。途中の信号ストップもペースが乱れる。選手の表情は険しい表情となり、灼熱の太陽と、サウナのような湿度と戦っている。ランコース11km地点で3時間ほど見ていたが、「壮絶」と言っても過言ではないだろう。「頑張って!」と声をかける、返ってきたのは、「無理です!」と。思わず笑ってしまったが、正直な気持ちだろう。選手の話を聞いていると「30kmの見えない関門」があるようだ。通過時間にもよるが、ラン前半はほとんど日陰の無い苦しいコースだ。前半で圧倒的に体力を奪われる。ゴールの前にもう一つのゴール、30km地点にどんな状態でたどり着くかによって、その後が決まる。30kmを超えた選手の表情は厳しいが、同時に無事にその「関門」をクリアし、あらためて気を引き締めているかのように見えた。

女性選手が走って来たのだが、通過後振り返ると薄いサンダルを履いていた。ん?何だろう。ゴール後に話を聞いたのだが、9km地点までは、裸足で走っていたそうだ。実は普段のレース、ウルトラマラソンなども裸足で走っているという強者だった。その女性選手曰く「暑くて、途中からサンダルを履きました。」と言っていた。恐らく無理をすれば、足の裏の皮が剥け、完走はできなかったのではないだろうか。あの暑さの上に、裸足と聞いて、驚かされるばかりだった。今回初参加とのことだったが、きっと「皆生の名物選手」になるのではないかと思う。

長い一日が終わる。国内屈指のハードなバイクコース、サバイバルランなど国内最高レベルの難コースだ。完走は簡単ではない。トップアマ、ベテランでもその約束はない。「完走者すべてが勝者である」とは、まさにこんなレースのことを言うのだろう。だからこそチャレンジする意味がある。そんな大きな意味と国内発祥というプライドが、大会、地元、選手を動かしている。

ゴールでは「同伴ゴール」が許されている。ロングの名物だが、ゴールゲートまでは許可されていない大会もある。皆生は、家族と、仲間と、一緒にゴールをしている。皆生のホットな一面だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

皆生はベテランでも十分なトレーニングを積まなければ完走出来ない。37年前、第1回大会に出場した選手と同じ気持ちで臨む大会だ。37年の時を超え、国内発祥の大会の緊張感は今も色褪せない。

実は、スイムでは、皆生のレジェンド「小原夫妻」が一緒に泳いでいる。目的は、「ノーウェットスイム」のトライアルだ。皆生の夏は暑い。ウェットは選手を守るものだが、気温、水温によっては「逆効果」になる可能性がある。選手にとって何が良いのだろうか、絶えず選手のことを考え続けている。

原点の大会は今でも「進化」している。「面白い」と思った。

熱く、暑い、皆生は、皆生のやり方がある。

 

 

 

 

今年のスローガンは、『名峰大山に抱かれた優しさの聖地 誇りと感謝を込めたチャレンジの日』だった。大山開山1300年祭のプレ年で、「大山さんのおかげ」という古くから伝わるフレーズは、皆生トライアスロンにも当てはまるということだそうだ。そして、オフィシャルリザルトの表紙には、「EVERYTHING HAS STARTED FROM HERE」と書かれていた。

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「すべては皆生から始まったのだ。」

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

絶景皆生

トライアスロンの原点、皆生のコースを見て来ました。

地元のトライアスリートにご協力頂き、スタート地点から折り返しまで140kmのバイクコースを見て来ました。一言「楽しい」コースですね。また、皆生の象徴となる「大山」が、どっしりと構え、その美しい景色がバイクコースの最高の演出となっていました。車道、サイクリングコース、フラット、アップダウン、山、川、谷、そして「ジェットコースター」まで飽きさせないコースが魅力なのでしょう。距離も140kmになっている理由が分かりました。宮古島とも、佐渡とも違うコース、昔の琵琶湖のアイアンマンに雰囲気は近いかもしれないですね。明後日のレースではこのバイクコースを堪能してほしいですね。

 

 

 

「ズバリ、楽しいコース!」
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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka

【GERONIMO COUNT】第37回全日本トライアスロン皆生大会

日本初のトライアスロンとして、1981年に開催された。国内のトライアスロンはこの大会から始まっている。そして、今年も開催される。

日本の元祖であり、ロングの大会となる皆生。日本国内のトライアスロンを語る上で大きな意味を持ち、一度は出場してみたい大会でもある。1978年に初めて開催されたハワイアイアンマンをきっかけに国内での開催を実現させたのだ。現在、国内では、4つのロングが開催されている。4月宮古島、6月長崎、7月皆生、9月佐渡となり、皆生はもちろん、日本を代表する大会となる。

距離は宮古島に近く、アイアンマンに比べると少しバイクが短い「オリジナル仕様」となる。ただし、バイクはタフなコースだけに侮れない。皆生を完走することは、国内の「オリジナルトライアスロン」の制覇でもあり、その意味では、ステイタスが高い。

そんな皆生ではどんなバイクが使用されているのだろうか。大会全般とともに「Triathlon GERONIMO」の独自取材を慣行したい。

■開催日 2017/7/16(日)

■競技

スイム3km / バイク140km / ラン42.195km

※詳しくは、http://www.kaike-triathlon.com/

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「日本の歴史、皆生は何を伝えてくれるのか」
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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka